Salon de Ciel

Salon de Ciel

映画館



手をつないで歩いて、映画館に向かって歩いた。

ゆっくり、景色をみながらおしゃべりした。

彼と話すのは本当、楽しい。

私が笑って欲しいところで笑ってくれるし、2人の笑いのツボが合ってたんだと思う。

そのとき私はまだ同年代の友達が出来ていなくって、
くだらないお喋り、っていうのにかなり飢えてた。

周りの大人と話す機会は多くて、それも良いんだけど、私が笑わそうとしてるのに通じてなかったり、向こうが笑わそうとしても私が??だったりと話がかみ合わないことが結構あった。


自分の英語力のせいなんだと思ってかなり落ち込んだこともあったんだけど、彼と話してて
「な~んだ、やっぱり私の英語力はそんなに悪くないじゃん!!」と、安心した。


私が
「It's so fun to talk to you, I wish you could stay here longer」
(彼はこのデートの2日後にアメリカに帰る予定)

と言うと、

「I like talking with you too, I wish I could have met you earlier.」
って言ってた。

この人がここにいたら、私の生活は絶対に楽しくなるのに・・って、本当に思った。

手をつないで歩きながら彼はhugしてきたり、私の肩に腕をまわしたりして体がかなりくっついてきた。

嬉しいんだけど、やっぱり2人は初対面だし、
半分冷静になって、私も警戒する所はちゃんとする事にした。
なるべく人気のない道は通らないようにしたりとか、お金とクレジットカードは財布から出してジーンズのポケットに隠しておいたり(笑)


私が靴ひもを結びなおすために立ち止まった時、
彼が「僕が鞄持っておくよ」と、持っててくれたんだけど、
あたしは両手で靴ひもを結びながら、
「かばん持ってとんずらする気じゃないだろーな!!」
と、気が気じゃなかった(笑)


しばらく歩いて映画館に着いた。

彼が見たかったのはリディックっていうSFアクションもの。

私ははっきり言ってSFは嫌い。
同じ時期にやってたdenzel washingtonのMan on fireの方が見たかった。

でもまあ、もしかしたら面白いかもしれないし、お金払ってもらう立場だし・・と、リディックを見ることに決定。


映画は・・あたしにはやっぱり「うーん・・・」って感じの内容だったな。


映画を見てる途中から、頭をもたれ合わせたりして、本当にくっついてきた。私はまだ警戒して鞄を彼の届かないところに置きなおしたりしてた(笑)


で、そのうちなんだか視線を感じて彼を見ると、こっちをじっと見てる。
私が、「何?」って顔をすると、ちょっと笑ってから私の手にキス。

私は心の中で、「何を考えてるのか知らないけど、あたしは冷静だぞー!!」

またしばらくすると、ほっぺたにキスしてきた。

また心の中で「う・・気持ちいいけど、これ以上はないからね!!」


そしてまたしばらくして、彼が手で私の顔を自分に向けた。私はキスされるかと思って一瞬びっくりしたんだけど、

「鼻ピアスしてる?」と彼。

えっ?

「・・・してない。これ、ただのホクロ。」

なーんだ・・とがっかりする私。

あれ?あたし、自分がキスしたかったんじゃん。そう思ったら彼を見つめてしまった。

で、私から、彼に顔を近づけて

キスした。


・・でも、あれは、どちらからキスしたというよりも

どちらともなく、したんだと思う。


私は映画の内容なんて、今でも丸っきり覚えていない。

覚えているのは、右隣にあった彼の体の感触だけだ。


でも、彼はいう。
「あの時見たリディック、なかなかくだらなかったけど、

ときどき爆笑しちゃったよー、俺! ストーリーも、漫画みたいだったよ
ね!」


知らん! 覚えてない!


あーーーー、むかつく!! 笑




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