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2015.01.13
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 フランスの週刊紙、シャルリー・エブドが襲撃されたことを利用して反イスラム団体の動きが活発化しているが、そうした中、アメリカの ジョー・リーバーマン前上院議員は「イスラム過激派」に対する地球規模の戦争を呼びかけている

 リーバーマンはネオコン/シオニストとして有名だが、この勢力は1992年に国防総省の内部でポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)を中心として DPG(国防計画指針)の草案 を作成した。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」。ネオコン/シオニストはこのドクトリンに基づいて行動している。

 このドクトリンではアメリカを唯一の超大国と位置づけ、新たなライバルが出現することを阻止するとしている。潜在的なライバルとして意識しているのはヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジア。この草案が作成される前年、 ウォルフォウィッツはシリア、イラン、イラクを5年か10年で殲滅すると語っていた という。これはウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官の話だ。

 ビル・クリントン政権になるとネオコン/シオニストのホワイトハウスでの影響力は低下するが、政府の外では活発に動き、1996年にはイスラエルの新しい戦略をテーマにした文書「決別」を作成している。その中で労働シオニズムを否定、トルコやヨルダンとの友好関係を深めると同時にイラクからサダム・フセインを排除して傀儡政権を樹立して親イスラエル陣営に取り込み、シリアを孤立させるというシナリオを描いていた。

 ネオコン/シオニスト系のシンクタンクPNACは2000年にDPGを発展させる形で報告書「米国防の再構築」を発表、それが01年から始まるジョージ・W・ブッシュ政権が打ち出す政策の基礎になった。

 ブッシュ・ジュニア大統領は当初、「中国脅威論」を叫んでいたが、9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されると中東をターゲットにする。クラークによると、その直後に作成された 攻撃予定国のリストにはイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが載っていた

シーモア・ハーシュはニューヨーカー誌の2007年3月5日号で、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアがシリアとイランの2カ国とレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を開始したと書いている のだが、その3年前にイラクではアル・カイダ系の戦闘集団AQIが活動を開始、06年にはこのAQIが中心になってISIが編成され、IS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)につながる。この戦闘集団はアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの秘密工作で使われている。

 いわゆる「アラブの春」の流れに乗る形で2011年にリビアやシリアでも体制転覆の動きが活発化、その年の春からトルコにある米空軍インシルリク基地ではアメリカの情報機関員や特殊部隊員が、イギリスやフランスの特殊部隊員と共同で反シリア政府軍を訓練、 12年にはヨルダンの北部に設置された秘密基地でアメリカの情報機関や特殊部隊がISの主要メンバー数十人を含む戦闘員を訓練 したと伝えられている。

 アル・カイダ、あるいはISはキリスト教徒など中東の少数派を虐殺するだけでなく、イスラム教徒も攻撃の対象にしてきたが、イスラエルやサウジアラビアへは手を出していない。その背景を暗示する発言を 駐米イスラエル大使だったマイケル・オーレン は退任前の2013年9月にしている。イスラエルはシリアの体制転覆が希望だと彼は明言、バシャール・アル・アサド体制よりアル・カイダの方がましだとエルサレム・ポスト紙のインタビューで語っているのだ。 イスラエルが負傷した反シリア政府軍の兵士を治療 していることも知られている。

 その一方、イスラエルはパレスチナに対する攻撃を続け、破壊と虐殺を繰り返し、国際的な反発が強まっていた。そうした声はヨーロッパの支配層にも影響を及ぼし、例えば、スウェーデンのマルゴット・バルストロム外相は10月30日、同国政府はパレスチナを国家として承認する決定を下したとする声明を出している。

 そのほか、イギリス、スペイン、アイルランドなどの議会が相次いで政府に承認を求める動議を採択、12月2日にはフランス国民議会(下院)がパレスチナを国家として承認するよう政府に求める決議を採択、EUの外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長のフェデリカ・モゲリーニもイスラエルに対し、1967年にイスラエルが軍事侵攻する以前の領土に戻るように求めている。

 ウクライナの体制転覆プロジェクトを成功させるため、ネオ・ナチを使ったクーデターで親米派が市民や警官を狙撃したことに目を瞑るよう、エストニアのウルマス・パエト外相に言ったキャサリン・アシュトンからモゲリーニは11月1日に引き継いだ人物。

 そのほか、昨年7月にはフランスの大手石油会社、トタルのクリストフ・ド・マルジェリ会長兼CEOが石油取引をドルで決済する必要はないと言い切り、その3カ月後にモスクワの飛行場で事故のために死亡、12月6日には フランソワ・オランド仏大統領 ドイツ でも、外務大臣や副首相がロシアを不安定化させる政策に反対すると表明している。

 中東/北アフリカでもウクライナでも、ネオコン/シオニストやイスラエルにとって好ましくない流れができつつあった。リーバーマンはシャルリー・エブド襲撃を利用し、流れを「反イスラム」へ変えたいと願っている。

 イスラエルは自分たちの正当性とパレスチナ人の残虐性を世界の人々や自国民に印象づけるため、「イスラム教徒のテロ行為」を演出することがある。その一例が1985年のアキレ・ラウロ号事件。イスラエルの情報機関ERD(対外関係局)に所属していたアリ・ベン-メナシェによると、イスラエルの情報機関は工作にモハメド・ラディ・アブドゥラなる人物を利用した。

 ラディはヨルダン軍の大佐だったが、パレスチナ難民を追い出すために約5000名の戦闘員をアジュルーンの森で虐殺したことに反発、ロンドンに移住してアンソニー・ピアソンなるイギリス人とビジネスを始めた。この人物はイギリスの特殊部隊SASの元将校で、イスラエルともつながりがあり、ラディはイスラエルの情報機関に取り込まれてしまう。

 イスラエルの命令はラディを介してアブル・アッバスなる人物に伝えられる。アッバスもイスラエルのコントロール下にあったのだが、本人はシチリア島のドンから資金を得ていると思っていた。そのアッバスが編成したチームが客船のアキレ・ラウロ号を襲撃、その際にイスラエル系アメリカ人を殺害、イスラエルにとって格好の宣伝材料になった。





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最終更新日  2015.01.14 05:48:12


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