《櫻井ジャーナル》

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2011.09.23
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 今、国連で最大の問題はパレスチナの国連加盟申請だろう。加盟を支持する国が圧倒的に多い中、拒否権を使って阻止すると明言しているアメリカ政府は追い詰められている。

 アメリカ政府がイスラエル支持を鮮明にしている理由を「ユダヤ系社会」に求める人もいるようだが、ユダヤ系市民が他の市民に比べてイスラエル政府の政策に好意的だとは思えない。

 1970年代以降、イスラエル政府を支えているのは「ユダヤ系団体」と結びついている「ネオコン(新保守)」やキリスト教系のカルト、いわゆる「シアコン(神保守)」だ。シアコンは「キリスト教原理主義者」とか「聖書根本主義派」と呼ばれることもある。この勢力と手を組むことでイスラエルではリクードが実権を握ることができた。

 グレース・ハルセルの『核戦争を待望する人びと』(朝日選書、1989年)を読むと,聖書根本主義派の信者数は4000万人だという。核になる「熱心な信者」は30万人程度だとも言われているが、大きな影響力があることは事実。「保守系の草の根運動」と呼ばれている「ティー・パーティ」の中心もシアコンだ。

 この勢力は巨大資本の意向も代弁しているのだが、その一方で新約聖書に書かれている最終戦争を全面核戦争だと信じ、「第三次世界大戦」を夢見ている人もいる。破壊される地球の環境を考えることなど、こうした人びとにとっては何の意味もない。こうした考え方は環境破壊を伴う産業、例えば石油関連企業に好かれる一因になっている。勿論、核戦争を実行する為には原子力産業も必要だ。

 ジョージ・W・ブッシュ大統領を担いでいたのもネオコン/シアコン。2001年9月11日以降、ホワイトハウスで主導権を握った。ブッシュ政権は2003年3月にイラクを先制攻撃してサダム・フセインを排除しているが、これは1990年代にネオコンが描いた青写真の中に含まれていた。

 この青写真ではパレスチナ問題の平和的解決にも消極的な姿勢が明確にされている。パレスチナ側が義務を果たさなければ、つまりイスラエル政府にとって気に入らない言動があれば、1993年の「暫定自治原則宣言(オスロ合意)」には拘束されないとしている。

 ネオコンにとって好都合なことに、合意の当事者だったイスラエルのイツハーク・ラビン首相は1995年に暗殺されている。2000年にはリクードの党首で軍事強硬派として有名なアリエル・シャロンが1000名以上のイスラエル人警官を引き連れ、エルサレムにある「神殿の丘」を訪れ、その場所はイスラエルのものだと宣言した。

 その丘にはイスラムの聖地「岩のドーム」もある。シャロンの言動はイスラム教徒を挑発し、和平の機運を粉砕することが目的だった。そして2006年、イスラエル軍がレバノンやガザに軍事侵攻した一因も、合意を破壊することにあったと見られている。



 そんな国連で野田佳彦首相は、福島第一原発で事故を起こした原子炉の「冷温停止」を年内に達成するという目標を掲げ、南スーダンでの国連平和維持活動にも積極的な姿勢を見せたようだ。

 メルトダウンしている原子炉の冷温停止など意味不明。溶融した燃料棒は床から鋼鉄製の壁を溶かし、コンクリートから地中へと沈み込み、放射性物質は土地だけでなく地下水を伝わって海を汚染している可能性が高い。「冷温停止」などという妄想を振りまく前に、汚染が外部へ広がらないように最大限の努力をすべきなのだ。

 南スーダンの問題はリビアの内戦とも関係している。本ブログでは何度も書いていることだが、イギリス、フランス、アメリカがリビアを攻撃した大きな理由はリビア国内の石油利権とアフリカ中南部の資源利権。リビアのムアンマル・アル・カダフィ政権はアフリカ中南部の自立を支援、欧米の利権を脅かしていたのである。そうした中、中国をはじめとするBRICSがアフリカへの影響力を強めつつあった。アメリカに従属することで中国に対抗、「お零れ」を頂戴しようとしているようにも見える。





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最終更新日  2011.09.23 14:28:18


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