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アキ・カウリスマキ監督(「過去のない男」)が1992年に作った売れない芸術家3人の貧乏生活を描いた映画で面白かったです。現代のパリ。売れない作家マルセルは家賃滞納のためアパートを追い出されそうになる。途方に暮れた彼はあるレストランでロドルフォという画家に出会い意気投合する。そして2人はマルセルのアパートへ戻るがそこには次の住人、作曲家のショナールが住みはじめていた・・・・・。フランスの作家アンリ・ミュルジェールの原作を映画化したものでプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」としても有名です。ところがカウリスマキは原作を台無しにしたプッチーニに復讐を込めて作ったらしいです。そのためかプッチーニの曲はこの映画では全く使われていません。カウリスマキ監督らしく登場人物がとぼけたキャラクターで笑えました。ただ後半は結構シリアスな展開になり感動します。主要人物のほとんどは知らない俳優でしたが脇でジャン・ピエール・レオ(「男性・女性」「夜霧の恋人たち」)やサミュエル・フラー監督(「最前線物語」「拾った女」)が登場していて笑えました。映画のエンディングは「雪の降る街を」が流れてきます。「過去のない男」でも日本の歌謡曲使われていましたが、エンディングにとても合っていました。この監督は日本語の曲選ぶセンスありますね。バイバイ
2007/07/04
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ダニー・ボイル監督(「28週後」)が1994年に作ったこの映画は彼の長編デビュー作でとても面白かったです。スコットランドの都市グラスゴー。アレックス、デヴィッド、ジュリエットの3人は豪華なアパートに共同で住んでいた。彼らは4人目のルームメイトを募集してヒューゴという作家を選ぶが、彼は入居した次の日部屋で死体となって発見される。そして彼らはヒューゴの部屋から麻薬と大金を発見するのだが・・・・・。明るい仲良し3人組が大金を見つけ死体を処理してから、関係が変わっていき人格も変わっていくというストーリーです。脚本がよくできておりカメラ・ワークもカッコいいです。アレックスを演じるのはユアン・マクレガー(「ビッグ・フィッシュ」)です。彼はこの映画の後再びボイル監督と組んで「トレインスポッティング」に出演して大ブレイクしますね。プロットというよりは大金を前にして性格が変わっていく登場人物を中心に描いており、それがとても良かったです。人間、欲には勝てないですね。。。。。僕もそうですが。。。。。バイバイ
2008/06/21
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「21 Grams」の監督と脚本家が再びコンビを組んで作ったこの映画はとてもパワフルで感動しました。モロッコのある村。羊飼いをする家族が一丁のライフルを手に入れる。父親は2人の子供にライフルで羊を襲うジャッカルを撃つように命じる。ところがなかなか命中しないので兄弟は退屈になり道路を走る車を撃ち始める。そして弟があるバスに向けて発砲するとその弾は乗客のアメリカ人女性に命中してしまった・・・・・。モロッコ、メキシコ、東京が舞台になっており、それぞれの場所でのドラマが展開します。しかも全くばらばらの地域ですがストーリーはつながっています。モロッコ編ではアメリカ人夫婦をブラッド・ピット(「ファイト・クラブ」)とケイト・ブランシェットが演じています。ブラッド・ピットは渋いおっさんになっていました。しかも彼がまともに演技する映画は初めて見ました。とてもうまいです。顔だけじゃなくいい俳優だと思います。ケイト・ブランシェットもいいですね。この人もきれいですし演技うまいです。この2人が夫婦というのはちょっと濃いセレブ・カップルを想像しますが、映画の中ではとてもリアリティのある夫婦でした。メキシコ編ではガエル・ガルシア・ベルナル(「the Science of Sleep」)が出ています。悪くはありませんでしたが、特に印象に残りませんでした。東京編では役所広司(「THE 有頂天ホテル」)が出ています。役所広司は相変わらず役所広司でよかったです。(笑)ただこの東京編ではほとんど出番はなく主役は菊池凛子という若い女性です。彼女は耳の聞こえない女子高生役を演じましたがとてもよかったです。でも演技で言えばライフルをぶっ放して遊んでいたモロッコ人兄弟が一番よかったように思います。ほんとうにリアリティありました。それぞれの家族のストーリーが実は一つにつながっているという構成はアカデミー賞を取った「Crash」に通じるものがありますが、こっちの方が全然よかったです。来年は「Babel」にアカデミー賞を。。。。。ちなみにカンヌでは監督賞を取っています。納得の映画です。バイバイ
