(保管庫) 草食伝・・日本狼の復活かも・・違うかも・・・

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《第2話》 【ボブ戦】



 20代後半のアメリカ人男性。
ブラックヘアー、ブラックアイでちょっと見ると、日本人にも見えるが、口をおもいっきり ひん曲げて激しくまくし立てるところが、日本人にはないタイプ。

 いきなりだった。

「日本人の男は、なぜ料理をしないんだ?」

それまでにもイギリス人やオーストラリア人からも聞いたことだ。
日本人の男が料理をしないという話は、外国で有名なんだそうである。
日本は経済大国になり、先進国の仲間入りもし、国連の常任理事国入りも希望している世界のトップレベルの国なのに、いまだに男女平等の文化を持っていない。
100年遅れている。ということなのである。

こころある外国人だと、日本人もしっかりしろよ、という励ましの意味で言ってくれる人もいるのだが。

 その当時俺は、アパートで一人暮しをしていたので、たまに自炊をしていた。
だから、外国人に「俺は、料理をするよ」と言うと、ニコッと笑顔で「O.K.」となるのだが、ボブは違った。

「おまえのことは聞いていない。日本人の男は、なぜ料理をしないと言ったんだ。」

そういうことかよ。おもしれー。やったろーじゃねーか。
と思ったが、これはちょっとむずかしい。
日本では、男は料理をしない、それは女がやるものだ、というはっきりした理由があっただろうか。
それがあれば、それも日本の文化だと、胸をはって言えるのだが。

まさか、マザコン坊ややマザコンおじさんのように、子供の頃、母親が料理を作ってくれたのが、おとなになっても忘れられないんだ、とは言えない。
それは、日本人は、頭か心が病気だと、外国人に言ってしまうようなことになるから。

俺は、とっさにこう言った。
「それは、日本の歴史と伝統だ」
「そんな答え方じゃ納得できない。」と、言っているようだった。

「昔、男は戦争に行った。女は国で家を守った。子育て、掃除、洗濯、料理だ。」
「いまは、戦争がないだろう」
「うん、ないよ。戦後、男は会社に行き、一生懸命働いた。戦争をするように。そして、
  女は家を守った」
「今は、男女平等の世界だろう。女だって、働いているだろう。おまえのまわりをよく見  てみろ」

たしかに、その英会話スクールで働いている日本人は、全員女性だった。
ほかの業界にも、女性は進出している。それは、わかっている。

「だから最初に言ったろう。日本の歴史と伝統だって。アメリカにサンクスギビングデー(謝肉祭) というお祭りがあるだろう。それは昔、白人が食べ物に困ったころ、インディアンが肉 をくれたのが始まりだろう。でも、いまは、白人がインディアンに肉をもらうこともな いだろう。でも、お祭りは続いている。それとおんなじことだ。日本人は、お祭り好き だから、毎日家の中で昔のお祭りをやっているんだ」

どうだ、まいったかな?。

 ボブは、なにかをいっぱい言っている。
興奮気味に早口でまくしたてている。
簡単な英単語をならべたてるだけでも、アメリカ人には通じるが、むずかしい単語をいっぱい早口で言われても、なに言ってるのか、さっぱりわからない。

ただ、怒っているらしいということは、雰囲気でわかる。えーい、しつこくて、めんどくさいやつだ。

「O.K. わかった。じゃ、日本の男が料理をしないことと、日本がもう一回、真珠湾を攻 撃するのと、どっちがいい? どっちか、おまえが選べ」

すると、どういうわけだ。
かなり、あわてて
「No.No. 戦争は良くない」と手をふる、首をふる。
「ん?、じゃ、おまえは日本人の男が料理をしないことを選んだな」
「O.K.」 ボブはがっくりと頭をたれた。あらま、それでいいの?。

 アメリカ人はバカでもチョンでも強気だと聞いていたが、かなり、単純バカにできているらしい。
たしかに、「リメンバー パールハーバー」という言葉があるとおり、真珠湾攻撃のくやしさ、悲惨さをわすれるな。
戦争は悪いことだ、というのが、アメリカの世論、国民思想になっていることは、なんとなくわかる。

だが、アメリカ人とけんか状態のいま、真珠湾攻撃の話は、かなり効くなとわかった。
問題は、俺一人で真珠湾を攻められないことと、日本の自衛隊を動かせないことだけど。

まっ、いいか。



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