■やはりどこかおかしい?
物議が絶えない橋下知事。
理由は注目度ばかりではないようだ。
こんどは、関空活性化のため、 伊丹空港を廃止 すると言いだした。
しかし、政府、所管省庁からは反論ではなく、冷ややかな反応しか返ってきていない。
冬柴鉄三 国土交通相は1日の記者会見で、大阪府の橋下徹知事が大阪空港の廃止も視野に入れた検討を府庁内に指示したことについて 「素人の発言」 と言下に切り捨てた。
(ニッカン 08/8/1)
■かつて「地方は国策に口を出すな」と言った橋下知事が・・・
08年2月、山口県岩国市長選で、橋下知事は重要な発言をしている。
米軍基地移転が争点となった選挙であった。
橋下知事は支持政党である自民党所属「米基地容認派」の 福田良彦 氏(現市長)の応援に回った。
これに対したのが前市長「米基地反対派」の 井原勝介 氏。
井原氏 は市長時代、住民投票を実施し、87%の圧倒的米基地反対の民意をもって、安部政権に米基地の移転見送りを申し出た。
これについて、橋下徹知事は井原氏を激しく非難。
橋下知事は 「国の防衛政策に地方自治体が異議を差し挟むべきでない」 と発言。
住民、自治体は国に口をだすなと言ったのだ。
さて、伊丹空港は 国が設置、管理し、運営委託している空港 である。
そして、いま橋下知事は 「お国の空港ですが、私は廃止するつもりです」 と言っているわけだ。
そもそも米軍の駐留所を決める話であって、国防とは関連の少ない米軍基地移転とちがい
こちららはまさに 運輸・通商政策 のための空港だ。
橋下知事よ、自治体が国に口を出すべきではなかったのじゃないか?
「朝令暮改」
この四字熟語は、いまや発言がころころ代わる橋下知事の代名詞のようになっている。
弁舌や論理を尽くす弁護士の素地によるものだろうか?
いや、友人の弁護士は、話題が橋下知事になると
「あいつはタレント。三流弁護士ですらない。"ゴ"の字がちがうよ。“弁誤士”だ!」
と、非常に迷惑顔の様子。
同業者としては、イメージダウンと感じているらしい。
■橋下徹はやはり 弁誤士 か?
さらに岩国基地移転問題について、橋下知事はいかにも法律家らしく
「井原市長にはもう少し憲法を勉強していただきたい」 と皮肉った。
その理由として、住民投票について
「憲法が間接代表制をとっているのだから、直接民主制(住民投票)の対象は制限される」
との解釈を披露した。
この橋下解釈については、すでに法学者、法曹家から 根本的誤り がビシビシ指摘されているので、ここでは多くを語らない。
「橋下さんこそ憲法を勉強した方がいい」
小林良彰・慶大教授(政治学)
要は、橋下知事は憲法を よく理解していなかった。
だが、見苦しいかったのは間違いでははい。
開き直った上さらに恥の上塗りをしたことだ。
橋下「机の上だけの憲法論しか知らない憲法学者にとやかく言われたくない!」
「 政治家は
自分の憲法感覚をもって政治行動をしなければならない!」
記者「知事は岩国の現場をどの程度ご存じですか?」
橋下「現場は・・・ 知りません… 」
この正直なところがどうも憎めないのだが。。。
とにかく、この日から橋下知事は「法律家」から「元タレント」に堕ちた。
■公約を反故? 公共事業は「聖域」にする橋下知事
当初、橋下知事の人気を高めたのは、人格でも、大阪への愛情でも、行政手腕でもなく「 公務員バッシング 」だった。
組織のトップなのに、職員の意識を高めたわけでも、士気を高めたわけでもなく、ただ叩きのめしたことで奇妙な人気を得た。
しかし、その後がつづかない。
そもそも、大阪府の 5兆円 以上 の大赤字に 人件費は関係ない。
もともと、大阪府の職員給与はラスパイレス指数97で都道府県42位という低水準だった。
日本第2の自治体の職員は(少なくとも全国水準からみると)安い給与で働いていたのだ。 (ちなみに東京都は同指数104で1位)
しかし、橋下プランによって、これが89にまで激減。ダントツの最下位に。
これほどの大出血なのに3~4百億円程度しか借金は返済できない。
一方、職員の士気は下がり、採用者の質も悪化、行政効率は確実にダウンするだろう。
この懲罰的ともいえる過激な給与削減、ほんとうに府民のため、再建のためになるのだろうか?
少なくとも、橋下知事が大阪維新を達成しようと(本気で)しているのならば、大赤字の本丸に切り込まなければならない。
その本丸とは、 公共事業である。
WTCなどビル、ダムの無秩序な開発、そして、件の 関西国際空港拡張 だ。
これに橋下知事はどういう対処を見せるのか?
橋下知事を「ミニ石原(都知事)」という人もいるが、違う気がする。
直球型の石原知事と違って、橋下知事は論旨のすりかえ、パフォーマンス、そして 変わり身 という変化球型。
たとえば、橋下知事は、府知事選の公約として「ゼロベース見直し」「優先順位付け」を挙げた。
公共事業についても、見直しをする旨の発言を繰り返していた。
果たして府知事に就任するや、橋下知事は公共事業に「一応」見直しのポーズは見せた。
しかし、結局ダムを始めとした公共事業はほとんど現状維持。
関空に至っては「関空が沈めば日本が沈む」と率先援護に回る始末だ。
国の道路や河川の整備費用を地方自治体に負担させる仕組みで、府は今年度400億円以上を支出する。
「 直轄事業はどうしても削れなかった
。やろうと思うと 法律改正
運動をしなければならない」。
今月11日 (08/6/11)
の記者会見で国直轄事業負担金について問われた橋下知事は、珍しく「白旗」をあげた。
「橋下知事に残った「聖域」 どうする国直轄事業負担金」 (朝日新聞)
元弁護士の橋下知事は「法」を理由に「直轄事業(公共事業)」は削れないと明言し、争う気もなさそうだ。
※(国)直轄事業・・・国主導で国と自治体が資金を出し合って行う公共事業
しかし、本当にそうだろうか?
自治体や住民は、自分たちの意思はそっちのけで、絶対お国の決めたとおりに税金を負担するしかないのだろうか?
否!
橋下知事は「法」を盾に嘘をついている!
そして、そのカギこそ、橋下知事がかつて切り捨てた 住民投票 だ。
■住民投票で国直轄事業を白紙撤回させた徳島市
実際、徳島県では住民投票によって、旧・建設省にダム建設を白紙撤回させた。
参考: 吉野川第十堰と住民の歩み
この住民運動と住民投票は徹底していた。
建設省が建設しようとしていた吉野川の可動堰(かどうぜき=開閉式ダム)計画に疑問をもった住民達が決起。
まずダムが不要であることを科学的に証明し、反対運動を拡大。
1万の署名募集者と10万の署名者を集めた。
しかし、市議会はなんと署名を無視し、ダム予算審議を進めた。
これに住民は選挙権で猛反撃。
ダム推進派議員はほぼ総入れ替えという事態に、犬猿の仲であるはずの共産党と公明党までもが協調。
ついに市議会で「
住民投票92%の反対票を確認し、元建設省官僚だった小池正勝市長自ら建設推進の立場を一変。
建設省、与党3党に計画反対と代替案を申上。
当時の自公保連立政権は「これに抵抗しては世論の支持を失う」と判断。
ついに、計画撤回を表明した。
これぞ民主主義というべき快事だ。
■橋下知事は大阪府をどうしようとしているのか?
前出の通り、橋下知事は言質を取るに、住民投票を「大衆の騒ぎ」ぐらいにしか評価していない節がある。
さらに、直接投票を代議制の仇敵とみなしているようだ。
確かにそのように考える国会議員や為政者が多い。
なぜなら、大衆は容易に懐柔できない。棒給以外のカネもくれない。
そのような世界では、議員も為政者も住民の下僕にすぎない。
(それこそ本来の姿だが)
しかし、代議制では、いったん「先生」になりさえすれば
政官業の癒着構造により、莫大な利益と強大な権力を手にすることができる。
人間・橋下徹は、そのような野望欲望に取り憑かれていないだろうか?
悪人ではないと思う。しかし、野心家だろう。
良くも悪くも常に自己を正当化する性格の分、自信や欲も強いのではないだろうか。
個人的には、TVで見ていた頃から彼に抱き続けている違和感が、いまだにどうしても抜けない。
活発、明るい、聡明、ユーモアフル
一方で
自尊肥大、強情、お調子者、プライドが高い、常に上から目線・・・
たまに拍手喝采をしたくなる快弁をふるう。
が、常に強者の立場から、強者の弁をかざすところが、どうも気に入らない。
例えば、年金問題にコメントした彼は
「年金ぐらい国民が自己責任で管理するべきだ!」と言った。
・・・記憶力も体も弱った、身寄りのない老人のことを塵ほども考えての発言だったのか?
この東京から来た知事が、無益か悪益しかもたらさなかったら、、、、
大阪府民が、なんで自分たちは借金まみれなのに、ゼネコンと官僚が笑っているのだろう?と疑問に思ったら、、、、
橋下知事はゆめゆめ府民の民意・民度、そして県民性を甘く見るべきでない。
なにせ、相手は 大阪人 なのだ。
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