裁判所公務員のつぶやきボックス

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ホソボソのH

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January 29, 2005
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一昨日および昨日の日記の内容が理解できただろうか。かなり表現が漠然としてしまったので,理解しづらかったかもしれない。今日は,少し別の角度から書いてみる。

相手に義務があるのにその義務を果たしてくれない時 に,裁判所にどのような訴えを起こすか。

「相手は,私に金を払う義務があるのに・・」とか「相手は,私に商品を引き渡す義務があるのに・・」というように, 中身がはっきりした義務 を果たしてくれない場合には,「その義務を果たせ(例えば,金・・円を払え)」という裁判を起こせばよい。

しかし,「快適な職場環境作りをする義務」のように, 中身がはっきりしない義務 については,裁判で 「その義務を果たせ」 と求めても,裁判所から「具体的に何を求めるのですか」と聞かれることになる(裁判所は, 「請求の趣旨を特定せよ」 というような難しい言い方をしてくる)。

それで例えば,「セクハラをしないように社員を教育しろ」というように求める内容を明らかにしても,中身がはっきりしないことにはかわりがないし,そんな判決が出てもあまり意味がない。組合交渉しているのと変わらないのだ。

損害賠償 を求める方法だ。

そのような損害賠償には,「使用者は義務に違反して・・のような ことをした 。だから損害賠償。」というのと,「使用者は義務に反して,・・の状況のまま ほったらかした 。だから損害賠償。」というのがあるのがわかるだろうか。以下,例をあげてみる。

「使用者は,採用や昇給にあたって,労働者を人種・信条・性別等で差別してはいけない義務がある(一応当然の前提としておきます)。それに反して使用者は,私が女性であるという理由だけで昇給で差別した。」というような損害賠償が一つ目である。これはそのままの形いい。

もうひとつ。「使用者には快適な職場環境作りをする義務がある。なのに,私の上司Aは仕事中に私にセクハラをして私が不快な思いをした。」というような損害賠償だ。

2つ目は, 使用者が不快な職場環境をほったらかしたことについて損害賠償を請求 している。こういう場合には, 具体的に使用者はどのようにする義務があったのか ,を明らかにする必要がある。

つまり,「使用者には快適な職場環境作りをする義務があるから, 本来は・・・すべきだった 。なのに ほったらかして

この「本来は・・すべきだった」という義務のひとつとして,昨日の日記で書いた 「使用者責任」 (社員を監督する義務)があるが,適用される範囲はかなり狭い。

明日の日記では,さらに職場環境改善の方策について書いてみたい。

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Last updated  January 30, 2005 01:29:44 AM
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Re:職場環境と裁判所(4)(01/29)  
マキコ さん
ほぉぉ。すっごく細かいのですね。でも、漠然とした訴えでは判断する裁判所側も困るから、具体的になるのでしょうね。自分はこう感じたから、というのでなく(それ自体は否定のしようのない感情の動きだけど)、法の規定されている中で、事実を踏まえ、「何が言いたいのか」を整理していかないといけないのだなーと、日記を読んで感じました&思いました。って私のコメントは、ちゃんと意味が通じているでしょうか…? (January 31, 2005 12:00:09 AM)

Re[1]:職場環境と裁判所(4)(01/29)  
マキコさん へ

>漠然とした訴えでは判断する裁判所側も困るから、具体的になるのでしょうね。

非常に良いことをおっしゃっています。ただ,もう少し正確に言うならば,裁判所に対する訴えだから具体的にしなければいけないのです。

行政機関に対して,行政指導を求めるのならここまで具体的にしなくてもいいのです。労働基準監督局に対する申し立てなんかは,「現在の労働条件は・・のような状態です。もっと改善するように,使用者を指導して下さい。」というような申立でもよいのです。でも仮に,そのような指導をもらえたとしても,裁判所の判決ほどの強制力はないのです。

一方,裁判所は司法機関です。法的紛争がある時に,法律を適用して具体的に権利関係をはっきりさせるのが仕事なのです(漠然とした言い方ですが,わかるでしょうか)。だから訴えも具体的でなければいけないのです。判決をとれば,すごい強制力があるのです。

>自分はこう感じたから、というのでなく(それ自体は否定のしようのない感情の動きだけど)、法の規定されている中で、事実を踏まえ、「何が言いたいのか」を整理していかないといけないのだなーと、日記を読んで感じました&思いました。

 そうなのです。少なくと裁判所に訴えを起こす際には,相手に何を求めるのか,その法的な根拠は何か,ということを整理していなければ,訴えは蹴飛ばされてしまうのです。
(私の拙い説明でわかっていただけましたか。もっとわかりやすく説明できるよう勉強します。)

(January 31, 2005 01:13:26 AM)

Re[2]:職場環境と裁判所(4)(01/29)  
マキコ さん
>一方,裁判所は司法機関です。だから訴えも具体的でなければいけないのです。判決をとれば,すごい強制力があるのです。


>私の拙い説明でわかっていただけましたか。
 すごーくわかりやすいです。「へっぽこ」なコメントにも丁寧に答えてくださってありがとうございます。自分の無知ぶりをさらけ出しているような気もしますが…。 (January 31, 2005 10:18:28 PM)

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