バスケには2種類の残分表示がある。1つは電光掲示板のデジタルタイマーである。これは文字通り残分を秒単位(場合によっては0.1秒単位)で表示される。
それとは別に手動の得点板にも掲示される残分表示がある。得点と得点の間の数字がこれに当たる。これは「最低~分は残っていますよ。」という意味の表示である。
例えば#35で彩子が「さあのこりは9分よ!!」と言う時、得点板には「68 8 66」とある。真ん中の「8」は「最低8分は残っていますよ」という意味なのだ。彩子の発言から考えるとまだ残り9分を切って間もないぐらいなのだろう。それでも「8」と表示されるのだ。激しい試合の中で時間を確認するには「最低~分残ってる」ということが一瞬で判断できるこの表示は「使える」のである。具体的にはこうなる。
試合開始時:「20」
~残り19分:「19」
~残り18分:「18」
・
・
・
~残り2分:「2」
~残り1分:「1」
~残り30秒:「1/2」
~残り15秒:「1/4」
~ゲームセット:「0」
つまり残り15秒を切ったら「0」になるのだ。これが「NO TIME」と言われる由縁だ。
流川が3Pを決めてついに1点差に追いついた湘北。盛り上がる応援席。
その時、時計は11時20分である。かなりハッキリと描かれている。
良い機会なのでここで時間の経過を振り返ってみようか。
10:10 秘密兵器花道が陵南ベンチへセンドーを探しに来る。(#26)
(ちなみに寝坊した仙道がやってきたのもこの時間だ)
10:20 TIP OFF直前。晴子・藤井・松井がギリギリ到着。(#27)
10:20 仙道のナイスアシストで越野がレイアップ。(#27)
(↑微妙に20分にはなってない)
10:50 負傷した赤木と交代した花道が仙道に気付かずすれ違う。(#34)
(既に後半で残分は8分以上9分未満である)
11:20 流川が一点差に迫る値千金の3Pシュートを決める。(残り40秒)(#46)
花道の交代の時点で「前半20分+ハーフタイム(最低でも10分はあるだろう)+後半(最低でも)12分」の計42分は経過していないとつじつまが合わないのだ。しかし時計は30分しか進んでいない。
さらにバスケはファウル、バイオレーション、選手交代、タイムアウトの度に時計は止まる。通常はタイマーの経過時間×1.2~1.5ぐらいが実際の試合時間だろう。だとすると、なおさらつじつまが合わないのだ。
さらに奇妙なことに花道が交代してから、流川の3Pシュートまでに30分も経過している。この間最大でも「8分20秒」程度しかタイマーは進んでいないにもかかわらず、時計は「30分」も進んでいるのだ。「前半+ハーフタイム+後半残り9分頃」と「後半9分頃~残り40秒」の実際の経過時間が同じなどということがあるだろうか?
陵南の体育館の時計は単に遅れているとか進んでいるとかいった時限ではなく、妙な動き方をしているようだ。
勝負どころでいちかばちかの賭けに出た赤木にパスカットされてしまう越野。赤木のないスカットといえばそれまでだろう。たまたまギャンブルが成功したに過ぎないと言えなくもない。
しかしよく見てみようではないか。魚住はミドルポス辺りにいる。そして赤木が越野のパスをカットしたのは3Pラインより外なのだ。つまり越野が植草にパスをする一瞬前には赤木は魚住を完全にフリーにしていたはずなのだ。確かに、一点差の緊迫した場面ではあったが、越野の視野の広さには疑問があると言わざるを得ない。
しかも越野は「勝った…」と心の中でつぶやき、ノールックパスに近い視線でパスを出している。試合終盤の大切な場面で、しかも外でボールを回していればいいこの場面で、ノールックパスをする必要などがどこにあろう?
視野の狭さといい、確実性を重んじない考え方といい、越野のガードとしての資質を疑うことも可能だろう。しかし越野も2年生にして強豪陵南のスタメンに名を連ねるほどの選手だ。今回は「勝った…」という慢心が生み出したプレイだったと評価するべきなのかもしれない。
このパスカットのショックもあったのだろうか、越野は赤木の流川へのパスをハンズアップすることもなく見送っている。さらに花道より前にいたにもかかわらずハリバックを怠り、花道に逆転レイアップを許しているのだ。仙道の逆転シュートが無ければ、田岡監督に怒鳴られるのは避けられなかっただろう。
安西先生は流川に対して「君はまだ仙道君に及ばない」と言った。安西先生の真意は「君はまだ『周りを活かすこと、また周りを活かすことは自分をより活かすことにもつながること』を知らない」という意味だったのだろう。しかし、それ以外の点ではどうだろう?
