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2025.10.30
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カテゴリ: Business

・広井良典『人口減少社会のデザイン』は、「人口減少=衰退」という短絡的な発想を超え、日本が迎える人口縮小時代を“再構築のチャンス”として捉える構想的な一冊である。著者・広井良典は、公共政策と哲学を横断する思索で知られ、持続可能社会論の第一人者。本書では、人口減少を「経済縮小」ではなく「成熟社会への転換」と位置づけ、そのための社会システムと価値観の再デザインを提言している。

・序章では、 20 新しい常態 に突入している。このギャップこそが、日本社会の停滞の根源だと広井は指摘する。

・第一部では、人口減少を「負の現象」ではなく「社会の自然な成熟プロセス」として捉える理論的基盤を提示する。人類史的に見れば、拡大期から安定・定常期への移行は文明の成長の一形態であり、縮小を恐れる必要はない。むしろ重要なのは、経済・都市・福祉・エネルギーといった各領域を“縮小に適した構造”へと再設計することだと説く。

・第二部では、具体的な政策・社会設計論へと踏み込む。キーワードは「分散型」「地域循環」「ケアの再構築」。地方分散を前提に、地域単位での経済・エネルギー・医療・福祉を自立させることが持続可能な社会の鍵になる。都市中心の効率モデルから、ローカルな共生モデルへの転換が必要だと強調する。ここでは、地域通貨や再生可能エネルギー、コミュニティケアなどの実例も多く挙げられている。

・第三部では、人口減少社会における価値観の変化を論じる。経済成長や所得向上を幸福の指標とする時代は終わり、豊かさの定義そのものを問い直す時が来ている。広井は「時間」「関係」「意味」といった非経済的価値を中心に据える社会を構想し、人間の生き方と社会のデザインをつなぎ直そうとする。

・終章では、日本が世界に先駆けて人口減少期を迎えることを「先行モデル」として位置づける。この課題は、やがて他の先進国も直面するものであり、日本が“縮小時代の持続可能モデル”を示すことが、次世代の地球文明にとっての指針となると結ぶ。

・この本が突きつけるのは、拡大を前提とした企業経営の発想そのものの見直しだ。 成長戦略よりも、「持続戦略」「再生戦略」への転換。短期的な利益よりも、社会的持続性と地域への接続をどうデザインするかが問われる。広井の提言は経営や政策だけでなく、働く個人にも響く。労働人口が減り、働き方が多様化する中で、効率よりも「意味ある生」の設計が重要になる。人口減少社会は、単に市場が縮む時代ではなく、「成熟と創造の時代」への入口である。

・つまり本書は、衰退の恐怖を超え、社会を“構造的に美しく縮める”ための戦略書である。 経済的合理性を再定義し、時間と人間の尊厳を取り戻す ―― そのビジョンこそが、広井良典の言う「人口減少社会のデザイン」である。


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Last updated  2025.10.30 00:00:12


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