アイテムなぞ使ってんじゃねぇ!

アイテムなぞ使ってんじゃねぇ!

超家出:6



――楽しさを手放すのが怖い?そんなこと考えたこともなかった――

確かにあの時期、楽しかった。とても。それこそ時が一瞬で過ぎ去っていった。

そうなのか?プロになりたいという願いは?己の技量の自惚れなのか?

駅を3つほど行き、早希の家へ。

早希の家はアパートで部屋も狭いが、一人暮らしをするには十分な広さを確保していた。

「男の人を呼ぶのは初めてね。まあゆっくりしていって」

軽い服装になると、ソファに腰掛ける早希。

異性の部屋になんか入ったことはない。母のは別として。

なるべく平静を装うが、どうしても気持ちがうわずってしまう。

それを感づかれたか、早希は少し笑った。

早希は台所に向かい、ポテトチップスとコーラを出した。

「こういうのは嫌い?」




夜になった。

早希はお笑いの番組を見ていたが、普段テレビをみない光は興味を持てず、ケータイを見ていた。

時間は過ぎていく。夕飯を済ませ、0時をまわり、眠気が襲ってきた光はソファを背もたれとして目を

つむった。

すでに早希は眠っていた。

光は明かりを消し、朝を待った。



物音がする。靴がコンクリートにひっそりとあたる音がする。まるで忍び込むかのように。

光は目を覚ました。携帯が光っている。

開き、新着メールを見た。

アシッド

無題

――今いる場所から早く逃げるんだ!

END


意味がわからない。まさか、警察がもう居場所を突き止めたとでも?

立ち上がりベランダに出た。

黒い影が見える。目をこらして見ると、5,6人がこのアパートの敷地に入ってきた。

更に見ていると、制服のような……

光は荷物を持ち、ケータイを取ったときだった。

呼び出しベルのピンポーンという音が鳴る。

その音で、早希は目を覚ました。起き上がり、目をこする。

寝ぼけ眼で早希は応対した。「はーい」

待て、開けちゃダメだ――

ガチャ。ドアを開ける音がした。

まずい。このままなら俺は父さんの部下に取り押さえられ、強制送還される。

どう逃げる。この状況から。

そして光の予想通り、姿を見せたのは警察官。

「警察のものです。ここではお一人で住んでいますか?」

早希は寝ぼけていた。口を滑らせた。

「いやー昨日泊まりに来た友だちがいますよー。光がー」

言葉を発した瞬間、警察は早希を押しのけ侵入した。そして早希は発した言葉の意味に今気づいた。

バレた。リビングに警官が3人。光の目の前にいる。

「取り押さえろ!」

リーダー格の男が2人に命じる。

とっさに光は一人の足を払い、もう一人をかいくぐった。

「うわっ!」

「貴様!警視総監の息子といえども容赦せんぞ!」

リビングには人が増えた。相手は5人に。

勝ち目はない。俺はヒーローじゃない。

一歩ずつ後ずさりする。身体はベランダに通じるガラス戸にぶつかる。

どうすればいい?その答えが見つからないまま、逃げた。ベランダへ。

出ても逃げ場は無いことは明らかだが、そうするしか延命手段がない。

出ると満月の月光が光、そして追いかけてきた警官を照らす。

「もう抵抗するな。逃げ場はない」

その時だった。自分の両腕についているものを思い出した。

「なっ!?」

光は信じられない光景を警官たちに見せた。





――光はベランダから飛び降りた。



つづく

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