日記

日記

突然の知らせ



主人は7月から会社の寮にはいり、単身赴任をしていた。一ヶ月に1-2度帰宅するような暮らしが続いていた。

あの日、まだ娘の誕生日には10日も早かったのだが、なぜかその日にプレゼントを買ってあげたかった。お財布にはそれほどのお金がはいっていなかったので、しまりかけたキャッシュコーナーに駆け込んでお金をおろし、娘のお望みのCDウォークマンを買った。

家に戻り、19時過ぎ、娘は、誕生日のプレゼントを買ってもらった報告、お礼をしようと主人の携帯に電話を入れた。その時は話せず、19時30分ごろ主人のほうから電話がきた。娘は「お誕生日のプレゼント買ってもらったよ。ありがとう。」とお礼を言って、「今度帰ってきたらいっしょに説明書見ながら使い方教えてね。」などと話をし、切った。

それが主人と娘の最後の会話だった。

私と話したのが前日の夜が最後。

その夜、21時ごろだったか。突然の同僚からの電話。最初は相手の言うことがよくわからなかった。もう一度電話がきたと記憶している。主人が寮で突然、胸から下が痛くなり、救急車で運んだが、急激に血圧が下がり、もう危ない状態だということ。

さっきまで元気に娘と会話していたあの人が。

あとで主人の携帯の履歴を見てみたら、19:45ごろ、主人の寮に住む上司に電話をしていた。「救急車を呼んでほしい」と。娘と話したほんの15分後?上司は主人の部屋に行った。部屋は鍵がかかっていた。主人は必死の思いで鍵を開けにいった。そして病院に運ばれたが、一つ目の病院には断られ、二つ目の病院に運ばれた。病院に着いた時点ではまだ意識はあったという。

私は血の気が引くのがわかった。電話のそばで聞いていた娘が泣き出した。普段から親しくさせてもらっている友達に電話をした。かけつけてくれた。彼女はずっと寄り添ってくれた。

私は主人の単身赴任先に近い母に電話をし「すぐ○○病院に行って。M(主人)が死にそうなの。」と伝えた。母はタクシーでかけつけてくれた。その時は、お医者さんが人工呼吸をしてくれてたが、もう身動きはなかったという。病名は「心肺停止」??????

母は「だめかもしれない。」と電話口で言った。私はまだ一縷の望みがあるのかと思い、祈った。次の電話で「助かったよ。」ということばを聞けるかと思い。待てど暮らせど電話は来ない。私の方から電話をいれてみた。たしかめなくてはしょうがない気持ちになって、「死んだの?死んだんだよね?」と念を押していた。

でもあとで母に「あの時電話をずっと待っていたんだよ。」といったら、「だめかもしれない。」イコール「だめだった。」という意味だったらしい。はっきりと「だめだった。」とは言えなかったと。

そのうちに会社の人が二人、家にたずねてきた。飛行機の手配をしてくださった。手配のため、いろいろ質問してくれるのだが、他人事のようで、実感がなくされるがまま、ベルトコンベアーに乗せられたようだった。

あの電話からこの間、ずっと「なんで?」「なんで?」と自問していた。



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