流川のダブルクラッチ、シュートフェイクからのパスには無理な体勢の動きが多い。(各シーンで触れることになると思う)しかし、仙道の最後の逆転ダブルクラッチは実に自然な動きだ。左手に持ちかえるのが理にかなっている。右手から左手に持ち帰ると手を動かすだけでボールを大きく動かす事ができるのだ。これを右手でシュートするとボールを動かせる範囲が狭くなる。相手は右手のシュートを読んで守っている訳だから、なおさら大きく動かないと交わしきれないのだ。上半身を含めた派手なダブルクラッチにならざるを得ないだろう。そのためには屈強な腹筋力・背筋力が必要になるし、もちろん疲労も大きくなる。
流川にはそれをこなせるだけの身体的能力がある。天賦の才といっていいだろう。しかし、もっと楽にプレイすることだってできる。
仙道のダブルクラッチを見てみよう。動かしているのは左手だけだ。持ち替えた左手で「ひょい」っと決めるだけなのである。動きが自然だし、無駄が無い。
こういう部分は意識すればいくらでも改善する部分である。ただ意識しなくても、「自然とできる選手」はいるものなのだ。運動能力は流川の方が上かもしれないが、「運動神経」「バスケセンス」は仙道の方が上と言えそうだ。無論、「現時点では」の話である。
例えるなら流川は若い頃のジョーダンであり、仙道はジョーダンのプレイが洗練されてきた頃である。
晴子のセリフを借りて井上雄彦さんは「さいきんのバッシュはかくのが大変そうねー」とぼやく。しかしこの時から既に何年も経過して、バッシュはドンドン複雑になっている。根強く人気のあるチエコスポーツだけど、膨大な数のバッシュを描く労力を思うと、もう登場することはないかも。
花道同じフラれシーン「ゴメンなさい」「ズッコーン」で登場した宮城リョータ。「他に好きな人がいる」という理由も花道と似てる。
驚くべき事に宮城は「高校入って10人目…(一年余の間に…)」にフラれたのだ。
桜木の「中学3年間でゴメンなさい50人」には及ばないが、驚異的なペースといえる。
上の10人に彩子は含まれていないようだ。(∵#54)
彩子がまったく相手してくれなかったとしても、宮城が他の女の子と付き合おうと考えはじめたのはそんなに早い時期ではなかったはずだ。通常なら夏休み前後にそういった心境の変化が訪れるものだ。(いや…僕のハナシとかじゃなくてあくまで一般論ね…σ(^^;))それを考えると10人にフラれた期間は実際は1年未満の可能性が強い。あのペースで行けば花道の記録を更新するのも夢ではなかったかもしれない。
たびたび話題にしてる「試合中にいなくなった奴」。いくら探しても彼はみつからないのだ。陵南との練習試合ではベンチのシーンがたびたび描かれているが、全く登場してこない。石井は「試合中」と言っているが、石井が気がつかなかっただけで本当は「試合開始前」にいなくなったのかもしれない。
それにしても彼はなぜ試合中にいなくなったのだろうか?可能性としては2つほど考えられるだろうか。
練習試合前の猛練習で「バスケ部でやっていけるのかなぁ…」と自信を失っていたところに強豪陵南の雰囲気を体験してしまい、一気に自信を喪失してしまった。「やっぱりついていけない…」と失意とともに、逃げ出したくなってしまい、本当に逃げ出した。
一生懸命練習し、それなりにアピールしていたつもりなのに自分より下手な(少なくとも自分はそう思ってる)「石井or桑田」がユニフォームをもらったことに深くプライドが傷ついて、耐え切れずに逃げ出してしまった。怒りと屈辱が入り混じった複雑な心境だっただろう。
リョータはSD初登場時に両耳にピアスをしているようだ。「ピアス」では「彩子」と片耳ずつピアスをしていたが。今後の宮城のピアスに注目してみたい。
赤木の発言から「地区予選」と「県大会」があることがわかる。彩子のセリフからは「200を越えるチーム」があることがわかる。
去年の結果をここでまとめておこうか。
優勝:海南、準優勝:翔陽、3位:陵南・武里、
湘北は陵南相手に県大会1回戦負け(仙道に47点を許し、100点ゲームでボロ負け)
あくまで「県大会1回戦負け」なのである。「地区予選」ではないのか?
