・いとうみゆき『車のおうちで旅をする』は、日本にいる「おうち派」が、限られた資金と英語力で飛び込んだニュージーランドの 1 年車生活を、イラストとマンガで綴ったコミックエッセイだ。ポジティブな根暗タイプの著者が “ グラ子 ” と名付けた愛車を「おうち」にして歩き、食べ、働く日々をゆるくも鮮やかに描く。
・計画ではなく「感覚」を頼りに始まる旅
約 100 万円とゼロに近い英語力で海外に飛び込み、英語もわからないまま中古車を現地で購入し、車中泊しながらウーフィング(農作業と宿食交換など)で生活費を補う。構えず、準備でもなく、その場の空気と感性で進む姿勢が読者に息づく。
・「暮らすように旅をする」という設計思想
旅は非日常かもしれないが、本作では車内が自分の「家」であり、「日常」。掃除・収納・ DIY ・調理・網戸作りまで、快適さを自分の手でつくる姿は、旅を体験ではなく生活へと昇華するプロセスを見せる。
・感度と記憶を結ぶ表現力
絵と文章を通じて、ニュージーランドの風景や食、人との交流が視覚と感覚を刺激する。読者は疑似体験を得つつ、「自分も小さな日常の旅をしてみよう」と思える余韻を得る。
・『車のおうちで旅をする』は、旅を一時のアトラクションではなく、生活として探り、整え、感じ続ける物語だ。
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代のビジネスパーソンには、日常と旅を同じ構造で捉え、経験をデザインする意識と感性を刺激する一冊となるだろう。
車のおうちで旅をする [ いとう みゆき ]
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