天使の絵本

天使の絵本

Tea time


人も羨む恋というものを、私も見つけてみたいと思ったのだ。
深い深い穴の底、天辺から見える真ん丸のお月様に、私の顔が映り込む。
あなたはだぁれ?
と聞かれても、
わからない。自分でも。
何か大切なモノと、交換してしまった気がする。
自分の形も捉えられない、そんな私があげたもの。
そんな私がもらったもの。
それじゃぁそれは、恋かしら。
私は恋をもらったの?
問いかけても、誰も返事をしてくれない。
答えるものは何も無い。
それでも、心は少し暖かい気がする。
満たされているように感じる。
なのに、何かが大きく欠け落ちているような、そんなあてども無い感覚。
おもむろに右手を伸ばすと、手のひらが月に触れる。
波紋のように広がって、1つは2つに、2つは3つに。
無制限に広がって、最後には見えなくなってしまった。
もう顔も映らない。
私だけのこの世界で、私は誰に恋をすればいいのかしら。
この気持ちを、誰に捧げれば良いのかしら。
必死で悩んで考えて、唸って叫んで轟いて、
最後に一つ思い出したのは、
ティータイムを継げる鐘の音だけだった。

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