宮城自身のセリフからフルネームが初披露される。「宮城リョータ」である。カタカナ。どうやら漢字はないようだ。カタカナの名前は許されているのだろうか?
彩子が花道とつきあってると勘違いした宮城はいきなり花道になぐりかかる。意表をついたとはいえ花道を一撃で転倒させる。なかなかのパンチ力である。さらに跳び蹴りで花道を花壇にふっ飛ばしているのだ。体重差を考えると驚異的とすらいえる。
しかも花道の反撃「頭突き」を食らった直後にも、花道が投げた堀田をひらりとかわしているのだ。屈強な桜木軍団、青田をも一撃で静めた花道の頭突きを受けてなおこの身のこなし。かなりタフである。(単なる石頭かも…)
とにかく宮城のケンカ指数はかなり高いことだけは間違いない。
宮城と花道が1on1をしている時、赤木は部室で練習着に着替えの途中だった。なぜか赤木は2コマに渡って「ブリーフ姿」で登場してくる。少年マンガでは何の脈絡も無くいきなり女の子の着替えシーン、水着シーンが登場するのはよくある話だ。あだち充さんなどは本編と全く関係の無い水着の扉絵のオンパレード。まあ読者のニーズに応えるということなんだろうか…作者の趣味という気もしないではないが…
話を戻して「女の子の着替えシーン」なら理解できるにしても何の脈絡も無く「赤木のブリーフ姿」が登場するのはいまいち理解できない。あのシーンで赤木がブリーフ姿でなければならない必然性は全く無い。制服のボタンに手をかけるシーンでも何の問題も無さそうだ。単に井上雄彦さんが赤木の半裸体を描きたかっただけなんだろうか?
宮城は「高校でもバスケを続けるかどうか迷ってたんだ 最初な」と言っている。しかし宮城は「安西先生がいるから」という理由で田岡監督の誘いを断って、湘北に入学しているのだ。(#150)これは一体?
おそらく田岡の誘いを断ってから、湘北に入学する頃の間に何か心境の変化があったのだろう。具体的にはどんな心境の変化が?
宮城は身長が168cmしかない。常識的には「バスケ選手としては高校レベルが限界か…」という身長だ。もちろん大学、実業団レベルでのプレイも不可能ではない。ここで言いたいのは「この身長じゃ高校が限界かな…」と思いがちだということだ。
宮城も身長のことでバスケを続けるかどうか悩んでいたのではないだろうか?続けたとしてもモノになるかどうかわからないバスケに高校3年間を賭けるというのは思い切った選択だ。ピアスや服装などから推察するに宮城は生活に外部的刺激を求めるタイプだ。女の子と交際したり、若者の集う場所に繰り出したり、そういった「普通の高校生の放課後」にも惹かれていたに違いない。身長がモノをいうバスケットボールというスポーツにおいて「進学」はバスケをあきらめるきっかけになりやすいものだ。
この頃から宮城の右耳からピアスが姿を消す。左耳のピアスはそのままだ。今後も見守ろう。
放課後の湘北にバイクでやってきた不良は6人(バイク4台)。校門から入ってくるシーンでわかる。野間がやられたときも「6対1」だった。そしてこの6人には湘北の不良は含まれていないはずだ。「バスケ部の体育館」の場所がわからなかったのだから。
さらに三井、堀田、堀田の子分(メガネのヤツ)の3人が加わって9人で体育館に向かう。
水戸とすれ違った時点で確認できるのは7人しかいないが、水戸を3人が別の場所に連れて行って、残りの6人が体育館に現れたので人数的には合ってる。
となると気になることがあるんだが…それはまたその箇所で書きませう…
3対1の状況でも、見事3人を倒した洋平。カッコよく決めゼリフを・・・
「言っただろ バカ野郎…ザコはどいてろよ」
ん?言っただろ?いつ言ったんだろ?もしかして#2で花道を呼び出しに来た堀田のメガネの手下に言った「ザコはどいてろ」のことかな?水戸も記憶力がいいなぁ。(^^;
花道が「コラァ!!人がみがいた床を!」と叫ぶ後ろでリョータの右耳にピアスがキラーン♪


