ドラマ編

ドラマ編

 時にはじっくりと読書に没頭したいものです。




*秋のホテル  ブルックナー著


 決して幸せではない人々がひっそりと身を寄せるスイスのとあるホテル。英国で大ベストセラーとなった、孤独な女性の心理をじっくりと描いた作品。

*嵐が丘  エミリ・ブロンテ著


 全編を通じてさびしい風が吹き抜ける作品。読むたびに泣ける場所が変わってくるのが我ながら面白いと思う。

*イギリス人の患者  オンダーチェ著


 第2次大戦も終わりに近づいたイタリアはトスカーナの廃墟となった屋敷で、人種も年齢も職業も異なる4人の男女が出会う。戦争の悲惨さ、友情だけでは超えられないもの、それぞれの価値観や人生を描きながら、全てが夢の中の出来事のように語られる不思議な雰囲気の作品。英国ブッカー賞受賞。

*勇魚(いさな)  C.W.ニコル著


 300年近くも続いた徳川の治める時代に、ついに終わりがやってくる。幕末の日本を舞台に、一人の捕鯨村出身の青年とその家族たち、開国をめぐって争い続ける武士たち、憧れや貿易を求めてやってくる外国人などを巧みに描いた傑作。

*海の上のピアニスト  アレッサンドロ・バリッコ著


 シナリオと普通小説との中間のようなスタイルで書かれた本。つかみどころのない雰囲気のストーリーだが、不思議と読後感があとを引く。映画はほとんど原作に忠実だったが、ほんの少しアメリカン・テイストが入っていてなかなかよかった。

*ジェーん・エア  シャーロット・ブロンテ著


 前半は面白く読めたが、後半で主人公に好感が持てなかったのには参った。これも好みの問題かもしれないが、何年か前の一番新しい映画ではすんなり受け入れられた。

*車輪の下  ヘルマン・ヘッセ著


 将来を期待されすぎたあまり、純真な心と才能を持った少年が次第に追い詰められていく…。読んだあとに怒りがこみ上げた。

*中間航路  チャールズ・ジョンソン著


 奴隷から開放された黒人青年カルフーンは、新たな束縛から逃れるためにニュー・オリンズから出港する船に潜り込む。だがその船はアフリカで奴隷を仕入れてくる密輸船だった…。船上で繰り広げられる様々なドラマが描かれているが、これまでも何度となく繰り返されてきた歴史の縮図を見るようである。

パディ・クラーク ははは  ロディ・ドイル著


 英国ブッカー賞受賞。アイルランドのごく普通の家庭が次第に崩壊していく様を、少年の目から捕らえたユーモラスでいたましい作品。

*プロヴァンスの秘密  エヴラール著


 幻の自家製ワインをめぐるサスペンス仕立ての小説。家族愛やストーリー展開の面白さが魅力であり、特に驚くような「秘密」ではないのでこのタイトルはどうかと思う。原題通り「オリーヴの城(ワインの名前)」でよかったのでは?

*モンテ・クリスト伯  デュマ著


 幸福な未来を約束されていたはずの若きエドモン・ダンテスは、陰謀によって無実の罪で投獄される。絶望から這い上がりパリに舞い戻ってきた彼の復讐劇をドラマティックに描く、あまりにも有名なデュマの唯一とも言われる現代劇。全て内容を忘れ去ってから、もう1度読んで驚き楽しみたい。

*リターンズ  バーバラ・ブラッドフォード著


 3度の結婚を経て、やっと「愛」について考え始める男の半生を描く。ロマンス小説に毛が生えたような感じだが、第2次大戦のくだりなどはなかなか緊張感もある。

*リトル・トリー  フォレスト・カーター著


 両親の亡き後、インディアンの祖父母に引き取られた少年の物語。本の紹介には「静かな感動を呼ぶ}と書かれていたが、静かどころか号泣してしまった。人間の優しさや思いやり、自然と共存することの素晴らしさと大切さが嵐のような感動を起こさせる。

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