MK

 ハートのマークの「MK」をご存じだろうか?1960年に京都で誕生したこの「MK」は、初乗り2km600円(他社660円)ワンメーター301m(他社274m)深夜割増20%(他社30%)の低額運賃(※いずれも東京都内の場合)、また黒塗りの車両にホテルマンのような制服・制帽の乗務員、さらにはその乗務員が降りてきてのドアサービス、全車禁煙等々のサービスで全国的に有名になったタクシー会社である。しかし東京都内の車両台数はたったの120台あまりで、手を挙げてたまたま出会える代物ではないらしい。しかし、先日それに出会った…。
 例によって代官山で終電を逃してしまった私は、タクシーが洪水のように流れる駒沢通りへ出て個人タクシーが来るのを待つ。個人タクシーを嫌う人は割と多いが、初乗りが10円安いこと、乗り心地がいいこと、たばこ臭くない場合が多いことなどの理由から、私は割と良くそれを選ぶ。しかし、その夜も彼らは八幡通りや旧山手通りを私が帰る方向とは逆側の渋谷方面に向かって走っていくので、私は諦めて「有無を言わずに、次に来たタクシーに乗ろう」と心に決めた。次のタクシーはすぐに来たが、挙げた手に反応したそのクルマのお屋根の上のオブジェは、黄色いカタツムリでも、またはちょうちんでもなかった。
 「キーッ」目の前に止まったそのクルマに近づこうとすると、運転手さんが横っ飛びしてこちらのドアから勢いよく飛び出してきた。そして「お待たせしました、MKタクシーです!」と元気良く言ったのだ。もちろんドアを手で開けてくれる。「ああ、これがMKタクシーか!」。
 話を聞くと、その車両台数の少なさと群を抜くサービスから、ほとんど流しで走っているクルマはいないらしく、そのまだ研修中の身である運転手さん曰く「宝くじに当たるようなもの」らしい。自らを「宝くじ」(=当たりくじ)と称していることに気づいているかどうかは判らないが、まさに大当たりくじ。ブレーキの踏み方から会話の内容、そして運賃までまるでいつもと違っていた。
 さっきまでの疲れなど何処吹く風。すっかり気分良く家の前に到着すると、またもや運転手さんの手によってドアを開けて頂いた後、制帽まで脱いで深々とおじぎされてしまいました。いやぁ、MKタクシーって本当に凄いですね。
 さぁて、今夜もMKかなぁ?

http://www.mk-group.co.jp/
http://www.tokyomk.com/


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