タフルの日記(^_^)

タフルの日記(^_^)

飛鳥夕映えパート3


かねてから鞍作に想いを寄せていた皇極帝は、しばしば鞍作を参内させていた。鞍作に全ての権限を与え、二人で大和を動かしたいとの皇極帝の思惑は、帝の地位はもちろん、鞍作の立場をも危うくしかねないものだった。それを知った鎌足は、今度は皇極帝の息子である中大兄皇子に、蘇我の血を引く古人皇子を後継者にするべく、鞍作が日夜帝のもとへ赴いていると話し、挑発する。さらに皇極帝の元へと向かった鎌足は、鞍作との神が宮廷の内外にどのように伝わるかは自分次第であると語り、将来的に自分の望みを聞き届けてもらいたいと申し出る。
皇極帝と鞍作の噂は瑪瑙にも届いていた。複雑な思いを抱きつつも、瑪瑙の鞍作への想いは変わることはなかった。やがて瑪瑙のもとを訪れた鞍作から、自分を正式な妻として甘橿の館へ迎えると聞かされた瑪瑙は、鞍作と共に暮らせる喜びに胸を震わせる。しかし、瑪瑙は、近頃自分に向けられる鎌足の視線がどことなく気になると鞍作に不安な気持ちを告げる。瑪瑙の心配気な様子に、鞍作も不吉な影を感じるのだった。
鎌足の巧妙な策略は、遂に軽皇子をも巻き込んでいく。鎌足から次の皇位継承を匂わされた軽皇子は、鎌足の巧みな言葉に乗せられ、自分の身を守るため、帝の代理として伊勢神宮へ赴くことにする。
鞍作の念願であった朝鮮三国の使者を迎える儀式が近づいていた。儀式の指揮は全て鎌足が取る手筈となっており、その詳細は鞍作に一切伝えられていなかった。そんな鞍作のもとへ石川麻呂が、三国の使者の大極殿訪問が3日後に決まったと知らせに来る。又、軽皇子は、儀式当日は伊勢へ出向いていると告げる。なぜ、この大切な外交の場に軽皇子が出席しないのか。鞍作の脳裏に様々な事柄が浮かび、疑念へと変わっていく。周到な用意をして、何を仕掛けてくるというのだろうか・・・。鞍作が思い当たる人物は、鎌足以外にいなかった-。その頃、大極殿では、鎌足が中大兄皇子らと共にある計略に向けて準備を進めていた。
儀式の前日-。甘橿の館で、鞍作は瑪瑙に一つの頸飾りを差し出す。それはあの歌垣での再会の日から、いつか瑪瑙にふさわしいものを手渡したいと探していたものだった。鞍作は、儀式が終われば、二人で夢に見た唐の国へ行こうと瑪瑙に語る。そんな鞍作の傍で幸せを噛み締める瑪瑙だったが、その儀式を前に胸騒ぎを抑えることができなかった。
そして-。645年、6月12日。板蓋宮では、新羅、百済、高句麗の三国の使者を迎える儀が執り行われようとしていた。
鞍作は、身に迫る大きな危険を感じながらも、板蓋宮・大極殿へと向かった-。

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: