思い出であれ 後悔であれ6


ロッキーのテーマが流れていた。
心象描写ではない。
背後にいる新見の持つラジカセから響いている。

蝶番の取れた扉の上には悪魔が、得体の知れない何かを持っていた。

唖然とする俺に奴は言葉を投げかけた。

「ああ、これね。最新式のドアノック機。
 ・・・失敗作だけど。」

俺の聞きたいことはそんなことじゃない。

「また作り直さなきゃ。」
そういってドアノック機?だかを放り捨てる。

ドアノック機の描いた放物線の先は運悪くも松本の頭上だった。
ぐぁ!と低くうなる声。

・・・ご愁傷様。
心の中で呟いて。
俺は大丈夫でよかった、などど言っている俺は悪人なのだろうか?

しかし俺だけが無事、なんてオチだけはなさそうだった。
いきなり。
あまりにも唐突に”何か”が飛んできた。
そして何かの下敷きなる俺。
重みで思わず唸る。

・・・イマイチ状況が飲み込めない。
視界を塞ぐものをふり落とす。

ドアだった。
そして俺のやっとひらけた視界に映ったのが俺の腹の上にいる化学部員だった。

そして後ろではマグロと化した松本を抱きしめる・・・いや、縛り上げる新見。

なんとなく状況が読めた。

新見が松本に気づいて助けるためにドア投げた。
そんで上にのってたこいつまでとばされたんだな・・・

そんな俺に化学部員。

「グッジョブ!実験素体!!」




聞きたかった答えはほぼそこにあった。
実験素体。
多分、被験体と同義語だろう。

ゆっくりと俺の腹から降りる化学部員の姿に戦慄を感じる。


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