2006/11/18
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ジャック・オディアール監督(「真夜中のピアニスト」)が1994年に作ったこの映画は最初退屈だったんですが途中からなかなか面白くなってきました。刑事ミッキーは捜査中に何者かに撃たれ植物人間になってしまう。友人のセールスマン、シモンは彼の姿にショックを受け犯人を見つけるべく独自で捜査を始めるのだが・・・・・。犯人捜しをするシモンのストーリー、それから老賭博師マルクスと頭の弱い青年ジョニーのストーリーが並行して語られるフィルム・ノワールです。マルクスを演じるのはジャン・ルイ・トランティニャン(「モード家の一夜」)です。そしてジョニーを演じるのはマチュー・カソヴィッツ(「アメリ」)です。この2人の親子のような友達のような関係がとても面白かったです。最後はちょっと悲しい結末でしたが。。。。。これは最近の映画だと思っていたらケータイが出てこず登場人物は公衆電話を使ってたのでちょっと前の映画だと分かりましたが、94年の作品だったんですね。映画の中でケータイを使ってないと古さを感じる時代なんですね。バイバイ
2008/06/25
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ハリウッドのB級映画を作りつづけたサミュエル・フラー監督。彼はゴダール、トリュフォーなどヌーヴェル・ヴァーグの監督たちから高い評価を得ています。この映画は彼が1953年に作ったフィルム・ノワールです。スリのスキップはニューヨークの地下鉄でキャンディという女性のかばんから財布を盗む。ところがその財布には共産国に渡すための機密フィルムが入っていた・・・・・。共産国スパイが登場するなど当時の世相を反映した映画になっています。ストーリーは強引です。この強引さはゴダールの映画に通じる部分があります。ヌーヴェル・ヴァーグの作家たちがサミュエル・フラーを気に入ったのはこの強引なストーリー展開かもしれません。でも演出やカメラ・ワークはとてもいいです。けんかのアクション・シーンはとても迫力があります。スキップを演じるリチャード・ウィドマーク、キャンディを演じるジーン・ピーターズはなかなか良かったです。でも胡散臭いおばさん、モーを演じたテルマ・リッターがいいです。この人はヒッチコックの「裏窓」でも家政婦として登場しますが、庶民的で貧乏臭い感じがメチャメチャいい。最高です。(笑)「映画とは戦場のようなものだ。愛、憎しみ、アクション、暴力、死。ひとことで言えばエモーションだ」サミュエル・フラーは「気狂いピエロ」の中でそう語っています。ハリウッドにおいて自分の個性やスタイルを映像に表現した監督です。彼を評価するのも納得ですね。邦題の「拾った女」って。。。。。ノラ犬か?バイバイ
2006/08/23
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香港のアクション映画「インファナル・アフェア」をマーティン・スコセッシ監督(「アビエイター」「レイジング・ブル」)がリメイクした作品です。「インファナル・アフェア」が良かっただけにリメイクはどうかなと思ったんですが、さすがスコセッシ監督です。こっちもメチャメチャ面白かったです。ボストンが舞台です。アイルランド・マフィアのボス、フランクからかわいがられていたコリンはマサチューセッツ州警察の警察官になり情報をフランクに流していた。一方警察からはビリーがマフィアの一味に加わりフランクの情報を警察に流していたが・・・・・。リメイクなので当たり前ですがストーリーはほぼ同じでした。やっぱりオリジナルのストーリーがいいせいか、内容分かっていてもとても面白かったです。ビリーを演じるレオナルド・デカプリオ(「アビエイター」)、コリンを演じるマット・デイモン(「ボーン・スプレマシー」「Syriana」)の両方とも良かったです。2人ともカッコいいです。特にデカプリオはカッコよくなりましたね。「タイタニック」の頃より全然いいです。マフィアのボス、フランクを演じるジャック・ニコルソン(「さすらいの二人」)がまた良かったです。いっちゃってる狂気のボス役で彼にピッタリでした。他にマーティン・シーン(「地獄の黙示録」)、アレック・ボールドウィン、マーク・ウォルバーグなどちょっとしたオールスター出演の映画になっています。マーク・ウォルバーグは口の悪い上官役でなかなか面白かったです。マフィア映画を得意とするスコセッシらしく全体的に残酷で血だらけの作品に仕上がっています。しかもストーンズ・ファンらしく「Gimmie Shelter」が何回もバックで流れていました。後もう1曲ストーンズかかってましたね。タイトル忘れた。。。。。この映画の前にいくつかこれから上映される映画の予告編あったんですが、なんと「ロッキー」またやるんですね。スタローン懲りないです。ロッキーももう50過ぎでしょ?またまたリングに上がるみたいです。今年のクリスマス全米公開!どうなんでしょう、「ロッキー完結編」。。。。。「ロッキー」はどうでもいいですね。(笑)この映画良かったですよ。見てください。バイバイ
2006/10/29
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1990年にボストンにあるイザベラ・スチュアート・ガードナー美術館で絵画13点が盗まれる事件が起きた。その中にはフェルメールの「合奏」という高価な作品も含まれていました。この映画はニューヨークの絵画探偵ハロルド・スミスの捜査に同行しながら犯人を捜そうとするドキュメンタリーです。僕はフェルメールが好きなので退屈せず見れましたが、ドキュメンタリーとしてはそれほどデキが良くないので絵画ファンでなければつまらないかもしれません。ハロルド・スミスは70過ぎのおじいちゃん探偵です。絵画泥棒専門の探偵です。息子も絵画探偵として一緒に働いています。ハロルド・スミスは若い頃、軍にいて皮膚病になりました。それで軍で放射能治療を受けたら(実験されたら)余計ひどくなって顔のいたるところ包帯だらけです。彼は撮影終了まもなく皮膚病で亡くなっています。盗んだであろう犯人というか政治的組織を見つけるんですが、そこまでの過程がそれほどドラマチックではありません。なんか淡々と進んでいって解決されないまま終わっちゃった感じです。ハロルド・スミスの生涯にスポットを当てたドキュメンタリーのほうが良かったんじゃないか。フェルメールは中世オランダの画家で現存する作品は全部で30数点。そのうちの傑作が盗まれちゃいました。個人的には返却して欲しいですね。犯人さん、出てらっしゃい。(古いか。(笑))バイバイ
2010/01/08
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アラスカに生息する熊をおった男をおった?!ドキュメンタリーです。熊好きの男ティモシー・トレッドウェル。彼は毎年夏アラスカへ行き熊の生態をビデオにおさめていた。ところがアラスカを訪れて13回目の夏、彼と恋人のエイミーは熊に襲われて殺されてしまう・・・・・。ドイツの名監督ヴェルナー・ヘルツォークが彼の残した100時間以上におよぶビデオと関係者のインタビューを交えて作ったドキュメンタリー映画です。野生動物の好きなティモシーは熊のぬいぐるみを抱いて寝るぐらい特に熊が好きだったみたいです。ティモシーはなかなかぶっ飛んだキャラクターで面白かったです。関係者のインタビューによると熊になりたっかた男のようです。その彼が熊に近づくシーンはハラハラです。すごいです、この人。熊が怖くなかったみたいです。というより本当に熊好きで熊になりたかったのかなあと思えてきます。そして彼は2003年10月、熊の住むエリアの中にキャンプして生活しているところを襲われてしまいます。ティモシーは「熊に殺されるなら本望だ。オレは熊に襲われても絶対武器で抵抗はしない。」とビデオで語っています。ティモシーを襲った熊は彼の体を引きちぎって肉を食べていたそうです。自然は残酷です。でもティモシーは幸せだったんじゃないか、そんな印象を受ける映画でした。バイバイ
2007/01/23
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僕の敬愛する映画監督の一人ルイス・ブニュエル(「ブルジョワジーの密かな愉しみ」「ビリディアナ」)。この映画は彼がメキシコ時代の1950年に撮った作品でメチャメチャ良かったです。刑務所から脱走したスサナは嵐の中ある農場にたどり着く。スサナは悪い男に追われて逃げてきたのでかくまって欲しいと頼む。同情した農場のおかみさんはスサナをメイドとして住み込みで働かせることにする。しかしスサナは次の日から農場主、その息子、使用人を誘惑し始めるのだが・・・・・。ブニュエル版悪女映画と言ったところでしょうか。スサナが3人の男をたぶらかすので農場も農場主の家族もメチャメチャになっていきます。スサナを演じる女優はきれいで色気がありこの役にぴったりでした。「欲望のあいまいな対象」の男もそうでしたが、この映画に出てくる男もマヌケです。男の性を見せられた気がします。ブニュエルにとってはまだ初期の作品なので当時のハリウッド映画を思わせるカメラ・ワークと音楽、そして強引なハッピーエンド。セリフが英語ならハリウッドのB級映画と間違えそうですね。でもストーリーや演出にはブニュエルらしさが出ています。何でタイトルが「スサーナ」と伸ばしてあるのか?「スサナ」だと思うんですが。。。。。どうでもいいですね。(笑)バイバイ
2008/03/13
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