天空乃舞

くらのたから みのたから こころのたから



そうだ、ちょうど エイケンの試験日と重なってたので

やっぱりちょうど一ヶ月くらい経ってしまったことになる



実は先月 母方の叔母の1人が来日というか帰国していた

叔母は若き日に 西欧に渡ったっきりそっちで結婚して永住してしまっていて

ご主人(あちらの国のお方)が仕事で来日する時くらいしか帰国しない



今回の来日の理由は ご主人が日本の時計の会社と どこだかの新聞社の

取材を受けるためだった


ご主人は 鉱物系の学者さんであり、

こないだお礼の手紙を書く約束をしてしまったので

電話口で確認した住所確認のために

ためしに本名(ドイツ語)をネット検索にかけてみたら

新聞記事だの、動画つきの特番だのがワサワサでてきて

ぶったまげた



直接お会いしたことはないが写真と動画を見て

表情や声の様子(英語のもあったので)からして穏やかで優しい感じの人と感じた

いずれにせよ、おエライことには間違いないようである・・・




それはさておき・・・

私にとって関係のあるのは 肝心の叔母の方なんだけども・・・



実家の母の趣味を書く際に、彼女がベルサイユ系の趣向を好むこと

それが私の趣味とは全然違うため非常に困る時があることを

何度か日記に書いた事もあるが・・・

叔母に比べたら母は ベルサイユの真似事にすぎず

叔母こそが ホンマモノのベルサイユな人なのである・・・



日本に居る方の叔母は まだ ちょっとしたセレブ風にすぎず

西欧の方は 筋金入り

その筋金も 

プラチナ900でできてる感じだ・・



日本に居る方の叔母は 写真の趣味があり、展示会に出品したりもしてるんだが

この叔母がある時 自分で撮った写真の一枚をプレゼントしてくれたことがある

大きさで言うと 縦がちょうど私の腕の肘から指先くらいで

横幅は私の肩から指先くらいの・・

要するに でっかい写真だった

夕日を背にした海の 波打ち際を駆ける 2匹のレトリバーの図で

絵的には大好きだったので喜んでいただいたんだが

「額は自分で買いなさいよ」

と メーカーとサイズの記号を書き込んだメモを渡してくれて

「よどばしかめら とかなら安いわよ」

と教えてくれた。



ビンボー人の私にもお財布に優しい心遣いの言葉に感謝して

帰りに早速 よどばしに寄ると

叔母が教えてくれたブツの代金は なんと

1万5千円だった!



当時 家賃2万5千円で暮らしていた私にとって

エアコンのない部屋で宇宙服並みに洋服を着込んで生活していた私にとって

ジーパンの中に隠れているブーツが足先は同じデザインでも

片側がロングブーツ 片側がショートブーツを履いていた私にとって

写真1枚を飾るのに1ヶ月の家賃の半分以上も出すなんて

考えられなかった・・・

てか 

よどばしに そんな値段の額があること自体が信じられない発見だった!



しかし この叔母の感覚に一番驚いたというか奥の深さを感じたのは

別の時だった

叔母の家で一緒にテレビを見ていた時に どもほるんりんくるのCMがあり

突然叔母に聞かれた


「あんた、このCMに出てくる人たちさぁ、ホントにこの家に住んでると思う?

それとも、この撮影のためのセットだと思う?」


というような事を聞かれて、

なんでそんなことが気になるのか全くわからずに


「さぁぁぁ・・・どうなんですかねぇ・・・・」


と答えると

叔母が言うには 


どもほるんりんくるのCMに出て来て

化粧品の使用感について語る利用者?たちは言葉遣いや物腰が上品である

しかも背景になっている室内の家財道具がなかなか趣味がいいのだが

果たしてこれは CMのための女優と CMのためのセットなのか

それとも本物の利用者と、その利用者の本当の家なのか



それが気になるというのだ

要するに 

家財道具と上品さに対してライバル意識を感じているようなのだった

世の中に

しかも

自分の叔母ともあろうものが

いや お方と申し上げたほうがよろしかろうか???

