CHINAず~五輪を目指す北京のヨシナシゴト

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独特の教育制度「自考」



1・自考とは何か
 正式名称「高等教育自学考試制度」
 「自習者が受験する学歴を得ることを目的とした高等教育国家試験」で受験人数、学歴などによらず受験することが出来る試験。大学と同じように様々な専攻があって(2004年現在116個)それぞれに10~15ほどの受験科目が設定されている。各科目ごとに受験でき、合格すれば単位を得られ、一定の単位数に達すれば、大学の卒業証書と同等の証書を受けることが出来る。
 仕組みとしては、「税理士試験」のようなやり方。北京では年2回4月と10月に試験が行われ、5年以内に規定単位をとる必要がある。地方では4回受けられるところが多い。
 1980年10月29日 高等教育自学考試制度が始まる。当時は2つの専攻しかなかった。目的は「文化大革命のため遅れていた高等教育の発展のため」。文革当時、大学教育はストップし、知識青年(勉強が大好きな青年たち)は勉強をさせてもらえず、地方の農村などへ派遣され(下放という)農作業に従事させられた。
 以後、これまでに570万人が受験している。

2・自考の特長
・大学に通っていないにも関らず学歴が取得できる(高校を出てすぐに働きはじめた人、専科<日本でいう短大のような2年制の大学>の卒業者で本科<4年制>の学歴を欲する人にとっては、有難い制度)
・学生は専攻さえ選べば、あとは自宅で自分の好きな時間に学習する。よって値段も安い(受験料は一科目500円足らず。教科書も一冊300円~500円くらいである)
・大学に比べて「入りやすいが出にくい」つまり、試験自体の難易度はかなり高い。
・国家が認めた学歴であり、留学時にも、外国の大学に対して学歴を認められる
・大学院への入学も可能

3・試験概要
 4月・10月に一回ずつの試験(例:2005年はちなみに4月16、17日と10月29日、30日に行われた。
⇒午前と午後にそれぞれ2科目ずつ。よって理論上は、毎試験で8科目ずつ受験できる

4・どのような試験か(日本語専攻を例にして)
<要求される力>単語力10000以上、そのうち自由に6000以上の単語を使用できる。聞く、話す、読む、書く、翻訳する・・の能力が必要とされる
<合格条件>規定の11課程全てに合格し、合計57単位を取得した上、卒業論文が合格すること

科目:毛沢東思想概論、マルクス主義政治経済学原理、第二外国語(英・露・仏・独)、高級日本語一、二、日本語文法、日本語文学、日本語翻訳、古代漢語、日本語通訳、卒業論文


5・その他の専攻
・会計、金融、貿易、教育、広告、心理学、コンピューター、法律、英語、新聞学など100以上の専攻に渡っている

6・本科と専科(それぞれの専攻に、この2種類の資格がある)
本科:4年制大学と同等の卒業資格が得られる。難易度はかなり高い
専科’2年制<日本で言う短大>と同等の卒業資格が得られる。本科に比べてやや難易度は低い

7・卒業証書について
卒業証書はそれぞれの大学から発行される。例えば、外国語専攻の自考に合格すれば北京外国語大学によって。文学系ならば北京大学から・・などなど。つまりその大学に通わなくても、一流の大学の名前が入った卒業証書を手にすることが出来る。

8・最近の傾向について
「自考」とはいうものの、最近は、自習ではなく、そのための予備校を各大学が設けており、そこに週末などを利用して通って、取得する人たちが多い。就職の際の学歴主義は日本以上に徹底しており、それだけにこの自考を受ける人は年々増え続けている。特に、地方ではいまだ大学進学率がそれほど高くなく、経済的事情等で進学をあきらめた人たちが働きながら、学士の資格を目指すということが多い。
中国にはこれに加えて「成年高考」というものがある。高考とは日本のセンター試験のようなもので、成年が受験する大学入試である。合格すれば、もちろん大学生と鳴り4年間大学に通うことになる。中国の人たちは、自分に適した手段を選択することになる。


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