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10月21日午後7時から東京琉球館で「ウクライナ東部がロシア領になった後の世界」というテーマで話します。予約受付は10月1日午前9時からとのことですので、興味のある方は下記まで連絡してください。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8電話:03-5974-1333https://dotouch.cocolog-nifty.com/ ドンバス(ドネツクやルガンスク)、ザポリージャ、ヘルソンで9月23日から27日にかけてロシアと一体になることの是非を問う住民投票が実施され、賛成に投票した人は投票総数のうちドネツクで99%、ルガンスクで98%、ザポリージャで93%、ヘルソンで87%に達したと発表されています。 ウクライナの東部や南部はロシア革命後、ロシアからウクライナへ一方的に併合された地域で、住民の大半はロシア語を話すというだけでなく、文化的にも宗教的にもロシアに近いことが知られています。ソ連が消滅する直前の1991年8月にウクライナは独立を宣言しましたが、東部や南部の住民はウクライナからの独立を求めました。 この願いは受け入れられず、2014年2月を迎えます。当時のアメリカ大統領バラク・オバマはNATOの訓練を受けていたネオ・ナチを使い、ロシアとの友好的な関係を望んでいたビクトル・ヤヌコビッチ政権を暴力的に倒しました。そこでキエフに出現したクーデター体制が現在のウォロディミル・ゼレンスキー政権に続きます。 このクーデターを東部や南部の住民は拒否、クーデターから間もない3月16日にクリミアではロシアへの加盟の是非を問う住民投票が実施されました。投票率は80%を超え、95%以上が賛成しています。この段階でキエフの状況を住民は知っていました。 南部の重要な港湾都市であるオデッサでも住民が反クーデターの活動を始めましたが、5月2日にネオ・ナチを中心とする集団がそうした住民を虐殺しています。 その日、オデッサではサッカーの試合が予定されていて、フーリガンを含むファンが列車で到着、街に出ます。フーリンガンの中にはナチズムの信奉者もいましたが、その一団をネオ・ナチの中核組織である「右派セクター」が挑発、フーリガンを反クーデター派の住民が活動の拠点にしていた広場へと誘導していき、住民を会館の中へと誘導します。 その中で、つまり外部から見えない場所で虐殺を行われました。西側のメディアは50名弱の住民が殺されたと伝えましたが、現場にいた住民の話によると、虐殺は地下室を中心に行われ、犠牲者の数は120名から130名に達し、遺体は運び去られたといいます。 オデッサの虐殺にはクーデターに批判的な住民に対する見せしめという意味もあったでしょうが、それでもドネツクとルガンスクでは2014年5月11日に住民投票が実施されました。ドネツクは自治を、またルガンスクは独立の是非が問われ、ドネツクでは89%が自治に賛成、ルガンスクでは96%が独立に賛成しています。 この結果を受け、両地域の住民はロシア政府の支援を求めましたが、ロシア政府は動きません。そして戦闘が始まり、アメリカ/NATOは兵器を提供し、戦闘員を訓練、さらに特殊部隊や傭兵会社の戦闘員を送り込みます。その一方で内務省に親衛隊を組織しました。 親衛隊の中核になった「アゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)」は2014年3月に右派セクターが中心になって組織されています。このアゾフが拠点にしていた都市がドネツク州のマリウポリで、今年4月、ロシア軍によって解放されるまでアゾフに支配され、塗炭の苦しみを経験させられることになりました。この都市だけでなく、キエフ政権が送り込んだ武装勢力に占領されていた地域は同じ状況で、占領されていない場所でもアメリカ/NATOが供給する兵器によって住民は殺されてきたのです。今回の住民投票にはその結果が現れています。 今後、ドンバス、ザポリージャ、ヘルソンをロシアは自国領をみなすことになるでしょう。アメリカやその属国が承認するかどうかは関係がありません。友好国への攻撃とは違い、ロシア領への攻撃には厳しく対応するはずです。アメリカ領への攻撃もありうるでしょう。 ジョー・バイデン政権は誕生した直後に「ルビコン」を渡りましたが、ウラジミル・プーチン政権は話し合いでの解決を模索してきました。ここにきてプーチン政権は話し合いが無理だと認識したようで、軍事力だけでなくあらゆる手段を使った戦争での勝利を目指すことになる可能性が高いでしょう。 そのロシアは中国と戦略的な同盟関係にありますが、この2カ国の周りに世界の国々が集まり始めています。その中にはイランやシリアだけでなく、インド、サウジアラビア、バーレーン、カタール、中央アジア、東南アジア、アフリカ、ラテン・アメリカも含まれています。世界はロシアと中国が勝利すると分析、日米欧は孤立しているとも言えるでしょう。 世界の情勢を見ながら、こうしたことについて考えてみたいと思います。櫻井春彦
2022.09.30

ロシアからEUへ天然ガスを運ぶために建設されたふたつのパイプライン、「ノード・ストリーム1(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」から天然ガスが流出していることが9月26日と27日に判明した。 流出している場所は3カ所だと見られ、いずれもボーンホルム島の近くだ。NATOが今年6月5日から17日にかけて7000名規模の軍事演習をバルト海で実施、艦船45隻、航空機75機が参加した。ボーンホルム島の近くで無人の潜航艇による機雷探索技術の実験も行われている。 天然ガスが漏れ始めた頃、その海域にアメリカ海軍の強襲揚陸艦「キアサージ」を中心とする船団がいたことは既に本ブログでも書いた。その船団は27日、そこから北海へ向かっている。 その27日、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の顧問を務めているミハイロ・ポドリャクは「ロシアの計画に基づいてテロリストが実行した」とツイッターに書き込んだ。 それに対し、ポーランドで国防大臣や外務大臣を務めたラデク・シコルスキーは「ありがとう、アメリカ」と書き込んでいる。シコルスキーはその後、ノードストリームの破壊はプーチンの策略の余地を狭めるとも書き込んだ。ロシアにとって、再稼働できることはEUへプレッシャーをかける上で重要だということをシコルスキーは理解している。つまり、ミハイロ・ポドリャクの主張はナンセンスだということになるわけだ。 NS1とNS2を止めたがっていたのはアメリカ政府。今年1月にはビクトリア・ヌランド国務次官が、2月にはジョー・バイデン大統領がパイプラインを止める意思を示している。
2022.09.29
ロシアからEUへ天然ガスを運ぶ目的で建設されたふたつのパイプライン、「ノード・ストリーム1(NS1)」と「ノード・ストリーム2(NS2)」は現在、アメリカ政府の命令で稼働していない。そのパイプラインから9月26日夜、天然ガスが流出しはじめたようだ。 流出箇所はボーンホルム島の近くだが、その近く(NS1から約30キロメートル、NS2から約50キロメートル)にアメリカ海軍の強襲揚陸艦「キアサージ」を中心とする船団がいたことがわかっている。その船団は27日、そこから北海へ向かった。 その27日、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の顧問を務めているミハイロ・ポドリャクは「ロシアの計画に基づいてテロリストが実行した」とツイッターに書き込んでいるが、ロシアはパイプラインを破壊するまでもなく、バルブを閉めれば天然ガスを止められる。しかも、例によって証拠、根拠は示していない。「我々を信じろ」という態度だ。 実は、今年1月から2月にかけての時期、アメリカ政府はパイプラインを管理する手段がないはずであるにも関わらず、NS2を稼働できなくさせると主張していた。そのひとりはビクトリア・ヌランド国務次官であり、もうひとりはジョー・バイデン大統領である。爆破事件後、こうした発言が注目されているが、当然だろう。 バイデンが副大統領だったバラク・オバマ政権は2014年2月、ネオ・ナチを使った事実上の軍事クーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。目的のひとつはロシアと関係を修復しようとしていた政権を破壊して新自由主義路線へ戻すことにあり、もうひとつはウクライナをアメリカ/NATOの属国にしてロシアを攻撃する準備を整えることにあったはずだ。そして第3に、ロシアとEUを結びつけているパイプラインを押えて両者を分断することだ。 しかし、クーデターの時点でウクライナを迂回するルートが存在していた。2011年11月に開通したNS1だ。それと同時にNS2の建設が始まり、2021年9月に完成したのだが、アメリアの妨害で始動させられなかった。そうした中、ロシア軍がウクライナで軍事作戦を始め、EUはNS2の始動を断念した。 それでもNS1は稼働していたが、アメリカ政府のロシアに対する「制裁」で修理のために取り外していたコンプレッサーの装置をシーメンスは戻せなくなっていた。アメリカ政府はNS1とNS2を含むロシアとEUを結ぶパイプラインを止めたがっていたが、ロシアは再稼働できることがEUへのプレッシャーになる。ミハイロ・ポドリャクの主張はナンセンスであり、「語るに落ちた」とも言えるだろう。 ロシア革命後にロシアからウクライナへ一方的に併合され、住民の多くがロシア語を話すドンバス(ドネツクやルガンスク)、ヘルソン、ザポリージャで9月23日から27日にかけてロシアと一体になることを問う住民投票が実施された。圧倒的多数がロシアとの一体化に賛成しているようようだ。またEUではエリートがアメリカやイギリスの私的権力の命令に従い、社会を破壊して庶民を苦しめている。その怒りは爆発寸前。欧米支配層は何かを仕掛けなければならない状況に陥っている。
2022.09.28

安倍晋三元首相の「国葬」が9月27日に東京の日本武道館で行われた。法的な根拠がないうえ、「統一教会(世界平和統一家庭連合)」との関係が問題になっている人物の葬儀を国儀式として国費で行うことに問題があることは言うまでもないが、そうした暴挙に集まった人は少なくないようだ。 統一教会は1954年、韓国で文鮮明によって創設されたが、その際に韓国軍の将校4名が教団の幹部として参加して重要な役割を果たしている。そのひとりが朴普煕。この4将校と緊密な関係にあった金鐘泌は陸軍情報局に所属していた軍人で、1961年5月に朴正煕が実行したクーデターに参加している。1962年10月に彼らはサンフランシスコで統一教会の幹部と秘密裏に会談、韓国における政治的な支援を教団側に約束したという。(Jeffrey M. Bale, “The Darkest Sides Of Politics, II,” Routledge, 2018) 韓国の情報機関はCIAの影響下にあり、そのアメリカの情報機関と統一教会は関係が深いと言えるだろう。この宗教団体で重要な役割を果たした朴普煕は1950年に士官学校へ入り、朝鮮戦争を経験しているが、その後、アメリカのフォート・デニングにある陸軍歩兵学校で訓練を受けている。 統一教会が創設された1954年に韓国で「APACL(アジア人民反共連盟、後にアジア太平洋反共連盟に改名)」も創設された。中心的な役割を果たしたのは台湾の蒋介石と韓国の李承晩。日本からは児玉誉士夫や笹川良一が参加、日本支部を設置する際には安倍晋三の祖父にあたる岸信介が推進役になったという。岸は中曽根康弘らと同じように、CIAと結びついていると言われている。 APACLは1966年、アメリカの情報機関を後ろ盾とする東ヨーロッパ出身の親ファシスト組織である「ABN(反ボルシェビキ国家連合)」と合体、WACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)になる。(Scott Anderson & Jon Lee Anderson, “Inside the League”, Dodd, Mead & Company, 1986) 当初、WACLはAPACL系の人脈を中心に動いたが、1970年代になるとCAL(ラテン・アメリカ反共同盟)が実権を握る。ラテン・アメリカは第2次世界大戦後にアメリカやローマ教皇庁の支援でナチスの幹部や協力者が逃げ込んだ場所だということもあり、ヨーロッパのナチス人脈との結びつきが強く、中でもイタリアの反コミュニスト人脈との関係は深い。必然的に、そうした人脈を利用してアメリカやイギリスの情報機関が編成した「NATOの秘密部隊」ともつながる。 中央アメリカのニカラグアでは1979年7月にサンディニスタがアメリカの巨大資本を後ろ盾とし、シオニストと関係がソモサ家を武力で倒した。「ニカラグア革命」だが、すぐにCIAはこの革命政権を倒すために秘密工作を開始、ソモサ体制の軍人を集めて「コントラ」を編成し、反革命戦争を始めた。その際、CIAは資金を調達するためにコカイン取引を利用する。 1980年7月にはボリビアでルイス・ガルシア・メサのクーデターがあった。大物麻薬業者6人と軍人が手を組んで実行したことから「コカイン・クーデター」とも呼ばれている。 計画の立案者は元ゲシュタポ幹部で「リヨンの屠殺人」とも呼ばれたクラウス・バルビー。大戦中、バルビーはフランスのリヨンでゲシュタポを指揮、レジスタンスの英雄であるルネ・アルディを拷問死させている。 コカイン・クーデターがあった1980年、統一教会は南アメリカへ活動の範囲を広げ、ボリビアへの影響力を強める。文鮮明は側近の朴普煕を含むチームをボリビアへ派遣、クーデターで実権を握ったグループと協力関係に入る。クーデター政権はWACLのラテン・アメリカにおける組織であるCALと手を組んでいる。 その統一教会がラテン・アメリカで行っていたマネーロンダリングの拠点が銀行の秘密厳守が保証されていたウルグアイだったが、1996年に同国にある銀行の労働組合がそうした資金洗浄について内部告発している。 組合によると、例えば、統一教会は女性信者約4200名にひとり2万5000ドルをモンテビデオにある統一教会系銀行のバンコ・デ・クレディトへ預金させている。総額は約1億0500万ドルになるが、それがどこから来たのかは不明だ。 また、統一教会はジョージ・H・W・ブッシュへ「講演料」という形で多額の報酬を与えていたことでも知られている。ブッシュはジェラルド・フォード政権でCIA長官を務めたが、遅くともエール大学でCIAにリクルートされた可能性が高い。なお、ブッシュの父親はアレン・ダレスとウォール街仲間で、親しい。 統一教会を創設した文鮮明は2012年9月3日に死亡し、内部が分裂しているとする話が伝えられている。 WACLがターゲットにしていたソ連は1991年12月に消滅、ネオコン(シオニストの一派)はその直後に世界制覇プロジェクトを作成した。ネオコンが支配していた国防総省で作成された「DPG草案」である。 このドクトリンは旧ソ連圏の復活を阻止するだけでなく、潜在的ライバルの中国やEUを潰し、覇権の基盤になるエネルギー資源を支配しようとした。つまり中東もターゲットに含まれる。 ネオコンは手始めにユーゴスラビアの解体に取り掛かった。ビル・クリントン大統領は1997年に国務長官を好戦派のマデリーン・オルブライトに交代、98年4月にアメリカ上院はNATOの拡大を承認、その年の秋にオルブライトはユーゴスラビア空爆を支持すると表明。そして1999年3月にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃した。 ソ連が消滅した直後からアメリカの支配層は日本も自分たちの戦争マシーンに組み込もうとする。国連中心主義を主張していた細川護熙を1994年4月に倒し、95年2月にジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表している。10万人規模の駐留アメリカ軍を維持するだけでなく、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限は緩和/撤廃されることが謳われていた。その背後で動いていたのはマイケル・グリーンとパトリック・クローニン、そしてカート・キャンベルだ。 1996年4月に橋本龍太郎首相とウォルター・モンデール駐日米大使は沖縄県宜野湾市にある普天間基地の返還で合意したと発表、同県の名護市辺野古に新基地を建設することになる。 ナイ・レポートは日本をアメリカの戦争マシーンへ組み込む道筋を示しているが、日本側は抵抗したようだ。そうした中、人びとを不安にさせるような出来事が相次ぐ。 例えば1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月20日には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布され(地下鉄サリン事件)ている。1994年7月に警察庁長官は城内康光から國松孝次へ交代したが、その國松は95年3月30日に狙撃された。一時、かなり危険な状態に陥ったと言われている。 そして1995年8月27日付けのスターズ・アンド・ストライプ紙は1985年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事を掲載する。この旅客機が墜ちる前、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づく記事で、自衛隊の責任を示唆している。 1996年4月に橋本龍太郎首相はビル・クリントン大統領と会談、「日米安保共同宣言」が出された。これによって安保の目的が「極東における国際の平和及び安全」から「アジア太平洋地域の平和と安全」に拡大、1978年11月の「日米防衛協力の指針(旧ガイドライン)」も見直されることになった。 ナイ・レポートは1997年に「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」という形でまとめられ、「日本周辺地域における事態」で補給、輸送、警備、あるいは民間空港や港湾の米軍使用などを日本は担うことになった。そしてNATOによるユーゴスラビアへの空爆があった99年に「周辺事態法」が成立する。 周辺事態とは、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」を意味し、「周辺」は「地理的なものではない」という。当時の防衛庁長官、野呂田芳成の国会における答弁によると、アメリカの判断を日本政府がノーと言うことは「実態上はないと思います」。こうした視点から台湾をめぐる軍事的な緊張を考えなければならない。 アメリカ政府の政策でEUは崩壊の瀬戸際にある。最大の原因はエネルギー資源をロシアから購入するなとジョー・バイデン政権が命じたからだ。中国の場合、中東から石油を運ぶルートはインド洋からマラッカ海峡を通り抜け、南シナ海と東シナ海を通過する。アメリカ軍によって海路を断たれる可能性がある。中国がミャンマーにパイプラインを建設し、ロシアとの関係を強化している理由のひとつはそこにある。 2015年6月、総理大臣だった安倍晋三は赤坂の「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で興味深い話をしたという。「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道されている。安倍政権下、着々と対中国戦争の準備が進められていたのだ。 その前に日本は中国との関係を悪化させる政策を打ち出している。2010年6月に発足した菅直人内閣は閣議決定した尖閣諸島に関する質問主意書の中で「解決すべき領有権の問題は存在しない」と主張、1972年9月に日中共同声明の調印を実現するために田中角栄と周恩来が合意した「棚上げ」を壊したのである。 この合意で日中両国は日本の実効支配を認め、中国は実力で実効支配の変更を求めないことを決めていたわけで、日本にとって有利。それを壊した理由は日本と中国との関係を悪化させることにあったとしか考えられない。 そして同年9月、海上保安庁は尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を取り締まり、漁船の船長を逮捕した。棚上げ合意を尊重すればできない行為だ。その時に国土交通大臣だった前原誠司はその月のうちに外務大臣になり、10月には衆議院安全保障委員会で「棚上げ論について中国と合意したという事実はございません」と答えているが、これは事実に反している。 安倍が南シナ海について口にした翌年の5月から蔡英文が台湾の総督を務めている。彼女はアメリカの力を借りて「独立」を実現しようと考えたようだが、アメリカは台湾を中国制圧の道具にしようとする。 そうした中、自衛隊も対中国戦争の準備を始めている。2016年に自衛隊は与那国島に施設を建設、19年には奄美大島と宮古島に作り、そして23年には石垣島でも完成させる予定だ。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が今年出したレポートによると、こうした施設の建設はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するとアメリカは計画しているのだが、インド太平洋地域でそうしたミサイルの配備を容認する国は日本以外にないとRANDコーポレーションは考えている。 その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備に協力するという形にするしかない。そのASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画のようだ。 読売新聞によると、日本政府は射程距離が1000キロメートル程度のミサイルを開発、艦艇、戦闘機、そして地上から発射できるようにするのだという。地上発射の改良型は2024年度、つまり石垣島で施設が完成した翌年度にも配備する方針だとしている。 台湾をめぐり、アメリカと中国が戦争を始める可能性は小さくない。ネオコンの無謀な計画のため、アメリカは経済的にも軍事的にも苦境に陥っている。「ルビコン」を渡った以上、勝利できなければ破滅だ。核戦争で脅せばロシアも中国も屈服するとネオコンは考えていたのだろうが、屈服しない。日本の警察当局もそうした事態を想定している可能性があるが、安倍の「国葬」はCOVID-19騒動と同じように戒厳令の予行演習になったことだろう。
2022.09.28
アメリカ政府はイランで「カラー革命」を目論んでいるのではないかという噂が流れている。クルド系女性が警察署で死亡した出来事が切っ掛けになり、テヘランなどで反体制派が暴力的な抗議活動を開始、警官隊と衝突しているが、その背後でそうした計画が進められているのではないかというのだ。イラン警察は病死だとしている。 現在、イラクにあるPKK(クルディスタン労働者党)の基地へ大量の兵器が運び込まれ、イランのクルドへ供給されると言われている。そうした兵器がどこから来るのか不明だが、アメリカ/NATOがウクライナへ大量に供給している兵器の約7割が闇市場へ流れていると言われているので、そこから流れている可能性は否定できない。 ところで、イラクを拠点とするクルドはバルザニ家に率いられてきたが、その家の人間であるムスタファ・バルザニは1960年代の後半からイスラエルの情報機関モサドのオフィサーだったと言われ、その息子であるマスード・バルザニもイスラエルの影響下にあるという。 イランの現体制は1979年のイスラム革命から始まる。ムハマド・レザー・パーレビ国王が王妃と国外へ脱出、2月にフランスからアヤトラ・ルーホッラー・ホメイニが帰国したのだ。 そして1979年11月、「ホメイニ師の路線に従うモスレム学生団」を名乗るグループがテヘランのアメリカ大使館を占拠、大使館内の機密文書を手に入れる一方、館員など52名を人質にとった。人質の多くはアメリカの情報機関員だと見られている。 アメリカでは1980年に大統領選挙が予定されていた。人質が解放されるかどうかは選挙の結果に影響する可能性がある。もし投票の前に人質が解放されたなら、現職のジミー・カーターにとって追い風になったはずだ。ジャーナリストのロバート・パリーらの調査によって、共和党がイスラエルのリクードと手を組み、人質の解放を選挙後へ遅らせる秘密工作を行ったことが判明している。この工作は成功し、人質が解放されたのはロナルド・レーガンが大統領に就任した1981年1月20日だ。共和党やリクードは人質の解放を遅らせる代償として兵器の供与をイランに約束していた。イランから受け取った代金の一部はニカラグアの反革命勢力「コントラ」へ渡っている。なお、アメリカの情報機関CIAはコントラを支援するためにコカイン密輸でも資金を調達していた。 カーター大統領の安全保障補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキーはアフガニスタンへサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団をアフガニスタンへ傭兵として送り込み、ソ連軍を戦争へ引きずり込む秘密工作を進めていた。これをレーガン政権は引き継ぐ。アフガニスタンの秘密工作でCIAはヘロインの密輸で資金を調達している。つまり、イスラム革命からしばらくの間、アメリカ、イスラエル、イランは手を組んでいた。 1989年8月から97年8月まで大統領を務めたハシェミ・ラフサンジャニの時代に「経済改革」が実行され、新自由主義が導入された。日米欧の巨大資本がカネ儲けしやすいように国のシステムを作り替え、新たな経済エリート、いわばオリガルヒを生み出している。その間、在外イラン人事業家へ「帰国」を呼びかけていた。その一方、庶民は貧困化する。 そうした利権集団と戦ったのが2005年から13年にかけて大統領を務めたマフムード・アフマディネジャドだ。まず欧米の金融資本と結びついたパールシヤーン銀行にメスを入れようとしたものの、成功しなかった。イランの経済部門は欧米の巨大資本と手を組んだ「第5列」に支配されていたことが大きい。経済部門を支配する利権集団は不動産への投機を開始、バブルが発生する。そして2008年、リーマン・ショックと連動する形でバブルは破裂した。 2013年の大統領選挙でアメリカ政府はラフサンジャニ人脈を勝たせることに成功した。ネオコンのエリオット・エイブラムズとも親しい関係にあると言われていたハサン・ロウハーニだが、そのロウハーニもラフサンジャニのような政策を実行することはできなかった。 そして現在、イランは中国やロシアとの関係を強め、SCO(上海合作組織)への加盟手続を進めている。中東で「親米国」と考えられてきたサウジアラビア、バーレーン、カタールもSCOへの加盟を申請している。コントロールできなくなると体制を破壊して「石器時代」にするのがアメリカの手口であり、それをイランで目論んでいる可能性はあるだろう。
2022.09.27
9月25日にイタリアでは総選挙の投票が行われているが、欧米支配層にとって好ましくない結果が出そうな雲行きになっている。そこで欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は投票日の直前、「我々には道具がある」と発言し、注目された。自分たちにとって良くない結果が出たなら、その「道具」を使い、「好ましい方向」へ軌道修正させるということだが、これは内政干渉にほかならない。選挙が欧米支配層にとって好ましくない結果になりそうな原因はアメリカやイギリスの支配層が推進している対ロシア戦争にある。 1991年12月にソ連が消滅した直後、アメリカの国防総省を支配していたネオコンは「DPG草案(通称、ウォルフォウィッツ・ドクトリン)」という形で世界制覇プロジェクトを作成した。アメリカが唯一の超大国になったという認識から他国に配慮することなく単独で行動できる時代になったと考え、潜在的なライバルを潰し、自分たちへの従属度が低い政権や体制を破壊し、エネルギー資源を支配しようというのである。 そのプロジェクトに従ってネオコン系シンクタンクPNACは「アメリカ国防の再構築」を作成して2000年に発表、その報告書に基づいてジョージ・W・ブッシュ政権は政策を策定。そして2001年9月11日、その政策を打ち出す上で好都合な出来事が引き起こされた。 世界制覇まであと一歩だとネオコンは考えたかもしれないが、そうした展開にはならなかった。21世紀に入るとウラジミル・プーチンを中心とする勢力がロシアを曲がりなりにも再独立させてしまい、ネオコンが描いた世界制覇プロジェクトは破綻したのだ。 しかし、ネオコンは軌道修正することなく世界制覇を実現しようともがく。そうした中、2004年から05年にかけてアメリカの私的権力はウクライナで「オレンジ革命」を仕掛け、ウクライナの東部地方と南部地方を地盤とし、ロシアとの関係が深いビクトル・ヤヌコビッチを排除した。 そして大統領の座に据えたのが新自由主義者のビクトル・ユシチェンコだが、ユシチェンコの政策で国の富は欧米の巨大資本へ流れて行き、その手先になった一握りのウクライナ人が「オリガルヒ」と呼ばれる富豪を生む。大多数の庶民は貧困化した。 そこで有権者は2010年の大統領選挙ではヤヌコビッチを選ぶのだが、これを西側の支配層は認めない。そこで2013年11月から14年2月にかけての時期にネオ・ナチを使ったクーデターを行い、再びヤヌコビッチを排除。そして作られたのが現在の体制だが、ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の住民はクーデターを拒否。ドンバス(ドネツクやルガンスク)の住民は武装蜂起し、内戦が始まった。 2014年からもアメリカ/NATOはクーデター体制を支援、内戦を後押しするだけでなく、軍事力を増強させてドンバスを粉砕する準備を進めてきた。今年3月に総攻撃をかける計画だったとも言われているのだが、その直前にロシア軍が動き、西側の計算は狂った。 イタリアの総選挙で欧米支配層にとって好ましくない結果が出そうな雲行きになった最大の原因は、欧米支配層が始めた「経済制裁」によってEU諸国はエネルギー危機に陥り、経済が破綻寸前になり、庶民が苦境に陥ったからである。各国のエリートはジョー・バイデン政権の命令に従っているが、国民の怒りは爆発寸前である。 それに対し、ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相(同盟90/緑の党)は8月31日から9月2日にかけてプラハで開かれた「フォーラム2000」で、「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人びとを支援する」と発言したが、実際のところ、人びとを支援するのではなく、ロシアとの戦争を継続するということだ。 2014年のクーデターでネオコンはロシアとEUを潰そうとした可能性が高い。ロシアからEUというマーケットを奪い、EUからロシアというエネルギー資源の供給源を断つという計画だったようだが、この計算は狂った。ロシアは中国へ接近、エネルギー資源を必要としている中国もロシアとの関係を強めることになる。その頃、アメリカに対する不信感を中国も強めていた。 そして現在、ロシアと中国は「戦略的同盟国」になり、この2カ国を中心として多くの国が集まり始めている。9月15日から16日にかけてサマルカンドでSCO(上海合作組織)の首脳会議が開かれ、中国、ロシア、インド、パキスタンを含むメンバー8カ国のほか、ベラルーシ、イラン、トルコ、モンゴルなども参加した。イランは正式メンバーになる手続きが進んでいるほか、ベラルーシ、トルコも加盟に興味を示し、サウジアラビア、バーレーン、カタールも公式に加盟を申請している。 ジョー・バイデンは大統領に就任して間もない昨年3月、ABCの番組でジョージ・ステファノプロスのインタビューを受け、その中でロシアのウラジミル・プーチン大統領は「人殺し」かと聞かれて「その通り」と答えている。 その後、バイデン政権はロシアに対する経済戦争を展開、軍事的な挑発を続けた。ステファノプロスはビル・クリントン政権で広報担当大統領補佐官を務めた人物で、決してバイデンの敵ではない。バイデンが副大統領を務めたバラク・オバマ政権(2009年1月から17年1月)はロシアとの関係を悪化させ、それをバイデン政権は引き継いだと言えるだろうが、世界の国々はアメリカの敗北を予想しているようだ。
2022.09.26
日本の自由民主党が「世界平和統一家庭連合(統一教会)」に侵食されていると指摘され始めて久しい。「ズブズブの癒着」をマスコミも熟知していたはずだが、これまで大して問題にしてこなかったのである。安倍晋三元首相を銃撃したとされている山上徹也が犯行の動機として安倍と統一教会との関係を口にしたとはいうものの、自民党と統一教会との関係が突然、問題にされ始めたことに違和感を感じる。 統一教会は1954年に韓国で文鮮明が創設、日本では59年から伝道が開始された。1964年には久保木修己を初代会長にして宗教法人の認可を獲得、68年には「国際勝共連合」を設立している。 統一教会が創設される際、韓国軍の将校4名が教団の幹部として参加して重要な役割を果たした。そのひとりが朴普煕。1950年に士官学校へ入り、朝鮮戦争を経験してからアメリカのフォート・デニングにある陸軍歩兵学校で訓練を受けている。 統一教会の創設に関わった4将校は陸軍情報局に所属していた金鐘泌と緊密な関係にあり、1961年5月に朴正煕が実行したクーデターに参加した。1962年10月にはサンフランシスコで統一教会の幹部と秘密裏に会談、韓国における政治的な支援を教団側に約束したという。(Jeffrey M. Bale, “The Darkest Sides Of Politics, II,” Routledge, 2018) 統一教会が創設された1954年に韓国では「APACL(アジア人民反共連盟、後にアジア太平洋反共連盟に改名)」が創設されるが、その際に中心的な役割を果たしたのは台湾の蒋介石と韓国の李承晩。日本からは児玉誉士夫や笹川良一が参加、日本支部を設置する際には岸信介が推進役になったとされている。岸の孫が安倍晋三だ。 APACLは1966年、アメリカの情報機関を後ろ盾とする東ヨーロッパ出身の親ファシスト組織である「ABN(反ボルシェビキ国家連合)」と合体、WACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)になる。(Scott Anderson & Jon Lee Anderson, “Inside the League”, Dodd, Mead & Company, 1986) ポーランドやウクライナを含む東ヨーロッパに「神聖ローマ帝国」、あるいは「ポーランド・リトアニア連邦」を復活させたいと考える人びとがいる。そうした願望と「インテルマリウム」は重なる。この計画は2015年に「3SI(三海洋イニシアチブ)」として復活した。 インテルマリウムを1947年7月にABNは吸収、9月にはポーランドの反ロシア組織「プロメテウス同盟」も合流。その翌年に新装ABNはウクライナのステパン・バンデラ信奉者で組織されたOUN-Bで幹部を務めていたヤロスラフ・ステツコを中心として活動を開始する。その延長線上にウクライナのネオ・ナチは存在、現在のウクライナ情勢につながる。 当初、WACLはAPACL系の人脈を中心に動いたが、1970年代になるとCAL(ラテン・アメリカ反共同盟)が実権を握った。ラテン・アメリカは第2次世界大戦後にアメリカやローマ教皇庁の支援でナチスの幹部や協力者が逃げ込んだ場所だということもあり、ヨーロッパのナチス人脈との結びつきが強く、中でもイタリアの反コミュニスト人脈との関係は深い。必然的に、そうした人脈を利用してアメリカやイギリスの情報機関が編成した「NATOの秘密部隊」ともつながる。 中央アメリカのニカラグアでは1979年7月にサンディニスタがアメリカの巨大資本を後ろ盾とし、シオニストと関係がソモサ家を武力で倒した。「ニカラグア革命」だが、すぐにCIAはこの革命政権を倒すために秘密工作を開始、ソモサ体制の軍人を集めて「コントラ」を編成し、反革命戦争を始めた。その際、CIAは資金を調達するためにコカイン取引を利用する。ベトナム戦争でヘロインの取り引きで資金を調達した構造と基本的に同じだ。 そして1980年7月、ボリビアでルイス・ガルシア・メサのクーデターがあった。大物麻薬業者6人と軍人が手を組んで実行したことから「コカイン・クーデター」とも呼ばれている。計画の立案者は元ゲシュタポ幹部で「リヨンの屠殺人」とも呼ばれたクラウス・バルビー。大戦中、バルビーはフランスのリヨンでゲシュタポを指揮、レジスタンスの英雄であるルネ・アルディを拷問死させている。 ところで、ドイツ軍はソ連に対する攻撃に全兵力の4分の3以上を投入したが、ソ連軍の反撃に苦しむ。スターリングラードの戦いで1942年11月にドイツ軍25万人はソ連軍に完全包囲され、43年1月に生き残ったドイツの将兵9万1000名は降伏。ここからナチスとアレン・ダレスたちの接触が始まる。 ドイツ軍の敗走を見て慌てたイギリスは1943年5月にアメリカとワシントンDCで会談、7月に米英両軍はシチリア島に上陸した。ハスキー計画だ。9月にはイタリア本土を占領、イタリアは無条件降伏。ドイツ軍の主力は東部戦線で壊滅していたわけで、難しい作戦ではなかった。ハリウッド映画で有名になった「ノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)」は1944年6月だ。この段階で米英の支配層はソ連との戦争を始めている。大戦後の1948年に作成されたNSC20では、「結果として戦争を起こし、ソ連政府を打倒する」という方針が示されていた。 その1948年にアメリカの国務省はコミュニズムに反対する亡命者、つまりナチスの元幹部や元協力者の逃走を助け、保護し、雇い入れる「ブラッドストーン作戦」を始めた。このブラッドストーン作戦で助けられたひとりがバルビーにほかならない。(クリストファー・シンプソン著、松尾弌訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年) ボリビアのコカイン・クーデターは背後にラテン・アメリカの軍事政権やCIAが存在していたが、ガルシア・メサは軍の支持を失い、つまりアメリカやイタリアの情報機関から見捨てられ、1981年8月に辞任を強いられる。後ろ盾を失ったバルビーは1983年に逮捕され、フランスへ引き渡された。そこで終身刑の判決を受け、刑務所の中で1991年9月に癌で死亡している。 コカイン・クーデターがあった1980年、統一教会は南アメリカへ活動の範囲を広げ、ボリビアへの影響力を強める。文鮮明は側近の朴普煕を含むチームをボリビアへ派遣、クーデターで実権を握ったグループと協力関係に入る。クーデター政権はWACLのラテン・アメリカにおける組織であるCALと手を組んでいる。 その統一教会がラテン・アメリカで行っていたマネーロンダリングの拠点が銀行の秘密厳守が保証されていたウルグアイだったが、1996年に同国にある銀行の労働組合がそうした資金洗浄について内部告発している。組合によると、例えば、統一教会は女性信者約4200名にひとり2万5000ドルをモンテビデオにある統一教会系銀行のバンコ・デ・クレディトへ預金させている。総額は約1億0500万ドルになるが、それがどこから来たのかは不明だ。 こうしたことは1990年代の後半には知られていたが、日本で問題にされたという話は寡聞にして知らない。統一教会はジョージ・H・W・ブッシュへ「講演料」という形で多額の報酬を与えていたことでも知られている。ブッシュはジェラルド・フォード政権でCIA長官を務めたが、遅くともエール大学でCIAにリクルートされた可能性が高い。なお、ブッシュの父親はアレン・ダレスとウォール街仲間で、親しい。 これは日本の外で問題になった話の一端。「霊感商法」に焦点が当てられることはないと言えるだろう。こうした「宗教団体」を創設した文鮮明は2012年9月3日に死亡し、内部が分裂しているとする話が伝えられている。 マスコミがこうした宗教団体に人びとの目を向けさせている今、アメリカの戦争マシーンに組み込まれている日本は中国やロシアとの戦争に向かい、進んでいる。アメリアの支配層は沖縄を中国へミサイル攻撃する拠点として整備しつつあり、ロシアとの関係も悪化している。アメリカやイギリスを拠点とする私的権力は中国やロシアだけでなく、日本やEUも破壊しようとしていると言えるだろう。
2022.09.25

FDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は9月16日現在、前の週より136名増えて3万1071名に達した。VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%にすぎないと言われているので、この数字自体を議論しても仕方がないが、増え続けているという傾向は明確だ。 COVID-19騒動は中国の湖北省武漢でSARSに似た重篤な肺炎患者が見つかったところから始まったことを考えると、そうした症状を引き起こす何らかの病原体が存在しているとは言える。その病原体を確認できていない段階でWHO(世界保健機関)はそれを「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」と名付け、2020年3月11日にパンデミックを宣言した。 しかし、その病原体が世界に広がったとは思えない。重篤な肺炎患者が局所的に出現するものの、世界の街中にあふれるというような事態にはなっていないからだ。湖北省の場合でも、2020年2月から感染対策を指揮した中国軍の陳薇は2002年から中国で広まったSARSの経験に基づいて使用したインターフェロン・アルファ2bが2019年のケースでも有効で、早期に沈静化している。この事実は中国やキューバなどのメディアが伝えていた。 この医薬品はリンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できた。今回の件で中国の習近平国家主席はキューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたと伝えられている。 そのほか、駆虫薬として知られているイベルメクチンが有効だということはメキシコの保健省と社会保険庁が実際に使って確認、また抗マラリア薬のクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文が2005年8月22日にウイルス・ジャーナルというNIH(国立衛生研究所)の公式刊行物に掲載された。ヒドロキシクロロキンはクロロキン以上に安全で効果が期待できると言われている。 要するに、武漢で発見されたような患者でも有効な治療薬が複数存在しているのだが、それだけでなく「COVID-19騒動」を演出したPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の問題もある。 PCRは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する技術で、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎない。Ct値(増幅回数)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、しかも偽陽性の確率が増えていく。 偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されているが、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」では40だった。医学的には無意味であり、病気の診断に使うべきでないのだ。そうした主張をする研究者には、この技術を開発して1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスも含まれていた。 2021年1月20日にはWHOでさえPCR検査は診断の補助手段だと告知、感染の診断に「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」を使っていたCDCは21年7月21日、この診断パネルのEUA(緊急使用許可)をその年の12月31日に取り下げると発表した。SARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できないというからだとされている。 カリフォルニア大学、コーネル大学、スタンフォード大学を含む7大学の研究者は2021年5月1日、PCR検査で陽性になった1500サンプルを詳しく調べたところ、実際はインフルエンザウイルスだったと発表している。 COVID-19騒動が始まってからインフルエンザは消えたが、今年の冬はインフルエンザが流行するので「インフルエンザ・ワクチン」を接種するべきだと「専門家」は言い始めた。 「パンデミック」は医療利権の集団が終息を宣言するまで続き、宣言すれば終了すると言われていたが、WHOのテドロス・アダノム事務局長は「COVID-19パンデミック」の終息が視界に入ってきたと9月14日に表明、ジョー・バイデン米大統領は「パンデミック」が終息したと発言した。 アメリカのミズーリ州ではバイデン政権の高官がツイッター、メタ(フェイスブックの親会社)、ユーチューブ、インスタグラム、リンクトインと共謀して間違った情報や偽情報を広めた疑いがあると訴えられているが、担当判事はそうした企業と高官たちがやりとりした電子メールを提出するように命じた。その高官の中にはアンソニー・ファウチNIAID(国立アレルギー感染症研究所)所長も含まれている。ファウチは今年12月、NIAIDの所長という職を辞すという。
2022.09.24
ドンバス(ドネツクやルガンスク)のほか、ヘルソンやザポリージャで9月23日から27日にかけてロシアと一体になることを問う住民投票が実施される。そうした中、キエフのウォロディミル・ゼレンスキー政権(アメリカ/NATO)は戦闘部隊をハリコフ州の周辺へ集結させているようだが、大規模な攻勢を計画しているのではないかと推測する人もいる。犠牲を厭わずステップ(大草原)へ突入するのだろうか? ウクライナの東部や南部はソ連時代にロシアから編入された地域で、ロシア語を話す住民が多く、文化的にもロシアに近い。そこで1991年12月にソ連が消滅して以来、ロシアへの復帰の願う人が多かったようだが、その願いはこれまで叶わなかった。それが今回の住民投票で実現しそうだ。 1990年代にロシアは欧米の強大な私的権力に支配されたが、ウクライナも同じ状況だった。そうした従属体制をひっくり返しかけたのが2004年の大統領選挙。ビクトル・ヤヌコビッチが当選しそうになったのだが、それを西側はひっくり返すために反ヤヌコビッチの宣伝と運動を展開した。「オレンジ革命」である。結局、新自由主義者のビクトル・ユシチェンコが大統領に就任した。 しかし、ユシチェンコの新自由主義的な政策で国の富は欧米の巨大資本へ流れて行き、その手先になった一握りのウクライナ人が「オリガルヒ」と呼ばれる富豪になる一方、大多数の庶民は貧困化した。そこでウクライナの有権者は2010年の選挙でヤヌコビッチを大統領に選んだのだが、これは欧米、特に米英の私的権力は受け入れられない。 そこで、2013年11月から14年2月にかけてバラク・オバマ米大統領はネオ・ナチを使ったクーデターでヤヌコビッチ政権を倒す。東部や南部の住民は反発。いち早く動いたクリミアはロシアでは住民投票を経てロシアの保護下に入り、通常の生活を取り戻せたが、オデッサでは住民がネオ・ナチに虐殺され、ドンバスでは戦闘が続いている。 ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相に限らず、西側の政府や有力メディアはゼレンスキー政権を「自由と民主主義」の象徴に祭り上げ、その体制を勝利させるためにロシアと戦うと主張する。 しかし、キエフのクーデター体制は選挙で選ばれた政権をナチズムの影響を受けている集団を使ったクーデターで倒して成立、その後、ロシア語を話す住民を弾圧、ドンバスに住む人びとを殺害してきた。そして現在、ゼレンスキー政権は言論を統制、「国賊狩り」を展開しながら兵器や戦闘員の供給を受け、ロシア/ドンバス軍と戦っている。西側の政府や有力メディアが言うところの「自由と民主主義」とはこうした代物だ。 住民投票の結果が出た後、ロシア軍は本格的な戦闘を始める可能性がある。おそらく南部が中心になるだろうが、その前にアメリカ/NATOは攻勢を強めるかもしれない。
2022.09.24

キエフのウォロディミル・ゼレンスキー政権はあらゆる合意に違反、交渉で問題を解決する上の回帰不能点を超えているとロシア議会の外交委員会で委員長を務めるレアニード・スルツキーは語っているが、ジョー・バイデンは2021年1月、アメリカ大統領に就任した直後に「ルビコン」を渡っている。それでも話し合いによる解決を模索していたのがロシアのウラジミル・プーチン政権だ。 イギリスの私的権力が世界制覇を実現するためにロシアを制圧しようと考えたのは19世紀で、その計画をまとめたのがハルフォード・マッキンダー。1904年に「歴史における地理的要件」というタイトルでプランを発表している。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もマッキンダーの理論に基づく。今でも米英支配層の基本戦略だ。こうした米英の私的権力がゼレンスキーを操っている。 マッキンダーの戦略はイギリスの海軍力を生かし、ユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げていくというもの。戦略上、スエズ運河が重要な意味を持つことは言うまでもなく、サウジアラビアやイスラエルを建国させた。東端の日本で「明治維新」を仕掛けたのも、そうした戦略に基づいているはずだ。日本の軍事力や工業力を向上させ、大陸を侵略するように米英が焚きつけた理由もそこにある。 米英の私的権力はソ連が消滅した1991年12月に勝利を確信、ロシアを属国化して旧ソ連圏の解体を開始。その先には彼らが潜在的なライバルとみなすヨーロッパや東アジアへの攻撃、そしてエネルギー資源の支配に取り掛かった。アメリカの国防総省が1992年2月に作成した「DPG草案(通称、ウォルフォウィッツ・ドクトリン)」はそのための計画である。 そのドクトリンに基づいてネオコン系シンクタンクPNACは「アメリカ国防の再構築」を作成して2000年に発表。その報告書に基づいてジョージ・W・ブッシュ政権は政策を策定。その政策を打ち出す上で好都合な出来事が引き起こされたのは2001年9月11日である。 その出来事を利用してブッシュ政権はアフガニスタやイラクを先制攻撃し、バラク・オバマ政権が2010年8月に承認したPSD-11に基づいて「アラブの春」と呼ばれる体制転覆プロジェクトを始めたと言われている。そのプロジェクの一環として2011年春から攻撃されたのがリビアとシリアだ。そうした攻撃の傭兵としてムスリム同胞団やサラフィ主義者が使われたが、この手法はオバマの師匠にあたるズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代に始めている。 2004年から05年にかけてアメリカの私的権力はウクライナで政権を乗っ取る。「オレンジ革命」だ。ウクライナの東部地方と南部地方を地盤とし、ロシアとの関係が深いビクトル・ヤヌコビッチを排除して新自由主義者のビクトル・ユシチェンコを大統領の座に据えたのだ。 ユシチェンコの政策で国の富は欧米の巨大資本へ流れて行き、その手先になった一握りのウクライナ人が「オリガルヒ」と呼ばれる富豪を生む一方、大多数の庶民は貧困化した。 そうした現実を見たウクライナ国民は2010年の大統領選挙でヤヌコビッチを選ぶ。この段階になると合法を装うことが困難になり、事実上の軍事クーデターで政権を転覆させ、現在の体制を築いたのである。そのクーデター体制を拒否したドンバス(ドネツクやルガンスク)の住民は武装蜂起し、内戦が始まった。ゼレンスキーもクーデター体制の人間だ。 このクーデターは2013年11月から14年2月にかけて実行されたが、主力はNATOの訓練を受けたネオ・ナチのメンバーだった。そのネオ・ナチを操っていたのはアメリカのバラク・オバマ政権である。ヤヌコビッチ大統領は殺害されなかったものの、政権は倒された。 クーデターから間もない3月16日、クリミアではロシアへの加盟の是非を問う住民投票が実施されて95%以上が賛成。そのときの投票率は80%を超えている。オデッサでは反クーデター派の住民がネオ・ナチに虐殺され、ドネツクとルガンスクでは2014年5月11日に住民投票が実施されている。ドネツクは自治を、またルガンスクは独立の是非が問われた。 その結果、ドネツクでは89%が自治に賛成(投票率75%)、ルガンスクでは96%が独立に賛成(投票率75%)している。この結果を受けて両地域の住民はロシア政府の支援を求めたが、ロシア政府は動かなかった。そして戦闘が始まり、ドンバスの住民はクーデター軍からの攻撃で殺されるが、西側ではそうした現実が無視される。 2014年のクーデターはウクライナをEUやNATOの支配下に置くことが目的だったはずだが、ヒラリー・クリントンが2016年の大統領選挙でドナルド・トランプに負けてしまい、足踏みした。そこでCIA、FBI、司法省などがトランプ外しを画策、2020年の選挙ではオバマ政権で副大統領だったバイデンが当選、21年3月にはABCニュースのインタビューでロシアの大統領を人殺し呼ばわりした。ここからバイデン政権はロシアに対する経済戦争や軍事的な挑発を強めていく。 そして今年1月、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官やNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務局長はロシア政府のNATO拡大を止めろという要求を拒否し、ウクライナのNATO加盟に文句を言うなとする姿勢を示した。EUの外務安全保障政策上級代表を務めるジョセップ・ボレルも自分たちの行うことにロシアは口をはさむなと発言。ストルテンベルグはウクライナをめぐり、NATOはロシアとの軍事衝突に備えなけらばならないとも口にしている。 そして2月にクーデター政権の部隊によるドンバスへの攻撃が激しくなり、2月24日にロシア軍はウクライナでの軍事作戦を開始したわけだ。 イギリスの外務大臣だったリズ・トラスは2月27日、ロシア軍をウクライナで止められなければNATO軍と戦うことになる可能性があると発言、プーチン大統領は国防大臣と参謀総長に対し、核兵器部隊を特別戦闘任務につかせるように命令したと伝えられている。 そして9月13日、ウクライナのアンドリー・イェルマーク大統領府長官とNATOのアナス・ラスムセン前事務総長は「キエフ安全保障協定」の草案を発表する。ちなみに、イェルマークは映画プロデューサーで、2010年の大統領選挙ではアルセニー・ヤツェニュク陣営にいた人物。ヤツェニュクはビクトリア・ヌランドに目をかけられていた。 この協定案では軍需産業への投資、兵器輸送、同盟国からの情報活動の支援、徹底した軍事訓練、EUやNATOの一員として合同軍事演習に参加するといったことを勧告している。ウクライナを事実上、NATOの戦争マシーンに組み込むということであり、ロシアに対する宣戦布告に等しい内容だった。 米英は自分たちを特別の存在だと考えているのかもしれないが、ロシアも回帰不能点を超えた。本ブログでも何度か指摘したが、ロシア軍は森の木が葉を落とす季節、おそらく10月になってから新たな攻撃を開始すると見られていた。ステップ(大草原)が広がる北東部ハリコフ州からロシア軍が撤退したのはその準備だと言われている。プーチン大統領は部分的な動員(動員可能総数の1.2%)を実施すると9月21日に発表したが、これも準備の一環だろう。
2022.09.23