とにかく

それが私の叔母の1人なのだった・・・(母の妹である)



この叔母は 私が学部時代 

同じ大学の学生と3人で一戸建てをシェアして暮らしている

と話した時にも



「戸締りに気をつけなさいよ」



と言った

私はてっきり若い?女の子(私以外は現役生なので)だけの生活だから

外部からの敵に気をつけよ、という心配なのだと思って



「いや、国道沿いの明るい場所だし、

右も左もコンビニがあるんで人通りも多いですから」



と答えたら

叔母が気をつけろと言ったのは私のハウスメイト(同居人)についてのことだった



私たちは互いに部屋に鍵をかけることなど考えたこともなかったし

3人が3人 別々の部屋を持っていたけども

一緒に祈り 一緒に食べ そのまま一緒に寝てしまうこともあった

誰かが 誰かのものを盗むなんて発想もなかった

彼女らは私にとって大切な人だったので

腹が立ちさえした


まぁ 

これに関しては 同じ大学の同志じゃなかったら

確かに一般のつきあいというのは そういうもんなんだと思うんだけども・・・


それも まぁ いい。


それでも 

日本に住んでいる方のその叔母は ぷちセレブにすぎなかった



西欧に住んでいる方の叔母が私をかわいがってくれる理由は

私が 「いいこちゃん」 だからで

(↑嫌味で言っているのではなく、日本語を忘れてしまっているのでこのような表現になる)

その「いいこちゃん」の意味は 勉強を頑張っているから、という事。

「私は勉強を頑張る人が大好き」 と言う

それは、いい

んだが 

その続きが凄い



「教養のない人は人間ではありません」



これをカタコトになってしまった日本語で熱く語る・・・

出てくるのが 発展途上国の例

もう 聞いてて血が引くような話だ

仕事の関係で外国に行く事が多い叔母

いろいろな国を巡り なかにはストリートチルドレンが沢山居るような国もある

そういう経験を挙げながら



「彼らは動物と同じです、人間と動物の違いは教育があるかないかです

だから彼らは人間ではありません」



と言い切る

こんなことを言う人と自分が人生の中で直接出会うとは思ってみたこともなかった

もう 目ん玉が ひっくりかえって

白目ビローンて感じだった



叔母は8ヶ国語を操る教養人である

あるけどもよ?

