わたしは価値を創る

わたしは価値を創る

March 28, 2010
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カテゴリ: 小説の話
■百田尚樹の小説です。文庫本で上下巻。関空のツタヤで購入して、一気読みしてしまいました。とにかく面白い。実に面白い小説です。

■「ボックス」とはボクシングの命令形だそうです。「ファイト!」と同じ意味ですね。

これは題名の通り、ボクシングを扱った小説です。しかも珍しい大阪の高校ボクシング部を舞台にしています。

だからこの小説は、よくできたボクシング小説であると同時に、高校生の成長物語でもあります。迫力と爽快感、喪失感と満足感を共に味わうことができます。

■この小説の面白さは、主に3つ。

1つは、ストーリーテリングの巧みさです。一度読み出すと止められません。

1つは、ボクシングシーンの迫力ある描写です。手に汗にぎるという感覚を味わうことが出来ます。

1つは、ボクシングに関する豊富な情報量です。単純な歴史や技術や練習に関する薀蓄だけではなく、高校ボクシングの特徴やその内容までが分かりやすく提示されます。

この作者は、相当、誠実にこの小説を書いたのだということが分かります。



1人は高校の女性教師。不良に絡まれた時に、ボクシング部の生徒に助けられ、それがきっかけで、部の顧問になります。ボクシングに関しては全く素人の女性なので、読者は彼女の視点から高校ボクシングの知識を得ることができます。

もう1人はひ弱な優等生。いじめられた経験があり、強くなりたいとボクシング部に入部します。彼の視点から、読者は、ボクシングの基本的な練習方法や基本技術を知ることになります。

■主人公は、この優等生の幼馴染であり、また女性教師を助けた本人である少年です。彼は、並外れたボクシングの才能を持ちながら、才人ゆえの脆さも同時に持つ存在です。

この少年が「モンスター」と呼ばれる超高校級の強敵に挑戦するプロセスが、この小説の最大の軸となります。

天才肌の少年は、精神的な弱さも同時に抱えており、一筋縄ではいきません。何度も挫折を繰りかえしながら、強敵に向かっていきます。

■同時にいじめられっこだった少年が徐々に才能を開花させていき、一人のボクサーとなっていく姿も感動的です。

彼は、女性教師への想いや、幼馴染への憧れを胸に抱えながら、最後には主人公を脅かすような存在となっていきます。

彼と、主人公と、モンスター。この3つ巴の戦いが終盤に繰り広げられるので、最後を読むまで眠れませんでした^^

■もちろん、ボクシング部員や、昔名選手だった指導者の先生、ボクシングジムの老トレーナーなど脇を固める人物のこともよく描かれています。

■それに、素晴らしいのは、最後に描かれる短いエピローグです。

本当にあっさりと、彼ら登場人物たちがその後どういう人生を送っているかが、提示されるのですが、まるで「アメリカン・グラフティ」のラストシーンのような喪失感と達成感を味わうことができます。



■いやあ、いい小説ですよ。一度、読んでみてください。





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Last updated  March 28, 2010 12:22:29 PM
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