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トイモイ

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2007.10.03

ＮＯＴＨＩＮＧ　ＴＯ　ＤＯ　ＬＩＳＴ

(10)

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夕食　腐りかけのバナナ70円、4房。おにぎり、半額52円、ラスクとクロワッサンは、貰い物。さすが大富豪はお金をかける割合が違うと、自己満足する。

　ペカンバルがそんな都市であった。スマトラ島中部の川沿いにある石油が少し出るだけと言う退屈な中継地点。ビンタン島から２昼夜かけて、海を渡り、河を上ってきたのだ。小さなデッキのみの船は難民船のようで、寝ると、人々で床が見えなくなった。やっと朝、港に着き、バスターミナルヘ行ったのだが、バスが出るのは、夜であり、10時間程度、何もすることがなかった。小さな市場を散歩するぐらいである。ココナツを割って、内面にある皮をちょっとづつ食べるぐらいである。人懐っこいインドネシア人の店の中に入れてもらい、ただのニコニコ座っているのみである。しかし、あまりに何もすることがないので、殆ど何も覚えておらず、一緒に旅行していたブラジル人が「ナシングトゥドゥ」とぼやいていたことだけを覚えている。

　後年、私は、インドの避暑地兼大学の村、シャンティニケタンにいた。ご飯を食べに行き、いろいろ大学などを散歩することにしたのだが、留守番は、バウルの歌い手のじいさんである。じいさんは部屋の真ん中で立っているだけだ。「暇じゃないか、何もしないで、部屋に数時間じっとしているのか？」というと、彼は「私は芸術家だから」と答えた。
　芸術家にはなれない、負けたと思った。
彼の家にも行ったことがあるが、土で出来た彼の家の中にあるのは、かまどと、少ない調理器具だけである。そして、家族は、前の庭に奥さんと子供数人が出て、ただただ、座っていた。彼は威厳があった。綺麗な座り方だと思った。

　何もすることがない、どうしよう病から抜けることが、どうして、できない私よ。私は、いつも、するリストでなく、後ろ向きのしなければならない仕方ないリストである。起きなければならない、歯を磨かなければならない、満員電車で痴漢に間違われないようにしなければならない、仕事に行かなければならない、仕事をするふりをしなければならない、昼飯を食わなければならない、出かけなければならない、やらなければならない、帰らなければならない、蝋人形を見に行かなければならない、本屋に寄らなければならない、映画をみなければならない、下調べをしなければならない、整理するふりをしなければならない、クリーニングを出しにいかなければならない、寝なければならない、ブログを書かなければならない。そんな修行にようなものも、今は、まあ、楽しいかのう。