PIRATES

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勇気をください

今日は・・・・雨。
小さな宿の窓からは、今にも荒らしになりそうな空が見える。
しとしと降っている雨は、今の俺の心を表しているみたいだ・・・。
大佐のことを思うたび・・・胸が熱くなる。
それと同時に・・・何だかよく分からない感情が込み上げてくる。



好きだけど・・・好きじゃない。





愛してるのかもしれないけど・・・愛してないかもしれない。





とにかく・・・・今の俺の心は不安定なことに変わりない。
この不安定な心を・・・誰かに癒してもらおうなんて思ってもいない。





別にいいんだ・・・。




「兄さん・・・。」



ふと後ろを見ると、そこにはアルが立っていた。
まだ鎧のままだ・・・。
前・・・俺のことを恨んでいるんじゃないかと聞いたとき・・・・
恨んでなんかいないと言ってた・・・・。
でも・・・今、いろんなことを考えて見ると・・・
やっぱりアルは俺を恨んでると思う・・・。



はは・・・・だんだんマイナス思考になってきたよ、俺・・・




「どうしたのさ・・・?何か元気ないよ、兄さん・・・。」
「ん・・・大丈夫だよ・・・。ちょっと考え事してるんだ。」
「そう・・・あんまり考えすぎないでね。身体に悪いから・・・。」
「あぁ・・・。」





こんなに俺のことを心配してくれるなんて・・・・。



優しさが・・・イタイ。




―コンコン・・・・―

「入るぞ。」
「大佐・・・。」
「全く・・・今日の午後に私の部屋へ来いと言ってあったはずだろう。」
「ぇ・・・・」
「忘れたのか?・・・・まぁいい。」
大佐は、肩についた雨の粒を払いながら上着を脱いだ。
ドアの横にあるコートかけに綺麗に上着をかけた。
俺のコートと重なった・・・。
「鋼の。」
書類を差し出された。
それを受け取り、一応目を通した。
「これは?」
「ウロボロスの情報だ。」
「!!」
「これで少しは人体錬成のことも分かるのではないか?前に・・・・グリードと言ったか。あいつと人体錬成のことについて話したんだろう?」
「ぁ・・・うん。」


ビクッ・・・・!!



大佐の手が、俺の手に触れた。
別にどうってことはない。
俺の近くにあった書類を取ろうとしただけだ。
「どうした・・・・?」
当然のごとく、大佐は聞いてきた。
「ゃ・・・何でもない。」


何でもないはずがない・・・。
あんたがいるだけで俺は死にそうなんだ・・・・。
俺に・・・あと少し勇気があれば・・・大佐に「好きだ」と言えるのだろうか。



「ぁ・・・の・・・さ・・・・。」




―ガチャッ____

「失礼します。」

俺が大佐に言おうとした瞬間、中尉が入ってきた。
少しだけ前に出した手を、不自然にならないように引っ込めた。
俺は、机の下で強く拳を握った・・・。


「大佐、会議に遅れます。」
「あぁ・・・もうそんな時間か・・・。」
俺が持っていた書類を、大佐は目で合図した。
俺はハッと気づき、すぐに書類を渡した。
全部の書類をまとめたとこで、大佐は立ち上がり、自分の上着を取りはおった。
「それじゃあ鋼の。この続きは・・・そうだな。明日私の部屋にこれるか?」
「あぁ。行けるよ。」
「明日は忘れるな。」
「頑張るよ。」
大佐は部屋を出て行った。
俺は、自分のコートを取り軽く抱きしめた。
コートからは、ほんの少しだけ大佐の香りがした。
「兄さん、ぼくちょっと下に行ってくるね。」
「どうしたんだ・・・・?」
「うん・・・ちょっと・・・」
≪ニャー、ニャー!≫
「うわわわわっ!駄目だよ~・・・。」
「・・・・そうか・・・そういうことか・・・。」
「だだだって兄さん!!この子 外で濡れてて可愛そうだったから・・・。」
・・・って・・何匹いるんだよ!?」
「ぇっと・・・7匹・・・・?」
「もとの場所に返してこぉ~~~~い!!!」
「ぅわぁぁん!!」
「アル!走るなっ!!猫かわいそう!!!」






++++++次の日++++++

「たぁ~いさぁ~。」

俺は、ちゃんと約束どおり大佐の部屋に来た。
だけど、中からは返事が返ってこなくて少しだけドアを開けて見た。
そこには、少尉と大佐の姿が見えた。
そこからは、見たくなかった光景が目に入ってきた。


・・・そう、大佐と少尉がキスをしてる。


そのまま、大佐は押し倒されていった・・・。
思わずドアをおもいきり閉めてしまった。
大きな音を立ててしまったドアから逃げるように、俺はひたすら走った。
その音で、部屋から大佐と少尉が慌てて出てきた。
大佐は俺を追っかけてるらしい。



嫌だ・・・!!来ないでくれ・・・・っ!頼むからっ・・・・!!!


