俺は物思いに耽っていた。
何かって?
今の密談の内容についてだ。

まず。
何の密談だ?

・・・俺を煮て食うのか?
・・・・・・いいや、違うだろう。
俺は霜ふってないから旨くない。

じゃあ、やっぱり改造!?
・・・いや、それはさっき本人が否定した。

でも・・・

嘘だ。
きっとあんな悪人は二枚舌だ。
セールスの勧誘だってセールスなんて絶対言わない。
常識だ。
セールス、なんていってるやつのセールスにだれが引っかかる?
改造する、なんて言って改造されるやつがどこにいる。

でも、なんで相談相手が新見?

そもそも化学部員と新見って仲良いのか?

それ以前に新見って改造とか分かるのか?

一体こいつらに何の接点がある?
何の共通の話題がある?

・・・・・あっ!!

疑問が一点に絞り込まれる。

新見の呪いと化学の融合!?

一度うわさには聞いたことがある。
占いの傍ら、人の失恋の恨みなんかを承って、相手に呪いの禁術かけまくってるって。

あり得る。

全ての疑問が繋がったとき。
悪の密談はようやく閉幕のときを迎えたようだった。

ふたりがにじり寄ってくる。

重々しい空気の中、化学部員がゆっくりと、ゆっくりと死刑宣告。

「もう、家には帰れないよ。」

来た!きたきた!
俺、改造される!
きっと逃げられはしない。

「別に構わない。」
強がってみる。

すると新見。
「じゃあ・・・こうちゃんち、泊まる?」

「ああ、どうだってしてや・・・・」

・・・・・・。
・・・・・。

「は!?」

こうちゃん。
松本 幸輔。
皇塚名物バンド、RED SCORPIOのリーダー。

奴が一体何の関係がある?

泊まる?
一体なんで?

何かされるのか?

まあ、いい。
松本は友達だ。
今日だってあいつの寮に転がり込もうと思っていたところだ。
たぶん、あいつなら何とも無い。

「いいよ、丁度泊まろうと思ってたとこだし。」
そう答える。

「あと・・・殴ってごめんね。」
急にしおらしく化学部員が侘びる。
気味は悪いが悪い気はしない。

「いや、どうせ今日のタンコブ2コ目だし。
 1コ目に比べたら大したことねえよ。」
ガラにもなくフォローしてやる。

「1コ目?」
質問が返ってくる。
ちょうどそのことについて誰かに愚痴りたかったから、この際こいつでもいいか。
事の顛末を洗いざらい話してやる。
もちろん、面白いように多少脚色して。

「ふうん、そんなことがあったんだ。」
何を感心したのか、新見がしきりに頷いている。


「痛くてマジ気ィ失ったんだからな!」
そう言って名誉(?)の負傷を指す。

「でも、タンコブないでしょ?」
化学部員の一言。
指した指で触れてみる。

ホントに、ない。

するとなぜか誇らしげに、
「そりゃあたしがつく・・・」

むぐっ!!

新見が化学部員の口を塞ぐ。

「そうそう!あんたが治したんだもんね!!!!
 いや、このコ、ひねくれてて一言多いからね!ホホホ!!!」

・・・何か、怪しい。
でも、指摘はしないでおく。
痛くないから、治してくれたんだろう。
恩人には違いない。

「それより、お茶でもどう?
 傷が治りきるまでここで休んで行きなさいよ!!」

ずい、と紅茶が突き出される。
なんか、もうどうなのかなんなのかわからん。
どうでもいい。

一気飲みする。

「じゃあ、あたしお茶菓子買ってくるね!!」
そう言って化学部員が席を外す。

紅茶が熱かったせいか頭がぼうっとする。眠い。
休めと言われたことにかこつけて少し眠らてもらおう。

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