ICU・個室の日々
平成15年7月23日
昨晩ICUを後にするときに、看護士さんにこう言われていた。
「お母さん、もしもイガ丸君が夜中に暴れて手が付けられないようなことがあれば申し訳ないけれど何時でも呼び出しますね。お願いします。」
って。だから、覚悟していた。きっと呼び出しがあるだろうって。
でも、呼び出しはなかった…。悪い方ばかりに気持ちが行く。イガ丸調子が悪いのかなあ。
朝、6時半頃看護士さんが
「イガ丸君目を覚まして、ママママと探しているみたいです。すぐにICUに行ってあげてください。」
と病室に伝えに来る。あわてて向かう。
ちょっとぼ~っとしていたものの、
「ママ?ママ?ママ抱っこして」
とはっきりとした受け答え。抱っこはできないけど、むぎゅ~はできるよ。寝ているイガ丸を抱きしめてやる。看護士さんによると、
昨晩はこんこんと眠っていたようだ。手術疲れたんだね。
主治医の先生が、朝早いのにも関わらずイガ丸の様子を見に来てくれる。先生、本当にいつ寝てるの??
「イガ丸君おはよう。先生だよ。分かる?はい、右手動かして、左手も。次は足をあげて。先生の手をぎゅ~っと握って。…」
と診察が続く。すべて一応クリア。手も足も動くみたいだ。よかった…。先生は、
「状態は落ち着いていると思いますよ。今は、まだぼ~っとしていることが多いかもしれないけど、徐々に元気になると思います。後は、感染症や貧血に気を付けて行きますね。イガ丸君の場合は長時間の手術にも関わらず輸血をしなかったのでね、特に貧血は注意してみていきます。あとは、『無言症』だね。今は言葉が出てるけど、2.3日遅れて現れることもあるからね。極端に言葉が空くなるようであれば、教えてね。かわいそうかもしれないけど、とにかくイガ丸君に語りかけて言葉をひきだしてやってね。」
と言われる。先生はすごい大きな声で、
「イガ丸君。お名前は。いくつかな。せんせいのなまえ分かる?」
と質問。イガ丸は疲れてるのか、うとうとし始める。先生は容赦ない。
「イガ丸君!先生の質問に答えて!」
とにかく脳の働きを活性化させないといけないのかな。
先生が何度も質問しても、うとうとのイガ丸。そうこうする内に、ICU内の処置の時間になってしまった。看護士さんが
「お母さん、申し訳ないけどまた病室で待っていてもらえますか。先生の回診があって許可がでれば、病棟に帰りますからね。」
すると、うとうとしていたいが丸は突然大きな声で、
「イヤだ。ママ行かないで。○○ちゃん(イガ丸のこと)も一緒に帰る。」
と暴れ始めた。先生はそんなイガ丸の様子を見て合格をくれた。
「元気だね。やっぱりお母さんの力は偉大だね。」
イガ丸を説得し、病室で待っているからとICUを出る。イガ丸は泣いていたものの看護士さんにしまじろうと、アンパンマンのビデオを見ようと言われ大人しくなった。
病室で待っていると、
「10時にイガ丸君、帰ってきますよ。」
と連絡。ベットを整えたり、イガ丸が寝ながらでも、アバレンジャーの人形やアンパンマンのおもちゃが見えるように部屋を整える。
CTを撮って、手術に行ったときと同じ黄色のベットで病室に帰ってきた。
イガ丸には、色々な機械が付いている。
・首の部分から、点滴のルート(栄養剤と1日2回の脳圧を下げる 薬(グリセノール・デカドロン)を入れていた。)
・おしっこの管
・足にサチュレーションと心拍をはかる機械
・お鼻に酸素のチューブ
夕方頃には、おしっこは自分でしたいと管を抜いてと暴れるので、看護士さんに頼んで取ってもらう。しびんでする事に。そして、お鼻の酸素のチューブも落ち着いてるのでと取ってもらう。少しづつすっきりしてきた。
今日は、とにかく疲れているのかずっとうとうと。殆ど寝ていた。こちらの問いかけにずいぶんと反応する。手術する前の記憶もちゃんとあるようだ。良かった…。私があまりにもしつこく色々と質問するから、パパに怒られる。
「もう疲れてるんだから、やめてあげなよ。」
でも、早く元気になって欲しい。気ばかりが焦ってしまう。
頭が不快なのか、とにかく不機嫌。ちょっと疲れると
「もうイヤだ。やめて。」
と物を投げたりする。先生は1週間くらいは仕方がないことだと言われる。特にイガ丸のように小さな子の場合はその行動が顕著らしい。手術の前は、
「命さえあれば…」
と思っていたのに、欲が出てきてしまう…。だめだな…。
昼過ぎから、39℃の発熱。手術後は仕方がないことらしい。体の中で戦っているのだ。頑張れイガ丸!!夕方頃、かち割り氷をパパに買ってきてもらい、5口くらい口に含ませてみる。体中にアンパンマンの冷えピタを張る。頭と背中にはアイスノン。普段は冷えピタなんて大嫌いなイガ丸なのに、されるがまま。少しでも楽になりますように。
イガ丸と添い寝。体があっちんちんでクーラーをかけていても、私も汗だく…
平成15年7月24日
昨晩ずっと発熱。あまりにもえらそうなので、夜中に座薬を入れてもらう。少しの間は熱が下がるものの、すぐに上がってしまう。
朝から、採血とレントゲンあり。元気な時は暴れまくっていた採血もさすがに大人しくされるがままだった。レントゲンはポータブルのベットに寝たまま撮るやつだったんだけど、機械が大きく怖かったのか
「ママ~イヤだ。怖いよ~」
大泣き。
朝方から、ジュースやお茶を飲み始める。とにかくお腹が空くらしくひっきりなしに、飲みたいと言う。どんどんあげていたら、吐いてしまった。びっくりしてナースコールを押すと、先生が来てくれた。
「脳をいじってるんだからね。吐くのは仕方がないことだよ。少しづつ飲もうね。やっぱり、昨日よりも元気だね。少しづつ良い方向に向かっているね。」
と嬉しいお言葉。
頭より下はとても元気になってきた。知らない間に、自分で頭が痛くないように寝返りを打って体勢を替える。びっくり!!後頭部を切っているから、仰向けよりも、うつぶせの方が痛くないもんね。
夕方、お腹が痛いとしきりに言う。手術から、便が出ていないので(イガ丸は毎日快便の子なのだ。)うんちがたまっているのかなと思い、ベットの上でうんちをさせようとすると、(お尻の下に便器のような物を入れてさせるのだ。できるわけがないと思う!!)
「僕、こんなのでうんちできない!トイレに行ってする!!」
とすごい怒りよう。丁度その時、週に1回の教授回診で先生たちが病室を回ってきた。先生たちは大笑い。
「イガ丸君、まあだトイレには行けないよ~。」
と先生に言われてしまう。
「じゃあ、うんちしない」
とやめてしまう。困ったものだ。でも、これだけわがまま言えるようになってきたのも本当に嬉しいな。
今日も夜になると発熱。38,5℃。とてもえらそう。また、夜中に何度もお腹が痛いと起きる。熱もあるし、鎮痛剤の効果もあるというから、また座薬のお世話に。
![]()

![]()