愛し愛されて生きるのさ。

愛し愛されて生きるのさ。

『リング』

『リング』(1998/中田秀夫監督)
リング


 この映画は都合3回観たことになる。最初は試写会で観た。正直このときはさほど怖いとは思わなかった。
 2度目は劇場公開されたときに映画館で。若い娘たちがウギャーウギャーと叫んでいたが、この時も1度観て内容を知っていたからか怖いとは思わなかった。
 で、3度目は家でビデオ。これがマジで怖かった。劇場でこの映画を観ても他の観客と時間を共有している安心感からか怖くないんだが、1人で夜中にポツンとこの映画を観るとハンパじゃない。

 この映画は何が怖いって、例の「呪いのビデオ」の完成度の高さにある。私にとってアメリカ版との決定的な違いはここであった。日本版の「呪いのビデオ」は得体の知れない恐怖の演出がスゴイのだ。井戸を覗き込む男の顔・縦横無尽に動く新聞の文字・うめき声をあげて逃げ惑う人々・白い覆面をかぶってあらぬ方向を指差す男。思い出すだけでゾクッとくる。

 ただ、有名なテレビから貞子が襲いかかってくる例のシーンは怖いとは思わなかった。それまでの貞子は断片的なイメージで襲ってきたから怖かったのであって、実体を伴って出現したときには逆に安心してしまったくらいであった。やはり私は得体の知れないものに恐怖を感じてしまうらしい。

 夜中に1人でいるときに「後ろに誰かいるんじゃ…」というような持続する恐怖を味わえる、ホラー映画の傑作である。



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