Chika’s Music Room♪

Merry X’mas for you

朝からソーダを飲むとなんだか少し重い気がする。
でも、私は毎日ソーダを飲む。
その習慣が身に付いたのはいつだっただろう。
確か初めてゆっくりゆっくり月を見つめた日だったか。
　.あの日も、隣にはあの人がいた。
あの人は、いつでも私のそばにいてくれた。
それがどんな日でもどんな時でも。
けれど今、私の隣にはあの人の写真すらない。
　.全部きれいな銀色の缶にしまった。
もうあの人を思い出さないように。
なのに私は毎朝あの光景が目に浮かぶ。
２人で寝そべって月を見つめた日のことを。

今日は一日有給をとった。
あの人の大好きな日だったから。
それだけの理由で休めるなんて、私はなんて幸せだろうと思う。
今、あの人はどこでなにをしているだろう。
　.今日のチラシにはデコレーションケーキがお買得だと書かれていた。
後で買いにいこうと思う。
でも、きっと一人では食べられない。
大きすぎるだろう。
右隣のリサちゃんと上の階の桜田おばさんに持っていこう。
そぅ思ったけれど、考え直して、
左隣の綾美ちゃんに持っていこう。
多分一人で寂しがっているだろうから。
　.なんとなく外へ散歩に行くことにした。
何故かわからないけれど、今日は少しウキウキしている。
少し歩いて商店街へ行くと、赤と緑のイルミネーションで
彩られていた。
２、３日前、いや、２、３週間も前から今日のために彩られていた。
　.華やかな通りをまっすぐ歩いた。
散歩するつもりが、いつのまにかケーキ屋の前にいた。
しかし、まだ営業時間じゃない。時間が早すぎた。
今は８：２３分だった。

一旦家へ帰って、読みかけの本をよんだ。
熱心に読みふけっているとすぐに時間が経ってしまう。
我に返った頃は、ケーキ屋が開く１０：００を軽く過ぎていた。
お買い得のケーキがなくなってはいけないので、
急いで支度をすると、早足で商店街へ歩いた。
　.さっきから、今日はなんだかウキウキしている。
街のイルミネーションのせいだろうか。
　.ケーキ屋で、大きめのデコレーションケーキを買った。
虫歯になりそうなかざりがたくさんついていた。
　.お金を払おうと財布を出した時、きづいた。
甘い甘いケーキのにおいに混じって、
ヘビースモーカーのあの人のたばこのにおい。
つばを飲み込んで、後ろを振り向いた。

　　　　END ～Mary Xmas for you.～

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