「鋼のっ!!!」



腕をつかまれた。
そのまま身体の向きを変えられた。
今・・・・俺は泣いているらしい。
頬が冷たい。熱い。


「泣いて・・・いるのか・・・・?」



泣いてない・・・。




「何で・・・鋼の・・・。見た・・・のか・・・。」



言うな・・・・。




「鋼の・・・・。」




俺の名前を呼ばないでくれ・・・・。



「エドワード・・・」



その後、何が起こったのかわからない。
緊張の糸が切れたのかのように俺は倒れてしまったらしい。
もぅそのまま・・・・目が覚めることがなければいいと思った。






スキナノニ・・・・・

コンナニスキナノニ・・・・

アイシテイルノニ・・・・

アイシテホシイノニ・・・・・

コノネガイハカナワナイ・・・・

ヒトリニナッタ・・・・

オヤモ、キョウダイモ、トモダチモ・・・・

ミンナナクシタ・・・・。

いや・・・・

マダ・・・ナクシテナイ・・・・・

ナクサズニスムホウホウ・・・・

アァ・・・ワカッタヨ・・・

ジブンノキモチヲカクセバ・・・・

イママデノカンケイガコワレルコトハナインダ・・・・

ソウ・・・

ナニモイワナケレバ・・・・。




「目、覚めた?」

ここは・・・・?

「兄さん、司令部で倒れちゃったらしいよ。大佐がここまで運んでくれたんだ。お礼、いいなよ。」

お礼・・・?

「大丈夫か?鋼の。」

大佐・・・・

「兄さん!?どっか苦しいの!?」

ぇ・・・。
あぁ・・・これは・・・涙・・・。
俺・・・泣いてるのか・・・。

「兄さん・・・・?」

大丈夫だよ・・・。アル・・・。

「ねぇ・・・どうしてしゃべってくれないの?」

・・・え?
しゃべってるじゃんか・・・。
何言ってるんだよ・・・。


「鋼の・・・もしかして・・・!!」

なに・・・何だよ・・・。
俺しゃべってんじゃん・・・・!!


「口が・・・聞けないのか・・・?しゃべれないのか・・・?」

俺が・・しゃべれない・・・?
もう俺の声は・・・誰にも届かないのか・・・?
聞こえてない・・・?

「兄さん・・・しゃべれないの・・・?」


嫌だ・・・
まだ・・・好きだって言ってない・・・!!
大佐に言ってないんだっ!!
アルにも・・・・まだ言いたいことはたくさんあるんだ!!

「鋼の・・・私の知人がやっている病院を紹介しよう・・・」
「お願いします・・・。」

嫌だ・・・・病院なんて行きたくない・・・!!!










































「精神的なことですな・・・。」

診察室に座らされて、いろんなことを聞かれた。
そして、しまいにゃ「精神的」。
俺は、もう二度と口が聞けなくなるだろう。
医者がそう言った。
アルが診察室に入ると邪魔だから、大佐が付き添ってくれた。
大佐は、俺の手を引っ張って歩いている。
診察が終わって、待合室に行く間・・・おれはずっと心の中で言っていた。




大佐が好きだ・・・。




もう言葉に出来ないとわかっていても、口を動かしてみる。
これだけは言いたい。
ホントウに何もいえなくなる前に・・・・。


「ぃ・・・さ・・・・・・・。」


「鋼の・・・・?」


「好き・・・だ・・・。」


声に出せたのだろうか・・・。
大佐が俺の顔をずっと見ている。


「本当なのか・・・?鋼の・・・。」


答えたくても・・・・答えられなかった・・・。
最後に俺の気持ち・・・伝わったのかなぁ・・・。


++++++fin++++++














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