ランド一家+α

ランド一家+α

クロノスの世界


■第一話■


賢者バナッハ
「遠い昔、この大陸には三名の神様がいたと伝えられています。'ラピス'・'エクシリス'・'コエリス'という名を持った彼らは、美しさを高い価値し、平和を愛する神々でした。クロノス大陸を自分達の手の形から取って作ったことも、彼らの美しいその姿を人間たちに分けてやろうと思ったからなのだね。

この三名の神々は各々巨大な玉(ビーズ)を持っていましたが、長兄である'ラピス'は火を。二番目である'エクシリス'は水を。そして末弟'コエリス'は稲妻をその中に持っていました。'ラピス'は暖かい愛を大陸に振り撤き、'エクシリス'は冷静さ、理性を授けて下さった。そして活動的な'コエリス'は時に人に痛い目を見せるために稲妻を使いました。

長きに渡り、大陸の人々は美しいクロノス大陸で幸せに暮すことができました。彼らが見ていた人間たちは穏やかで善良だったし、彼らを尊敬して崇拜していたからでした。大陸には美しい香りが溢れ、この香りは三級神'アカシック'の息づかいに乗って海の向こうまで行きました。

このように平和と美しさで満ちていたクロノス大陸にある日、招かれざる客がやってきました。彼は果てしない欲心を持ったはるか遠い異邦の神'マクアペル'と言いました。'アカシック'の息づかいに乗って渡って来た美しい香りに惹かれてクロノス大陸にまで来た彼がクロノス大陸を見てどのように感じたのか?前述したように、彼は果てしない欲心を持った神というのを忘れてはなりません。'マクアペル'は美しいクロノス大陸を見て胸を高鳴らせた。彼はクロノスの美しさを嫉み、大陸を自分の物としようとしたのです。」


弟子ネイブ
「それで、どうなったのですか?」 第二話へ->





■第二話■


賢者バナッハ
「うむ……いくら'マクアペル'が自分の欲心から始まった多くの戦いを経験して来たとしても、3人の神様を一度に相手にするには無理があった。この事は'マクアペル'自身がよく分かっていたのだ……

'マクアペル'は時間を置いてクロノスを掌握しようとする計画を立てたのだ。そして彼は3人の大陸の神々が見ていない隙に、大陸の姿を少しずつ変えて行き始めた。私の考えでは、果して私たちの神々は大陸の一部分を見逃したという事になるのですが、大陸のあらゆる歴史を詳細に記録していた偉大な記録者'トド'はそのようには記していません。

とにかく、指の形をしていた大陸南端はますます鋭い爪状の形へと変わって行き、そこでは邪悪な機運が生まれ始めたのです。おっと!言い忘れていたかな?'マクアペル'もやはり大陸の神々のように、大きな玉(ビーズ)を持っていた。恐らく神々は皆自分だけの玉を持っているようなのだ。'マクアペル'はその玉に毒の力を入れていた。そして、その毒を少しずつ取り出して大陸の木と森に振り撤いたのだろう。

美しさを賛美し、大陸の神々を敬愛した人々は徐々に邪悪な機運に影響を受けて、穢れて行きました。邪悪に染まった一部の人々は、度々大陸の平和を脅かしたりした。だが、私たちの美しい'ラピス'・'エクシリス'・'コエリス'三神は彼らを憐愍の目で見つめていただけで、彼らか弱い命に手をつける事はありませんでした。多分'コエリス'は神の雷を見せなければならないと兄神たちに話したでしょう。三級神'アカシック'に不満をぶつけた事もあったかもしれません。

しかし大陸の神々が'マクアペル'の存在に気づかなかったわけでは無いようなのです。大陸の平和を乱した一部の無頼の行動は、以前には見られなかった驚きに値するものであったし、そういう行動が大陸で自然に起こることは無かった筈であるから。偉大な記録者'トド'が記す所によれば、彼らが'マクアペル'の行動をただ見ていたのは、'マクアペル'が間もなく帰るだろうと思っていたからだったという。美しい私たちの神々は不器用なる、神々の争によって人間たちが被害を被ることを良しとしなかったのでしょう。おお……神々よ……」



弟子ネイブ
「大陸の神々が'マクアペル'の力を見誤ったのではないでしょうか?」 第三話へ ->

「御師匠様。申し訳ないのですが、一つ前に何とおっしゃっていましたか?」 <- 第一話へ





■第三話■


賢者バナッハ
「そうであったのかもしれない。だがそんな時間はあまり長続きしなかった。 'マクアペル'の黒い影響力が急速に広まった時、三人の神々は直ちに彼の欲心に対して警戒心を持ったのです。時間がもう少し経ち、大陸の指がもっと鋭い爪模様に変わって行き、'ラピス'・'エクシリス'・'コエリス'三兄弟はこれ以上堪えることはできないという判断を下しました。

ここからは心して聞くように。神々の戦争が勃発する所だから。'マクアペル'を捜し出したのは末弟'コエリス'神でした。レト半島の付け根の辺りを見回していた'マクアペル'を見付けた'コエリス'は、彼の玉(ビーズ)で大きくした稲妻を取り出して勢いよく投げ放ちました。今考えるなら、その時'コエリス' 神が一人で'マクアペル'と相対せず、兄神達の助けを受けていたらどうなっていたでしょうか…… そうなっていれば人間の考え通りになったのでしょうか?

'コエリス'の放った稲妻は不幸にも外れてしまいました。その凄まじい稲妻は'マクアペル'の横を掠め過ぎてレト半島に落ち、その衝撃でレト半島は大陸から離れて今のレト島になったのです。

'マクアペル'は'コエリス'一人では手に負えない程、圧倒的な戦いの経験をもつ神だった。'コエリス'は'マクアペル'が放った毒に、血を吐いて海に落ちたのです。 'コエリス'が落下すると、彼に付いていた幾多の二級神と三級神達が'マクアペル'に飛びかかって行きました。一級神である'マクアペル'に。

膺懲を象徴する二級神'レバヌ'はコイル川から突撃し、復讐の二級神'ベンドス'は地中深くから彼の鋭い槍を突き上げて襲い掛かりました。雲を管掌していた'クラウディア'は黒い暗雲で'マクアペル'の視野を遮り、'エクシリス'に仕えて雨を振り撤いた'ロガード'は毒を中和させる大量の雨を振り注がせました。プラトゥニス山脈で眠っていた'ポラス'、自分の領域である南方海で'マクアペル'の行動を見詰めていた'オーガス'、日々の終わりを司る'モリス'、勇気を呼ぶ'パルコディアン'のような幾多の二級神達が'マクアペル'に 飛びかかりました。そして三級神たちは海に落ちた'コエリス'を捜しに行きました……

風に乗って来た'コエリス'の悲鳴を聞いた'アカシック'は直ちに'ラピス'と'エクシリス'の許に駆けつけました。'ラピス'と'エクシリス'が彼等の二級神たちとレト半島――もうその時にはレト島になっていました――へ来た時は既に多くの二級神達が倒れていました。'ベンドス'と'レバヌ'の身体は真っ二つになっていました。後ほど'ラピス'によって二人は一身となりましたが、その時はそうなっていたという事です。」


弟子ネイブ
「それで、それでどうなったんですか?'マクアペル'を殺せたのですか?」 第四話へ ->

「御師匠様、ちょっと考え事をしていました。本当に申し訳ないですが…」 <- 第二話へ





■第四話■


賢者バナッハ
「'マクアペル'はそんなに甘い相手ではなかった。既に多くの戦いによって疲弊していたというのに、'ラピス'と'エクシリス'が全力を尽くして戦っても容易に彼を圧する事はできなかったのです。'マクアペル'が振り撤く毒に対して'ラピス'は熱い火を以て蒸発させ、'エクシリス'は大量の水で中和させました。しかし神々の戦争は二度の生命が生まれる間も続いたし'エクシリス'は結局毒に侵されてしまいました。そのとき'コエリス'が失った気力を少しだけ回復して戦場に帰って来て、神々は重大な決定をするようになりました。いくらお前が未熟だとはいえ、神々が死なないというのは知っているね?

とにかく大陸の神々の下した決定はあまりにも崇高なる犠牲でした。言い換えれば'マクアペル'を自分達と共にに永遠にあの暗黒の時間の中に封印させてしまうという物でした。'コエリス'は最後の力を尽くして幾多の稲妻を撃って'マクアペル'の動きを阻んで、もう毒が廻っていた'エクシリス'が'マクアペル'の後から抱きついて動けなくしたのです。'マクアペル'は夥しい毒気を発散して'エクシリス'を引き離そうとした。

しかし、自らを封印する覚悟を決めた'エクシリス'に既に恐怖はありませんでした。その隙を狙って、最後に長兄'ラピス'が'マクアペル'の心臓を抉って自分の胸に入れたのです。

けたたましい悲鳴が大陸全体に鳴り響いた。'マクアペル'の悲鳴と'マクアペル'の心臓を自分の解くに閉じこめておこうとする'ラピス'の泣き叫ぶ声が大陸を震わせました。大地は隆起し、海は陸地を割いたのです。幾多の人々が命を失ったし、数え切れない多くの獣の達が地中に飲み込まれてしまいました。混乱の最中'エクシリス'は心臓の無い'マクアペル'の肉体を持って大陸の最南端ウラヌゥスに行き、そこで自らを封印し、'ラピス'は'マクアペル'の心臓を持って大陸の最北端レト島に自らを埋めたのです。そして一人残った'コエリス'は大陸の中央クロノス城で大陸を守る仕事を引き受ける事になりました。クロノス城にある神殿は他でもない、'コエリス'神に仕える神殿でした。このような事情があったから大陸で最も大きい城に末弟神'コエリス'の神殿が建てられるようになったのだよ。

大陸がまた平和を取り戻すにはあまり長い時間はかからなかったが以前のような美しいクロノス大陸に戻ることはありませんでした。クロノス大陸が美しくないということはお前ももう見て分かっているだろう。幾多の二級神と三級神たちが神々の戦争以後姿を消した事もこの以前の美しさを見ることができない理由の一つなのでしょう。ある人々は三級神'アカシック'を見たと言うもののそれが事実かは分からないね。昔、偉大な記録者'トド'が'アカシック'神に会ったと書いた記録もあるから事実であるかもしれないがね。

これが私の知っている伝説の全てだ。噂によればレト島の付近では夜毎欲深な神の泣き叫ぶ声が絶えず鳴り響いていると言う。」


弟子ネイブ
「これが大陸の伝説なのですね。御師匠様の話に感謝させていただきます。」 終了

「大陸の神々が'マクアペル'をどうしたとおっしゃいましたか?」 <- 第三話へ



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