くれーじーくえいる ぶろぐ

くれーじーくえいる ぶろぐ

2009.03.05
XML
テーマ: PLUTO(19)
 残すところ今月含めて残り2回となった漫画『PLUTO』(浦沢直樹×手塚治虫)。今月は Act.64『終わりの音の巻』 。

 アトムと"プルートゥ"の対決が終わったのも束の間、トラキア合衆国・エデン国立公園では世界滅亡へのトリガーとなる破局噴火の危機が刻々と迫る。アトムは一人公園の地下深くにあるマグマ溜まりへと飛び込み、そこに潜む"ボラー"の反陽子爆弾を解体せんと試みるが、マグマの強烈な高温の前ではアトムといえども5分で溶けてしまう。だがその時、共に"ボラー"に立ち向かうべく"プルートゥ"が残った左手でアトムを握り締める――――――
 Act.58に続いての登場となった"ボラー"ですが、のっぺらぼうを思わせる目鼻のない丸まっこい姿はどこか原作風ながら、マグマの中で手足を縮こまらせて泣きながらたゆたうその姿は初登場の時と同様に本当に赤子を思わせ、まるで トラキア国に蹂躙された旧ペルシア王国の怨念の権化として火口から誕生しようとしているかのようにも思えます。 呼びかけるアトムを「ボラー!」という叫び声だけで吹っ飛ばす辺りも原作通りですが、原作のボラーのそれが単なる力の誇示なのに対してこちらは駄々をこねて泣き叫ぶ赤子のようでもあり、自我がないにも関わらず人工知能として内包した"ゴジ博士"="アブラー博士"の憎悪の感情によって動物的に反応しているようにも思えます。
 ところで、天馬博士は"ボラー"の強大な力を"惑星改造ロボット"と表していましたが、この辺は原作『鉄腕アトム』に『魔神ガロン』の巨人ガロンがゲスト登場した『アトム対ガロンの巻』(この話ではガロンは手違いで地球に落ちてきた惑星改造ロボットという設定)を彷彿とさせますね。
 人類滅亡の危機を目前にして、どこか達観した態度を見せる天馬博士に対して「貴方は長いこと研究室の中にいすぎた。たまには出ていらっしゃい」と告げ、例え滅ぶとわかっていても行動するのが人間だと断言するお茶の水博士と、トラキア各地で災害が発生して危機的状況に陥りつつあるにも関わらず、国の最高指導者の立場を投げ出して"Dr.ルーズベルト"の奴隷に甘んじてまで自分だけは生き延びようとするアレクサンダー大統領の哀れな姿の巧妙な対比が印象的です。

 さて、泣いても笑っても来月5日、『PLUTO』の物語は終わりを迎えます――――――


"Branch of MOST" までどうぞ(^^)>
*注:ブログよりレビューのアップが遅れる場合があります





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.03.09 09:43:25
コメント(4) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


絶望も希望も人間が生み出す  
都の商売人 さん
ご無沙汰してました、都の商売人です。

いよいよラスト2話となった今回。
一人でボラーに立ち向かおうとしたアトムをプルートゥが援護し、協力して立ち向かう姿が素晴らしいですね!

ちなみに、管理人さんの言われるように、ボラーは原作のイメージを残しながらも、何となく胎児風で、ゴーストバスターズのマシュマロマンを思い出させました!(惑星改造ロボットだったと言う設定は、事前に伏線的にあったものの、私の創作で「ボラーの正体は惑星改造ロボットのガロンだった!」と言うのにも繋がるようで、何となく嬉しかったです)

そして、お茶の水博士が天馬博士に言った言葉として(この辺りうろ覚えですが……)、アトムを作ったものボラー(の元となったゴジ博士)をつくったのもあなただ!……と言う台詞には、原作で「プルートゥ」と「ボラー」の両方を作ったアブーラ博士をイメージしていると共に、「人間は、絶望と希望の両方を生み出すことの出来る存在だ」と言うことを言っているような気がします。

アトムを愛していながらも、一方では嫌っていた天馬博士は、実は手塚治虫自身じゃなかったんじゃないでしょうか?(天馬博士を糾弾するお茶の水博士の容貌が、手塚氏がモデルと言うのも意味深のような……) (2009.03.07 00:34:21)

とりあえずサブタイトルは確認し直した(笑)  
 原作でも科学者としての才能では天馬博士の後塵を拝していたお茶の水博士。『アトム復活の巻』でも天馬博士の協力なしではアトムを修理できず頭を抱える姿が印象的でした。『PLUTO』においても天才たる天馬博士に対してお茶の水博士はどこか一歩引いて接している印象がありましたが、今回は冷徹を装う天馬博士に初めて正面から相対したという感じです。そういえば、『アトム復活の巻』との連作である『メラニン一族の巻』のラストでも、当初「いずれはロボットが人間を支配する」と考えていた天馬博士がメラニン一族を巡る事件を通じて優しい心を取り戻したアトムの姿を見て考えを改めるに至り、お茶の水博士が彼に「ロボットと人間は理解し合える」と語っていたのを思い出しました。 (2009.03.09 18:51:39)

あれ? もう終わり?  
HK さん
前回はゲジヒトの過去エピソードがあったので、今後4~5回かけてボラーとの最終決戦をじっくり描いてくれるものだと期待していたのですが、いきなり最終回ですか。
面白い漫画であることは間違いないのですが、「ロボット同士の戦闘アクション」という面で見ると原作ほどではなかったように思います。まあ、原作を読んだのは小学生のころですから思い出が美化されているという可能性もありますけどね。
やっぱり浦沢漫画の売りは人情話、人間ドラマということでしょうか。 (2009.03.10 21:08:45)

尺が短いのは同意する  
 管理人としても、鳴り物入りで始まった話題作のラストにしては少々急ぎすぎというか尺が足りない感はあります。まさか単行本第8集で加筆があったりとかはないだろうなと危惧しつつ・・・(苦笑) (2009.03.17 20:06:09)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Profile

ブラック・タロン

ブラック・タロン

Calendar

Comments

名無し@ Re[2]:ファイル43/風の名はアムネジア(02/10) ブラック・タロンさんへ 全く何も分からな…
坂東太郎G @ Re:コッペパンの思ひ出(07/13) 今回こちらのtitleです。 もしよろしかっ…
名無し@ Re:ファイル30/身の程知らずの挽歌(11/01) マーサの名前がナタリーに変わったのは「…
背番号のないエース0829 @ デパート 「沖縄りうぼう・SNOOPY」に、上記の内容…
uraevmor@ cheap viagra iq ej viagra generic viagra pills <a hre…
mrxpfmor@ cheap viagra cz pt buy viagra buy viagra <a href=&quo…
vyhczmor@ viagra online kl xx cheap viagra buy viagra <a href=&q…
cvbgkmor@ buy viagra xc kv viagra 100mg viagra online <a href…
btewdmor@ viagra generic zz rm viagra online cheap viagra <a href…
http://buycialisky.com/@ Re:PLUTO広告キタ━━━(・∀・)━━━!!!!(03/31) melange cialis and viagracialis v viagr…

Archives

2026.10
2026.09
2026.08
2026.07
2026.06
2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: