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2006年12月25日刑法に則り、一人の死刑囚の死刑が執行された。刑法の規定より大幅に遅い、確定から25年を経過した執行であった。死刑囚の名前は藤波芳夫。死刑時75歳。高齢と疾病のため、歩行不能の状態であった。藤波死刑囚は、死刑の前に「旅立ちを前に」と題した遺書をしたためている。その中で、藤波死刑囚は、お世話になった職員へのお礼などを綴りながら、「どうか当局には抗議をしないように申して下さい。その分法相に抗議をお願い致します」と綴っていた。さて、藤波死刑囚の犯した殺人の概要は以下の通りである。 (当時の判決文より)------------------被告人(藤波芳夫)は、妻の不貞を妄想して暴力を振るうので、妻が離婚して身を隠したところ、執拗に同女を捜し回るのに、同女の兄らが妻の居所を教えなかったことから逆恨みした。その恨みを晴らし、金にも窮していたこともあって、兄らの身内の者を皆殺しにして金品を強取しようと決意し、昭和56年3月29日午後3時30分ころ、栃木県内の兄方へ侵入しそこにいた兄の妻の姪である2人の少女16歳と10歳の背中をナイフで力一杯突き刺して倒すや、金品を物色して強取した。その後、兄(36歳)が帰宅したため、同ナイフで胸部、背部等を力一杯突き刺し、心臓刺創による心嚢タンポナーデにより即死させて殺害し、さらに金品を強取した。その後、(その殺害された)兄の兄(55歳)が同家に入ったのを認めるや、来客を装って近づき、いきなり同ナイフで胸部、腹部等を力一杯突き刺し、失血死させて殺害した。(引用者注:少女2人は重傷)------------------藤波死刑囚は罪を認めており、妹をかばった何の罪もない2人の男性を殺害し、怨恨とまったく関係のない2人の少女に生涯消えることのない心身の大きな傷跡を残したことを悔い、キリスト教の洗礼を受けたという。さて、この遺書には、藤波死刑囚の署名・指印の後に「法相に抗議 被告人は立つ事も出来ず一歩も歩く事が出来ず 病舎処遇だからです」という一文が加えられていた。罪を悔いたはずの死刑囚が書いた、この不可解な「抗議文」の意図は?〔参考〕処刑された死刑囚の遺言 死刑について考えてみませんか(そばの会)そばの会HPより「歩くこともままならないお年寄りをいまさら処刑することに何の意味があったのでしょう。」彼の遺書と死刑執行は死刑制度存廃や死刑執行について、日本国民が考えるきっかけになるのではないか、と思う。しかし、死刑存廃の議論を語る上で、法の本質の観点から決して忘れてはならないことがある。それは「なぜその人は極刑を言い渡されるに至ったか?」という課程である。単純なことであるが、刑罰のみが一人歩きし、その刑罰と不可分の犯罪を置き去りに議論することはナンセンス以外のなにものでもない。これを抜きに死刑存廃を語れば、過剰にせよ過小にせよいびつな量刑が多発し、加害者・被害者の人権が不均衡に扱われ、ひいては法治国家としてのありかたを歪めてしまう。終身刑の設置にせよ、無期懲役の見直しにせよ、死刑基準の見直しにせよ、さらなる厳罰化にせよ、絶対に犯罪の事実とリンクして語らなければならない。まず刑罰ありき、ではない、まず犯罪ありき、なのだ。犯罪者が殺意をもって極めて悪質な犯罪を起こさない限り、死刑という刑罰が言い渡されることは無いのだから。ジョージ・ブッシュ米大統領がテキサス州知事時代に、死刑執行をやめるよう抗議した「人権団体」に「是非はともかく、テキサス州法には死刑がある。それを知ってて彼らは最悪の犯罪を自らの意思で犯したのだろう?」と言い放ち、人権家を名乗る人々を沈黙させた話は有名である。わが国でも、日弁連は、弁護士として究極の敗北(→弁護士としてのランクダウン)につながる死刑制度を廃止しようと画策している。これは、弁護士全員が死刑に合理的な廃止理由を持っているからではない。事実、それまで(職務上の理由から)死刑に反対していた弁護士も、身内が殺されれば裁判官に極刑を求めたし、オウム真理教に阪本弁護士が殺害されたときの実行犯を死刑とすべしとした弁護士が大多数だったことは有名な事実だ。死刑存廃議論において、「犯罪行為を忘れて刑罰を語る無かれ」という一つの端的な証明である。世界一安全な国、日本でなぜ死刑が存在するか?国際社会はこの点について、よく検討するべきではないだろうか。失われた刑罰が復活することはまずありえないのだから。「日本猟奇・残酷事件簿」 「国際的視点から見た終身刑」「死刑のすすめ 積極的死刑拡大論」
2007/04/24
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