《櫻井ジャーナル》

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2014.08.07
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 現在、世界は核戦争勃発の瀬戸際に立っている。アメリカ政府がロシア政府に対し、服従するか戦争するかと脅していることが原因だ。

 脅せば屈すると考えているようだが、そうした相手ではない。このまま進めば戦争せざるをえなくなる。アメリカとロシアの戦争になれば、核兵器が使われる可能性はきわめて高く、そうなれば人類は死滅だ。

 アメリカ軍は1945年8月6日にウラン235を使った「リトルボーイ」を広島市へ、また9日にはプルトニウム239を利用した「ファット・マン」を長崎市へ投下して多くの人を死傷させた。その年の末までに広島では約14万人、長崎では7万4000人程度が死亡したと言われている。勿論、この数字は熱戦や急性障害の犠牲者にすぎず、晩発性の障害や遺伝的な影響は含まれていない。

 通常、核兵器の威力を表現する場合に「TNT換算」を使う。そこには放射線の晩発性障害や遺伝的影響が含まれていないのだが、とりあえずの比較としてこの表現を使うと、リトルボーイは約15キロトン、ファットマンは約22キロトン。

 それに対し、アメリカのICBM(大陸間弾道ミサイル)で使われている核弾頭W87(ミサイルに12個まで搭載可能)は300キロトン(475キロトンまで可能)、SLBM(潜水艦から発射する)のトライデントII用の核弾頭W88(ミサイルに8個搭載できる)は最大で475キロトン。ミサイル1基あたりに換算すると、それぞれ最大で5700キロトン、3800キロトンで、広島で使われた原爆に比べると、380倍と253倍だ。しかも 配備されている核弾頭数はアメリカが1920発(合計では7315発)、ロシアが1600発(合計では8000発) だという。

 2006年、 フォーリン・アフェアーズ誌に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文 で、アメリカは核兵器のシステムを向上させているのに対し、ロシアの武器は急激に衰え、中国は核兵器の近代化に手間取り、アメリカはロシアと中国の長距離核兵器を第1撃で破壊できるとしていた。

 しかし、衛星の打ち上げをロシアに頼っているのがアメリカの現状。リーバーとプレスの分析が正しかったとしても、すでに過去の遺物なのだが、ネオコン(親イスラエル派)はこの分析が気に入っているようで、今でも適応できると信じているようだ。降り注ぐ放射性物質の影響も考えていない。



 今では米英の属国に成り下がったEUの支配層もそう信じている、あるいは信じたがっている。1999年にNATOがユーゴスラビアを攻撃、国を破壊した際にもロシア軍は動かず、軍事的な優位を確信したのだろうが、その年に「西側」の傀儡だったボリス・エリツィンが失脚、ウラジミル・プーチンの時代になってロシアが再建されていく。

 この現実が「ロシアの富が欲しい」という欲ボケの「西側支配層」には見えず、核戦争へ向かって突き進んでいる。ジェームズ・ディーンが主演した映画「理由なき反抗」の中に「チキンゲーム」という一種の度胸試しのゲームが出てくるが、これをアメリカ政府が一方的に仕掛けている。「馬鹿馬鹿しいからやめろ」と諭すロシア政府をアメリカ政府は怖じ気づいていると解釈、アクセルを踏み込む始末だ。そのアクセルとして使われているのが「西側」のメディア。

 何をしでかすかわからない「狂人」だと相手に思わせれば自分たちの思い通りにできるとリチャード・ニクソンは考え、「狂人理論」と名づけたらしいが、その「戦法」を使っているようにも見える。

 こうした「チキンゲーム」、あるいは「狂人理論」もEUや日本が反対すれば実行できないのだが、反対していない。NSAにスキャンダルを握られているのか、買収されているのかは知らないが、そうした国々の「エリート」は核戦争で人類が死滅することより、自分たちの目先の生活水準を守ることの方が大事なようだ。

 8月6日、平和記念公園では「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」が開かれたが、松井一実市長の「平和宣言」では「集団的自衛権」に触れなかった。安倍晋三首相は「わが国には『核兵器のない世界』を実現していく責務がある」と挨拶したというが、その責務を果たす意思など微塵もないことは明らか。安倍首相はアメリカが突き進む核戦争を支えるために集団的自衛権の行使容認を閣議決定したのだ。

 広島平和記念公園にある「原爆死没者慰霊碑」の中央には石棺があり、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれているが、むなしく響く。1971年以来、43年ぶりに雨の式典になったというが、象徴的な出来事のようにも思える。





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最終更新日  2014.08.07 14:50:35


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