アメリカの下院議員19名が署名したジョー・バイデン大統領宛て書簡の冒頭、ジョー・バイデン大統領が計画している学生ローンの返済免除は有能な学生を軍人に雇う上でマイナス要因になると批判している。 バイデン大統領は8月24日、年収12万5000ドル未満の場合は1万ドル、低所得世帯の場合は2万ドルの返済を免除する計画を発表したが、それに対する批判だ。 かつてアメリカには徴兵制があった。建前上、全ての男子は軍隊に入る義務があったのだが、支配的な立場にある人びとは自分たちの子どもを戦場へ送り出さずに済む仕組みがあった。そのひとつが「シャンパン部隊」である。この部隊は戦場へ派遣されない。CCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)の「フォーチュネート・サン」はこうした部隊のことを歌っている曲である。 アメリカに限らないが、社会に出て収入の多い職業へ就くためには学歴、あるいは学校歴が重要な意味を持つ。そこで「アイビーリーグ」のような有力大学に入る必要があるのだが、そのためには高額の学費を払う財力とコネが必要である。 公立学校の荒廃が進んでいるアメリカでは、有力大学へ入学するために私立の進学校で学ぶ必要があるのだが、そこの学費も高額。学費を中産階級の家では負担できない。少しでもマシな学校へ子どもを通わせるためには不動産価格の高い地域に住む必要があるのだが、賃貸でも負担は重い。 ハーバード大学の教授から上院議員に転身したエリザベス・ワレンによると、破産に追い込まれるアメリカ人の多くは医療と不動産が原因だが、不動産の裏には教育の問題が存在している。 著名な作家であるトルーマン・カポーティは『叶えられた祈り』の中でウォール街で働いているディック・アンダーソンなる人物に次のようなことを言わせている:「二人の息子を金のかかるエクセター校に入れたらなんだってやらなきゃならん!」(トルーマン・カポーティ著、川本三郎訳、『叶えられた祈り』、新潮文庫)アメリカの中では高い給料を得ているはずのウォール街で働く人でも教育の負担は重いということである。 大学へ入れても授業料を支払うことが困難な学生は少なくない。少し前から話題になっているのは「シュガー・ベイビー」なるシステム。女子大学生(シュガー・ベイビー)と富裕な男性(シュガー・ダディー)を引き合わせ、「デート」のお膳立てをするというビジネス。売春の斡旋と見られても仕方がないだろう。現代版のクルチザンヌだと言う人もいる。 体を売らなければ大学へ通えないという状況はアメリカ以外の国でも問題になっている。例えば2012年11月にイギリスのインディペンデント紙は学費を稼ぐための「思慮深い交際」を紹介するビジネスの存在を明らかにした。 手取りはサービスの内容によって違い、年間5000ポンドから1万5000ポンド。17歳から24歳までの学生約1400名が在籍していると仲介業者は主張していたが、これは氷山の一角。事実上、売春の仲介をしているとして逮捕されたマーク・ランカスターなる人物はコンピュータ・コンサルタントで、国防省の仕事をする許可を受けているという。 ギリシャでは食費を稼ぐために女子学生が売春を強いられ、売春料金が大きく値下がりしていると伝えられたが、こうした傾向は各国に広がりつつある。 米英の後を追いかけている日本でも学費の負担が庶民に重くのし掛かり、低所得層の子どもは教育を受ける権利を奪われているのが実態。こうした状況を改善するためには法律面からの働きかけも必要になるが、そうした問題に取り組むような弁護士が出てきにくいシステムに変えられている。新人弁護士を借金まみれにすれば良い稼ぎの仕事をせざるをえない。カネを出せる人物や組織、つまり支配体制側の仕事をするしかなくなる。 日本では新自由主義の波が押し寄せてきた1970年代から学費が急速に上がり、「奨学金」という名の学生ローンで苦しんでいる人は少なくない。その一方、入試の多様化という名目で裏口入学が合法化されてきた。欧米と似た状況になっているようだ。兵隊を確保する下地は作られているとも言えるだろう。 新自由主義はウクライナ社会も破壊した。そのイデオロギーを導入させたのは欧米の支配層だ。それに対する反発をアメリカは2度にわたって潰している。 まず、2004年から05年にかけて行われた「オレンジ革命」。東部地方と南部地方を地盤とし、ロシアとの関係が深いビクトル・ヤヌコビッチを排除し、新自由主義者のビクトル・ユシチェンコが大統領の座を奪っている。ユシチェンコの政策で国の富は欧米の巨大資本へ流れて行き、その手先になった一握りのウクライナ人が「オリガルヒ」と呼ばれる富豪を生む一方、大多数の庶民は貧困化した。 そうした現実を見たウクライナ国民は2010年の大統領選挙でヤヌコビッチを選ぶ。この段階になると合法を装うことが困難になり、事実上の軍事クーデターで政権を転覆させ、現在の体制を築いたのである。ウォロディミル・ゼレンスキーもクーデター体制の人間だ。 このクーデターは2013年11月から14年2月にかけて実行されたが、主力はNATOの訓練を受けたネオ・ナチのメンバーだった。そのネオ・ナチを操っていたのはアメリカのバラク・オバマ政権である。ヤヌコビッチ大統領は殺害されなかったものの、政権は倒された。 学費の問題とウクライナにおける戦闘の根はつながっている。
2022.09.22
ウラジミル・プーチン露大統領は9月20日に予定していた演説を翌日に延期した。理由は不明だが、9月23日から27日にかけてドンバス(ドネツクやルガンスク)、ヘルソン、ザポリージャで実施される住民投票、あるいはウクライナにおける戦闘への関与を強めているNATOの問題が関係している可能性はある。 ウクライナでの戦闘は2014年2月にバラク・オバマ米大統領がネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したところから始まる。合法的な手段ではアメリカ政府の傀儡体制を作ることができなくなっていたため、事実上の軍事クーデターを実行したわけである。 中期的には1991年12月にソ連が消滅した直後からネオコンが始めた世界制覇プロジェクトが節目。このプロジェクトで最初に破壊されたのはユーゴスラビア。西側の有力メディアがプロパガンダで下地を作り、ひとつの国を解体していく。1999年3月にアメリカ/NATO軍はユーゴスラビアを先制攻撃した。その前年の4月にアメリカ上院はNATOの拡大を承認している。そして現在、ウクライナを制圧しようとしているわけだ。 その際にスロボダン・ミロシェヴィッチ大統領の自宅を破壊し、中国大使館を爆撃している。大使館を空爆したのはB2ステルス爆撃機で、目標を設定したのはCIA。アメリカ政府は「誤爆」だと弁明しているが、3機のミサイルが別々の方向から大使館の主要部分に直撃していることもあり、中国側は「計画的な爆撃」だと主張している。 この攻撃でもアメリカ大使館から指示が出ていたが、その中心にいたのは1996年から99年までユーゴスラビアでアメリカ外交団のトップだったリチャード・マイルズ。体制転覆の専門家と言われている人物だ。 長期的に見ると、アングロ・サクソンのロシア制圧戦略は19世紀に始まった。その戦略をまとめ、「歴史における地理的要件」というタイトルで発表したのが地理学者のハルフォード・マッキンダー。この戦略も現在でも生きているようで、ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もマッキンダーの理論に基づく。途中からアメリカが引き継いだと言うことができるだろう。 クーデター後のウクライナはネオ・ナチの影響下にあったが、その体制を拒否していたのはロシア語系住民に限らない。米英をはじめとする西側諸国がウクライナ内務省の中に親衛隊を組織したのは軍を信頼しきれなかったからだろう。アドルフ・ヒトラーと同じ心理状態だ。 早い段階にオバマ政権はCIAやFBIの専門家数十名を顧問としてウクライナへ送り込み、傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部に派遣されて作戦に参加した。2015年からCIAはウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練し始めたとも伝えられている。 また、今年2月以降、ウクライナではアメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)、イギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)、さらにポーランド軍やシリアのアル・タンフにあるアメリカ軍の基地で訓練を受けたダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)の兵士が戦闘に参加していると伝えられているが、それだけでなく、ウクライナでの戦闘に参加させる兵士がNATO諸国で訓練を受けている。そうした兵士は欧米が供給している高性能兵器を操作できる。 そうした兵器の中にはアメリカが供給したHIMARS(高機動ロケット砲システム)やイギリスが供給したM270-MLRS(M270多連装ロケットシステム)が含まれている。 キエフのウォロディミル・ゼレンスキー政権が要求している地対地ミサイルのATACMSはHIMARSやMLRSから発射でき、その射程は約300キロメートルあり、ロシア領内の重要なインフラを攻撃することができる。こうしたミサイルが供給されたなら、アメリカはロシアと軍事的な対決に引きずり込まれるとワシントン駐在のロシア大使は発言していた。このミサイルが供給されたのかどうか、注目している人がいる。追加:プーチン大統領は9月21日、部分的な動員を実施すると発表した。兵士の補充ということだろうが、NATOの動きを見据えて次のステージへ移行するということかもしれない。ロシア軍は冬に新たな攻撃を開始すると言われていた。バイデン政権としては11月の中間選挙前に何かを仕掛ける必要に迫られている。またEUは冬を越せるかどうかが問題になっている。
2022.09.21

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領がウクライナ北東部のハリコフ州へ送り込んだ部隊の前にはステップ(大草原)が広がっている。その草原の深くへ部隊が入り込むのを待ち、ロシア軍はミサイル、砲撃、航空兵力によってキエフ軍部隊を攻撃、大きなダメージを与えたと言われている。キエフ軍部隊の進撃が早かった最大の理由はロシア軍がそこにはいなかったからで、「敗走」するロシア軍は存在しなかった。ドンバス軍も速やかに撤退している。冬に森の木々が葉を落として隠れられなくなるのをロシア軍は待っているともいう。 ロシア軍やドンバス軍が撤退した理由として、この地域の戦略的な重要性が低下したこと、NATOが送り込んだ新しい部隊を罠にかけてダメージを与えることなどが考えられたが、ここにきてロシア軍が新しいステージに入るため、部隊の編成を変えている可能性が出てきた。9月20日にロシア議会は徴兵法を改定し、戦時の犯罪行為に対する処罰を厳しくしている。 9月23日から27日にかけてドンバス(ドネツクやルガンスク)のほか、ヘルソンやザポリージャでロシアと一体になることを問う住民投票を実施するようだが、これもロシア軍の動きと関連しているだろう。この件につき、ロシア政府は9月15日から16日にかけてサマルカンドで開かれたSCO(上海合作組織)の総会で参加国に根回しした可能性もある。 アメリカ政府がウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒すためにネオ・ナチを使ってクーデターを実行した直後の2014年5月11日にドネツクとルガンスクでも住民投票が実施されている。ドネツクは自治を、またルガンスクは独立の是非が問われた。その結果、ドネツクでは89%が自治に賛成(投票率75%)、ルガンスクでは96%が独立に賛成(投票率75%)、この結果を受けて両地域の住民はロシア政府の支援を求めたが、ロシア政府は動かなかった。 今回の動きはNATO諸国の動きが関係している可能性が高い。アメリカ政府やイギリス政府は高性能兵器を大量に供与する一方、イギリスの首相だったボリス・ジョンソン、あるいはナンシー・ペロシ米下院議長はキエフへ乗り込んで戦争を継続するように説得している。8月31日から9月2日にかけてプラハで開かれた「フォーラム2000」でドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人々を支援する」と発言した。 9月13日にはアンドリー・イェルマーク・ウクライナ大統領府長官とアナス・ラスムセンNATO前事務総長が「キエフ安全保障協定」の草案を発表したが、その中で軍需産業への投資、兵器輸送、同盟国からの情報活動の支援、徹底した軍事訓練、EUやNATOの一員として合同軍事演習に参加するといったことを勧告している。ウクライナを事実上、NATOの戦争マシーンに組み込むということであり、ロシアに対する宣戦布告に等しい内容だった。これに対抗する形でロシア側は戦争態勢を強化したわけだ。 クーデター前、NATOはクーデターを念頭にして、ウクライナのネオ・ナチを軍事訓練していたが、その態勢はクーデター後、強化されたようだ。アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターによると、ウクライナ軍として戦わせるために相当数の兵士がNATO加盟国で軍事訓練を受け、最新兵器を扱えるように訓練されている。さらに作戦の指揮をNATOが取り始めたようだ。ハリコフへの攻撃にはイギリスで訓練を受けていた部隊が投入されたという。 イギリスの支配層がロシアを制圧する戦略を立てたのは19世紀と見られるが、1904年にはハルフォード・マッキンダーという地理学者がその戦略をまとめ、「歴史における地理的要件」というタイトルで発表している。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もマッキンダーの理論に基づく。途中からアメリカが引き継いだということだろう。 第2次世界大戦後、アメリカはヨーロッパを支配する仕組みとしてNATOを組織したが、ソ連が消滅した後、1998年4月にアメリカ上院はNATOの拡大を承認した。 その直後にケナンはそうした政策がロシアを新たな冷戦に向かわせると警告、今年5月にスイスのダボスで開かれたWEF(世界経済フォーラム)の年次総会でヘンリー・キッシンジャーは平和を実現するためにドンバスやクリミアを割譲するべきだと語り、ウクライナとロシアの特別な関係に目を向けるべきだとも主張している。 ジョー・バイデン米大統領、ボリス・ジョンソン前英首相、リズ・トラス現英首相、アンナレーナ・ベアボック独外相を含む欧米の好戦派は経済や外交、そして戦争の結果を無視してロシアを軍事的に屈服させようとしている。トランス状態になっているようだ。エクスタシーの領域に入っているのかもしれない。
2022.09.21

ウォロディミル・ゼレンスキー大統領を警護している兵士のひとりが来ている服にヘルメットを被った骸骨の描かれたパッチをつけていたと話題になっている。言うまでもなくナチスを連想させるからだが、2014年2月のクーデターはネオ・ナチが主体になって実行されたのであり、クーデター後の体制はナチズムの影響を受けているわけで、不思議ではない。 ナチスへウォール街やシティ、つまり米英の金融資本から資金が流れていたことは以前から指摘され、1933年から34年にかけての時期にはウォール街の大物がフランクリン・ルーズベルト政権を倒すためにクーデターを計画していた。必要な資金はJPモルガンやデュポンなどの巨大企業、またアンドリュー・メロンやロックフェラーの周辺を含む富豪から出ていた。 JPモルガンがクーデターの司令官として考えていたのは陸軍参謀長だったダグラス・マッカーサーだが、軍を動かすためには人望のあるスメドリー・バトラー退役少将を抱き込むしかないということになり、話を持ちかけている。 バトラーは信頼していたフィラデルフィア・レコードの編集者トム・オニールに相談、オニールはポール・コムリー・フレンチを確認のために派遣する。そのフレンチはウォール街の住人たちを取材、コミュニストから国を守るためにファシスト政権をアメリカに樹立させる必要があるという話を引き出した。(Jules Archer, “The Plot to Seize the White House,” Skyhorse, 2007) バトラーは情報を聞き出した上でその内容を議会で証言、クーデター計画を潰し、1935年にJ・エドガー・フーバーに接触してウォール街の計画を説明するのだが、捜査は断られている。(Peter Dale Scott, “The American Deep State,” Rowman & Littlefield, 2015) 計画が発覚した後、名指しされた人びとは誤解だと弁解したが、非米活動特別委員会はクーデター計画の存在を否定できなかった。それにもかかわらず、法的な処分は勿論、これ以上の調査は行われず、メディアもこの事件を追及していない。インターネットが普及してから一般にも知られ始めたが、その前はメディアだけでなく学者たちもこの問題に触れたがらなかった。 クーデター未遂後も米英の金融資本とナチスとの関係は切れず、1942年冬に東部戦線でドイツ軍の主力がソ連軍に壊滅させられると、SS(ナチ親衛隊)は特使をOSS(戦略事務局)のアレン・ダレスの下へ派遣、フランクリン大統領には無断で善後策を協議している。 その後、アメリカの軍や情報機関はナチスの幹部や協力者を逃走させたり、保護したり、雇用していく。それらにはラットライン、ブラッドストーン作戦、ペーパークリップ作戦などという暗号名が付けられた。保護されたナチスの高官や協力者だけでなく、その後継者も育成、ソ連が消滅した後には送り返している。 アメリカの支配層が「ブラッドストーン作戦」を始めた1948年に作成されたNSC20では、「結果として戦争を起こし、ソ連政府を打倒する」という方針が示されていた。(クリストファー・シンプソン著、松尾弌訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年) ウクライナではステパン・バンデラを信奉するOUN-Bの戦闘員は1943年春にUPA(ウクライナ反乱軍)として活動し始め、その年の11月には「反ボルシェビキ戦線」を設立した。この組織は1946年4月にABN(反ボルシェビキ国家連合)と呼ばれるようになり、バンデラの側近だったヤロスラフ・ステツコが指揮するようになった。 東アジアで1954年に設立されたAPACL(アジア人民反共連盟、後にアジア太平洋反共連盟に改名)とABNは1966年に合体してWACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)になるが、この組織はCIAと緊密な関係にあった。(Scott Anderson & Jon Lee Anderson, “Inside the League”, Dodd, Mead & Company, 1986) その一方、OUN-Bの人脈はKUN(ウクライナ・ナショナリスト会議)を組織、スラワ・ステツコが指導者になる。この人物はヤロスラフ・ステツコの妻。1986年に死亡したヤロスラフを引き継いたスラワはOUN-Bの指導者になり、2003年に死ぬまでKUNを率いていた。その間、1991年に彼女は西ドイツからウクライナへ帰国している。 KUNの指導者グループに所属していたひとりにワシル・イワニシンなるドロボビチ教育大学の教授がいたが、その教え子のひとりがドミトロ・ヤロシュ。イワニシンが2007年に死亡すると、ヤロシュが後継者になるが、このタイミングでヤロシュはNATOの秘密部隊ネットワークに参加したと言われている。 ナチスに率いられたドイツ軍がソ連へ攻め込んだ際、東ヨーロッパにはナチスに協力した反ロシア派は少なくない。OUN-Bもその中に含まれていた。その後継者が1991年以降、出身国へ戻り、アメリカの手先として活動している。 そうした人脈に支えられ、ウクライナを破壊しているゼレンスキー大統領は「大イスラエル」を建設したいと発言している。イスラエルはイギリスの長期戦略に基づき、サウジアラビアと同じように建設された。現在ではアメリカと連携し、中東から北アフリカを支配する体制を築こうとしている。そのためにイラクを潰してイランとシリアを分断、それぞれを破壊しようとしていた。イスラエルの兵士はウクライナでも戦闘に参加していると伝えられている。 そのイギリスの長期戦略に基づいて日本では明治維新が仕掛けられ、琉球併合、台湾派兵、江華島事件を経て韓国を併合、そして満州国を建設した。アメリカやイギリスの支配層から見ると満州国はソ連を侵略する拠点であり、現在、ロシアを侵略するためにウクライナをNATOに組み込もうとしている戦略に通じる。 日本は現在でも米英金融資本の支配下にあり、与那国島、奄美大島、宮古島、石垣島に中距離ミサイルを配備して中国の工業地帯を攻撃できる態勢を整えようとしている。さらに韓国の済州島もミサイルの発射基地になるだろう。これらの場所は中国の攻撃目標になるということでもある。
2022.09.20

ウクライナを戦場にしてアメリカ/NATOとロシアが戦争を始めている。第2次世界大戦でナチスが率いるドイツ軍に軍事侵攻されて甚大な被害をこうむったソ連は立ち直れないままミハイル・ゴルバチョフからボリス・エリツィンにかけての時代に崩れ、消滅した。そこからネオコンはアメリカが「唯一の超大国」になったと考え、世界制覇プランを作成している。本ブログで繰り返し書いてきた1992年2月にアメリカの国防総省で作成された「DPG草案」、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。 アメリカ、つまり巨大金融資本を中心とする支配システムへ服従しない国や体制を倒すだけでなく、潜在的なライバルを潰すとしている。その潜在的ライバルには旧ソ連圏だけでなく、西ヨーロッパ、東アジア、南西アジアが想定され、エネルギー資源の支配も重要視されている。(The New York Times, March 8, 1992) このドクトリンが作成された当時、アメリカはロシアを属国にしたと認識、手始めにユーゴスラビアの解体を始める。その次のターゲットとして彼らは中国を想定。「東アジア重視」だ。 このプランを危険だと考える人は政府の内部にもいた。例えばジョージ・H・W・ブッシュ大統領、ブレント・スコウクロフト国家安全保障補佐官、ジェームズ・ベーカー国務長官だが、ブッシュ政権は1期で終わる。 ビル・クリントン時代の1998年4月、アメリカ上院はNATOの拡大を承認したが、「封じ込め政策」で有名なジョージ・ケナンはそうした政策はロシアを新たな冷戦に向かわせると警告している。ケナンは反コミュニストの外交官として有名だが、その彼でも危険だと感じたのだ。またヘンリー・キッシンジャーは今年5月にスイスのダボスで開かれたWEF(世界経済フォーラム)の年次総会で、ロシアとウクライナとの特別な関係を指摘、平和を実現するためにドンバスやクリミアを割譲して戦争を終結させるべきだと語っている。 アメリカでソ連の崩壊を目指すプロジェクトが始まったのは1970年代の後半だった。ひとつの節目は1972年の大統領選挙。ベトナム戦争の敗北を受け、この年の選挙ではジョン・F・ケネディに近く、戦争反対を明確にしていたジョージ・マクガバン上院議員が民主党の候補者に選ばれ、支配層に激震が走る。 ニクソン大統領は1972年の2月に中国との国交を正常化、中国を唯一の正当な政府と認め、台湾の独立を支持しないと表明、大きな実績を作った。 片や民主党の内部ではヘンリー・ジャクソン上院議員を中心に反マクガバンのグループがCDM(民主党多数派連合)を組織して自党候補の足を引っ張る。ジャクソン議員のオフィスには若い頃のリチャード・パール、ポール・ウォルフォウィッツ、エリオット・エイブラムズ、ダグラス・フェイス、エイブラム・シュルスキーなど後にネオコンの中核グループを形成する人々が在籍していた。 結局、共和党のリチャード・ニクソンが再選され、1973年1月にパリでこの政権は和平協定に調印した。そしてデタント(緊張緩和)を打ち出すが、マクガバンを潰した勢力はデタントを容認できない。そうした中、発覚したのがウォーターゲート事件である。ニクソンは1974年8月に失脚し、FBIとの関係が深いジェラルド・フォードが副大統領から昇格した。 フォード政権でデタント派は粛清され、好戦派が台頭する。特に重要な意味を持つと考えられているのは国防長官とCIA長官の交代で、国防長官はジェームズ・シュレシンジャーからドナルド・ラムズフェルドへ、CIA長官はウィリアム・コルビーからジョージ・H・W・ブッシュへ交代している。リチャード・チェイニーやポール・ウォルフォウィッツなど後にネオコンと呼ばれるグループも表舞台へ出てきた。粛清を主導したのはラムズフェルドとチェイニーだと言われている。 1976年の選挙ではデイビッド・ロックフェラーとズビグネフ・ブレジンスキーが目をつけたジミー・カーターが勝利、国家安全保障補佐官に就任したブレジンスキーはアフガニスタンへソ連軍を引きずり込む秘密工作を始めた。 1979年7月にアメリカとイスラエルの情報機関に関係していた人びとがエルサレムに集まり、「国際テロリズム」に関する会議を開いている。「国際テロリズム」というタグをソ連につけて攻撃しようというのだ。 この会議にはイスラエルから軍の情報機関で長官を務めた4名を含む多くの軍や情報機関の関係者が参加、アメリカからはジョージ・H・W・ブッシュ元CIA長官(後の大統領)やレイ・クライン元CIA副長官など情報機関の関係者が参加していた。 会議の席上、クラインは「テロの原因」を抑圧された人々の怒りでなく、ソ連政府の政策、あるいはその陰謀にあると主張しているが、実際のところ、テロの大半はCIAとイギリスのMI6(SIS)を中心に組織されたネットワークの破壊工作機関が実行している。 1980年の大統領選挙で勝利したロナルド・レーガンは1982年の6月7日にローマ教皇庁の図書館で教皇ヨハネ・パウロ2世とふたりきりで50分にわたって会談する。 ヨハネ・パウロ2世の母国はポーランド。教皇になる前、つまり1978年10月までの名前はカロル・ユゼフ・ボイティワだ。ウォーターゲート事件に関する報道で有名になったカール・バーンスタインによると、レーガンと教皇は大半の時間をソ連の東ヨーロッパ支配の問題に費やし、ソ連を早急に解体するための秘密工作を実行することで合意したという。(Carl Bernstein, “The Holy Alliance,” TIME, Feb. 24, 1992) この秘密工作はヨハネ・パウロ2世でなければ実行できなかったであろう。好戦派にとって都合の良いことに、その前の教皇、ヨハネ・パウロ1世は1978年8月に選ばれたものの、翌月に急死している。病死とされているが、その当時から他殺説が噂され、今でも消えていない。この延長線上にソ連解体プロジェクトの「ハンマー作戦」はある。この作戦でソ連の情報捜査機関KGBの幹部が買収されたと言われている。 ブレジンスキーは大学で教えている当時からCIAとの関係が深いと言われ、その教え子にはマデリン・オルブライトやバラク・オバマがいる。オルブライトはヒラリー・クリントンやビクトリア・ヌランドと親しく、ビル・クリントン政権で国務長官としてユーゴスラビアへの先制攻撃を実現させた。イラクに対する「経済制裁」で多くのイラクの子どもが死んでいることを問われ、それだけの価値があると言ったことでも知られている。 このオルブライトはチェコスロバキアの出身だが、ヌランドは父方の祖父母がウクライナからの移民である。ズビグネフ・ブレジンスキーはポーランドの生まれで、一族の出身地であるブゼザニは現在、ウクライナに含まれている。 ウクライナを舞台としたアメリカ/NATOの対ロシア戦争でポーランドが重要な拠点になっているが、今年2月22日、アメリカ大使としてポーランドに着任した人物はズビグネフ・ブレジンスキーの息子であるマーク・ブレジンスキーだ。
2022.09.19
ウクライナ北東部のハリコフ州にあるイジュムでロイターをはじめとする西側の有力メディアが戦時プロパガンダを展開している。「集団墓地」を発見したというのだが、集団墓地関して5月に別の説明がなされていた。戦死したウクライナ兵の遺体をウクライナ軍が引き取らないため、ロシア軍がやむなく集団墓地に埋葬したというのだ。その際の映像もアップロードされている。ロシア軍に埋葬させるのはアメリカ/NATOの戦略なのかもしれない。 イジュムの件でロイターは集団墓地で掘り起こされた死体の首にロープが巻きついていたと主張、ロシア軍に殺されたことを示唆、それを西側の有力メディアは広めたのだが、数時間後にその「報道」をロイターは取り消している。最初に伝えた話で少なからぬ人びとがイメージを作り上げたので、その段階で目的は達成したとも言える。 ロイターはマリウポリの件でも偽情報を流している。この年は2014年2月のクーデター直後からネオ・ナチで編成されたアゾフ特殊作戦分遣隊(通称アゾフ大隊)に占領されていたが、ロシア軍によって解放された。 解放された住民は異口同音にネオ・ナチで編成された親衛隊の残虐な行為を告発していた。そうした告発は本ブログでも繰り返し紹介してきた。そうした住民のひとりがアゾフスタル製鉄所から脱出したナタリア・ウスマノバ。5月2日にシュピーゲル誌は3分間にわたる彼女の証言を伝えたが、すぐに削除されてしまった。証言の中で彼女は親衛隊の残虐な行為を告発、ロシアへ避難すると発言、戻るならその場所はドネツクしかないとしていた。 この証言はアメリカ/NATOやキエフ政権にとって都合が悪い事実である。その前にロイターもウスマノバの証言映像を流していたが、それは約1分間。シュピーゲル誌は映像をロイターから入手したとしているので、ロイターは編集で事実を捻じ曲げ、ロシア軍を批判しているかのように編集していたのだ。戦況が悪化してからの「大本営発表」だ。 勿論、こうしたプロパガンダを西側の有力メディアは以前から行っていた。2001年9月11日の出来事、アフガニスタンやイラクに対する先制攻撃でも偽情報が流されていたが、2011年春にリビアやシリアを攻撃した際には西側の有力メディアが伝える「報道」から事実を探し出すことが難しくなった。この時もハリウッド的な手法を使われている。 何度も引用しているが、シリアに対する侵略戦争が始まってから1年ほど後の2012年5月にシリア北部のホムスで住民が虐殺されたが、その出来事を現地で調査したメルキト東方典礼カトリック教会修道院長のフィリップ・トルニョル・クロは西側の有力メディアが事実に反する話を伝えていることに気づく。そして「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」と報告している。こうした状況は改善されないどころか悪化している。
2022.09.18

FDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は9月9日現在、前の週より139名増えて3万0935名に達した。なお、VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%にすぎないと言われている WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長は「COVID-19パンデミック」の終息が視界に入ってきたと9月14日に表明した。本ブログでも指摘してきたように、この「パンデミック」は医療利権によって作り出された可能性が高く、広められたイメージと実態は乖離している。「パンデミック」はそうした利権集団が終息を宣言するまで続き、宣言すれば終了するということだ。 そうしたイメージを広めるため、有力メディアやシリコンバレーを拠点とするハイテク企業が協力してきた。ジョー・バイデン政権の高官がツイッター、メタ(フェイスブックの親会社)、ユーチューブ、インスタグラム、リンクトインと共謀して間違った情報や偽情報を広めた疑いがあるとアメリカのミズーリ州で行われている裁判でされ、そうした企業と高官たちがやりとりした電子メールを提出するように命じられた。その高官の中にはアンソニー・ファウチNIAID(国立アレルギー感染症研究所)所長も含まれている。 免疫学者のファウチがNIAIDのLCI(臨床調査研究所)へ入ったのは1968年だが、1970年代になると伝染病で死亡する人が少なくなり、NIAIDはCDCと同じように、その存在意義が問われる状況になった。そうした時に免疫システムが機能しなくなる病気が現れて「AIDS(後天性免疫不全症候群)」と名づけられた。その対策予算は肥大化、一種のビジネス分野を生み出す。そしてファウチは1984年からNIAIDの所長を務めることになった。 現在、COVID-19を指揮しているひとりはCDCの長官を務めているロシェル・ワレンスキー。ハーバード大学の医学部大学院でAIDS/HIVを専門とする教授を務めていた人物で、ジョー・バイデンが引っ張ってきた。 COVID-19はSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)が引き起こす病気とPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査などを利用して作り出された幻影の複合体だが、早い段階からAIDSの影がチラついた。インドの研究者やパスツール研究所のリュック・モンタニエはHIVとSARS-CoV-2の遺伝子には類似した部分があると指摘していたが、モンタニエはHIVを発見した功績で2008年にノーベル生理学医学賞を受賞した学者だ。モンタニエは1990年6月にサンフランシスコで開かれたAIDSに関する国際会議で「HIVは無害かもしれない」と語ったという。 AIDS対策でもPCR検査が利用されている。この検査で陽性になると「感染者」とみなされたのだが、この手法に問題があることはCOVID-19と同じ。PCR検査で陽性になってもHIVに感染しているとは限らない。そもそもHIVがAIDSの原因だと言うことは証明されていないのだ。そう指摘していたひとりが、PCRを開発して1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリス。 COVID-19ではリスクの高い「ワクチン」が問題になっているのだが、AIDSの場合は一般的に「AZT(アジドチミジン)」と呼ばれている「ZDV(ジドブジン)」が問題。これは1964年にバローズ・ウェルカム(現在のグラクソスミスクライン)が抗癌剤として開発した医薬品だが、深刻な副作用が問題になっていた。それをHIV薬として使うようになったのだが、副作用は消えない。HIVに感染して死亡した人の大半はAZTが死因だとする人もいる。(Robert F. Kennedy Jr., “The Real Anthony Fauci,” Skyhorse Publishing, 2021) その一方、AIDSは生物兵器でないかという疑惑もある。1969年9月にアメリカ下院の歳出委員会で、伝染病からの感染を防ぐための免疫や治癒のプロセスが対応できない人工的な病原体が5年から10年の間に出現すると国防総省国防研究技術局の副局長だったドナルド・マッカーサーが語っているのだ。これはAIDS出現の予告だと考える人もいる。 「権威」を信奉し、「オーソライズ」を絶対視する人びとはこうした疑惑を受け入れられない。そこで疑惑を消し去るため、「陰謀論」、あるいは「トンデモ説」というタグが使われる。ファウチはそうした権威のひとりとみなされている。そのタグをつける作業を請け負っているのが有力メディアやシリコンバレーを拠点とするハイテク企業だ。 ロシアでは外国の巨大医薬品メーカーから医療関連機関の幹部へカネが渡っている実態を連邦財務監視庁とFSB(連邦安全保障局)が共同で調査しているようだが、アメリカでも医療利権の不正が問題になり始めている。
2022.09.17
ウクライナ北東部のハリコフ州へウォロディミル・ゼレンスキー大統領が送り込んだ部隊は「反転攻勢」に転じ、ロシア/ドンバス(ドネツクやルガンスク)は敗走したと西側の有力メディアは興奮気味に伝えていたが、抵抗に遭わないことを不思議だと思わなければならなかった。 この地域はステップ(大草原)で、隠れることが困難だということは本ブログでも指摘した。ロシア軍は制空権を握っているほか、高性能ミサイルも保有している。西側で崇められているHIMARS(高機動ロケット砲システム)と同等、あるいはそれを上回る性能の兵器もあるわけで、NATO/キエフ軍を進撃させていることがおかしいのだ。 ロシアに対する差別感情が叩き込まれ、アメリカを崇拝している人びとは気づかなかったようだが、トラップだと考えるべきだった。実際、NATO/キエフ軍がハリコフへ深く入り込むのを待ち、ロシア/ドンバス軍は航空兵力やミサイルによる激しい攻撃を開始、侵攻軍に大きな損害を与えたと伝えられている。 NATO/キエフ軍は南部のヘルソンでも似たことを行い、西側の有力メディアは「ロシア軍の防衛線が崩れた」と騒いでいたが、これもトラップで、大きな損害を受けている。今回はヘルソンの時よりダメージが大きいと言われている。 2月24日から戦っていたウクライナの軍や親衛隊は壊滅状態で、現在は新兵やNATO加盟国で軍事訓練を受けた兵士が前面に出ているようだ。アメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)、イギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)、ポーランドなど周辺国の軍人、あるいは2014年2月から送り込まれているアメリカなどの傭兵会社の戦闘員も戦闘に参加している。インターネット上には流暢なアメリカ訛りの英語を話す「ウクライナ軍兵士」の映像も流れている。ハリコフへの攻撃にはイギリスで訓練を受けていた部隊が投入された アメリカを含む世界各地のファシスト団体のメンバーもウクライナへ入っているようだが、シリアのアル・タンフにあるアメリカ軍の基地で訓練を受けたダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)の兵士もいるとされている。ユーゴスラビアを攻撃した時にもアメリカ/NATOはアル・カイダ系武装集団を使い、その中にはオサマ・ビン・ラディンも含まれていた。 昨年11月からバレリー・ザルジニー軍最高司令官の顧問を務めているネオ・ナチのドミトロ・ヤロシュはクーデター直後の2014年3月に声明を発表、その中でチェチェンやシリアでロシアと戦ったサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)などイスラム系の武装集団への支援を表明している。 こうした傭兵に最新兵器の使い方を訓練して使い、アメリカなどの情報機関から相手の動きなどに関する重要な情報が提供されるだけでなく作戦の指揮もNATOが行うようだ。ウクライナでの戦闘は事実上、ロシアとNATOの戦い。戦場がウクライナだというだけである。 その戦闘でアメリカ/NATOやゼレンスキー政権は兵士の犠牲を厭わない作戦を繰り返している。「玉砕」も命じていた。NATO軍は関東軍を思い起こさせる。
2022.09.17

アンドリー・イェルマーク・ウクライナ大統領府長官とアナス・ラスムセンNATO前事務総長は9月13日、「キエフ安全保障協定」の草案を発表した。軍需産業への投資、兵器輸送、同盟国からの情報活動の支援、徹底した軍事訓練、EUやNATOの一員として合同軍事演習に参加するといったことを勧告、ウクライナを事実上、NATOの戦争マシーンに組み込むという。ロシアに対する宣戦布告に等しい内容だ。 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターが指摘しているように、ウクライナ軍として戦わせるために相当数の兵士がNATO加盟国で軍事訓練を受け、最新兵器を扱えるように訓練されている。ハリコフへの攻撃にはイギリスで訓練を受けていた部隊が投入されたと言われている。軍事情報は以前から提供されていたが、そのランクが上げられ、NATOが作戦の指揮をとり始めたようだ。すでに協定は実行され始めていると言えるが、それが文書化される意味は重い。 ウクライナをNATOへ加盟させることをロシアが危険視する理由はバルバロッサ作戦を思い起こせば理解できる。1941年6月にドイツ軍はソ連に対する侵略戦争を開始。バルバロッサ作戦だ。この作戦で東へ向かったドイツ兵は約300万人、西部戦線に残ったドイツ軍は90万人だけだと言われている。7月にドイツ軍はレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)を包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点まで迫った。 そこでソ連軍は敗北して再び立ち上がることはないと10月3日にアドルフ・ヒトラーはベルリンで語り、ウィンストン・チャーチル英首相の軍事首席補佐官だったヘイスティングス・イスメイは3週間以内にモスクワは陥落すると推測していた。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) ところがそうした見通しは外れ、1942年1月にドイツ軍はモスクワでソ連軍に降伏、8月にはスターリングラード市内へ突入して市街戦が始まる。当初はドイツ軍が優勢に見えたが、11月になるとソ連軍が猛反撃に転じた。ドイツ軍25万人はソ連軍に完全包囲され、1943年1月にドイツ軍は降伏する。このシナリオをアメリカのプロパガンダ担当者はドンバスで利用しているが、現実は違う。 スターリングラードでの敗北でドイツの降伏は決定的になり、ソ連の敗北を期待していたイギリスは慌てる。しかも、このまま終わるとソ連がドイツに勝ったということになってしまう。 ポツダム宣言は即時無条件降伏を要求しているが、「無条件降伏」という語句が出てきたのは1943年1月。フランクリン・ルーズベルト米大統領とウィンストン・チャーチル英首相がフランスのシャルル・ド・ゴールらとカサブランカで会談した際のことだ。この会談で無条件降伏が主張されなければ、早い段階でドイツは降伏していただろう。 イギリスはアメリカと会談、1943年7月に両国軍はシチリア島への上陸作戦を実行した。ハリウッド映画で有名なノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからだ。すでに主力が壊滅しているドイツ軍の戦闘能力は大幅に低下していた。そうした中、米英が敵視していたのはソ連とレジスタンスだ。これは本ブログで繰り返し説明してきた。 同じアングロ・サクソン系の国とはいうものの、反ファシストのルーズベルト米大統領と反ソ連で優生学を信奉するチャーチル英首相との関係は良くなかった。ルーズベルトが率いるニューディール派はウォール街、つまりアメリカの金融資本と敵対関係にあり、1933年から34年にかけての時期、ウォール街の大物たちはルーズベルト政権を倒してファシズム体制を樹立させようとクーデターを計画している。これはスメドレー・バトラー退役少将によって阻止されている。ウォール街はシティ、つまりイギリスの金融資本と緊密な関係にある。 そのルーズベルトは1945年4月に急死、その翌月にドイツは降伏する。その直後にチャーチル英首相はソ連への奇襲攻撃を目論む。JPS(合同作戦本部)に対して作戦を立案を命令し、5月22日には「アンシンカブル作戦」が提出された。 その作戦によると、攻撃を始めるのは1945年7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。この作戦が発動しなかったのは、参謀本部が5月31日に計画を拒否したからである。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) その頃、アメリカとイギリスは核兵器を開発していたが、7月16日にニューメキシコ州のトリニティ実験場でプルトニウム原爆の爆発実験が行われて成功、7月24日にハリー・トルーマン米大統領は原子爆弾の投下を許可した。そして7月26日にポツダム宣言が発表される。 アメリカ軍は1945年8月6日にウラン型原爆「リトル・ボーイ」を広島へ投下、9日に長崎へプルトニウム型「ファット・マン」が落とされた。これ以降、アメリカは核戦争を軍事戦略の中心に据える。 スターリングラードでドイツ軍が降伏した頃からナチスとウォール街人脈は接触を開始、ルーズベルト大統領には無断でナチスの高官を保護する方策を協議している。サンライズ作戦だ。その後、アメリカの軍や情報機関はナチスの幹部や協力者を逃走させたり、保護したり、雇用していく。それらにはラットライン、ブラッドストーン作戦、ペーパークリップ作戦などという暗号名が付けられた。ドイツが降伏する前の月にルーズベルト大統領が急死したのは、こうした工作を進めていた人びとにとっては好都合だった。そしてレッドパージが始まって反ファシスト派が粛清され、冷戦が始まる。 そうした中、1949年4月にNATO(北大西洋条約機構)が創設された。創設時の参加国はアメリカとカナダの北米2カ国に加え、イギリス、フランス、イタリア、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベルギー、オランダ、そしてルクセンブルクの欧州10カ国だ。 この軍事同盟を組織した目的はソ連に対抗することだとされているのだが、当時のソ連には西ヨーロッパへ攻め込む能力はなかった。ドイツとの戦闘でソ連の国民は2000万人以上が殺され、工業地帯の3分の2を含む全国土の3分の1が破壊され、惨憺たる状態だったのである。NATOはヨーロッパを支配する仕組みとして組織されたと言うべきだろう。 大戦の終盤、アメリカとイギリスの情報機関はジェドバラというゲリラ戦部隊を編成している。戦争が終わった後、その人脈はアメリカ軍の特殊部隊、あるいは極秘の破壊工作組織OPCの中核になり、ヨーロッパでも秘密組織を編成している。 NATOが登場するとその秘密組織はそこへ入り込み、1951年からはCPC(秘密計画委員会)の下で活動するようになる。SACEUR(欧州連合軍最高司令官)の命令でCPCの下部組織として1957年にはACC(連合軍秘密委員会)が創設された。この委員会を通じてアメリカがNATO加盟国に設置した秘密部隊のネットワークを操っているとも言われている。イタリアのグラディオもそうした秘密部隊のひとつだ。イタリアのグラディオは極左を装い、1960年代から80年代にかけて爆弾テロを繰り返し、クーデターも計画した。 ウクライナでは昨年11月からバレリー・ザルジニー軍最高司令官の顧問をドミトロ・ヤロシュが務めているが、この人物はNATOの秘密部隊ネットワークに所属していると言われている。 大戦中、レジスタンスに加わっていたシャルル・ド・ゴールも米英の支配層は敵視していた。フランスでは1961年にOAS(秘密軍事機構)が組織された。その背後にはフランスの情報機関SDECE(防諜外国資料局)や第11ショック・パラシュート大隊がいて、その後ろにはイギリスやアメリカの情報機関が存在していた。 OASはその年の4月12日にスペインのマドリッドで秘密会議を開き、アルジェリアでのクーデター計画について討議している。会議にはCIAの人間も参加していた。 アルジェリアの主要都市の支配を宣言した後でパリを制圧するという計画で、その中心には直前まで中央欧州連合軍司令官(CINCENT)を務めていたモーリス・シャレをはじめとする4名の将軍がいて、1961年4月22日にクーデターは実行に移される。 それに対し、アメリカ大統領だったジョン・F・ケネディはジェームズ・ガビン駐仏大使に対し、必要なあらゆる支援をする用意があるとド・ゴールへ伝えるように命じている。クーデターを進めるとCIAとアメリカ軍が衝突する可能性が高まる。結局、クーデターは4日間で崩壊してしまう。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) フランスのクーデターを失敗させたとも言えるケネディ大統領は1963年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された。その葬儀にド・ゴール自身も出席している。帰国したフランス大統領は情報大臣だったアラン・ペールフィットに対し、ケネディに起こったことは自分に起こりかけたことだと語ったという。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) ケネディ大統領が暗殺されてから3年後にフランス軍はNATOの軍事機構から離脱、翌年にはSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出す。その司令部はベルギーのモンス近郊へ移動した。 ド・ゴールは1968年5月の「五月革命」で追い詰められ、翌年に辞任。後任大統領のジョルジュ・ポンピドゥーはアメリカとの関係強化を推進、SDECEの局長に親米派のアレクサンドル・ド・マレンシェを据えた。この新局長はポンピドゥーの命令に従い、アメリカとの関係強化に邪魔だと見なされるメンバー815名を解雇した。 NATOに加盟するということは、米英金融資本の属国になることを意味する。NATOの東方拡大は米英金融資本の支配地拡大を意味し、最終的にロシアを侵略することになる。 1998年4月、アメリカ上院はNATOの拡大を承認したが、「封じ込め政策」で有名なジョージ・ケナンはそうした政策はロシアを新たな冷戦に向かわせると警告している。ケナンは反コミュニストの外交官として有名だが、それでも危険だと感じたのだ。またヘンリー・キッシンジャーはスイスのダボスで開かれたWEF(世界経済フォーラム)の年次総会で、平和を実現するためにドンバスやクリミアを割譲するべきだと語っている。 1999年3月にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃、さらにアフガニスタン、イラク、リビアなどで軍事作戦を実行している。NATOの目的を防衛にあると信じている人は変質と考えるかもしれないが、これが正体なのだ。
2022.09.16

キエフにウォロディミル・ゼレンスキー政権が送り込んだ部隊がウクライナ北東部のハリコフ州を制圧、傭兵が住民を銃撃しているほか、教師が拘束されたと伝えられている。戦闘の状況も少しずつ明らかになってきた。 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターによると、ロシア軍が軍事作戦を遂行中、相当数の兵士がNATO加盟国で軍事訓練を受け、最新兵器を扱えるように訓練されている。軍事情報は以前から提供していたが、そのランクが上げられ、NATOが作戦の指揮をとり始めたようだ。訓練した部隊をNATOは温存していたが、ハリコフへの攻撃にはイギリスで訓練を受けていた部隊が投入された可能性がある。 その一方、ロシア/ドンバス(ドネツクやルガンスク)側の情報も流れてきた。ハリコフ周辺にいたのはドンバス軍だけで、ロシア軍は配置されていなかったようだ。そのドンバス軍もキエフ側の攻撃が始まると(あるいは始まる前)迅速に撤退、損害は軽微だったという。この地域はステップ(大草原)なため、隠れることが困難であり、ロシア軍によるミサイル、砲撃、航空兵力による攻撃などでキエフ軍は大きな損害を出していると言われている。キエフ軍は現地で教師を拘束し、傭兵は市民を銃撃しているが、都市部に入って住民を人質に取るという戦術が難しいようだ。 リッターが指摘しているように、アメリカ/NATOは自らが戦闘に参加せざるをえない状況になっているようで、アメリカ/NATO軍対ロシア/ドンバス軍という構図が鮮明になりつつある。つまり「世界大戦」が近づいてきた。 イギリスのリズ・トラス首相やドイツのアンナレーナ・ベアボック外相のような欧米の好戦派はロシア軍を敗北させるためにいかなる犠牲も厭わない覚悟が必要だと考えている。ジョー・バイデン政権が誕生した直後に彼らは「ルビコン」を渡ったのだ。彼らは核戦争を実行する可能性もある。 ロシア軍がウクライナで軍事作戦を始めた2月24日以降、ゼレンスキー政権はロシア人に銃口をむけない人びとを摘発してきた。3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBU(ウクライナ保安庁)の隊員に射殺され、3月7日にはゴストメルのユーリ・プライリプコ市長の死体が発見されているほか、11名の市長が行方不明だとも言われている。 4月21日にはウクライナの南部にあるミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組で「全ての裏切り者を処刑する」と語った。処刑部隊を編成、すでに作戦を遂行しているともいう。キムにとって「裏切り者」とはゼレンスキーの政策、つまりジョー・バイデン政権のようなアメリカやイギリスの好戦派に同意しない人びとだという。SBUはゼレンスキー政権の政策に従わない人びとを拘束しているが、APによるとその数はウクライナ北東部にあるハリコフだけで400名近くに達した。 ウクライナではこうした「国賊狩り」が展開される一方、野党や政府のプロパガンダ機関以外のメディアの活動が禁止されている。プロパガンダの「本尊」はアメリカの私的権力で、日本もその影響下にある。 ウクライナの戦乱や2014年2月にアメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したところから始まる。クーデターはキエフで実行され、成功したのだが、ヤヌコビッチの支持基盤で、住民の多くがロシア語を話し、ロシア文化圏にある東部や南部で反クーデターの抵抗が始まったのだ。オバマ政権の副大統領がジョー・バイデン現大統領にほかならない。 クーデター後、ネオ・ナチ体制に反発した軍人、あるいはSBUやベルクト(警官隊)の隊員の一部がドンバス軍へ合流したと言われ、戦力はドンバス軍の方が上だと言われた。 そこでアメリカ/NATOは新体制の内務省内に親衛隊を組織するだけでなくCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部に派遣されて作戦に参加した。2015年からCIAはウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練し始めたとも伝えられている。 今年2月以降、ウクライナではアメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)、イギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)、さらにポーランド軍やシリアのアル・タンフにあるアメリカ軍の基地で訓練を受けたダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)の兵士が戦闘に参加していると伝えられている。 ロシアはこうした動きを熟知しているはず。ゼレンスキー政権は「反転攻勢」を演出したかったのかもしれないが、ロシア/ドンバス軍はNATO/キエフ軍の新戦力を叩くためにハリコフでトラップにかけた可能性がある。
2022.09.15
イギリスではエリザベス2世女王が9月8日に死亡、それにともなって長男が即位し、チャールズ3世を名乗ることになった。新国王は1981年7月にダイアナ・スペンサーと結婚したが、96年8月に離婚。2005年4月にカミラ・パーカー・ボウルズと再婚している。 ダイアナは離婚直後からパキスタンの外科医でロンドンの王立ブロンプトン病院で働いていたハスナット・カーンのパートナーになり、1997年7月からドディ・ファイードと付き合っている。ファイードとダイアナは1997年8月に自動車事故で死亡した。 ファイードの母はサミラ。彼女の父であるムハマド・カショーギはサウジアラビア国王イブン・サウドの侍医だったという。サウジアラビアやアメリカの情報機関と密接な関係にあり、さまざまな秘密工作に関係し、武器商人としての顔を持つたアドナン・カショーギもムハマドの息子だ。 アドナンは1960年代にイギリス人のサンドラ・デイリー(後にソラヤ・カショーギへ改名)と結婚。子どもの中にペトリナ・カショーギという娘がいるのだが、DNA鑑定の結果、生物学的な父親はイギリスの下院議員を務めたジョナサン・エイトケンだということが判明している。ソラヤはウィンストン・チャーチル(第2次世界大戦時のイギリス首相の孫)下院議員との親密な関係も明らかにしている。 1980年代に入るとアドナンはフィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領から旧日本軍が大陸で略奪、格下金塊の処理への協力を依頼されるが、その情報はCIAに伝えられ、1986年2月のアメリカ軍によるマルコス拉致につながる。この拉致を指揮したのはネオコンのポール・ウォルフォウィッツと言われている。 2018年10月にトルコにあるサウジアラビア領事館へ入ったまま行方不明になったジャマル・カショーギはムハマド・カショーギの孫にあたり、アドナン・カショーギの甥で、ドディ・ファイードの従兄弟。 ジャマル・カショーギは2017年9月にサウジアラビアを出国、ワシントン・ポスト紙のコラムニストになっていた。その2カ月後にサウジアラビアでは大規模な粛清が実行されるが、その中には王族、閣僚や元閣僚、軍人などサルマン皇太子のライバルやその支持者と目される人びとが含まれている。排除された人の中にはCIAの影響下にある人もいたことからCIAは粛清に激怒したはずだ。 ところで、アメリカでは1970年代に議会が情報機関の秘密工作を調査したこともあり、CIAは議会への影響力を強めると同時に「民営化」を推進する。それにともなって各国情報機関との連携も強化され、1976年にはフランス、サウジアラビア、エジプト、モロッコ、そして王政時代のイランの情報機関人脈が参加して「サファリ・クラブ」が創設されている。フランスの情報機関SDECE(対外文書防諜庁。現在の名称はDGSE/対外治安総局)の長官だったアレキサンドル・ド・マレンシュの発案だったというが、実際はCIAが主導権を握っていた。(Peter Dale Scott, “The American Deep State,” Rowman & Littlefield, 2015) サファリ・クラブが作られた1976年の1月から77年1月にかけてCIA長官を務めたのはジョージ・H・W・ブッシュ。CIAとサファリ・クラブとの連絡係はブッシュと親しかったシオドア・シャックレーが務め、このシャックレーが事実上、サファリ・クラブのトップ。シャックレーは秘密工作の部門を歩いていた人物で、ベトナム戦争では麻薬密輸に関係し、イラン・コントラ事件でも名前が出てくる。 この集まりがサファリ・クラブと呼ばれるようになったのは、最初の極秘会合がケニアのマウント・ケニア・サファリ・パークという場所で開かれたからだ。この場所は1959年にインディアナ州の石油業者レイ・ライアン、実業家でジェット・アビエーションの創設者でもあるカール・W・ハーシュマン、俳優のウィリアム・ホールデンが所有、いずれもCIAと関係が深いと言われている。サファリ・クラブの本部は1977年にカイロへ移動した。 会の主催者にはサウジアラビアの情報機関、アドナン・カショーギ、ケニアのジョモ・ケニャッタ大統領、そしてヘンリー・キッシンジャーが含まれている。そのほかアレクサンドル・ド・マレンシェ、メディアの世界で活動していたアルノー・ド・ボルシュグラーブ、アメリカの政財界に大きな影響力のあったクラーク・クリフォード、1973年までCIA長官だったリチャード・ヘルムズらも重要な役割を果たした。 ジミー・カーター政権でCIA長官を務めたスタンスフィールド・ターナーはシャックレーたちをCIAから追放したが、同政権の国家安全保障補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキーはサファリ・クラブのネットワークを使ってアフガニスタンの秘密工作を実行している。 ダイアナは厄介な人物と恋に落ちたわけだが、ダイアナとチャールズ3世の息子であるアンドリュー王子もスキャンダルに巻き込まれている。彼が親しくしていたジェフリー・エプスタインは未成年の女性などを世界の有力者へ提供し、その際の行為を秘密裏に撮影して脅しの材料に使っていた人物。エプスタインは内縁の妻と考えられているギスレイン・マクスウェルやその父親であるロバート・マクスウェルと同じようにイスラエル軍の情報機関(アマン)の下で活動していた。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019)
2022.09.14

アメリカのナンシー・ペロシ下院議長が台湾を強硬訪問したことで台湾周辺の軍事的な緊張が急速に高まっている中、9月11日に沖縄県知事選挙の投開票があり、現職の玉城デニーが再選されたようだ。言うまでもなく、沖縄の軍事基地は台湾情勢と深く結びついている。 玉城は「オール沖縄」が推す人物で、アメリカ軍普天間飛行場を名護市辺野古へ移設させる問題やCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)対策による経済への打撃が争点になったというが、アメリカ軍や自衛隊にとって辺野古より重要な問題は中距離ミサイルの配備だろう。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、日本は1995年2月に「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」が発表されてから日本はアメリカの戦争マシーンへ組み込まれ、自衛隊はアメリカの戦略や方針に従って動くことになった。そうした戦略や方針はアメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が報告書などで明らかにしている。 このシンクタンクが今年出したレポートによると、アメリカはGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようと計画しているのだが、インド太平洋地域でそうしたミサイルの配備を容認する国は日本以外にないという。 しかし、その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備に協力するという形にすることになるとしている。そのASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画のようだ。 アメリカ軍はインド洋から太平洋にかけての海域を一体として対処するため、2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ作り替えた。日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点、インドネシアが領海域をつなぐと拠点としているのだが、インドはアメリカとの距離を置き始めてロシアや中国へ接近して関係を深めている。中国とインドには領土問題があり、両国が軍隊を出して対峙していたが、ここにきて双方とも部隊を引き上げることで合意したと伝えられている。インドネシアもアメリカの思惑通りには動いていない。つまり、インドから太平洋にかけての地域でアメリカに従属しているのは日本だけだ。 この動きと並行して自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設し、19年には奄美大島と宮古島に作り、そして23年には石垣島でも完成させる予定。これらの島にASCMを配備することになるだろう。日本政府は射程距離が1000キロメートル程度のミサイルを開発、艦艇、戦闘機、そして地上から発射できるようにすると読売新聞は伝えている。地上発射の改良型は2024年度にも配備する方針だという。辺野古ではなく、こうしたミサイル配備計画が重要な問題のはずだ。 安倍晋三は首相時代の2015年6月、赤坂にある「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道されている。安倍政権下、着々と対中国戦争の準備が進められていたのだ。 その前、2010年6月に発足した菅直人内閣は閣議決定した尖閣諸島に関する質問主意書の中で「解決すべき領有権の問題は存在しない」と主張、1972年9月に日中共同声明の調印を実現するために田中角栄と周恩来が合意した「棚上げ」を壊した。 この合意で日中両国は日本の実効支配を認め、中国は実力で実効支配の変更を求めないことを決めていたわけで、日本にとって有利。それを壊した理由は日本と中国との関係を悪化させることにあったとしか考えられない。そして同年9月、海上保安庁は尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を取り締まり、漁船の船長を逮捕した。棚上げ合意を尊重すればできない行為だ。 その時に国土交通大臣だった前原誠司はその月のうちに外務大臣になり、10月には衆議院安全保障委員会で「棚上げ論について中国と合意したという事実はございません」と答えているが、これは事実に反している。 日本はアメリカ、オーストラリア、そしてインドと「Quad」と呼ばれる軍事同盟を結んでいたが、インドは腰が引けているため機能しそうにない。そこでNATOの事務総長を務めるイェンス・ストルテンベルグは「NATO2030」なるプロジェクトを始めると2021年6月に宣言、この年の9月にはアメリカ、イギリス、オーストラリのアングロ・サクソン系3カ国が「AUKUS」という軍事同盟を結んだ。 こうしたアングロ・サクソンの戦略は19世紀から始まり、それをアメリカが引き継いでいる。 イギリスの支配層はロシアの制圧を目指して南コーカサスや中央アジア戦争を19世紀に開始した。いわゆる「グレート・ゲーム」だ。これを進化させ、理論化したのがイギリスの地理学者、ハルフォード・マッキンダー。ユーラシア大陸の周辺部を海軍力で支配し、内陸部を締め上げるという戦略を1904年に「歴史における地理的要件」というタイトルで発表した。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もマッキンダーの理論に基づいている。 マッキンダーの理論はユーラシア大陸の周辺部を海軍力で支配、「三日月帯」を形成し、内陸部をその帯で締め上げ、最終的にはロシアを制圧するというもの。この戦略を成立するためにスエズ運河が大きな意味を持つ。この運河は1869年に完成、75年からイギリス系の会社が所有している。 当時、西アジアを侵略しようとしていたヨーロッパ諸国にとって目障りな国が存在した。オスマン帝国だ。そこでイギリスのマーク・サイクスとフランスのフランソワ・ジョルジュ・ピコが中心になって協定を結んでいる。ヨルダン、イラク南部、クウェートなどペルシャ湾西岸の石油地帯をイギリスが、またトルコ東南部、イラク北部、シリア、レバノンをフランスが支配する取り決めだ。 協定が結ばれた翌月にイギリスはオスマン帝国を分解するためにアラブ人の反乱を支援し始める。工作の中心的な役割を果たしたのはイギリス外務省のアラブ局。そこにはサイクスやトーマス・ロレンスも所属していた。「アラビアのロレンス」とも呼ばれている、あのロレンスだ。 ロレンスが接触していたフセイン・イブン・アリにイギリスのエジプト駐在弁務官だったヘンリー・マクマホンは書簡を出し、その中でイギリスはアラブ人居住地の独立を支持すると約束している。フセイン・マクマホン協定だ。このイブン・アリを追い出したイブン・サウドを中心として1932年に作られた国がサウジアラビアだ。 その一方、イギリスのアーサー・バルフォア外相はロスチャイルド卿に宛てに出した書簡の中で、「イギリス政府はパレスチナにユダヤ人の民族的郷土を設立することに賛成する」と約束している。1917年11月のことである。なお、この書簡を実際に書いたのはアルフレッド・ミルナーだと言われている。シオニストはパレスチナに住むアラブ人を虐殺し、1948年にイスラエルの建国を宣言した。 三日月帯の東端にあり、中国侵略の拠点として最適な場所にあり、侵略用戦闘員の供給源としても有望な日本への工作もイギリスやアメリカはアヘン戦争の後に行なっている。そして出来上がった明治政権は1872年に琉球を併合、さらに台湾へ派兵、江華島事件を引き起こし、日清戦争、日露戦争と突き進む。その背後にイギリスやアメリカが存在していたことは本ブログで繰り返し書いてきた。明治時代と似たことをアングロ・サクソンと日本は繰り返そうとしている。
2022.09.13
アメリカの軍や情報機関はさまざまな形でウクライナ軍を支援してきたが、そのひとつが情報。ウクライナ軍の情報機関で副長官を務めるバディム・スキビツキーは8月の段階で西側から衛星写真も受け取っているほか、情報収集活動しているロシアのスパイを排除するために米英は追跡しているとしていたが、ドンバス(ドネツクやルガンスク)への反撃を前に、そうした情報の提供が強化されているという。 2月24日にロシア軍はウクライナの航空基地やアメリカ軍の生物兵器研究開発施設を攻撃しはじめ、ドンバスを占領していたキエフ政権の親衛隊は壊滅状態になり、ウクライナの軍や親衛隊は大きなダメージを受けて軍事訓練が不十分な新兵を使わざるをえない状態になっていると言われていた。 しかし、アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターによると、ロシア軍が軍事作戦を遂行中、相当数の兵士をNATOは訓練、最新兵器を扱えるようにしていたが、その部隊は温存していた。その部隊に兵器や情報を提供するだけでなく、NATOが作戦を指揮する態勢を整えていたという。 親衛隊の中核を形成していたネオ・ナチは2014年2月のクーデターより前からNATOの訓練を受けていた。より大規模な訓練を行なっていた可能性がある。温存されていた部隊がここにきて投入されているようだ。 NATOはソ連が消滅した直後から旧ソ連圏での活動を活発化させている。昨年11月からバレリー・ザルジニー軍最高司令官の顧問を務めているドミトロ・ヤロシュはネオ・ナチの幹部で、「三叉戟」を中心に「右派セクター」を編成した人物。ドロボビチ教育大学の学生だった時に知り合ったワシル・イワニシン教授がOUN-B人脈のひとりだったことからネオ・ナチ人脈に組み込まれた。 KUN(ウクライナ・ナショナリスト会議)の指導者グループに属していたイワニシンが2007年に死亡するとヤロシュが後継者になり、同時にNATOの秘密部隊ネットワークに参加したと言われている。その当時、アメリカのNATO大使を務めていた人物がクーデターを指揮することになるビクトリア・ヌランドだ。 NATOの秘密部隊ネットワークもジェドバラ(本ブログでは繰り返し説明してきた組織なので、今回は説明を割愛する)の流れで、中枢にはイギリスやアメリカの情報機関が存在、シティやウォール街を拠点とする巨大資本の利権に反する存在を破壊してきた。1960年代から80年代にかけ、極左を装って爆弾テロを繰り返したイタリアのグラディオは特に有名だ。このネットワークがチリで1973年9月11日に軍事クーデター指揮したオーグスト・ピノチェトにつながっていることも知られている。 リッターの情報が正しいなら、ウクライナでの戦闘はNATO対ロシアという様相が強まるだろう。イギリスの首相に就任したリズ・トラスやドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は有権者の意思を無視してロシアとの戦争に突き進む姿勢を明確にしている。このふたりを操っている勢力はNATOも操っている。 2014年のクーデター後、アメリカ/NATOは内務省に親衛隊を組織するだけでなくCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部の作戦に参加した。2015年からCIAはウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練し始めたとも伝えられている。 2月以降、ウクライナではアメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)、イギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)、さらにポーランドの正規軍やシリアのアル・タンフにあるアメリカ軍の基地で訓練を受けたダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)の兵士が戦闘に参加しているようだ。NATOは世界中から傭兵を集めてくるつもりだろう。 勿論、アメリカ/NATOのこうした動きをロシアは熟知していたはずだ。ロシア軍はウクライナ南部でオデッサを視野に入れた作戦を展開しているが、それに対し、アメリカ/NATOはドンバスの北部、クプヤンシクやイジュムを攻撃している。オデッサ攻略にブレーキをかけるつもりかもしれない。。 この地域におけるロシア/ドンバス軍の戦力が弱いことはアメリカ/NATOだけでなくロシア側もわかっていたはず。この地域への攻撃が始まった直後、事前に攻撃を知っていたロシア/ドンバス軍は無駄な損害を避けるために撤退したと伝えられていた。それが正しいなら、進撃の速さを説明できる。近日中に新しい動きが出てくる可能性がある。
2022.09.12
イギリスのエリザベス2世女王が9月8日に死亡した。この国はアフリカ、西アジア、南アジア、東アジアを植民地化、中国を侵略するために日本で明治維新を仕掛け、第2次世界大戦ではソ連を倒そうとして失敗している。イギリスのエリートは19世紀からロシアの制圧を目指し、ユーラシア大陸の周辺部を支配、内陸部を締め上げるという長期戦略を持っている。その戦略を踏襲したのがアメリカのエリートだ。 第2次世界大戦後、世界はアメリカを中心に動き始める。そのアメリカが世界を支配する暴力装置として破壊活動を実行する組織が編成されたが、その教師役はイギリスの情報機関や特殊部隊だった。 アメリカの破壊活動は大戦の終盤、1944年に組織された「ジェドバラ」が始まりだと言えるだろう。1941年6月にソ連へ攻め込んだドイツ軍は42年1月にモスクワで降伏、43年1月にはスターリングラードで降伏して戦争の趨勢は決した。 こうした展開を見て慌てたイギリスはアメリカと話し合い、1943年7月にシチリア島上陸作戦を行う。ハリウッド映画で有名なノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからだ。その1944年にジェドバラが組織されたわけだが、その目的はドイツ軍と戦っていたレジスタンスに対抗することにあった。レジスタンスの主力がコミュニストだったからである。 1945年4月にフランクリン・ルーズベルト米大統領が急死、5月にドイツが降伏。ウィンストン・チャーチル英首相はすぐにソ連への奇襲攻撃を計画、JPS(合同作戦本部)に対して作戦を立案を命令、5月22日には「アンシンカブル作戦」が提出された。 その作戦によると、攻撃を始めるのは1945年7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。この作戦が発動しなかったのは、参謀本部が5月31日に計画を拒否したからである。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) イギリスの戦略に同調するアメリカ人エリートは少なくなかったが、民主主義を尊重する雰囲気は今より強かった。そうした中、登場したのがジョン・F・ケネディだが、1963年11月22日に暗殺され、私的権力は主導権を奪い返した。この出来事が歴史の節目だったことは間違いない。 そして1973年9月11日、チリのサルバドール・アジェンデ政権が軍事クーデターで倒された。クーデターを指揮したのはオーグスト・ピノチェトだが、その背後ではCIAの破壊工作(テロ)部門が暗躍、その部門に命令していたのはリチャード・ニクソン大統領の国家安全保障補佐官を務めていたヘンリー・キッシンジャーだ。 このクーデターはふたつのことをもたらした。ひとつは自立した民主的な政権を倒してアメリカの私的権力が持っていた利権を守ったこと。もうひとつは労働者から基本的な権利を奪い、富をアメリカの私的権力やその手先へ集中させる新自由主義を世界で初めて導入したということだ。その上でイギリスのマーガレット・サッチャー政権が自国に新自由主義を導入している。彼女はフリードリッヒ・ハイエクと親しかった。 そして2001年の9月11日。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された。世界貿易センターへの攻撃ではノースタワーとサウスタワー、そして7号館(ソロモン・ブラザース・ビル)が爆破解体されたかのように倒壊している。アメリカ支配層の好戦派はそのショックを利用して国外での侵略戦争と国内での収容所化を進めた。 ノースタワーが攻撃されたのはこれが初めてではない。1993年2月に地下2階にあった駐車場が爆破されているのだ。その爆破でコンクリートの床が破壊され、4階層に渡って幅30メートルの穴が空いたのだが、それでもビルはびくともしなかった。それほど強固な建造物だということだ。 その爆破事件を受け、1994年から2000年にかけてACEエレベーターという会社がWTCのエレベーター・システムを改良、96年から2000年にかけては新しい治安システムを導入するための工事が実施されている。その間に「何か」が仕掛けられてもわからないだろう。 新しいシステムを設計、建設のためにサウジアラビアと関係が深い4社が雇われたが、その選定にあたったのはクロル・アソシエイツ。CIAやイスラエルの情報機関モサドと緊密な関係にあり、ウォール街のCIAと呼ばれてきた会社だ。(George W. Grundy, “Death of a Nation,” Skyhorse, 2017) WTCの治安を担当することになったストラテセク社は1996年から2000年にかけて新しいビルの治安システムを導入するための工事を実施した。1993年から2000年にかけてマービン・ブッシュがこの会社の重役を務めているが、この人物はジョージ・W・ブッシュの弟だ。 また、サウス・タワーの90階、そして94から97階のフロアーにオフィスがあったフィデュシアリー・トラストで働いていたスコット・フォーブスによると、攻撃直前の9月8日から9日にかけて動力が落ちたという。50階から上は電力の供給がなくなり、監視カメラやドアのセキュリティ・ロックも機能していない。この故障を修理するために多くの技術者が荷物を携えてタワーに出入りしていたという。この情報をフォーブスは9/11委員会を含む各方面に手紙で知らせたが、無視されたという。(前掲書) ドナルド・トランプは2019年6月、ABCのジョージ・ステファノポラスからインタビューを受けているが、その中で2001年9月11日の攻撃について、「イラクは世界貿易センターを崩壊させなかった。イラクではなかった。ほかの連中だ。その連中が誰なのかを私はわかっていると思っている。あなたもそうかもしれない。」と語っている。もし9/11に関する機密文書をトランプが持ち出していたなら、誰かを脅すことができるかもしれない。 2001年当時、オサマ・ビン・ラディンは肉体的に戦闘を指揮できる状態ではなかった。フランスのル・フィガロ紙によると、その年の7月4日から14日にかけて彼はドバイのアメリカン病院に入院しているのだ。彼は腎臓病を患い、人工透析を必要としていた。 ドバイの病院でビン・ラディンを治療していたのはアメリカ人医師のテリー・キャラウェイで、入院中にサウジアラビアのトゥルキ・アル・ファイサル総合情報庁長官やCIAエージェントのラリー・ミッチェルが見舞っているという。 CBSニュースは2002年1月、パキスタンの情報機関(ISI)の情報として、オサマ・ビン・ラディンは2001年9月10日にパキスタンのラワルピンディにある軍の病院へ入院、透析を受けていると伝えた。 攻撃直後、そのオサマ・ビン・ラディンは世界貿易センターやペンタゴンへの攻撃に関与していないと語っている。
2022.09.11
アメリカのアンソニー・ブリンケン国務長官が9月8日、ウクライナを突如訪問、ロイド・オースチン国防長官はドイツのアメリカ空軍基地で同盟国とウクライナへの支援について話し合っていた。イギリスのボリス・ジョンソン首相(2019年7月から22年9月)は4月9日と8月24日にキエフを訪問、ロシアと戦い続けろとウォロディミル・ゼレンスキー政権に命じているが、それと連動した動きだろう。 ウクライナでの戦闘は2014年2月22日にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したところから始まる。ヤヌコビッチの支持基盤で、住民の多くがロシア語を話し、ロシア文化圏にある東部や南部で反クーデターの抵抗が始まったのである。 南部のクリミアでは住民投票を経てロシアの保護下に入ったが、動きが遅れたオデッサでは反クーデター派の住民がネオ・ナチの集団に虐殺されて今も占領されている。そして東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では戦闘が始まった。この時、ロシアは表立った動きを見せていない。 オバマ大統領はロシアとの関係を極限まで悪化させてドナルド・トランプへ引き継ぎ、その一方でネオコンはCIA、FBI、司法省、そして有力メディアやシリコンバレーのハイテク企業と連携してロシアとの関係修復を掲げていたトランプ大統領を攻撃した。そうした中ででっち上げられたのが「ロシアゲート」である。 トランプは1期で大統領の座から降り、オバマ政権で副大統領を務めていたジョー・バイデンが大統領に就任、ロシアや中国へ経済的、あるいは軍事的な圧力を加えていく。ロシアに対する軍事的な挑発は大統領に就任して間もない頃から開始している。 そして今年2月22日にロシアのウラジミル・プーチン大統領はドンバスの独立を承認、2月24日にロシア軍はウクライナを巡航ミサイルなどに対する攻撃を開始、航空基地やアメリカ軍の生物兵器研究開発施設が攻撃されたと言われている。 その直前、2月19日にウクライナの政治家であるオレグ・ツァロフは緊急アピール「大虐殺が準備されている」を発表し、キエフ政権の軍や親衛隊はドンバスを制圧し、自分たちに従わない住民、つまりクーデター体制を拒否している人びとを「浄化」しようとしていると警告している。CIAの下部機関と化しているSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。 ロシア軍はミサイル攻撃の直後からウクライナ側の文書を回収し始めるが、ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将が3月7日に行なった会見で、ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると発表しているが、これはアメリカ大使館も認めていた。 それ自体問題だが、ロシア国防省によると、その研究施設では鳥、コウモリ、爬虫類の病原体を扱う予定があり、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。 その後ロシア国防省が発表したスライドによると、アメリカの民主党が病原体研究の思想的な支柱だと指摘、その思想を実体化させる役割を負っているのが国防総省やCDC(疾病予防管理センター)を含む政府機関だという。 資金はアメリカの予算からも出ているが、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、クリントン財団、ハンター・バイデンのロズモント・セネカ・パートナーズ、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ロックフェラー財団、エコヘルス同盟などもスポンサーだ。 そのほか、生物兵器の研究開発システムにはアメリカ大使館、国防総省の契約企業であるメタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、スカイマウント・メディカル、そしてCH2Mヒルなど、またファイザー、モデルナ、メルク、ギリアドを含む医薬品会社が組み込まれ、ドイツやポーランドも関係しているという。 アメリカの上院外交委員会では3月8日、アメリカの上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官がウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について語っている。 マルコ・ルビオ上院議員の質問を受け、兵器クラスの危険な病原体がロシア軍に押収されるかもしれないと語ったのだ。ルビオ議員が期待したような回答ではなく、ウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかったのだ。 ウクライナの施設でコロナウイルスの研究も行なっていた可能性が高く、野鳥を利用して病原体をロシアへ撒こうとしていたとのではないかと推測する人もいる。ロシア政府はそれを疑っていた。 医学誌「ランセット」のCOVID-19担当委員長を務めたジェフリー・サックスは5月19日、SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)は人工的に作られたと指摘、アメリカにおいて独立した透明性のある調査を行う必要性を訴えた。6月に彼はスペインのシンクタンク、GATEセンターでアメリカの研究施設から病原体が漏れ出た可能性を指摘している。サックスはアメリカの支配層に属す人物で、1983年からハーバード大学教授、2002年からコロンビア大学の教授を務めている。 ところで、2月24日から8月3日までにアメリカはウクライナへ443億ドルを支援しているが、ブリンケン長官は今回、新たに22億ドルの提供を約束したという。 そうした支援だけでなく、アメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加していると伝えられているほか、ポーランドの正規軍やシリアのアル・タンフにあるアメリカ軍の基地で訓練を受けたダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)の戦闘員がウクライナへ送り込まれているともいう。アメリカ陸軍第10特殊部隊グループはドイツで訓練の準備を秘密裏に進めているとも言われている。 それに対し、ウクライナへ投入されているロシア軍の戦力は大きくない。バイデン政権がロシアに軍事的な挑発を続ける中、アメリカの有力メディアはロシア領内のウクライナに近い地域に7万人から9万人のロシア軍が集結していると騒いでいたが、その程度でウクライナ全域を制圧することは不可能だ。ロシアの国防大臣はアメリカ/NATO軍がロシアとの国境沿いに4万人の部隊を配置していると指摘、それに対抗してロシア軍は2方面軍と3空挺師団を西側の国境近くへ移動させたと説明していた。 アメリカ主導軍が2003年にイラクを先制攻撃した際、その戦力は合計31万人。これでも少ないと言われていたが、実際、少なかったようだ。イランを攻撃するなら1桁上だとも言われていた。十数万人程度の戦力でウクライナ全域を制圧できるはずはなく、ロシア軍は全面攻撃を計画していないと言われていたのはそのためだ。実際、全面攻撃は行われていない。ウクライナ全域をミサイルや航空戦力で攻撃する能力はあるが、国全体が疲弊しない程度の戦力しか投入せず、それに合わせた作戦を立てている。 それに対し、バイデン政権や米英の私的権力に従属したEUのエリートは窮地に追い込まれている。アメリカでは今年11月に中間選挙が予定されているが、現状では民主党が敗北する。インフレやCOVID-19対策への不満などが大きく、バイデンの再選も難しい。 兵士が隠れる場所が減る冬をロシア軍は待っているという分析もあるが、アメリカなど西側はその前になんとかしたいだろう。ウクライナ軍のバレリー・ザルジニー最高司令官は「限定核戦争」の可能性を口にしているが、その顧問はネオ・ナチでNATOの秘密部隊と結びついているドミトロ・ヤロシュだ。
2022.09.10

FDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は9月2日現在、前の週より191名増えて3万0796名に達した。なお、VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%にすぎないと言われている
2022.09.10

現在、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)対策として何種類かの「ワクチン」が使用されている。いずれも安全性を確認する正規の手順を踏まず、緊急事態だという名目で使われている。最も多く使われているのは2種類の「mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン」で、ひとつはファイザー/BioNTech製、もうひとつはモデルナ製だ。 その2社が新しい「COVID-19ワクチン」を開発、FDA(食品医薬品局)が承認し、CDC(疾病予防管理センター)のロシェル・ワレンスキー長官はファイザー/BioNTech製「ワクチン」を12歳以上の人に、またモデルナ製「ワクチン」を18歳以上の人に追加接種することを推奨すると9月1日に発表、9月6日にはジョー・バイデン大統領がこの件で声明を発表している。新しい「ワクチン」はネズミで実験しただけであり、危険性が増している。 9月6日にはホワイトハウスの対策チームがブリーフィングを行っているのだが、その中でアシシュ・ジャーが神憑った表現を使い、話題になっている。インフルエンザとCOVIDの「ワクチン」を同時に接種できるとした上で、神が人間にふたつの腕を与えたのは片方がインフルエンザのため、もう片方がCOVIDのためだと「本当に信じている」そうだ。 NIAID(国立アレルギー感染症研究所)の所長を1984年から務めてきたアンソニー・ファウチはインフルエンザ・ワクチンと同じように、「COVID-19ワクチン」も毎年接種するようになるかもしれないと語っているが、インフルエンザ・ワクチンにも問題が指摘されてきた。 しかし「COVID-19ワクチン」はそれとは比較にならないほどリスクが高い。接種が始まる前から「ADE(抗体依存性感染増強)」によって免疫の機能が混乱、人間の免疫システムに任せておけば問題にならない微生物でも深刻な病気になると懸念されていた。 接種が本格化した直後から帯状疱疹、⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)、ギラン・バレー症候群による末梢神経の障害が報告されるようになる。2021年4月からイスラエルでは十代の若者を含む人びとの間で心筋に炎症を引き起こす事例が見つかり、CDCのACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)は6月23日、「mRNAワクチン」と「穏やかな」心筋炎との間に関連がありそうだと発表した。日本での接種が本格化する前からこうしたことは知られていたわけだ。 そのほか、ファイザーの副社長を務めていたマイク・イードンと欧州評議会議員会議の健康委員会で委員長を務めるウォルフガング・ウォダルグは早い段階にワクチンの臨床試験を中止するように求める請願をEMA(欧州医薬品庁)へ提出した。女性を不妊にする可能性があると指摘している。 ファイザーやモデルナの「ワクチン」が利用しているmRNA技術ではLNP(脂質ナノ粒子)が使われているが、これは人体に有害だとされている。投与されたLNPは投与された部分のほか肝臓、脾臓、副腎、そして卵巣に分布すると報告されているため、卵子へ何らかの影響が出て不妊になるのではないかと懸念されていた。 ここにきて精子への悪影響も懸念されている。一時的に精子の濃度や運動性が低下するという研究報告があるのだが、ファイザーの内部文書によると、「mRNAワクチン」の成分が皮膚の接触、吸引、性交渉などで人から人へ移動することが懸念され、臨床試験を行なっていた。 「COVID-19ワクチン」の接種が始まる前から精子の減少は深刻化している。WHO(世界保健機関)によると、正常な精子の個数は1ミリリットル当たり1500万個から2億個だが、シャンナ・スワンという学者によると、4000万個以下になると生殖に支障が生じる恐れがある。現在は平均4710万。1世代前は9900万個だったという。原因は不明で、化学物質、ホルモン、遺伝子組み換え作物が疑われているが、最近ではワクチンにも疑惑の目が向けられている。 生活環境の周辺には多くの化学物質が存在している。そうした物質が発生異常や生殖異常の原因ではないかとする仮説が1996年に出版された『奪われし未来』という著作で提示された。その後、「環境ホルモン(内分泌攪乱物質)」という用語が広まる。 この本が書かれた背景には、精子の減少がある。出版後の研究によると、1973年から2011年までの間に西側諸国では1ミリリットル当たりの精子数が52%以上減っているという。総数では59%の減少になる。(Shanna H. Swan with Stacey Colino, “Count Down,” Scribner, 2020) 化学物質が生殖機能にダメージを与えるということは1970年代から現場では知られている。スワンの本によると、1977年当時、殺虫剤の生産工程に2年以上いると子どもを産めなくなるという噂があったと某化学会社の労働者は語っていたという。(前掲書) 実は、日本でも似たようなことが言われていた。測定限度ぎりぎり、おそらく測定不能なほど微量でも生殖機能にダメージを与える化学物質が次々に見つかっていると、某大学で化学を専攻していた大学院生が1976年頃に話していた。 本ブログでは何度か触れたが、WHOとUNICEFが2014年にケニアで接種された破傷風ワクチンを検査したところ、6つのサンプル全てからHCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)抗原が検出されたと現地のカトリック系病院の医師が告発している。集団不妊の実験をしたのではないかと疑われたのだ。この疑惑は公的に否定されたが、疑惑は消えていない。 こうした事態に触発されたのか、2006年に「トゥモロー・ワールド」という映画が公開された。子どもが生まれなくなった社会を描いた作品だが、荒唐無稽な話だとは言えない。精子の減少が早くから話題になっていたのはアメリカだが、その減少が広がっているようだ。喜んでいるのは人口削減主義者だけだろう。
2022.09.10

世界的にインフレが進んでいる。特にエネルギー資源の相場高騰が深刻で、人びとの不満が高まっている。プラハのベンツェスラウス広場では9月3日に早期の選挙を求める集会が開かれ、警察の推計によると、約7万人が集まった。9月25日までに内閣が退陣しないなら、抵抗権の行使を宣言するとしている。 そのプラハでは8月31日から9月2日にかけて「フォーラム2000」の会議が開かれた。主要パートナーのひとつ、アメリカのNED(ナショナル民主主義基金)はCIAが工作資金を流すシステムの一部で、ここから資金はNDI、IRI、CIPE、国際労働連帯アメリカン・センターなどを介して工作のターゲットへ流れていく。 その会合でドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人々を支援する」と発言した。民意など「糞食らえ」だということだが、プラハでの抗議活動を無視できないだろう。 プラハでそうした集会が開かれた最大の理由はエネルギー価格の高騰にある。この高騰はアメリカ政府が仕掛けているロシアに対する経済戦争によって引き起こされていることを理解しているようで、ウクライナでの戦争で中立を宣言し、ウクライナからの難民流入を止めることを要求していた。相場の高騰はアメリカ政府が進めている対ロシア戦争に悪い影響を与え始めたと言える。 アメリカ政府の命令で西側諸国がロシアからの石油や天然ガスの輸入を削減する前、こうした国々はそれらを大量に輸入していたようで、その間は値上がりして当然だが、その時期が過ぎれば下がらなければおかしい。 また、WHO(世界保健機関)が「パンデミック」を宣言した2020年3月11日から世界はロックダウンや「自粛」などで人の行動が制限され、経済活動は麻痺した。大企業は儲かったようだが、社会的に弱い立場の人びとは大きなダメージを受け、中小企業や個人経営の店は経営が悪化して倒産が増え、必然的に失業者やホームレス、そして自殺者が増えた。そうした状態が続いている。エネルギーの使用量も減ったはず。 相場は先物取引で引き上げられていると言われている。アメリカやイギリスの金融資本は1970年代から規制緩和で投機市場を肥大化させる準備を進め、「カジノ経済」を生み出した。 かつて世界は「オイル・ショック」で揺れた。1973年にOPEC(石油輸出国機構)が石油価格を大幅に引き上げたのだが、サウジアラビア国王の腹心で石油鉱物資源相を務めたシェイク・ヤマニによると、この値上げを決めたのはアメリカ。 その年の5月にスウェーデンで開かれた「秘密会議」でアメリカとイギリスの代表が原油価格を400%値上げするように要求したのだ。この会議は1973年5月11日から13日にかけてスウェーデンで開かれたビルダーバーグ・グループの会合だったことが後に判明する。競争原理で相場が決まるわけではない。 ロシアのガスプロムはこれまで天然ガスを長期契約に基づき、安定した価格で供給していたが、天然ガス市場でも投機が大きな影響力を持つようになった。そうした流れは2010年頃から本格化したという。現在、エネルギー相場も投機市場が主導している。ここにきて石油や天然ガスの相場が下がっているが、そうすることも難しくはない。 しかし、投機市場も現物の需給関係を無視することはできない。欧米は事前に石油のストックを増やしていたようだが、ロシア産の石油や天然ガスの供給が止まり続けたなら現物が枯渇し、投機市場の操作も難しくなるだろう。ロシア産天然ガスのEUへの輸送を妨害しているのはアメリカやその従属国だ。 ガスプロムは「ノードストリーム1」による輸送を8月31日から完全に停止させたが、修理のために取り外してカナダへ送ったコンプレッサーの装置がアメリカ政府の「制裁」で戻ってこないからだとされている。9月5日、クレムリンの広報官を務めるドミトリ・ペスコフはアメリカが「制裁」をやめるまで輸送を止めている技術的な問題は続くと述べたが、ウラジミル・プーチン大統領は9月7日、タービンが戻ってくれは明日にでも輸送を再開できると語った。 問題を引き起こしているのは欧米だと主張したわけだ。その欧米ではベアボック独外相やリズ・トラス英首相らが民意を無視して強行突破しようとしているが、成功するようには思えない。
2022.09.09
アメリカはウクライナの民主的に成立した政権を2014年2月にネオ・ナチを使ったクーデターで倒し、同じ年に香港でイギリスと共同で反中国運動を仕掛けている。最近では台湾周辺で軍事的な緊張を高めている。その際、アメリカ政府だけでなく西側のメディアは侵略や挑発を正当化するため、「民主主義」や「人権」といったタグをつけていた。民主主義の押し売りをしているわけではない。 日本とアメリカは「民主主義という共通の価値観」を持っていると反射的に言う人もいるが、日本とアメリカが行ってきたことを振り返るならば、そうしたことが言えるはずがない。アメリカは民主的に成立した政権を暗殺、クーデター、あるいは軍事侵略で破壊してきた国だ。その侵略を正当化するため、「民主主義国」を装っている。 アメリカは世界を股にかけて侵略を続け、民主的に選ばれた政権が犠牲になってきた。リンドン・ジョンソン政権が始めたベトナム戦争でアメリカは侵略国としてのイメージが付いたが、少なくともメディアの世界では、それが消し去られている。そうした工作が本格化するのはロナルド・レーガン政権になってからだ。 1981年にレーガンが大統領に就任、その翌年にはCIAのプロパガンダ担当オフィサーだったウォルター・レイモンドなる人物がNSC(国家安全保障会議)のスタッフになり、イメージ戦争が開始された。(Robert Parry, “Secrecy & Privilege”, The Media Consortium, 2004) 1982年6月にレーガン大統領は「プロジェクト・デモクラシー」という用語を公の席で初めて使ったが、このプロジェクトの目的が民主主義を広めることにあると錯覚してはならない。 この「デモクラシー」は本来の民主主義と全く関係がなく、アメリカを支配する巨大資本にとって都合の悪い国家、つまり民主主義的な国や体制を「民主主義」というタグを掲げながら崩壊させることがプロジェクトの趣旨。国内での作戦は「プロジェクト・トゥルース」と名づけられた。 1983年1月にレーガン大統領はNSDD(国家安全保障決定指示)77に署名、プロジェクトの中枢機関としてSPG(特別計画グループ)をNSCに設置した。ここが心理戦の中心になる。(Robert Parry, “Secrecy & Privilege”, The Media Consortium, 2004) プロジェクト・デモクラシーについて、1983年5月17日付けのウォール・ストリート・ジャーナル紙はアメリカがソ連に対して「思想の戦争」を始めたと報じているが、思想と言うよりイメージの戦争だと言うべきだろう。 現在のアメリカという国は先住の「アメリカ・インディアン」を虐殺し、土地や資源を奪うところからスタートしている。そして植民地が建設されていった。イスラエルの「建国」で虐殺され、土地を奪われたアラブ人を「パレスチナ人」と呼ぶひとつの理由はその歴史を忘れないためだろう。同じように「アメリカ・インディアン」という名称を使い続けるべきだと考える人もいる。 次第にイギリスと植民地が対立、1775年にはイギリス軍と植民地軍が軍事衝突した。植民地側は1776年に独立を宣言し、83年のパリで調印された和平条約で独立は確定した。ジョージ・ワシントンが初代大統領に選ばれたのは1789年のことだ。 この戦いは「独立戦争」、あるいは「独立革命」と呼ばれ、イギリスの「帝国主義者」とアメリカの「民主主義者」との戦いという構図を描き、植民地側の指導者を神聖視する人が今でもいるが、その構図の中にアメリカ・インディアンや奴隷は描かれていない。 奴隷はアフリカ系だという印象を持つ人は少なくないだろうが、実際は違う。ヨーロッパ系やアジア系もいる。過酷な南部の綿花栽培で使われた奴隷がアフリカ系だったので目立つというだけのことだ。奴隷には「年期奉公」や「召使い」という形で西インド諸島や北アメリカへ連れてこられた人も含まれていた。「白人年期奴隷」という表現もある。 イギリスではオリバー・クロムウェルが率いる軍隊の侵略で多くのアイルランド人が虐殺され、相当数の人がアメリカへ連れて行かれたことも忘れてはならない。ピューリタン革命を成功させたクロムウェルは革命の仲間だった水平派を弾圧、それと並行してアイルランドやスコットランドを侵略、住民を虐殺したのだ。 クロムウェルの軍隊によってアイルランドでは50万人以上が殺され、一部は「年季奉公」や「召使い」として売られたと言われている。この当時、イギリスでは人身売買が行われ、「誘拐屋」も存在、1740年の飢饉では多くの人が売られ、誘拐されたとも言われている。(川北稔著『民衆の大英帝国』岩波書店、1990年) 同じ奴隷として白人奴隷と黒人奴隷が手を組むこともあり、1663年にはバージニアのグルセスター軍で白人年期奴隷と黒人奴隷が反乱を企てている。これは密告によって失敗した(藤永茂著『アメリカン・ドリームという悪夢』三交社、2010年)が、こうした団結は支配階級にとって危険であり、「人種差別」はひとつの解決策だったのかもしれない。「労働者の団結」も支配層は恐れ、人種のほか「性差別」が強調される。勿論、人種や性の問題がないわけではないが、それらに人びとの意識を集中させている。 アヘン戦争の後、中国からイギリスの植民地などへ運ばれた「苦力」も一種の奴隷だと言えるだろう。運ばれた先にはアメリカも含まれ、大陸横断鉄道の建設にも従事させられた。そうした中国人の多くは騙されたり誘拐されて苦力なったと言われている。 その間もアメリカ・インディアンは虐殺され、1864年には講和を結ぶためにコロラドのフォート・リオンへ向かう途中のシャイエン族約700名がサンド・クリークで約750名のアメリカ兵に襲撃され、老若男女を問わず、全体の6割から7割が虐殺されている。この出来事に基づいて「ソルジャー・ブルー」というタイトルの映画が1969年に制作されている。1890年12月にはサウスダコタのウンデッド・ニー・クリークにいたスー族を騎兵隊が襲撃し、150名から300名が虐殺された。虐殺を正当化するため、ある種の人びとは先住の民は悪魔の創造物だと主張、ある種の人びとは劣等な種だと主張している。これが「自由と民主主義」を掲げる「正義の国」の実態にほかならない。 1904年にアメリカのセントルイスでオリンピックが開催されているが、その際、並行して「万国博覧会」も開かれた。1903年までアメリカの民族学局に所属していたウィリアム・マギーは「特別オリンピック」を企画、人種の序列を示している。トップは北ヨーロッパの人びとで、最下位はアメリカ・インディアンだ。アパッチ族のジェロニモが「展示」されたのもその時である。(Alfred W. McCoy, “To Govern The Globe,” Haymarket Books, 2021) 19世紀にイギリスでは優生学が広がり始め、アングロ・サクソンが最も優秀な人種だとされた。チャールズ・ダーウィンの従兄弟であるフランシス・ゴルトンが祖だとされているが、ハーバート・スペンサーは適者生存を主張、優生学はアメリカの支配層に広まり、カーネギー財団、ロックフェラー財団、そしてマリー・ハリマンらの支援を受け、優生学に基づく法律も作られた。 優生学の信奉者はアングロ・サクソン系、ドイツ系、北方系人種が優秀だと主張、劣等な種を「淘汰」するべきだと考える。そうした考えに引き寄せられたのがアドルフ・ヒトラーをはじめとするナチスであり、ウクライナのネオ・ナチもその神話を信奉している。アメリカが民主主義国だという妄想はいい加減、捨て去るべきだろう。
2022.09.08
ロシアのエネルギー会社ガスプロムは「ノードストリーム1」のメンテナンスのためだとして、EUへの天然ガス輸送を減少させ、8月31日には完全に停止した。コンプレッサーの装置をシーメンスが修理のために取り外し、カナダで修理して戻そうとしたところ、アメリカ政府の「制裁」で戻せなくなったのだ。その後、ロシア側は油漏れを理由にして輸送を再開していない。そして9月5日、クレムリンの広報官を務めるドミトリ・ペスコフはアメリカが「制裁」をやめるまで輸送を止めている技術的な問題は続くと述べた。 この決定をアメリカやイギリスの政府は歓迎しているだろう。ロシアからの天然ガスの輸送が停止したことでEU社会は厳しい状況に陥ると見られているが、そうした状況をアメリカやイギリスの政府は望んでいるのだ。 ウクライナの内戦は2014年2月のクーデターから始まったが、そのクーデターをアメリカのバラク・オバマ政権が実行したひとつの理由はロシアからEUへ天然ガスを運ぶパイプラインがウクライナを通過していたからだ。ロシアからEUというマーケットを奪い、EUからロシアという供給源を奪うことで両者を疲弊させ、米英、つまりアングロ・サクソンが世界の覇者になるという長期戦略を達成しようとしたのだ。 それに対し、EUとロシアはウクライナを迂回するパイプラインを建設した。そのひとつがバルト海を通るノードストリーム1。このパイプラインは2011年11月に開通している。 それと同時にガスプロムはロイヤル・ダッチ・シェルと共同で「ノードストリーム2」の建設を2015年6月に始めた。アメリカ政府は建設を執拗に妨害、建設に携わる会社は「制裁」の対象にするが、ロシアの天然ガスをドイツは放棄しない。ドイツとの関係を決定的に壊すことを避けるため、ジョー・バイデン政権はノード・ストリーム2の建設を認めざるをえなくなる。そして2021年9月にパイプラインは完成した。 しかし、今年2月24日にロシア軍はウクライナに対する軍事作戦を開始、アメリカ政府の圧力でEUは新パイプラインの稼働を断念している。この決定でEUのエネルギー不足は不可避になったが、アメリカはノードストリーム1も止めさせようともしていた。 エネルギー、食糧、通貨は世界支配の3本柱と言われている。 かつて、アメリカの支配層はOPECを利用してエネルギーを支配していたが、ロシアやベネズエラといったアメリカに従属しない国の存在感が強まった。そうした流れを変え、再びアメリカがエネルギーの支配者になろうとしている。 アメリカは食糧の分野でも大きな影響力を持っているのだが、その耕作地帯であるノースダコタ州、アイオワ州、イリノイ州、ミネソタ州などで干魃が深刻化していると伝えられているが、アメリカの農業は地下水に依存しているという問題もある。 グレートプレーンズ(大平原)の地下にはオガララ帯水層があり、この水がこの穀倉地帯を支えてきたが、その水位の低下は深刻。しかもシェール・ガスやシェール・オイルの開発に伴う水汚染も問題になっている。当然、水が枯渇すれば農業生産は不可能になる。そうした状況の中、アメリカ最大の農耕地所有者になったのがビル・ゲイツであり、欧米の巨大資本はウクライナの耕作地を買収しているとも言われている。 第2次世界大戦後、アメリカで発行されるドルが世界の基軸通貨として扱われてきた。アメリカの金融資本が通貨を支配してきたのだが、それをロシアや中国が揺るがしている。この両国はすでにドルでの決済を止め始めているが、その渦にインド、イラン、サウジアラビアなども巻き込まれ、その渦は大きくなりそうだ。アメリカはロシアをSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除するなどして抵抗中だが、すでにロシアはSWIFTに替わるSPFSを稼働させている。 アメリカのドル体制は石油取引と密接に結びついてきた。ドルを発行するだけならインフレになり、破綻してしまうため、ドルを実社会から回収する仕組みが作られた。そのひとつがペトロダラー。石油取引の決済をドルに限定し、それをアメリカへ還流するようにOPECを説得、その代償として国の防衛や支配層の地位と富を保障している。また金融規制を大幅に緩和させて投機市場を肥大化させることでドルを吸収してきた。 エネルギー資源や通貨システムに対するアメリカの支配力が連動して弱まっている。アメリカ国内の食糧生産も30年以内に破綻する可能性が高い。崩れゆく現在の支配システムに君臨している人びとはこれからも支配者でいるため、死に物狂いだが、欧米は劣勢だ。
2022.09.07
9月5日、リズ・トラスがイギリス保守党の新たな党首に選ばれた。西側では表の最高責任者、例えば大統領や総理大臣が国を動かしているわけでなく、そうした人びとは背後の私的権力に操られているにすぎない。つまり、誰が保守党の党首に選ばれても関係ないようなものだが、誰が選ばれるかで黒幕の政策は推測できる。ボリス・ジョンソンは自分より無能な人物を首相に据えることでカムバックを狙っていると考える人もいるようだ。 トラスは8月23日、バーミンガムで開かれた選挙イベントで地球が破滅させる核戦争について問われたトラスはボタンを押す準備はできていると答えている。正気とは思えない発言だが、彼女は「狂人」を装っているつもりかもしれない。空威張りの「チキン・ホーク」が言いそうな発言だが、核兵器は実際に存在するのであり、ボタンを押せば相手も押す。 トラスは外務大臣でありながら、2月2日にバルト諸国の地理的な位置を勘違いしたことでも知られている。本当に知らなかったのだろう。モスクワでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談した2月10日にはロシア側に対し、ロシア領のボロネジやロストフからロシア軍は撤退しろと脅している。 2月22日にロシアのウラジミル・プーチン大統領がドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認、2月24日にロシア軍はウクライナを巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃を開始、航空基地やアメリカ軍の生物兵器研究開発施設が攻撃されたと言われている。 この研究施設で回収された文書を分析した結果、ロシア政府はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を引き起こすとされるSARSCoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)がウクライナにあるアメリカ軍の施設で作り出されたことを確認したという情報が流れている。 そして2月27日、トラスはロシア軍がウクライナでの軍事作戦を止められなければNATO軍と戦わせることになると発言、プーチン大統領は国防大臣と参謀総長に対し、核兵器部隊を特別戦闘任務につかせるように命令したと伝えられた。NATO軍とロシア軍が軍事衝突すれば核戦争に発展する可能性は小さくない。その準備をするようにプーチンは命じたわけだ。 8月31日から9月2日にかけてプラハで開かれた「フォーラム2000」の会議で、ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人々を支援する」と発言した。主権が国民にあることを否定している。彼女によると、そのウクライナはヨーロッパの自由と平和的秩序を守っているそうで、ドイツは金融面や軍事面から助けるのだという。トラスもベアボックと同じように考えているのだろう。 そのイギリスは日本の近代化と深く結びついている。近代日本は明治維新から始まるとされているが、安藤昌益のような人物を生み出す土壌があった徳川体制を倒した一種のクーデターであり、その黒幕はイギリスやアメリカだった。そうした流れは本ブログでも繰り返し書いてきた。そのクーデターによって天皇制官僚システムが成立。これは天皇を神とするカルト体制だとも言える。 日本にそうした土壌がないという前提に立つ学者は安藤昌益を「謎」と表現、当初は狩野亨吉が創作した架空の人物ではないかと疑っていたという。そうした結論に達した原因はヨーロッパの歴史分析を日本へ機械的に当てはめようとしたことにある。 藤木久志をはじめとする歴史学者も指摘しているが、日本の農民は自衛のために武装、戦争に参加して略奪するということも行っていただけでなく、「刀狩り」後も武装解除されたとは言えない。自衛しなくても安心して生活できるという環境が整った徳川時代に状況は変化したようだが、それでも自立心を失っていないように見える。 その徳川体制が明治維新で崩壊、安藤昌益を生み出した土壌は自由民権運動という形で噴出した。その象徴的な出来事が1884年の「秩父蜂起」だろう。こうした運動は養蚕と関係が深いが、この産業は女性が中心であり、養蚕の盛んな地域は女性の発言力が強かったようだ。そこから「かかあ天下にからっ風」ということばもできた。 そうした自由民権運動を明治体制は徹底的に弾圧するが、その象徴的な人物のひとりが三島通庸だ。この人物の娘は大久保利通の息子である牧野伸顕と結婚、その娘が吉田茂の妻になっている。その娘が結婚した相手が麻生太賀吉で、その息子が麻生太郎だ。牧野伸顕と吉田茂は第2次世界大戦の前から戦後にかけてウォール街人脈につながっている。 明治維新の黒幕だったイギリスは19世紀にアフリカ南部を侵略してダイヤモンドや金をはじめとする資源を略奪して莫大な富を手にし、植民地を拡大していく。その先兵になったセシル・ローズに資金を提供していたのがロスチャイルド家だ。 セシル・ローズは1877年6月にフリーメーソンへ入会、その直後に『信仰告白』を書いているが、その中で彼はアングロ・サクソンを世界で最も高貴な人種だと主張、そのアングロ・サクソンが領土を拡大して大英帝国を繁栄させることは自分たちの義務だとしている。 イギリスは1899年からボーア戦争(南アフリカ戦争)を開始、金やダイヤモンドを産出する南アフリカを制圧する。後に首相となるウィンストン・チャーチルもこの戦争で頭角を現している。 このチャーチルは貴族階級の家に生まれたが、父親のランドルフ・チャーチルは甘やかされて育ったプレーボーイで、46歳のときに梅毒が原因で死亡している。生前、ランドルフはネイサン・ロスチャイルドから多額の借金をしていたことでも知られ、その額は現在の価値に換算すると数百万ポンド、つまり数億円に達したというが、いくらでも借りられたという。ランドルフがロスチャイルドを裏切らない限り、借金は返済する必要がなかったようだ。 その半世紀ほど前の1840年にイギリスは中国(清)の富を奪うためにアヘン戦争を始めた。いわゆる「産業革命」で生産力が上がったイギリスだが、商品が思うように売れない。国内では庶民の貧困化が深刻になった。そこで始めたのが麻薬取引と侵略戦争だ。これが大英帝国の実態だと言えるだろう。 中国より前にイギリスが植民地化していたインドでは1857年に傭兵(セポイ)が武装蜂起、一般のインド人を巻き込んで大反乱になっている。鎮圧されたのは1859年。 その年にアヘンと武器の取り引きで大儲けしていたジャーディン・マセソンは日本へふたりのエージェントを送り込む。ひとりは歴史小説で有名なトーマス・グラバーで、赴任地は長崎。もうひとりはジャーディン・マセソンの創設者一族に属すウィリアム・ケズウィックで、赴任地は横浜だ。 アヘン戦争でイギリスは中国に勝利したが、内陸部を占領するだけの戦力がない。そうした状況の中、大陸への侵略戦争を始めたのが明治政府である。まず1872年に琉球を併合、さらに台湾へ派兵、江華島事件を引き起こし、日清戦争、日露戦争という流れだが、その背後にはイギリスやアメリカが存在していた。 その当時、イギリスでは優生学が広がり始める。チャールズ・ダーウィンの従兄弟であるフランシス・ゴルトンが祖だとされているが、ハーバート・スペンサーは適者生存を主張している。そうした考え方のグループが存在していたというべきだろう。優生学はアメリカの支配層に広まり、カーネギー財団、ロックフェラー財団、そしてマリー・ハリマンらの支援を受け、優生学に基づく法律も作られた。 こうした優生学の信奉者はアングロ・サクソン系、ドイツ系、北方系人種が優秀だと主張、劣等な種を「淘汰」するべきだと考える。そうした考えに引き寄せられたのがアドルフ・ヒトラーをはじめとするナチスである。 こうした思想を持つイギリスの支配者はユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸国を締め上げていくという長期戦略を立てたが、その締め上げる「三日月帯」の東端が日本にほかならない。アメリカ/NATOがウクライナを軍事支援しているのと同じように、明治体制の日本を米英は軍事支援している。 そして現在、アングロ・サクソンはユーラシア大陸の東側で軍事的な動きを活発化させている。 アメリカ軍は2018年5月に「太平洋軍」を「インド・太平洋軍」へ作り替え、日本を太平洋側の拠点、インドを太平洋側の拠点、インドネシアが領海域をつなぐと拠点とした。ところがインドはアメリカとの距離を置き始めてロシアへ接近、インドネシアもアメリカの思惑通りには動いていない。インドから太平洋にかけての地域でアメリカに従属しているのは日本だけだとも言われている。 そこでアメリカはイギリスやオーストラリと2021年9月に「AUKUS」というアングロ・サクソンの軍事同盟を結んだ。日本はアメリカ、オーストラリア、そしてインドと「Quad(クアッド)」と呼ばれる軍事同盟を結んだが、インドは腰が引けていて、機能しそうにないとアメリアは判断したのかもしれない。 アメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が今年出したレポートによると、アメリカはGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようと計画しているのだが、インド太平洋地域でそうしたミサイルの配備を容認する国は日本以外にないという。 自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島に作り、そして23年には石垣島でも完成させる予定だが、この石垣島での施設が完成した直後に地上発射の改良型ミサイルを配備するということになるのだろう。 その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備に協力するという形にするしかない。そのASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画のようだ。 日本政府は射程距離が1000キロメートル程度のミサイルを開発、艦艇、戦闘機、そして地上から発射できるようにすると読売新聞は伝えている。地上発射の改良型は2024年度にも配備する方針だという。 イギリスの新政権はこうした日本周辺の動きとも深く関係することになるだろう。日本は1995年からアメリカの戦争マシーンに組み込まれているが、そのアメリカとイギリスは連携している。
2022.09.06
プラハのベンツェスラウス広場で9月3日に早期の選挙を求める集会が開かれ、警察の推計によると、約7万人が集まった。9月25日までに内閣が退陣しないなら、抵抗権の行使を宣言するとしている。 そうした集会が開かれた最大の理由はエネルギー価格の高騰にある。この高騰はアメリカ政府が仕掛けているロシアに対する経済戦争によって引き起こされていることを理解しているようで、ウクライナでの戦争で中立を宣言し、ウクライナからの難民流入を止めることを要求している。 ウクライナでは2004年から05年にかけて行われた「オレンジ革命」で新自由主義者のビクトル・ユシチェンコが大統領の座を奪い、新自由主義経済が本格的に導入された。国の富は欧米の巨大資本へ流れて行き、その手先になった一握りのウクライナ人が「オリガルヒ」と呼ばれる富豪を生む一方、大多数の庶民は貧困化した。 そこで2010年の大統領選挙で欧米の私的権力に嫌われているビクトル・ヤヌコビッチが勝利するのだが、それに対してアメリカのバラク・オバマ政権は2013年11月にクーデターを始動させ、翌年の2月にはネオ・ナチがヤヌコビッチ政権を暴力的なクーデターで排除して現在の体制ができあがる。 ヤヌコビッチの支持基盤でロシア語を話す住民が多い東部や南部ではこのクーデターが拒否された。クリミアはロシアの保護下に入り、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)では戦闘が始まった。クリミアと同じ南部のオデッサでは反クーデター派の住民がネオ・ナチによって虐殺されている。 クーデター後、ウクライナの経済は破綻状態になるが、その一方で耕作地が西側の巨大資本に奪われていく。アメリカをはじめとする西側の私的権力にとってウクライナはロシアを攻撃するための捨て駒にすぎない。 ロシアとの関係修復を訴えたゼレンスキーにそうした状況を変えてくれることを有権者は期待したが、この人物は西側の支配層と手を組んでいたイゴール・コロモイスキーの手先にすぎなかった。コロモイスキーはウクライナ、キプロス、イスラエルの三重国籍を持つシオニストの富豪だ。 ゼレンスキー政権はアメリカの命令に従い、国の破壊を進めるだけでなく、国民に「玉砕」を求めている。ウクライナ人が自国を見限るのは必然だ。 ウクライナを破滅へ追い込んだアメリカは現在、ヨーロッパの庶民を地獄のような状態へ突き落とそうとしている。EUの幹部などエリート層はアメリカの命令に従っているが、庶民の怒りは爆発しそうだ。
2022.09.05
ザポリージャ原発にIAEA(国際原子力機関)の派遣団が到着、調査を始めたと伝えられている。この発電所は3月中旬からロシア軍の管理下にあり、周辺にはロシア軍の兵士が警備のために配置されている。ウォロディミル・ゼレンスキー政権はその派遣団の原発入りを妨害していたが、失敗した。イランや日本のケースでも明らかなようにIAEAは欧米の私的権力にコントロールされている組織で政治的に動く。その同じ私的権力に操られているゼレンスキー政権だが、それでも外部のチームが原発を調べることを嫌ったわけだ。 ロシア軍の兵士を殺すために原発を攻撃するとゼレンスキー大統領は公言、実際、ウクライナ軍はイギリスで開発された空対地ミサイル「ブリムストーン」や「M777榴弾砲」で原発を攻撃、その原発を制圧するために特殊部隊を派遣したものの、ロシア軍に阻止されている。 ウクライナではアメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)、イギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)、さらにポーランドの正規軍やシリアのアル・タンフにあるアメリカ軍の基地で訓練を受けたダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)の兵士が戦闘に参加しているようだが、戦況を変えることはできていない。 ウクライナ南部の港湾都市ヘルソンではキエフ軍が反撃を試みていたが、失敗に終わったようだ。日本では「ロシア軍の防衛線が崩れた」と宣伝する人もいたが、これはロシア軍のトラップだったようだ。トラップにかかり、降伏するか「玉砕」するしかないと見られている。日本軍を彷彿させる。ロシア政府にはオデッサが視野に入っているだろう。 2月24日にロシア軍がウクライナに対する軍事作戦を始めた直後からゼレンスキー政権の内部にも話し合いで問題を解決しようとする人びとがいた。そうした人びとを暗殺したり逮捕してきたのがCIAの下部機関と化しているSBU(ウクライナ保安庁)や親衛隊だ。 政府の宣伝をするメディアだけが存続を許され、野党は活動できなくなっているが、それだけではない。ルガンスクのボロディミル・ストルク市長は3月1日に誘拐され、拷問された上で胸を撃たれて死亡。3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上でSBUの隊員に射殺され、3月7日にはゴストメル市長だったユーリ・プライリプコの死体が発見された。ウクライナでは11名の市長が行方不明だとも言われている。 SBUのチームによる「国賊狩り」も宣伝されているが、これはウクライナ国民を恐怖させ、命令に従わせることが目的だと見られている。4月21日にはウクライナの南部にあるミコライフ州のビタリー・キム知事が「ウクライナ24テレビ」の番組に登場、「全ての裏切り者を処刑する」と語った。そうした処刑を実行するための秘密部隊を編成、すでに作戦を遂行しているともいう。 戦闘の継続はアメリカ政府やイギリス政府から命令されているが、特にイギリスの動きが目立つ。4月9日にはボリス・ジョンソン英首相がキエフを訪問、ロシアとウクライナとの停戦交渉は止まった。ジョンソンの命令にウクライナ側が従ったと言われている。 8月24日にもジョンソン首相はキエフを訪問、ロシアとの和平交渉を進める時間的な余裕はないと語った。ロシアと戦い続けろと命じたわけだが、すでにウクライナの軍や親衛隊は数十万人が戦死、戦闘の継続が困難になってきたと見る人もいる。 米英の巨大資本はロシアや中国に対して「制裁」と称する経済戦争も仕掛けている。ロシアの収入源であるエネルギー資源の輸出を止めようとしたが、相場の高騰を招いてEUや米英を窮地に追い込んだ。中国のほか日米欧以外の国はアメリカの命令に従わず、ロシアは収入を増やしている。 そこでG7はロシア産石油の輸入価格に上限を設けることで合意したというが、ロシアはパイプラインのメンテナンスで天然ガスの供給量を減らしている。7月にはコンプレッサーの装置をシーメンスがカナダで修理するために取り外し、戻そうとしたところアメリカ政府の「制裁」で戻せなくなったことがある。これはアメリカの政策が原因。 しかし、ロシアがアメリカの攻撃に対抗するため、天然ガスや食糧の供給を止めても不思議ではない。欧米ではロシアがそうした手段を講じてこなかったことを不思議がる人もいる。
2022.09.04

FDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は8月26日現在、前の週より126名増えて3万0605名に達した。なお、VAERSに報告される副作用の件数は全体の1%にすぎないと言われている 重症の急性肺炎を引き起こすということで「COVID-19騒動」が始まったのは2020年だが、その年に日本では「超過死亡者数」が減少している。ところが「COVID-19ワクチン」の接種が始まった2021年からその数が急増、今年はさらに大きく増えている。COVID-19による死亡者数に漏れがあるとする人もいるが、それでは2020年の数値を説明できない。 2020年3月11日にWHO(世界保健機関)はパンデミックを宣言、4月にはWHOだけでなくCDCも、死亡した患者の症状がCOVID-19によるものだと考えて矛盾しないなら死因をCOVID-19として良いとする通達を出している。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員は2020年4月8日にFOXニュースの番組で、病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいると話していた。COVID-19に感染している患者を治療すると病院が受け取れる金額が多くなり、人工呼吸器をつけるとその額は3倍になったともいう。 騒動が始まった直後からCOVID-19が死因とされた患者はどの国でも多くが高齢者で、心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肝臓や腎臓の病気を複数抱えている人が大半だった。ヨーロッパでも「感染者者数」や「死亡者数」が水増しされていると指摘されていた。 例えばイタリアの場合、健康省の科学顧問を務めるウォルター・リッチアルディはCOVID-19を引き起こすとされるSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)を直接的な原因として死亡した人数は死者全体の12%だとし、ビットリオ・スガルビ議員はこのウイルスが原因で死亡したとされる患者のうち96・3%の死因は別に死因があると主張していた。 感染者数を増やすひとつの手段がPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査だ。これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する技術で、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度にすぎない。その遺伝子が存在するかどうかを調べることができるが、定量分析には向かないのだ。 増幅する回数、つまりCt値を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、しかも偽陽性が増えていく。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならないという報告がある。35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されているのだが、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だった。つまり医学的には無意味な検査で、壮大なイリュージョンが世界規模で展開されていたとも言えるだろう。 PCRを利用した診断手順はドイツのウイルス学者、クリスチャン・ドロステンらが2020年1月に発表、WHOはすぐにその手順の採用を決めて広まったが、その当時、単離されたウイルスを使えなかったことをアメリカのCDCは認めている。その時点でSARS-CoV-2の存在が確認されていない。PCRで何を調べていたのだろうか? その後、ドロステンの手順は科学技術的な間違いがあるとする指摘が出されるようになり、2021年1月20日にはWHOでさえ、PCR検査は診断の補助手段だとしている。 CDCは感染の診断に「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」を使っていたが、2021年7月21日、この診断パネルのEUA(緊急使用許可)をその年の12月31日に取り下げると発表した。SARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できないというからだとされている。 カリフォルニア大学、コーネル大学、スタンフォード大学を含む7大学の研究者は2021年5月1日、PCR検査で陽性になった1500サンプルを詳しく調べたところ、実際はインフルエンザウイルスだったと発表していた。 その一方、「COVID-19ワクチン」による副作用は隠されてきた。接種が本格化した直後から帯状疱疹、⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)、ギラン・バレー症候群による末梢神経の障害が報告されるようになり、日本で「ワクチン」の接種が本格化する前の2021年4月からイスラエルでは十代の若者を含む人びとの間で心筋に炎症を引き起こす事例が見つかり、「COVID-19ワクチン」との関係が疑われている。CDCのACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)は6月23日、mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンと「穏やかな」心筋炎との間に関連がありそうだと発表した。 そのほか、「ワクチン」の接種が始まる前から「ADE(抗体依存性感染増強)」が問題になっていた。その結果、人間の免疫システムに任せておけば問題のない微生物で深刻な病気になるということだ。 これとも関係するが、専門家の間では「ブースター」が危険視されている。FDA(食品医薬品局)の科学顧問パネルは16歳以上の人に対するファイザーの「ブースター」接種を、65歳以上を例外として推奨しないと決議しているが、実行されている。 FDAで「ワクチン研究評価室」を室長を務めていたマリオン・グルーバーと生物学的製剤評価研究センターで副センター長を務めてきたフィリップ・クラウスもそうした立場。ふたりも執筆者に名を連ねる報告が9月13日、イギリスの医学誌「ランセット」に掲載された。その中で「COVID-19ワクチン」の追加接種(ブースター)を頻繁に実施することは危険だとしている。グルーバー室長とクラウス副センター長は辞意を表明した。 そもそも「COVID-19ワクチン」自体が危険なのだが、「ブースター」は回数が増えるほど免疫力を低下させていく。接種すればするほど感染しやすくなり、命に関わってくる。東京理科大学の村上康文名誉教授が行った動物実験では7回から8回で全個体がほぼ死滅したとしている。 日本では今年6月、「超過死亡者数」が話題になった。常識的に考えれば「コロナ」以外に原因があるのだが、COVID-19騒動を煽っていた人びとの中には、COVID-19が直接の死因でありながら公式統計に記録されていないと強弁する人もいる。本ブログでも繰り返し書いてきたが、COVID-19では騒動が始まった当時から感染者数と死亡者数の水増し(捏造)が行われてきたのだ。
2022.09.03
第2次世界大戦で日本はポツダム宣言を受諾、1945年9月2日に日本政府全権の重光葵と大本営(日本軍)全権の梅津美治郎がアメリカの軍艦ミズーリ号上で降伏文書に調印して敗北が決まったが、その2年8カ月前にアメリカとイギリスはソ連との戦争を始めている。 ポツダム宣言は無条件降伏を要求していたが、「無条件降伏」という語句が出てきたのは1943年1月。フランクリン・ルーズベルト米大統領とウィンストン・チャーチル英首相がフランスのシャルル・ド・ゴールらとカサブランカで会談した際のことだ。この会談が行われた1943年1月、ソ連に攻め込んでいたドイツ軍の生き残り9万1000名が降伏している。この降伏で事実上、ドイツの敗北は決定した。 世界大戦でドイツ軍と戦った相手は東部のソ連と西部のレジスタンスだけである。1941年5月にアドルフ・ヒトラーの忠実な部下だったルドルフ・ヘスは単身飛行機でスコットランドへ飛んでイギリス政府と何らかの話し合いを持ったが、その翌月にドイツ軍はソ連へ向かって進撃を開始する。バルバロッサ作戦だ。この作戦で東へ向かったドイツ兵は約300万人、西部戦線に残ったドイツ軍は90万人だけだと言われている。 これだけの作戦を実行するためには半年から1年の準備期間が必要だろう。1940年夏から41年初頭から準備を始めていたことが推測できる。その時期、つまり1940年9月7日から41年5月11日にかけてドイツ軍はロンドンを空襲し、4万人から4万3000名のロンドン市民が死亡したという。ドイツ軍によるロンドン空襲は陽動作戦と考えることができる。 その前、1940年5月下旬から6月上旬にかけてイギリス軍とフランス軍34万人がフランスの港町ダンケルクから撤退しているが、その際にアドルフ・ヒトラーは追撃していたドイツ機甲部隊に進撃を停止するように命じている。この命令がなければ英仏軍は退路を断たれていたはずだ。 ソ連の外交官や情報機関は1941年1月の段階でドイツ軍がその年の6月からソ連侵攻作戦を始めるとクレムリンに警告していたが、ヨシフ・スターリンは動かなかった。ロシア革命以降、ソ連軍とドイツ軍の関係は良く、スターリンはその関係を警戒していたとも言われている。 実際、1941年6月にドイツ軍はバルバロッサ作戦を開始、7月にはレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)を包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点まで迫った。 そこでソ連軍は敗北して再び立ち上がることはないと10月3日にアドルフ・ヒトラーはベルリンで語り、またウィンストン・チャーチル英首相の軍事首席補佐官だったヘイスティングス・イスメイは3週間以内にモスクワは陥落すると推測していた。(Susan Butler, “Roosevelt And Stalin,” Alfred A. Knopf, 2015) ところが1942年1月にドイツ軍はモスクワでソ連軍に降伏、ドイツだけでなくイギリスの見通しも狂ったわけである。アメリカが参戦しなくてもヨーロッパではドイツが敗北し、ソ連が勝利することは確定的だった。アメリカの参戦はイギリスのユーラシア大陸東部における利権に関係することになる。日本軍が1941年12月に真珠湾を攻撃したことによって大英帝国は生きながらえたとチャーチルは考えたという。(Nu’man Abd Al-Wahid, “Debunking the Myth of America’s Poodle, Zero Books, 2020) モスクワでの戦いで敗北したドイツ軍は1942年8月にスターリングラード市内へ突入して市街戦が始まる。当初はドイツ軍が優勢に見えたが、11月になるとソ連軍が猛反撃に転じた。ドイツ軍25万人はソ連軍に完全包囲され、1943年1月にドイツ軍は降伏する。ここから米英とソ連の戦争が始まったのである。この戦争を行うためにはドイツが降伏しては困る。そこで「無条件降伏」を米英の支配層は主張しはじめたと見られている。 そして1943年7月に米英両軍はシチリア島上陸作戦を実行、ハリウッド映画で有名なノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからだ。 アメリカとイギリスは共同で動いているが、ルーズベルト米大統領とチャーチル英首相の関係は良くなかった。米英を結びつけていたのはシティとウォール街の関係だ。シティとウォール街、つまり米英金融資本がナチスを資金面から支援していたことは本ブログでも繰り返し書いてきた通りである。ウォール街の大物たちはルーズベルトが大統領選挙で当選した翌年、1933年からクーデターを計画していたことも忘れてはならない。 米英金融資本にとってルーズベルトは目障りな存在だったのだが、そのルーズベルト大統領は1945年4月に急死する。ドイツが降伏したのは5月のことだ。 チャーチルをすぐにソ連への奇襲攻撃を目論み、JPS(合同作戦本部)に対して作戦を立案を命令、5月22日には「アンシンカブル作戦」が提出された。その作戦によると、攻撃を始めるのは1945年7月1日。アメリカ軍64師団、イギリス連邦軍35師団、ポーランド軍4師団、そしてドイツ軍10師団で「第3次世界大戦」を始める想定になっていた。この作戦は発動しなかったのは、参謀本部が5月31日に計画を拒否したからである。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) この作戦を無用にした別の理由が7月16日にニューメキシコ州のトリニティ実験場で実施されたプルトニウム原爆の爆発実験。この実験の成功で原爆製造への道が開け、正規軍による奇襲攻撃の必要がなくなったのである。爆発実験の実施日は当初、7月18日と21日の間とされていたが、ハリー・トルーマン大統領の意向でポツダム会談が始まる前日に行われた。 トリニティでの実験成功を受けてトルーマン大統領は原子爆弾の投下を7月24日に許可。そして26日にアメリカ、イギリス、中国はポツダム宣言を発表、8月6日に広島へウラン型を投下、その3日後に長崎へプルトニウム型を落としている。 原子爆弾の研究開発プロジェクトはマンハッタン計画と呼ばれているが、その計画を統括していた陸軍のレスニー・グルーブス少将(当時)は1944年、同計画に参加していたポーランドの物理学者ジョセフ・ロートブラットに対し、その計画は最初からソ連との対決が意図されていると語ったという。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) 8月6日に広島へ原爆を投下しなければならない理由もあった。1945年2月、クリミアのヤルタ近くで開かれたアメリカ、イギリス、ソ連の首脳による話し合いでソ連の参戦が決まっていたのだ。ドイツが降伏し、ヨーロッパでの戦争が終結してから2カ月から3カ月後にソ連が日本に宣戦布告するという取り決めがあった。 この時のアメリカ大統領はルーズベルト。ソ連が参戦して中国東北部へ軍事侵攻、そのまま居座る事態をトルーマン政権は避けたい。中国を国民党に支配させようとしていたからだ。ソ連に撤退させる「何か」が必要だった。 第2次世界大戦に勝利するという点だけなら、米英両国は沖縄戦も原爆投下も必要なかった。米英金融資本のソ連を倒すという戦略によっていずれも実行されたと言えるだろう。本ブログでも繰り返し書いてきたことだが、ウォール街は1933年から34年にかけてルーズベルトを中心とするニューディール派の政権を倒し、ファシスト体制を樹立するためにクーデターを計画していた。そうした米英の戦略が現在のウクライナへもつながっている。
2022.09.03
8月31日から9月2日にかけてプラハで「フォーラム2000」の会議が開かれている。その中心になっている主要パートナーはチェコ外務省、チェコ、スロバキア、ポーランド、ハンガリーの4カ国が関係したビシェグラド基金、そしてNED(ナショナル民主主義基金)だ。 言うまでもなく、NEDはCIAが工作資金を流すシステムの一部。ここから資金はNDI、IRI、CIPE、国際労働連帯アメリカン・センターなどを介してターゲットへ流れていく。会合でウクライナや台湾の問題が取り上げられるのは必然だろう。 その会合でドイツのアンナレーナ・ベアボック外相は「ドイツの有権者がどのように考えようとも、私はウクライナの人々を支援する」と発言した。2014年2月のクーデター以来、ウクライナは欧米の巨大資本に操られたネオ・ナチの影響下にあるが、彼女によると、そのウクライナはヨーロッパの自由と平和的秩序を守っているそうで、ドイツ国民の意見を無視してドイツは金融面や軍事面から助けるのだという。 ウクライナでの戦闘が始まったのは2014年2月であり、それから8年にわたり、ロシア政府は戦争を回避する努力を重ねてきたが、話し合いでの解決は無理だと嘲笑するアメリカの元政府高官もいた。 昨年から始まったジョー・バイデン政権はバラク・オバマ政権の政策を引き継いでロシアとの全面対決の道を進み、経済戦争だけでなく軍事的な緊張を高める政策を推進、「ルビコンを渡った」のである。バイデン政権は今年3月からドンバス(ドネツクやルガンスク)に対する本格的な攻撃を始めようとしていたと見られている。実際、その前にキエフ側は戦力をドンバスの近くへ集結させ、砲撃も激化させていた。 2月24日にロシア軍が軍事作戦を始めた直後からウクライナが軍事的に勝利することは無理だとわかっていたことからキエフ政権の内部にも話し合いで解決する動きもあったが、CIAの下部機関と化しているSBU(ウクライナ保安庁)はそうした人びとを拘束したり殺害している。それでもベアボックの仲間であるイギリス政府は露骨に戦闘を継続させるために動いている。 ボリス・ジョンソン英首相は4月9日にキエフを訪問して停戦交渉をやめるように命令、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は従ったと言われている。ジョンソン首相は8月24日にもキエフを訪問し、ロシアとの和平交渉を進める時間的な余裕はないと語る。ロシアと戦い続けろと命じたわけだ。 イギリスやドイツの政府はウクライナでの戦乱を口実にしてロシア産天然ガスの輸入を止めようとしているが、この政策でロシアはダメージを受けていない。ダメージを受けているのはEUやアメリカの庶民だ。 現在、ドイツでもエネルギー価格が暴騰、国民の怒りが政府へ向けられている。そうした人びとの怒りをベアボックは無視すると宣言したのだが、エネルギー価格が高騰し始めたのは昨年の夏からだ。 エネルギー相場の暴騰はアメリカとEUの政策に基づくとF・ウィリアム・イングダールは指摘している。2010年にEUは天然ガス相場のルールを変更、アメリカでは16年に法律を変えてシェール・ガスをLNG(液化天然ガス)という形で輸出することを許可、そのための輸出用ターミナルを建設し始め、同じ頃にポーランドやオランダなどのEU諸国は輸入ようのLNGターミナルを建設している。 そうした中、2021年9月にノード・ストリーム2がアメリカ政府の妨害を乗り越えて完成するが、その年にEUがLNGという形で輸入していた天然ガスは全体の20%にすぎず、40%以上はロシアのガスプロムからの輸入だった。そのノード・ストリーム2はロシア軍が軍事作戦を始めたことを口実にして稼働していない。 エネルギーの問題では地中海の東側で発見された天然ガス田も注目されている。イスラエル北部で推定埋蔵量約4500億立方メートルの大規模なガス田を発見したとノーブル・エナジーが発表したのは2010年。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。 この天然ガス田に面した国はリビア、エジプト、パレスチナ、イスラエル、レバノン、シリア、トルコ、ギリシャ。「アラブの春」はこの天然ガスの利権が絡んでいると推測する人もいる。イスラエルを「エネルギー資源国」にしようとしているのではないかというのだ。勿論、その天然ガスの買い手と考えられているのはEUであり、ロシアはライバルということになる。 現在、ドイツ政府の中で最もロシアに対して強硬な姿勢を示しているベアボック外相は「同盟90/緑の党」に所属している。そういうタグのついた政党だというわけだが、そのタグが実態に則しているとは言えないと考える人もいる。タグが同じでも中身が入れ替わっていることは珍しくない。「環境」という衣をかぶっているが、ドイツとロシアの関係を悪化させるために非現実的な政策を推し進めているだけのように見える。 こうした政策の背後には、2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」がある。国連は欧米の私的権力から小さからぬ影響を受けているわけで、こうした政策は私的権力の戦略に基づいていると言えるだろう。彼らが裏で何を考えているかを理解しなければならない。 そのアジェンダによると、「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を特定するためのシステムに記録されていない人びとを管理する必要があるとされ、デジタルIDの導入が進められることになった。2016年5月には国連本部でどのように導入を進めるかが話し合われ、「ID2020」というNGOが設立されている。全人類をコンピュータで集中管理しようというわけだ。 COVID-19騒動が始まって間もなくしてデジタルIDを導入する動きが出てくるが、EUではCOVID-19騒動が起こる前からEU市民向けの「ワクチン・カード/パスポート」を2022年に実現することを予定していた。タイミング良くCOVID-19騒動が始まったとも言える。こうしたデジタルIDは電子的な監視システムやデジタル通貨とリンクされることになるはずだ。 それだけでなく、デジタルIDをマイクロチップ化して皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するという計画をWEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組で語っている。量子コンピュータが実用化されたなら、人間は「端末化」、あるいは「ロボット化」されるのだろう。二酸化炭素、COVID-19、ウクライナの戦乱、台湾での軍事的な緊張、いずれもそこへつながっている。
2022.09.02
ソ連で唯一の大統領だったミハイル・ゴルバチョフが8月30日に死亡したという。ヨシフ・スターリンと対立していたニコライ・ブハーリンを「別の選択肢」として研究していたグループに属し、西側の「民主主義」を無邪気にも信じていた人物でもある。 こうした無邪気さはウラジミル・プーチン時代に入っても残っていたようで、今年6月20日にアメリカのNBCが放送した番組の中でロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は「西側を再び信用することはない」と語った。その段階まで信用していたということであろうが、これは驚きだ。そうした「西側信仰」によってドンバス(ドネツクやルガンスク)でも少なからぬ人びとが西側の手先に殺されている。 ゴルバチョフがソ連で台頭する前、アメリカで支配システムが大きく変化している。ベトナム戦争の敗北を受け、1972年の大統領選挙ではジョン・F・ケネディに近く、戦争反対を明確にしていたジョージ・マクガバン上院議員が民主党の候補者に選ばれて支配層に激震が走る。 マクガバンを潰すため、民主党の内部にはヘンリー・ジャクソン上院議員を中心に反マクガバンのグループができた。CDM(民主党多数派連合)である。ジャクソン議員のオフィスには若い頃のリチャード・パール、ポール・ウォルフォウィッツ、エリオット・エイブラムズ、ダグラス・フェイス、エイブラム・シュルスキーなど後にネオコンの中核グループを形成する人々が在籍していた。 結局、選挙では共和党のリチャード・ニクソンが再選される。ニクソン政権は1972年2月に中国との国交を正常化、中国を唯一の正当な政府と認め、台湾の独立を支持しないと表明する。ベトナムで対中国戦争を継続する意味がなくなったニクソン政権は1973年1月にパリで和平協定に調印した。そしてデタント(緊張緩和)を打ち出す。 マクガバンを潰した勢力はデタントを容認できない。そうした中、発覚したのがウォーターゲート事件である。ニクソンは1974年8月に失脚し、FBIとの関係が深いジェラルド・フォードが副大統領から昇格した。 フォード政権でデタント派は粛清され、好戦派が台頭する。特に重要な意味を持つと考えられているのは国防長官とCIA長官の交代で、国防長官はジェームズ・シュレシンジャーからドナルド・ラムズフェルドへ、CIA長官はウィリアム・コルビーからジョージ・H・W・ブッシュへ交代している。リチャード・チェイニーやポール・ウォルフォウィッツなど後にネオコンと呼ばれるグループも表舞台へ出てきた。粛清を主導したのはラムズフェルドとチェイニーだと言われている。 1976年の選挙ではデイビッド・ロックフェラーとズビグネフ・ブレジンスキーが目をつけたジミー・カーターが勝利、国家安全保障補佐官に就任したブレジンスキーはアフガニスタンへソ連軍を引きずり込む秘密工作を始めた。 1979年7月にアメリカとイスラエルの情報機関に関係していた人びとがエルサレムに集まり、「国際テロリズム」に関する会議を開いている。「国際テロリズム」というタグをソ連につけて攻撃しようというのだ。 この会議にはイスラエルから軍の情報機関で長官を務めた4名を含む多くの軍や情報機関の関係者が参加、アメリカからはジョージ・H・W・ブッシュ元CIA長官(後の大統領)やレイ・クライン元CIA副長官など情報機関の関係者が参加していた。会議の席上、クラインは「テロの原因」を抑圧された人々の怒りでなく、ソ連政府の政策、あるいはその陰謀にあると主張している。 1980年の大統領選挙ではロナルド・レーガンが勝利。この人物はハリウッド時代にFBIへ情報を提供していた。レーガンは1982年の6月7日にローマ教皇庁の図書館で教皇ヨハネ・パウロ2世とふたりきりで50分にわたって会談、同じ時、別の場所でアレキサンダー・ヘイグ国務長官とウィリアム・クラーク国家安全保障補佐官が教皇庁の要人と会っていた。 ヨハネ・パウロ2世の母国はポーランド。教皇になる前、つまり1978年10月までの名前はカロル・ユゼフ・ボイティワだ。ウォーターゲート事件に関する報道で有名になったカール・バーンスタインによると、レーガンと教皇は大半の時間をソ連の東ヨーロッパ支配の問題に費やし、ソ連を早急に解体するための秘密工作を実行することで合意したという。(Carl Bernstein, “The Holy Alliance,” TIME, Feb. 24, 1992) この秘密工作はヨハネ・パウロ2世でなければ実行できなかったであろう。その前の教皇、ヨハネ・パウロ1世は「貧者に寄り添う」というタイプの人物で、1978年8月に選ばれたのだが、翌月に急死している。病死とされているが、その当時から他殺説が噂され、今でも消えていない。ヨハネ・パウロ1世の急死でアメリカの対ソ連工作は動き始めた。 ソ連では1982年11月にレオニード・ブレジネフ書記長が死亡、KGBのトップだったユーリ・アンドロポフが後継者になるのものの、84年2月に腎臓病で死ぬ。その後を継いだコンスタンチン・チェルネンコは1985年3月に心臓病で死亡した。そして登場してくるのがミハイル・ゴルバチョフだ。 実権を握ったゴルバチョフはソ連の「改革」に乗り出し、打ち出したのがペレストロイカ(建て直し)だが、これを考え出したのはKGBの頭脳とも言われ、政治警察局を指揮していたフィリップ・ボブコフだとされている。(F. William Engdahl, “Manifest Destiny,” mine.Books, 2018) このボブコフを含むKGBの幹部はジョージ・H・W・ブッシュをはじめとするCIAのネットワークに買収されていたと言われている。「ハンマー作戦」だ。買収には数百億ドルが投入されたと推測されているが、その資金は旧日本軍が中国で略奪した財宝やナチスがヨーロッパで盗んだ金塊が使われたという。この略奪財宝については本ブログで繰り返し書いているので、今回は詳細を割愛する。 ボブコフのプランに従ってペレストロイカを進めたゴルバチョフは1991年7月にロンドンで開かれた主要7カ国首脳会議に呼び出され、新自由主義の導入、いわゆる「ピノチェト・オプション」を求められたのだが、難色を示す。ソ連で「クーデター未遂」が引き起こされるのはその翌月のことだ。ゴルバチョフに換わって登場してくるのがボリス・エリツィンである。権力を握ったエリツィンはソ連を独断で消滅させてしまった。 西側を支配する私的権力はこうしてソ連を解体し、その富を奪う。略奪はソ連時代から始まり、ゴスバンク(国立中央銀行)に保管されている2000トンから3000トンと推測されていた金塊が「クーデター未遂」の3カ月後には400トン足らずに減少していた。この金塊の行方は不明だと報告した金融調査会社のジュールズ・クロール・アソシエイツはCIAと緊密な関係にある。その後、技術や資源も盗まれていく。 ゴルバチョフやエリツィンが西側で好かれ、ロシアで嫌われている理由はここにある。ロシアを曲がりなりにも再独立させ、略奪の仕組みを壊したウラジミル・プーチンが西側で嫌われているのも当然だろう。
2022.09.01
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