大天使旅団 #2

大天使旅団〈アークエンジェル・ブリゲード〉#2『封じられし神の聖域へ』(2)


座標X:0,Y:0,Z:0地点、通称『神の聖域〈シオニエン〉』・・・。今まで誰一人たどり着くことができなかったこのエリアに『ゲヒルンの巡礼旅団』はとうとうたどり着いた・・・・。
『神の聖域』には、いろんな仮説がある・・・。神の聖域は一つの大陸だとか、超巨大コロニーだとかなど・・・。『神の聖域』は、当時最大の戦艦であったヴォルデモートの1280メートルをはるかに超える超巨大戦艦が、何かの力によって突然変異を起こしたものだった・・・。ヴォルデモートのメインシステムである『A・D・A・M〈アダム〉』で分析したら、『神の聖域』の正体は、さらに2000年前に造られ、宇宙で謎の消滅をした超巨大戦艦『ヴァルハラ』であることが分かった・・。元の大きさは200km程だったが、突然変異によって一つの大陸と同じくらいの大きさになり、内部もより複雑になっている・・・。

「ここが封じられし地、神の聖域『シオニエン』・・・。この地があの幻の超巨大戦艦『ヴァルハラ』だったなんて・・・。クラウゼ、お前ならこのことについて何か分かるだろう・・・。」
「はい・・・。おそらくこれは『ヴァルハラ』が最深部に封印してある『神の知恵〈ハーロー〉』との接触によって突然変異したのでしょう・・・。ということは2000年前に起こった『ヴァルハラ』消滅事件も何とか説明がつきます。」
クラウゼのこの言葉を聞いた瞬間、艦内がどよめいた。なぜならこんなあまりにも作り話っぽいことが現実に起こるはずがないと思っていたからだ・・・。
「それで、その『ヴァルハラ』が消滅した理由は何なんだ?」
アルフォンスがクラウゼに問いかける。
「昔の文献で見た事があるんだけど、『ハーロー』は本来1000年前に滅んだ惑星『テラ』の聖地『Yelsalem〈イェルサレム〉』に封印されていたようです・・・。それを昔のある旅団が回収しました、ある艦を完成させるために・・・・。」
「その戦艦が・・・、『ヴァルハラ』なのか・・・?」
「その通り。聖地にあった『教会』本部で極秘に造られていた『ヴァルハラ』は『ハーロー』の強大な魔力を永久機関として利用する初期試作型魔力機関搭載戦艦なんだ。当時『第一次断罪戦争』っていう行き過ぎた宗教戦争があって・・・そう、『教会』と『ハーマインの法院』二つの宗教派閥のね。『ヴァルハラ』は『教会』の最終兵器であって、もちろんその後無事に完成して試運転も異常がなくて、やってきたハーマインの艦隊は『ヴァルハラ』の主砲の一撃であっという間に壊滅して『教会』の圧勝。」
「クラウゼ・・・、戦争の話はいいからなぜ『ヴァルハラ』は消滅したのかを話してくれ。」
「すみません艦長、また私の悪い癖が・・・。それから『教会』は『ハーロー』を危険なものだと気づいたんでしょう、宇宙へ飛び立ち何もない場所へ『ハーロー』を放棄しようとしましたが、内部の『ハーロー』の力が暴発、艦ごと宇宙の果てへと消滅した・・・。こういうことですね。」
「なるほど・・・、それで消滅したはずの『ヴァルハラ』がいまや誰もが近づけなかった『神の聖域』となった・・・・。」
「艦長、『神の聖域』の外壁部に接岸できるところがありました。ここから10km先の地点です。」
「よし、ヴォルデモート再発進!!『シオニエン』に接岸するぞ!!!」

ヴォルデモートは再び『シオニエン』に向けて発進した。しかし、残り4kmのところから何もないはずなのにまるで壁があるかのようにヴォルデモートを押し戻す。
「なっ・・・!!どうなっているんだ・・・?」
「『シオニエン』の周辺、半径4kmのところで障壁のようなものが発生しています!!!それがこの艦を押し戻しているのです!!!」
「何とか突破できないのか!!?」
「こんなに強力な障壁、ブレイズプロテクトを発生させて障壁を中和させない限り、突き破ることは100%不可能ですね・・・。」
「何てこった!!!ブレイズプロテクトは『ヴェギル』との戦闘で駄目にしちまったのに・・・。くそおっ!!!こんなとこで門前払いかよ!!」
確かに、ヴォルデモートのブレイズプロテクト発生装置は、転移空間の移動中での『ヴェギル』との戦闘で機能が完全沈黙してしまったので、ここから先に進むことはできない・・・。アルフォンスたちは必死に考えた。他に・・・、他に何か方法はないのかと・・・・。
「クラウゼ、どうだ?なにか考えは浮かんだか?」
アルフォンスは再びクラウゼに問いかけた。
「何度も聞かないでくださいよ!!今起死回生の手を考えているんだから・・・・。」
怒り気味な口調でクラウゼは返答した。
「す・・・すまん。う~ん、どうするか・・・・。」
しばらく艦内は沈黙した・・・。だが、
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
クラウゼの大きな叫び声によって沈黙は突き破られた・・・。
「うるせえ!!!何だよクラウゼ!!!」
「私はとんでもなく馬鹿でした!!!!まさかこんなことにも気がつかなかったなんて・・・・。」
「何なんだ、その気がついたってことは・・・?」
「ブレイズプロテクトなら私達のAAにもついているじゃないですか!!!」
「そうか!!それならばこの障壁も突き破れる・・・、いやちょっと待て・・・それだったらヴォルデモートが中に入れないじゃないか。肝心のヴォルデモートが入れなかったら巨大な物体である『ハーロー』も持ち帰ることもできないじゃないか。」
「艦長、もっと頭を使いましょう。熱血だけでは団員をまとめることはできませんよ。」
「うるせぇ・・・、余計なお世話だ!!!」
アルフォンスは口を膨らませて答えた。沈黙していた艦内がその時笑い声が響いた。おそらくクラウゼの言った言葉がクルーの笑いのツボにはまったからだろう。そしてクラウゼは話を続けた・・・。
「はははは・・・、つまり我々のAA隊総勢50体のAAを円形に配列して、一斉にブレイズプロテクトを発生させ、障壁に丸い穴をぽっかりと開けたような状態にしてやるのです。そうすればヴォルデモートも通ることができます。」
「なんるほど・・・で、ヴォルデモートが通ったあとにAAは各自で障壁を突き破って入ってこればいいと・・・。」
「もの分かりがよろしいようで・・・。」
「よし!!!!こうなれば早速行動開始だ!!!クラウゼらAA隊は直ちに出動、AAで円形を作りブレイズプロテクトを展開するんだ!!!」
「了解!!!」
クラウゼたちのAAは、その障壁が発生している場所へ集まり円形を組んだ。
「いいですか?総員、一斉にブレイズプロテクト展開!!!」
すると、円形を組んだAAが光りだした。その光は円の形につながって、その内側が歪み始めた・・・・。
「よし、今だ!!!ヴォルデモート、急速発進!!!障壁を突破するぞ!!AA隊もあとに続け!!!!」

ヴォルデモートはなんとか障壁を突破し、『シオニエン』へと接岸した。そのあとに続いてクラウゼらAA隊も向かってきた。
「みんな、よくやった!!あとはAAで内部の探索をするのだが・・・、流石にAA隊ばっかに任せてはいけない。内部には少数のAAで探索することにしよう。ここでこの俺、アルフォンス・ゼオートもしっかり働かないとナ♪俺も『アイオーン』で出る。」
「そうなってしまってはこの私も必要のはずです。AA隊の隊長として、恥ずかしくない働きをしなければいけないですからね。」
「あと三機ほど俺とクラウゼの支援で来てほしいものだが・・・。」
するとAA隊の面々が一斉に「はいっ!!」という声を張り上げて手を勢いよく挙げた。するとクラウゼが呆れたのか、顔に手を当てながらAA隊の面々に向かってこう言い放った。
「あのねぇ・・・、遊びじゃないんだぞ。僕たちは今未開の地に踏み込もうとしているんだぞ・・・。」
「うぅ・・・。」
AA隊の面々は、気が改まったのか挙がっていた手がだんだん下がっていく・・・。しかし、ちょうど三人が手を挙げたままにしていた。
「馬鹿っっ!!君達はそんなに死にたいのですかっっ!!!今度はいったい何が起こるかわからないんだぞ!!!」
クラウゼは手を挙げているAA隊員に向かって一喝したが、その三人はいまだ手を挙げたままだ。するとそのうちの一人がクラウゼに言い放った。
「確かに隊長の言う通りかもしれない・・。だけれど僕達は隊長の役に立ちたいのです!!!確かに僕達は隊長に比べては微力です・・・、しかし僕達はいつまでも隊長に甘えているわけにはいかないのです!!!!お願いします!!!今度は僕達が頑張る出番なのです!!!!」
「君達・・・・、分かりました。君達三人を連れて行きましょう・・・・・うっっ!!!」
その時クラウゼは一瞬頭に痛みが走ったのか、手で額を覆い隠した。そしてすぐに額から手を離し、アルフォンスに顔を向けてこう言った。
「来る・・・。ここから一時、四時、六時、十時の方向から・・・・、多数のAAがこちらに向かってきます。おそらく『ヴァルハラ』の自動防衛システム・・・・」
「あぁん?クラウゼ、お前いったい何を・・・・」
その直後、爆発音と共に艦内が大きく揺れた!!
「やっぱりきたか・・・!!ここに残るAA隊は早く出撃して!!!そして対空砲火も急いで!!!艦長、私達も早く『シオニエン』へ!!!ここは彼らに任せましょう!!」
「おい・・・。本当にいいのか、お前がいなくても・・・・」
「艦長、そして隊長!!!ここは俺達に任せてください!!!!そのためのAA隊ですから、艦長たちは早く『ハーロー』を!!!」
「分かった!!よし、いくぞクラウゼ!!!あとの三人もしっかりついて来いよ!!!!」
「了解!!!!」
アルフォンスら5人は、ヴォルデモートのAAドックへと向かっていった。そのあとに続いて、ヴォルデモートを防衛する残りのAA隊員もドックへと走っていった。クラウゼらはエレベーターを使って胸部のコクピットまでのぼり、中に飛び乗り開いていたコクピットの部分を閉めた。クラウゼはブリッジの方に通信をつなぎ、オペレーターにこう要請した。
「今度は『超高インパルスプラズマビーム砲〈アフロディーテ〉』はいりません、その代わりに50mmプラズマビームライフルと『エイラム』を換装してください。」
「了解。『アイオーン・カスタム』カタパルトに接続、『アフロディーテ』、両肩部パーツパージ・・、肩部『EIRAM』搭載可変パーツ、50mmプラズマビームライフル換装・・・。スクランブルレーン開放・・・、発進どうぞ!!!!!」
「早いところ『ハーロー』を回収して、僕らの星で祝杯をあげたいものだ。『アイオーン・カスタム』、行きます!!!!」
#3へ続く

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