おったまげて 開いた口が塞がらなかった

その叔母が 私の事は非常にかわいがってくれているのだ

「いいこちゃん」 だから・・・



今回の帰国に際し 叔母が私のためにプレゼントを用意してくれていた

会えるはずの日がエイケン本番だったので会えず

代理に預かってくれた日本在住の方の叔母ですら ぶったまげるほどの



「金銀財宝だよ、アンタ!」



という

叔母が言うんだから、そうなんだろう・・・と思った

そして それらが 私の趣味とは全然関係ないことも・・・

ていうか、宝飾品自体に興味がない。

咄嗟に考えたのは 

申し訳ないけども・・・



お礼だけ伝えたあと 

即効質屋に持っていくことだった

だって 

置いといても仕方ないからね




これを最初に話した時 

らいおんさんが爆笑していらしたなぁ・・・



結果として実際にそれを受け取りに出かけたのがこの日だった

喫茶店で食事をご馳走になりながらの話の中で

私の近況を話すと ネタがちょっとしたビンボー生活の笑いになった時

叔母が さっと顔色を変えて左右の席を見渡した


私の話が恥ずかしいんだなと思った

私は望んで暮らしている 大切な日々も

誇りに思う学友や両親や大切な人も

叔母にとっては恥ずかしいんだなと思った

それでも 

叔母は叔母なりに私をかわいがってくれてはいる

なぜなら



「アンタだけは お母さんより まとも だから」



という

母方の家系で 母は恥ずかしい人とされている

一番デブで 

一番勉強ができず 

一番身体が弱く

一番貧乏な人と結婚し 

 会なんかに入ったからだ

でも

本当は私は 一番ウチの家族が幸せだと腹の底から言える

一番人の事を お互いの事を思い遣っている家族だと誇りに思っている


さておき

ありがたいけど どうでもいいと思っていた小さな紙袋はズシリと重く

明ける気にもならなかったけども叔母と別れた後

夜になって叔母本人から電話がかかってきたので

お礼かねがね

中身の確認をせざるをえなくなった



重いわけだった・・・



18金は知ってたけど世の中には

21金というのがあるらしい

てか 

加工する前の原石まで入っており



「ネックレスにでも指輪にでもできるよ」



って言われたけど 

オマエ、 加工するのにいくらかかると思ってんの???



ヘビメタのお兄さんもびっくりな 巌サイズの たぶん

あめじすと と がーねっと

金色をしてない台は ぷらちなだろう

こういうのを上品というの???? (悪趣味としか思えない)

漫画か??? という世界だった



真珠のネックレスは

糸が切れてしまっているので修理せよ 

とのお達しだったが

一生使わないってわかりきってる



アタマの中で電卓はじくこともできなくなっていた

はっきり言って 

値段がわからない



あっけにとられている所でトドメをさされた



「叔母さんは アンタが一番かわいいから アンタだけのために

わざわざ貸金庫開けて持ち出して来たんだから 大事にしなよ、

へんな人に渡すんじゃないよ」



変な人って誰だよ???



「質屋なんかに入れるんじゃないよ、値打ちわかんないんだから!

そんじゅそこらで手に入るモンじゃないんだからね」



一番やる気だった事を阻止された・・・



「アンタのためを思ってわざわざ持って来てくれたんだから!」



アンタのため・・・

たしかに、その通りだ

だけどよ

だけどよ・・・



奨学金を借りて生きてるんだよ

毎月の生活費にも気をつけているんだよ

母は末期ガンなんだよ

父は定年しているんだよ

家賃1万5千円の団地に暮らしているんだよ

宝石つけて出かける生活なんかしてないんだよ

経済的には奨学金を返済するだけで恐らく終わる人生なんだよ

その

私のため?



それでも いただきものは いただきものだし

叔母の思いは叔母の思いだ

感謝しかない・・・


精一杯のお礼を 舌を噛み噛み・・・申し上げた


実は 傍には 

らいおんさんもいらした

石の一つを持ち



「ぉ・・重い」



と一言

そして



「これは 身につけるものじゃなくて 博物館に置いておくものだよね」






巧いことをおっしゃるなぁと思った



質屋には入れるなと釘をさされたことを話すと



「これ・・売ったら一年分の学費は軽く浮くよね

ていうか、何年分かもわからない」




と。

2人で

大きな

溜息をついた・・・


感覚が違いすぎる・・・



どれ一つ 

おもちゃ代わりにですら

身につけてみたい物はなかった



「母にあげよう」



母なら喜ぶことは間違いなしだった

日本在住の方の叔母の写真と揃えて母に渡した時の図



叔母(母にとっては妹)の写真を見る母。腹の上に乗ってるのはネクタイ(イタリア製だった(汗))



御サファイアと御ダイアと当然ながら御pt900云々であろう台の御指輪・・・ぶっちゃけ激重

指輪のうちの たぶん一番高価なもの


最近の写真の中で一番パッチリ目で写っている。正直なもの。やはり嬉しいのだろう・・・てか、病身でこのボロ服でも似合ってしまうのがスゴイし、この指先の角度???手タレもびっくりポーズ!恐るべし、母・・

クドクだ、クドクだ、と言って母は喜んでいた

母にも質屋なんて発想は皆無なようだった

ていうか母も ぷちベルサイユな人なので

こんなビンボー長屋に住んでるくせに なぜか大事に持っている着物の数々

母が死んだら質に入れると堂々宣言している私に言う



「海外からの来賓を接客する時に アンタも必ず着るようになる」



いったいいつの話だよ?

