鍋・フライパンあれこれ美味
100万ポイント山分け!1日5回検索で1ポイントもらえる
>>
人気記事ランキング
ブログを作成
楽天市場
000000
HOME
|
DIARY
|
PROFILE
【フォローする】
【ログイン】
chiro128
福島さんのこと
岐阜の柳ヶ瀬にバー中西は今もなお存在する。福島初栄さんが四十年ほど前に開いた店だ。町中のバーテンダーやマスターたちから福島さんは一目置かれていた。町の重鎮、名士が中西の客だった。
通った回数はたかが知れている。でも、きちんと覚えてもらってもいた。地方出版ではあるがある本を書いたことがある。紀行文だ。そこでも福島さんには登場願った。そんな縁もあるのかもしれない。季節のものを贈ったり、贈られたり、手紙を戴いたりもした。バー・ラジオが出したカクテルブックに話が及び、
お酒をつくりますハシのハシに先人のお名を恥ずかしめております私としまして、「はじめに」と終わりの頁には感動しまして、何故か涙が出て出て仕様がございませんでした。プロとしましては、あたり前の心がまえではございますが、毎日、平の心で約束ごとを守って、平常心で仕事をしております者が幾人おりますでせうか・・・でございます。尾崎様の人知れずの毎日のご自身への厳しさのお精進のつみかさねがあのカクテルブックの出来栄えとなって表れております。
うかうかとすごして参りました私には檄をくだされて、只今参っておりますが、私にはもう時間がございません。いそがねばと思って、心をとりなしております今日このごろでございます。
又おひまをみつけて、岐阜へおでかけ下さいませ。
六十半ばの女性からの手紙。この歳でなお、自分には精進が足りないというのは決して謙遜のつもりではない。この人は本気でそう思っていたし、なお、極めるという作業を自分の人生の本質と考えていた。私にとってはこの人は人生の先生だった。
そのバー中西の三十周年記念パーティには私は招待客の一人として呼ばれた。招待客は岐阜市の名士に並んでバー・ラジオの尾崎さんやバー・リックス(カサブランカ、でしょ?)の道岡さん。「銀座名バーテンダー物語」の著者でかつて雑誌「バッカス」の編集者だった伊藤精介さんもいた。私みたいなのこそ、ハシのハシなのだ。やれやれ。
しかしこの日の私の役は三十周年に重ねての役だった。私は丁度三十歳だった。鏡開きは「初孫」の樽。そう、私は孫の役だったのだ。私は三十年目の常連として先輩たる常連たちにその日引き合わされたのだった。
以来、私は福島さんの孫を自認している。バー・ラジオでも私の扱いは「福島さんちの子」。おかげでまったくおろそかには扱われない。その代わり、私が粗相をすると、きっちりお叱りを受ける。福島さんちの子はそんな粗相をしてはいけないのだ。
最後にバー中西で福島さんにお会いした時、その空気はいつもと違っていた。この人は自分の命の長さを知っていたのかもしれない。その日、シェイカーを振っていたのは若い川田さんというバーテンダーだった。福島さんは常連との話をするのが勤めというところ。だが、私のためにはご自分で選んでくださった。私の視線を読んでたのだ。
「これ、判ります? ネ・プラス・ウルトラ。ご存じでしたか。これももう手に入りませんでしょ。新しいお酒も生まれますが、こうして、ねえ、とてもいいものでございますのに、消えていくお酒もあって・・・ラジオさんからバカラのショットグラスを戴いたんでございますの」
そう話しながら、ラジオの「R」入りのグラスだ。
「これもお祝いですから、使ってお飲みになります? ネ・プラスでも、他でもようございますが。こちらも、もう作られていないお酒ですが・・・これは私がごちそうさせて戴きますので」
ネ・プラスを戴く。酒を注ぐと「R」の文字が浮かび上がって見えた。ネ・プラス・ウルトラが空になった。ほらね、という顔を福島さんがした。
亡くなった、と聞いた時、この夜のことがはっきりと浮かんだ。
福島さんが亡くなった、という連絡はバー・ラジオで親しくなったバーテンダーから伝えられた。通いきれなかった無念さがあるが、どうしようもない。
しばらく経って落ち着いたところで岐阜のバー・リックスへ行った。東京のバーでは人々は店を空けることはできない。道岡さんが当然全部を見ているはずだと思った。道岡さんはくだけた言い方で顛末を話してくれた。
「大往生ですよ。年齢はともかく。布団の中で眠るように亡くなってたんですよ。中西に現れないから、何かあったんじゃないか、って連絡が来て、私の方が身軽だから、福島さんの家に行ったんです。そしたら、布団の中。すぐに連絡してお医者さんにも見てもらって、それから、親しかった人に連絡して、で、私たち何したと思います? おばあちゃんそのままにして、飲み会。途中からはおばあちゃん跨いじゃったりして、とんでもなかったですが、思えばそれが一番あの人には似合ってたのかな、と。それがそのまんまお通夜になっちゃった。お葬式も、あの人京都の人だけど、出て来ちゃったようなところがあるから、お寺さんも私の一存で進めちゃった。このお葬式もすごくてね。お寺の庫裡を解放してもらって、そこでいい加減夜更けまで飲んで騒いで・・・お寺さんも気を使ってくれて、布団まで用意してくれました。でね、中には彼女連れ込んで、布団に入ってるやつがいて、とんでもないやつだな、なんて言いながら、それでもおばあちゃんにはいいお葬式だったと思うけど」
確かにいい最期だったようだ。
普段、福島さんのことを思い出すことは悲しいことにそうそうはない。でも、一人でも数人でも、お酒の席で粗相をするたびに(相手が気づかないとしても)私は心の中で福島さんにごめんなさいをするのだ。相変わらず、福島さんは私の先生なのだ。
ジャンル別一覧
出産・子育て
ファッション
美容・コスメ
健康・ダイエット
生活・インテリア
料理・食べ物
ドリンク・お酒
ペット
趣味・ゲーム
映画・TV
音楽
読書・コミック
旅行・海外情報
園芸
スポーツ
アウトドア・釣り
車・バイク
パソコン・家電
そのほか
すべてのジャンル
人気のクチコミテーマ
スイーツ★スイーツ
近江屋洋菓子店のモンブラン
(2024-12-04 06:40:09)
元気な朝ごはん
今日は小松菜としめじの味噌汁でした…
(2024-12-03 10:00:11)
楽天レシピ
工事費込みガスコンロ、年内設置は12…
(2024-12-04 21:00:12)
© Rakuten Group, Inc.
X
共有
Facebook
Twitter
Google +
LinkedIn
Email
Design
a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧
|
PC版を閲覧
人気ブログランキングへ
無料自動相互リンク
にほんブログ村 女磨き
LOHAS風なアイテム・グッズ
みんなが注目のトレンド情報とは・・・?
So-netトレンドブログ
Livedoor Blog a
Livedoor Blog b
Livedoor Blog c
楽天ブログ
JUGEMブログ
Excitブログ
Seesaaブログ
Seesaaブログ
Googleブログ
なにこれオシャレ?トレンドアイテム情報
みんなの通販市場
無料のオファーでコツコツ稼ぐ方法
無料オファーのアフィリエイトで稼げるASP
ホーム
Hsc
人気ブログランキングへ
その他
Share by: