くれーじーくえいる ぶろぐ

くれーじーくえいる ぶろぐ

2008.06.14
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カテゴリ: 作品色々見聞録
 唐突ながら・・・
 管理人とて一介の健全な野郎故、時にはいわゆる18禁マンガを読もうと思うときだってあります(爆)もっとも、昨今の成人向けマンガ雑誌は青シールで封されて立ち読み不可能になってますし(最後にコンビニで立ち読みしたのって何年前だっけ 笑)、かといってその手の雑誌や単行本を買って読むほどでもないのですが。
 そんな中、星の数ほどいる18禁漫画家の中で管理人が気に入っているのは今の所2人しかいません(笑)一人は陽気婢、もう一人が 田中ユタカ です。
 強○や虐待等といった過激な展開は一切なし、紋切り型過ぎるんじゃないかと思うくらいに男女二人の幸せな恋愛模様(としてのエロ)をメインにした叙情的な作風から "永遠の初体験作家" とまで評されている田中ユタカですが、最近では一般向け分野にも進出し、初の長編作品となった『愛人[AI-REN]』(1999~2001年/ヤングアニマル連載/単行本全5巻)は非常に高い評価を得ていると聞きます。
 管理人は『愛人[AI-REN]』はちょっとだけ読むも結局興味を引かれなかったのですが(苦笑)、最近になって地元のBOOK OFFで田中先生の新しい単行本を見かけ、久々に田中ユタカ熱が上がってきた次第です(笑)
 それが今回取り上げる 『愛しのかな』 (2005年~/Dokiッ!連載中)。『愛人』に続く田中先生の長編作品第2弾となります。


愛しのかな 第1巻


愛しのかな 第2巻  <楽天ブックス/楽天アフィリエイト>

*ストーリー
 突如として仕事と住処を失ってしまった不運な青年・天野大吉。失意の彼はとある街の心霊スポットの噂がある廃墟のような古アパートに流れ着くが、そこで大吉が出会ったのは、かつてこのアパートで自殺した"かな"という名の女性の幽霊だった。お互いに意気投合して惹かれ合った大吉とかなは、古アパートで不思議な同居生活を始める――――――

突如として人生のどん底に落とされ、自殺すら考え始めていた青年が、自殺して幽霊となった女性から「生きてなさい」と励まされ、少しずつ前向きに人生のやり直しに挑み始める。一方、その女性もまた幽霊でありながら青年との触れ合いの中で"生きる"という体験を再構築していく ・・・そんな逆説的めいた展開が印象的な本作。田中先生は『愛人』完結後に体調を崩して3年近く活動停止を余儀なくされていたそうで、そんな作者の実体験が本作にも反映されているのだろうと思います。
 エロ分のほとんどないシリアスなSFストーリーだった『愛人』とは異なり、本作はどこにでもある現代の街の風景の中で描かれる物語で、しかも掲載誌が掲載誌だけにエロ分もふんだん(笑)田中先生の描く美女とエロは適度に濃密だけど暑苦しくない雰囲気なのでお気に入りだったりします。あと、所々にパロディ的なタッチを入れるなど今までの作品とは一味違った作風も感じられます。まぁこの際、幽霊と人間が○○○するという結構よくあるパターンはともかく、幽霊のくせにビール飲んだり物食ったり風呂に入ったり、着られなかったはずの衣服が急に着られるようになったり、出られなかったはずのアパートの外に"愛の奇跡"で出られるようになったりとかいうご都合主義的描写には深くツッコまなくてもいいでしょう(笑)
 ただ、基本的には田中ユタカ作品では定番の男女カップルを中心にしたエロ込みラブコメではあるものの、 背後に張られている伏線は何気に重いものを秘めてもいます。 まず、幽霊であるかなの生前の記憶、そして自殺に至った経緯は今の所まったくの謎。まぁ断片的に要素を小出しにして読者の想像に任せ、最後まで語られない可能性もありますが、個人的には何だか単なる自殺でない何かを秘めている予感がします。
 そして、現世の人間である主人公・大吉と、すでに死んだ存在であるかなの恋人同士という関係は、 所詮はこの世とあの世の住人同士という本来なら相容れない存在同士の繋がりであり、故にいずれ何らかの形で"終わり"がやってくるということ。 それが如何なる形で訪れるのかは今の所まったく予想が付きませんが、いつか訪れるかもしれないその時まで紡がれ続けるであろう二人の様々な物語に重点が置かれるのでしょう。もっとも、2巻後書きでの作者のコメント通りに "結末らしい結末などない" 終わり方になるのかもしれませんが・・・1巻ラスト、瀕死の大吉に自分の"生命の火"を託してかなが消える、という物語の終わり方を敢えてしなかったことは、今後の物語にどんな意味を持ってくるのでしょうか。
 そういえば、人間と幽霊の異種恋愛話では、有名な怪談『牡丹燈籠』の顛末にもあるように"幽霊と交わり続けた人間は精気を失って死ぬ"というのが定番。本作の場合、かなとラブラブバカップルな大吉はふと自分の顔がやつれているのに気付き、病院で診てもらったら医者に「やりすぎ!」と一蹴されてしまうギャグオチになってますが、案外これがギャグオチですまない展開(つまりかなに触れ続けた大吉の生命が本当に危険になる)に発展する可能性もないわけではなく・・・

 あと、田中ユタカ作品は基本的に主人公とヒロインだけがクローズアップされた作品が多いですが、本作ではサブキャラクターもなかなかいい感じを出しています。

 そして、第14話から登場した古アパートの新たな住人、桃生詩子。如何にも田中ユタカ作品の女性キャラらしい大和撫子風の眼鏡美女ですが、大吉と同じく人生のどん底に落っこちてやり直しを始めた境遇らしく、初めての隣人として大吉たちの暮らしに新たな彩りを添えます。ただ、かなが幽霊と知っても笑顔で「すてき♪」と言ってのける辺りにはどこか病的な印象を感じないでもない・・・
 物語的にはサブヒロインといえる詩子ですが、すでに無敵バカップルな大吉とかなにこれからどう絡んでくるのか? 見た感じ、大吉を巡ってかなとドロドロな状況に陥る雰囲気はありませんが(田中ユタカ作品で昼ドラ的な三角関係ネタは今の所見た記憶がない)、どうなることやら。

 掲載誌が掲載誌なので、購入してまで『PLUTO』みたいに連載最新話を追いかける予定はありませんが、久々に物語の行方を追ってみたいマンガに遭遇できました♪


<注:上記アフィリエイトの作品はいずれも18歳未満の方の閲覧に適さない描写が多数含まれています。成人指定にはなっていませんが購読の際はお気を付けください>





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Last updated  2008.06.16 01:49:33
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