持つなら一着だけ残しとくよ、と(それも上辺だけの言葉にすぎないが)言うと



「毎回同じ着物では恥ずかしい」



と言う

恥ずかしくなんかねぇんだが・・・

以前に件の叔母から贈られた外国の民族衣装(総シルク製品)も保管している母



「インドの方の時はインドの服で、とかその国の人に合わせた衣装を着るんだよ」



と言うが

私は てんのぉ家に嫁ぐわけじゃない・・・

だいたい 

6畳のアパートに住んでいて どこに保管するというのか???


感覚の違いというのは恐ろしいものだし

一度身についた感覚と言うのは 

なかなか消えるものではないのだと再確認した



宝飾品は くらのたからのひとつといえるだろう

持ってるのは悪い事ではない

決して悪い事ではない

教養は みのたからのひとつといえるだろう

持ってるにこしたことはない

だけど

こころのたからがないと・・・

宝石持ってても 教養持ってても

本当に世の中のため 人のためには使えないんじゃん



頑張って働いたから持ってるお金で手に入れた 宝石は

悪い事じゃない

ぜんぜん悪くない

だけど

貸金庫だなんて・・・映画の世界の話だと思ってたけどもさ・・・

それをもし ほんの少しでも

有意義な使い方したら どんだけ社会の役に立つんだろうなと

思ってしまった

お金のため方も 使い方も 自由だけどね

私だって 自分のためにしか使えてない上に

借金(奨学金)までしてるけどさ・・・


ぁぁぁ・・・

カネがあっても アタマいくても

使えないモンは使えないんだと

これほどの話もないだろうなと思った

いつか見た あるテレビ番組を思い出してしまった

それは 芸能人さんが短期間発展途上国というか、それも奥の奥の地方の

質素な生活をされている民族の方々と生活を共にし

感動の・・・みたいな設定の、よくあるヤツなんだけど・・・

最近は一緒に農作業を手伝うなど意味のある内容もあるようだが

その時に見た番組は あくまで生活の見学といった感じで・・

それでも そういった実情を多くの人に知らしめることには意義はあったろうとは思う

でも 私が個人的に腹がたってしかたなかったのは

別れ際 その芸能人の人がホームステイ?していたのかな? テントみたいな家のご家族に

お土産だと言って 神社のお守りをたった一つ渡していたことだった

本人はめっちゃご満悦で 

確かに日本では幸運のお守りということで理解もされるだろうし

宗教の種類とかの問題じゃなくても ある程度通じる部分もあると思う

それに 取材なんだし 短期間で何か抜本的なお手伝いができるわけじゃないのは当然で

そんなことで責めたいわけじゃないんだが・・・

日々の食べ物にも水にも困るような生活をしている人に

わざわざ日本から出向いていって

神社のお守りを 渡すなんて・・・・

満足してるのは本人だけで

相手の必要性っていうか 状態ってモンをぜんぜん理解しようともしてないとしか思えない

万一 最初はそのつもりで持っていったとしても

まともな神経をしていれば 数日生活をともにしたならば

どう考えても 大見得きって 感動の涙と共に?

渡せるシロモノではないと思う・・・

神社のお守りくらいなら

ジャガイモ一個の方が 6人家族で割って食べるとしたって助かるよ・・・


そんなふうに思った事を思い出した。




僻んでも意味はないし

人を責める資格などない

できるのは自分の人生をどのように生きるか

それだけだけど・・・


ちなみに

叔母との約束は 

叔母が生きてる間が有効期限と考えている

一生 

身にまとう気はない

いずれ

奨学金の返済か

生活費にあてさせていただきますとも

ぇぇ














© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: