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常日頃、世界の中心で愛を叫ぶかのごとく、広島の中心で銀魂愛っていうか銀さん愛を叫んでるワタクシですが、実は銀さんと同じくらい大好きなキャラがいます。ラジェンドラ、大好きだ――――――!☆(≧▽≦)☆!今日、【敵は海賊シリーズ】の最新刊「敵は海賊・正義の眼」が出てるのを発見して、本屋で思わず叫びだすところでした。ラジェンドラ、大好きだ――――――!☆(≧▽≦)☆!(←しつこい)プロフィールの好きなキャラのとこにもしっかり書いてますが、このシリーズに出てくるラジェンドラ、大好きなんです。メロメロです。クラクラです。慇懃無礼なとこが、ハートの真ん中にドレッドノート級にストライク!ちなみに、銀魂銀さんとは何から何まで真反対です。そもそも、人間じゃないしね。(海賊課フリゲート艦A級コンピュータ)一人称は「私」で黒猫もどきにおちょくられてはヒステリー気味だしね。でも、かっこいいんだってば!(←同意が得られる自信はあまりないですが・笑)敵は海賊シリーズ、10年振りの新刊です。な、長かった!( ̄□ ̄;)!!10年ぶりにまたラジェンドラに会えるかと思うと、帰りのバスの中でニヤニヤ笑いが止まりませんでした(笑)ダメだ、浮かれ気分が止まらねぇ!☆(≧▽≦)☆!
2007年06月22日
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クオリティの割には、知名度も評価も今ひとつなところが心の底から納得できない、私の一押し作家さん、東直己さんの新作です。宮崎一晃は、ゆっくりと全身が麻痺していく難病に冒された、少壮の画家。しかし、彼にはもう一つ、ウラの顔があった。宮崎の身の回りの世話をする美貌の介護人・篤子は、彼のウラの稼業を知らない。破格の契約を交わしている二人のあいだは、カネで結ばれているようでもあり、それだけではないようでもあり…。シニカルでユーモラスな、異色のハードボイルド・ロマン。 阻止/抹殺/別れ話/敵討ち/氷柱/奇跡/極刑/私怨 「俺たちは、人類の進歩と調和に貢献したんだよ」一晃は苦笑いで頷いた。それもありかな、と考えた。1作家の作品を系統だてるのは意味がありそうに見えて全く意味のないことではありますが、あえて言うなら、榊原シリーズに通じる渇いた空気を感じる短編集でした。ユーモラスとあるけれど、便利屋シリーズの「俺」のようにフワフワしたところはなし。かと言って畝原シリーズの畝原さんのような地に足がついたようなとこもなし。「スタンレーの犬」の主人公のようにセンシティブなところもない。主人公の一晃はストイックです。性欲だけはしっかりあるようですが(笑)難病に犯された主人公の体を蝕むシュタイン・ベル症候群という難病の虚構性と作中の事件の現実性が絡み合って、読み応えのある短編集でした。以下、感想という名の雑感。【阻止】私はものすごく素直なので、拓銀の経営破綻とか北海道開発局の受託収賄事件とかの裏には、きっとこうゆうことがあったんだろうな~と思ってしまいましたが、何か問題が?(笑)というくらい、東さんは相変わらずリアルにありそうな事件を描くのが上手いです。そして、つくづく厚労省とか外務省とかってお役所が嫌いなんだな、としみじみ。それにしても、主人公は難病に犯された殺し屋なわけですが、車椅子と殺し屋を組み合わせる発想が尋常じゃない。主人公を固定した連作短編集で重要なのは、主人公の人物造型だと思ってますが、その点で言えば申し分ありません。【抹殺】インチキ宗教のインチキ教祖をここまで情けなくリアルに書ける作家さんは他にいないんじゃないかな。「飛翔会」の会長を務める玄田道常のモノローグ。要するに、飛翔信者は、バカなのだ。社会についていけないバカどもで、自分はそういうバカを騙して、脅して、金と労働を巻き上げて、いい気になっている、ミジメな男だ。教祖をやってるような男が、そのことを理解してるからこそ、世の中からインチキ宗教はなくならないんでしょねえ。そして、そんな宗教にあっさり取り込まれてしまう人の多いこと。不気味なことこの上ありません。一晃のターゲットが一体誰なのか、分からないまま最後まで一気に読んでしまいました。ワイドショーに流れるバカバカしい事件の裏には、こんな事実が隠れてるのかもしれません。【別れ話】東さんの作品はどれをとっても大好きなんですけど、どうも女の人に夢をもちすぎなんじゃないかなと。これもそんな感じ。女の子に夢を託した足長おじさんのお話。まあ、内容はそんな牧歌的なものじゃありませんが。【敵討ち】身につまされました。福岡で起きた、3人の幼い子供たちが命を落とす結果となった飲酒運転事故をも連想しましたが、何よりも光市で起きた母子殺人事件。現実とは、やはりこういうものなのか。それを打ち砕く存在を切に望みます。これは、そんな望みが現実になった一つの形。一晃や龍犀のような存在がリアルだったらいいのに。収録作品の中では一番好みです。【氷柱】ライブドア事件を題材にした作品といえば、奥田秀朗さんの「町長選挙」に収録されている「アンポンマン」(感想はこちら)を思い浮かべますが、こっちの方がリアルでブラックです。そして、私の好みはこっちの方。人知れず殺人が起きて、それで全てが解決されるわけでもなく。現実は小説より複雑怪奇に違いありません。それにしても、ワイドショーを見るたびに裏を勘ぐってしまいそうなんですが、それってやっぱ東さんに踊らされてる?(笑)【奇跡】超能力とか催眠術とか。タネはないと言い切って行われるテレビ的なみせものにはこれっぽっちも興味は沸かないものの、「このままでは、日本はバカの国になる」という田西教授の主張は分からないでもない。っていうか、こうゆう頑固さはうっとうしいと思いつつも嫌いになれません。東さんは女性を描くのは今ひとつと感じざるを得ないんですが、情けない小悪党とか頑固なお年寄りとか下品な犯罪者とかを描かせると、他の追随を許さないなとしみじみ。その辺のリアルさが東作品を大好きな所以の一つだったりします。ところで、気になったのが〈2ちゃんねる〉「墜落」を読んだ時も思ったんですが、東さん、かなりネットの世界にも詳しそう。この感想、目にとまらなきゃいいなあ。日本語が下手くそだの、読解力がないだの、心の底から罵倒されそうです(←マジ)【極刑】目には目を歯に歯を。【私怨】最後は、思いがけずいい話でした。いい話というか甘い話。シビアでブラックな短編が続く中、最後の最後にお涙頂戴的な事件をもってくるあたり、侮れません。そうか、この短編集の隠れテーマは「家族」なのかも。期待にたがわぬ面白さ。これだから、文庫化待ちなんて悠長なことをする気もおきず、単行本を即買いしちゃうんだよなあ。といった具合に、東直己さんは大好きな作家さんなので感想も甘くなりがちですが(笑)、やっぱり不満は女性描写。生臭坊主の龍犀はこれ異常ないってくらい魅力的なのに、ヒロインの篤子がろくに印象に残らない。男性から見たらどうかは分かりませんが、女性から見るときれいなだけのお人形さんにしか見えません。もうちょっと一癖も二癖も欲しかったというのが正直なとこでした。ちなみに、一晃と篤子の、コナンくんと毛利さんみたいな関係も続きすぎると作品世界を損ねかねないので、これくらいの文章が丁度いいのかも、なんてことを思っても見たり。
2007年06月16日
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夏目漱石作品は途中で挫折するばかりで、最後まで読めたのは「坊っちゃん」と「夢十夜」くらいだったっけ。教師を罷め東京に戻って三年、街鉄の技手になっていたおれのところに山嵐が訪ねてきた。赤シャツが首をくくったという。四国の中学で赤シャツは教頭、山嵐はいかつい数学の教師の同僚だった。「あいつは本当に自殺したのか」と山嵐は殺人事件をほのめかす。そして、一緒に四国に行くことになった。そこで待っていたものは……。日本文学の名作の裏に隠されたもう一つの物語。探偵は犬だ。おれは、凡そ世の中に何が卑しい家業だと云って、探偵と高利貸程下等なものはないと思っている。その探偵の真似事をするた、猶悪い。陋劣の極みだ。一言、とにかく面白かったです。夏目漱石の「坊っちゃん」の世界にすうっと入り込める。夏目漱石が書いた推理小説のような錯覚を起こさせる。それほど、坊っちゃんが自然に描かれてました。夏目漱石の「坊っちゃん」を読んでなくても問題はないですが、読んでいたらより一層楽しめます。事件はと言えば、当時の社会情勢が色濃く反映されていて、なおかつ、それが事件の重要な鍵となってるあたり、犯人の正体の意外さもあいまって、成る程ねぇ~と唸らされることしきり。初めて読んだ柳作品「吾輩はシャーロック・ホームズである」(感想はこちら)も、当時のイギリスを取り巻く世界情勢(イギリスの傲慢っぷりまで)がきちんと描かれた上で、ミステリ作品としてきれいに着地する様に感心しきりだったわけですが、柳作品に共通する社会情勢とミステリを融合させる力量は見事というしかありません。そして、何より魅力溢れるキャラクター。無鉄砲で前向きで、飾らない。奢らない。嘘をつかない。ちゃきちゃき江戸っ子な坊っちゃんの活躍は爽快きわまりないです。何より嬉しいのは、ちゃんと柳版坊っちゃんも清を本当に本当に大事にしていること。本家「坊っちゃん」は、日本文学の名作の割にはとっつきやすく、ユーモアに溢れた小説ですが、清と坊っちゃんのところは、楽しくて微笑ましくて泣けて泣けて仕方なかったことを思い出しました。「清は死ぬまでおれを「坊っちゃん」と呼んだ。清がいなくなって、おれは本当に独りぼっちになった気がした。」うん、自分、この二人が大好きだったっけ。清にもらった財布とか、清からの手紙とか。そんな清絡みのエピソードに胸打たれ、最後は不覚にもホロリとさせられました。夏目漱石の「坊っちゃん」を読み返そう。そして、もう一度、「贋作『坊っちゃん』殺人事件」を読み直そう。そうすれば、きっと、新たな発見があるはず。柳広司作品は面白い!今のところ、1冊も外れがありません。最初に読むには、「吾輩はシャーロック・ホームズである」か、「贋作『坊っちゃん』殺人事件」がお勧め。両方とも夏目漱石という日本の誇る文豪絡みの作品ですが、敷居は全然高くありません。軽妙かつリズム感溢れる文体に、時間を忘れること間違いなし♪感想を読ませていただいた素敵サイト様→まったり感想日記
2007年06月14日
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失敗しました。大失敗。 読むんじゃなかった!っていうか、今買うんじゃなかった!6月29日当たりに買って読めばよかった! と、むやみやたらと叫びたい気持ちで一杯です。続きがものすごく気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気になって気に……(エンドレス) この状態で続きが出るのを3週間も待つなんて拷問! ということを、私は最終巻が出るまで言い続けなきゃいけないんでしょうか?(ぇー 「とがめはな――どんな苦境にあったって、自分の決断を後悔することだけはねえんだよ」絶対凍土の地、蝦夷の踊山を彷徨う無刀の剣士・鑢七花と美貌の奇策士・とがめの前に姿を現したのは、天真爛漫な少女、凍空(いてぞら)こなゆき――! 吹きすさぶ豪雪と疾風のなか、七花が絶体絶命の危機に!! 追い詰められた真庭忍軍の切り札と、とがめを狙う謎の第三勢力の蠢動やいかに!? 「……ん、そなた今、わたしが拗ねていたと言ったか?」「言ってません」七花は嘘をつくことを覚えた。………RPG?(笑)賊刀・鎧が鎧だったので、五話の感想で予想したように、双刀・鎚がかなづちじゃなかったことは心底残念でしたが(←嘘)、毎月刊行だと、本とサクサク話が進みますね。そんな訳でターニングポイント、折り返し地点の6冊目。今まで戦いで傷一つ負わなかった七花が怪我をし、とがめは七花ロリコン疑惑に怯え(笑)、まにわにの新キャラは犬だなけに正しくかませ犬化し、こなゆきちゃんはめっさかわいらしく、七実姉さんは虚弱なくせして怪力という新たなスキルまで手に入れて大暴れでした。 と書くと、間違っちゃいないものの、どんな話なのかさっぱり分かりません(笑)正直、第5話の七花の告白(父殺し、とがめの過去)が、七花ととがめの関係にどんな影を落とすのか、ものすごく気になってただけに、拍子抜けと言えば拍子抜けではあったんですが(この辺の肩透かしっぷりは西尾作品を読んでたらよくあるっちゃよくある)、ともかく、一本の刀である七花も、いよいよ人間味が増していき、変体刀の持ち主も、全て斬って捨てられることもなくなってきたので、ドラマに幅が出てきました。第5話の校倉必はぶっちゃけどうでもよかったですが(←待て)、私は動物とかわいい子どもに弱いので、こなゆきちゃんの最後はホント良かった!ここで、子どもだろうと容赦ない主人公(七花)を描写するのも、作品自体に殺伐とした空気を孕ませることになって深みが増したろうに、惜しいっ!という気もしないでもないですが、まあ、ノリはライトノベルですからね。そんなノワールモノに一気にシフトされても、大方の読者は戸惑うばっかりでしょうから、これが正解なんだろな。その辺の暗黒面は七実姉さんが張り切って担ってくれるんでしょう(笑)←笑いごと?それにしても、双刀・鎚。一体何の素材で出きるとああも反則な代物になるんでしょう?イリジウムか?はたまたオスミウム?大穴でダークマタ―なアクシオンとか!☆(≧▽≦)☆!と、妄想が膨らみました。私的には北海道に多く算出されるっていうオスミウム当たりがお勧めですが、そんなこと考えるだけ無駄なんでしょね(笑)さて、今回、新しい世界設定がいろいろ出てきましたが、気になるのは尾張幕府の指定する壱級災害指定地域。蝦夷地の踊山・陸奥の死霊山・江戸の不要湖ということは、いずれ戦いの舞台は江戸の不要湖へ……と期待していいんでしょうか?不要湖って何じゃいな。とは思いますが、その辺の西尾さんの外しっぷりは期待してます♪ネス湖のネッシーみたく、不要湖のフッシーとか出てこないかな。個人的には、勿体ぶって名前を出しておきながら、誰も立ち寄りもしなかった…って錆白兵みたいなオチでも全然OKですが(笑)更に、変体刀の正体が一つ、明らかになりました。炎刀の正体は「銃」という言葉どおり、『拳銃』とな。た、確かに、七花自体、1本の刀って位置づけなんだし、鎧はヨロイだったんだから、銃がジュウで「刀」だと言い切るのもありか!( ̄□ ̄;)!!これでより一層なんでも刀になれそうです。「ペンは剣よりも強し」ってことで、筆だって刀になりそう(笑)21万円とな。(||゚Д゚)ヒィィィ!(゚Д゚||)!!高いっ!→まだ正体が明らかになってない刀がどんなものか、ますます楽しみになってきました。いよいよ第7話は七実姉さんとの対決です。西尾さんの焦らしプレイのせいで、冒頭に述べてますように、続きが気になって気になって仕方ありません。西尾流、ビルドゥングス・ロマン譚。はたしてどうなることやら!☆(≧▽≦)☆!感想を読ませていただいた素敵サイトさま→いつも感想中 Alles ist im Wandel ライトノベル名言図書館 かもめは本を読まない。空夢ノート 日々のんぼり ところで、巻末にて、12ヶ月コンプリートの読者プレゼントの内容が明かされてました。う~ん、別にどれもいらないかなぁ……京極夏彦さんみたく、書き下ろしの豆本にしてくれたら速攻応募するのに。←こんな奴。第1話~第5話の感想はこちらからどうぞ。 余談ですが、この感想をマイブームのルー語変換で変換すると、「とがめはな――どんな苦境にあったって、自分の決断を後悔することだけはねえんだよ」という台詞がこうなりました。→「とがめはな――ホワットトラブルにあったって、マイセルフのデシジョンを後悔することだけはねえんだよ」 ダメだ、ルー語変換、ツボに嵌まりすぎるっ!☆(≧▽≦)☆!
2007年06月09日
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一番両さんのことを分かってるのが柴田よしきさん(二番目が大沢在昌さん)で、一番両さんのことを分かってないのが石田衣良さん(二番目が東野圭吾さん)で、一番泣けたのが今野敏さんで、一番それはないだろと思ったのが逢坂剛さんで、一番燃えた(萌えでも可)のが京極夏彦さんってことで!これで税込み1,050円はかなりお得なんじゃないでしょうか。お馴染みのキャラはここぞとばかりに出てくるし、挿絵は秋本治が直々に書いてるし。なにより、あっという間に読めます。その上、日本推理作家協会に属する大御所の先生達が書いたとは思えないくらい、推理小説じゃありませんでした(笑)まあ、両さんのキャラがたってるせいで、わざわざミステリを入れる必要はなかったってことなんでしょうけど。(っていうか、入れられなかったってことなのかも)<超人気作家7人が「こち亀」小説化!!>「こち亀」30周年&「日本推理作家協会」60周年を記念して、史上空前の超豪華企画完成!!国民的マンガ“こち亀”の世界を、日本推理作家協会のそうそうたる人気作家7人が料理!『新宿鮫』の鮫島警部や『池袋ウエストゲートパーク』のマコトと両さんが共演だ!【第一話 幼な馴染み】 作:大沢在昌“新宿鮫”との競演が実現!!新宿鮫の鮫島と両さんが喋ってる!☆(≧▽≦)☆!もうそれだけで何もいりません。しかもあの薮さんが両さんの幼な馴染みだっていうから驚き桃の木山椒の木(←古っ!( ̄□ ̄;)!!)ってもんです。いわゆる人情モノ。両さんの男気がしっかり描かれてて、思わずニヤリ。原作じゃしばらくお見限りなかっこいい両さんここにありでした。新宿鮫より両さんの方が一枚上手なあたり、大沢先生憎いぜ!ってことで\(^▽^)/【両さん描写】「岩を掘ったようないかつい顔立ちで、太い眉がつながっている。年齢や職業の見当がつきにくく、小柄だががっちりした体つきから、職人のように見えた。」【第二話 池袋⇔亀有エクスプレス】 作:石田衣良夢のコラボ第2弾は人気シリーズ“IWGP”のマコトと競演!!う~ん………この両さん、私の知ってる両さんじゃない………あの吉岡さんが両さんと警察学校で同期ってのはニヤリとしたけど、両さんならマコトに頼らなくっても絶対一人で何とかできるレベルの厄介ごととしか思えないのが辛い。台詞もいちいち違和感あったんですけど、あれだけ無駄に博識な両さんがマコトの「オンラインとオフライン」って台詞に対して「日本人なら日本語を使え」って言うかなあ。大原部長なら言いそうだけど。ページ数に制限があったせいかどうか知りませんが、厄介ごともその解決方法もオチも、石田先生、手を抜きすぎです。【両さん描写】「荒い紙やすりで仕上げたようなざらざらのおやじ声だ。(略)なにより目立つのは、人間のものとは思えない肩幅と顔のでかさだった。」【第三話 キング・タイガー】 作:今野敏マニアも喜ぶネタで両さんを狙い打ち!こうゆう「こち亀」が、私の大好きな「こち亀」なんですよう!☆(≧▽≦)☆!と言いたい。両さんに会ったこともない定年退職した警察官「私」が、プラモデル作りをしながら両さんと繋がっていく。両さんの作るプラモデルを目標に、奥さんに呆れられながらもコツコツがんばって戦車を作っていく姿が微笑ましいです。なんだかこっちまで、両さんを目標にプラも作りに励みたくなる。まるで、両さんの子供時代のストーリーを読んでるようなほのぼのさ。最後の両さんの台詞に、自分が褒められたかのように嬉しくなりました。うっかり涙腺が緩みそうになったのは内緒。今野さんは両さん顔負けのプラモ好きだそうです。うん、なるほど、確かに「私」の作業一つ一つの描写に愛を感じましたw【第四話 一杯の賭け蕎麦-花咲慎一郎、両津勘吉に遭遇す-】 作:柴田よしき両さんとの手合わせに応じるのは、あの、保育士探偵!?うわっ、モノホンの両さんがここにいた!っていうか、最近の犯罪者紛いの両さんじゃなく、こんな両さんをこそ原作の方で見たいんですけど!と思わずにはいられない。7つの短編の中で一番、原作のイメージに限りなく近かったです。事件の卑小さも、それを人情ものに持っていく力技も、解決方法の荒唐無稽さも、最後のセコイ締め方もこち亀の世界観そのもの。両さんの魅力をここぞとばかりに描写しつつも、自分の持ちキャラである花咲慎一郎にも花を持たせる小説巧者っぷりは見事の一言です。花咲慎一郎シリーズは未読なんですけど、読んでみたくなりました。【両さん描写】「眉毛がつながっていた。顔が濃い。濃すぎる。しかもなんと言えばいいのか……全体の雰囲気がレトロである。立ち上がるときっとがに股だ。めくりあげた制服の袖からは、にょっきりと、熊のような毛に覆われたやたらと太い腕が出ている。」【第五話 ぬらりひょんの褌】 作:京極夏彦思い出の町・中野を訪れた大原部長、大学時代にぼろアパートで遭遇した怪異な事件の記憶がよみがえり…!?他がたいして推理小説の体をなしてなかった中で、これはちゃんと推理小説でした。ということはどうでもよく(ぇー中野の古書肆が出たーーーーーーー!☆(≧▽≦)☆!という訳で感想は別日記で。【第六話 決闘、二対三!の巻】 作:逢坂剛日本推理作家協会前理事長が、「御茶ノ水警察署」シリーズで両さんワールドに殴り込み!!夢オチにしても、この両さんと麗子はあんまりすぎ。やることがセコイ上に悪質で笑えない(泣)逢坂さんは禿鷹シリーズを1、2冊読んだっきりなんですが、多分、御茶ノ水警察署シリーズは今後読むことないんだろなあ。【両さん描写】「濃い眉毛が、数字の3を左へ九十度寝かせたような格好で、目の上にかぶさっている。」【最終話 目指せ乱歩賞!】 作:東野圭吾最後のバトンタッチを受けた直木賞作家が禁断の文壇ネタでオチを飾る!!両さんの小説を乱歩賞の審査員が評する様は、まるでバトル・ロワイヤルを「非常に不愉快」「こう言う事を考える作者が嫌い」「賞の為には絶対マイナス」だのなんだのとこき下ろしたホラー大賞の審査員を思い出して(って、十中八九皮肉ってるんでしょうけど)、ニヤリとしたものの、両さんの描写がちょっとねえ………東野さんだっていう期待が大きすぎたのかもしれないですが、どれだけお金に汚くて、お金のためなら犯罪行為も厭わなかろうと、正義感だけは人一倍あるのが両さんって理解をしてたんですが、東野版両さんは、殺人事件までお金のために利用しようとしてるところにものすごく違和感が。百歩譲って詐欺とかスリとか泥棒はいいとしても、殺人は拙いだろ。殺人は。1次、2次、3次を経た最終の選考会に、両さんが乱入しなかったのも画竜点睛を欠く感じがしていけません。パソコン4台を両手両足で操作する両さんはいかにもって感じだっただけに残念。【両さん描写】「眉毛の繋がった、いかつい顔の男。」「ごつい、人相の悪い男。」「眉毛の繋がったゴリラのような男。」(ええっと、東野さん、手ぇ抜いてない?)あとがきで大沢さんが書いてるような推理作家魂はあんまり感じなかったんですが(ほとんど推理らしい推理はなかったような)、中にはアレ?って思う短編もあったものの総じて楽しい短編集でした。あっさり読めるので通勤通学のおともに最適ですWWW感想を読ませていただいた素敵サイト様→本だらけ My Favorite Books Crescent Moon higeruの大活字読書録 お菓子を片手に、日向で読書♪ まあぼの交差点苗坊の読書日記 週刊少年ジャンプの感想
2007年06月02日
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あの「京極堂シリーズ」が大好きな人は必読!「こち亀」を読んだことなくても、この短編だけは読むべし!というわけで、「小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所」に収められている京極夏彦さんの短編 「ぬらりひょんの褌」の感想です。で、なんで「京極堂シリーズ」ファンは必読かって言うとですね。平成のこの世に、あの中野の古書肆、京極堂こと中善寺秋彦がご存命だったんですよう!☆(≧▽≦)☆!年齢的に、生きててもおかしくはないだろなと思っちゃいたものの、作者自らこうして作品の形で描写しくれるとありがたみが全然違います。「どすこい。」にでてきた南極夏彦なんかひたすらどうでもいい(笑)こち亀のノベライズってのもどうでもいい(←待て)全ては京極堂に全て持っていかれました。「地味な和服姿で杖をついている。」「老人とは思えないほどによく通る、落ち着いた低音だった。」イメージはこんな感じ?「動物のお医者さん」9巻の二階堂に「猫の泉」を教えてくれた老人。そういえば、年齢もピッタリかも(笑) 大原部長が大学生の時に出会った妖怪の正体を、京極堂がサラリと明かす……というのが大雑把なあらすじですが、京極堂と両さんが知り合いだったって言うのは、すんなり納得できます。なんたって、榎木津っていう突拍子のないキャラがすでに存在してるだけに、ここに今更両さんが加わっても驚くに値しないっていうか(笑)今でも、中野の老人にだけは頭があがらない両さんってのもいいかもしれない。っていうかいい!(きっぱり)本人は登場しないし、名前もかたられませんが、おなじみのキャラが今どうしてるのかは分かりました。関口くんは既に死んじゃってる(最後は安らかに畳みの上で死ねたのかなあ…泣)ようですが、榎木津さんはビックリ、いつの間にやら何をどうしたのか、今や財閥の長をやってるらしいです。お兄さんはどうしたんだ!で、青木くんあたりは、どうやら順調に警察の中で出世した模様。ちゃっかりしてるなあ。木場修や敦子ちゃん、その他主要キャラは語られずじまいで残念ではあるんですが、ものすごく気になることが一つ。京極堂ってば、孫がいるんでしょうか、孫が!孫世代が万屋っぽいことしてたりしないのかな。してたらいいな。あー、妄想が広がるったら(笑)って、ほぼ京極堂シリーズ絡みのことしか書いてないですが、一応これは「こち亀のノベライズ」でして(←一応言うな)、出てくるこち亀ワールドの登場人物は大原部長と寺井だけってあたり、さすが京極さんひねくれてます。で、そんな大原部長と寺井ですが、台詞の微妙な節回しが秋本キャラっていうより完全に京極キャラとなってました。メタな突っ込みも楽しい♪両さんが登場しないとこはちょっぴり減点ものではありますが、必要以上に燃えた(萌えでも可)短編でした。さすが京極さん、他の短編に比べて ちゃんと推理小説になってたあたりもお見事。たった50ページ足らずなのに、すっかりお腹一杯♪ ごちそうさまでございましたm(_ _)m
2007年06月02日
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このブログはネガティブなものにしたくないので、愚痴は書かないようにしてるんですが、根はどす黒い暗黒聖闘士(?)なので、いろいろ愚痴りたいことも多いです。ハッΣ(゚ロ゚〃)、そうか、別のHNで愚痴専門のブログをもう一個作ればいいんだ!(←うわぁい、後ろ向きぃ)と思ったんですが、結構普通に正体がばれそうなので諦めました。いやでも、大丈夫か?文体はどうしても似ちゃうけど、「読書とジャンプ」に影響されました!パクリました!で別人として押し通せるか? とブツブツ考えてたものの、よく考えたらここでも散々愚痴ってるんですよね。意味ないじゃ~ん。(゚∇^*) テヘ♪←テヘじゃねえ。 ともかく、最近血管ぶち切れるくらい(←高血圧?)忙しいです。この前なんか朝昼カップ麺で晩はラーメン屋でラーメンすするってくらい麺尽くしでしたからね。←それは単にものぐさなだけと言う。 昨日なんか何食べたかも思い出せないしね。←それは単に記憶力がないだけと言う。 とまあ、炭水化物の取りすぎでいろいろ切羽詰ってる自分ですが、人一人包めるくらいの絆創膏が欲しいです。で、それに包まって冬眠したい。(ぇー まさしくマダオ (マルでダメな大人)。 と、こう書くと「マダオはまるでダメなおっさんのことですよ」とコメント等でご指摘いただくんですが、うん、分かってるから。分かってる上で、ネタで使ってるだけだから。「おっさん」を「おばさん」に変えるのは自分的に凹むので「大人」にしてるだけだから! あー、なんかネタの説明するのってむなしい……と、さっそく愚痴ってみました♪(゚∇^*) テヘ♪←テヘじゃねえ。 愚痴を言い出すときりがないので、気を取り直して、毎月恒例、5月の迷走ぶりを振り返ってみる。 小説感想サイト様、必見(嘘)。これをやると、年末読了本を並べるのが楽ちんです。 【小説感想】「前巷説百物語」 (京極夏彦) 「しゃべれどもしゃべれども」 (佐藤多佳子) 「家日和」 (奥田英郎) 「聖者の異端書」 (内田響子) 「花嫁人形」 (佐々木丸美) 画文集「百怪図譜」 (京極夏彦) 「水底の骨」 (アーロン・エルキンズ) 「刀語 第五話 賊刀・鎧」 (西尾維新) 読み終わってるくせに感想書いてない本の数を数えるのも嫌な今日この頃。8作品8冊でした。 備忘録としての役割をろくに果たしてないがな。【アニメ感想】「銀魂」 のみ!ディグレ、リボーンアニメは多忙に付き感想休止中ですm(_ _)mうーわー、そうか、アニメ1本しか感想かいてないのかぁ……あ、でもうちのブログは小説感想がメインだから別にいっか!☆(≧▽≦)☆!(←待て) 【漫画感想】 毎週月曜日にぶいぶい言わせてるジャンプ感想以外ではこれだけです。 「銀魂」(18) 「魔人探偵脳噛ネウロ」(11) 「家庭教師ヒットマンREBORN!」(15) 「重機人間ユンボル」 「セクシーボイスアンドロボ」 「おおきく振りかぶって」(8) ものの見事にジャンプだらけです。いえー 銀魂とリボーンとネウロを同じ月に刊行されると(感想に時間を取られて睡眠不足で)死ぬ!と書いてましたら、ありがたいことに銀魂の刊行が1月遅れる模様です。 って、ありがたくねぇ( ̄□ ̄;)!! 1月遅らすんじゃなくて1月早めればいいじゃん!(←無理言うな) 【ドラマ感想】 「セクシーボイスアンドロボ」のみ!「特急田中3号」は多忙に付き感想休止中ですm(_ _)mマイフェイバリットドラマ木更津キャッツアイには及ばないものの、大好きなんですけど、セクロボ! 【展覧会感想】「始皇帝と彩色兵馬俑展」 メロメロしました♪【映画感想】「クイーン The Queen」車の運転をするエリザベス女王がかっこよかったです\(^▽^)/【お絵かき】 カテゴリの落書きをクリックしましたらば、マジで毎日描いてるよ、この人!( ̄□ ̄;)!!→ほらね? こうして毎日のんべんだらりと描けてるのは、凝った絵を描いてないからってのがありますが、おそらく、カラーじゃないからだと思われます。1枚にかける時間をどれだけ減らせるかが勝負のしどころだ、べらぼうめ! (飽きっぽいのもありますが、1枚に1時間以上かけると負けのような気がするんですよう!って、勝ち負けの問題か?)というわけで、描くのはほぼ銀さん(笑)→そんな訳で、雑誌はジャンプ1冊、アニメは銀魂1本、ドラマはセクロボ1本、小説は頑張って週2冊。これだけしか感想を描いてないのに、時間が一杯一杯です。不思議不思議。 他のサイト様じゃ4大少年誌全ての感想を書いてたり、毎日のようにアニメやドラマや小説の感想を書いてたりなさってるのに、この体たらく。ふがいなさ度マックスですが、そんなブログにも関わらず、遊びにきてくださった皆様の心の広さを思うと、日本の将来も安泰だと真剣に思います。よし、年金ちゃんと払おう!☆(≧▽≦)☆!(ぇー
2007年05月31日
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ゴシック、明朝、入り乱れ♪何でもありな剣客絵巻♪刀語の第5巻♪「おれはとがめに惚れてるんだからよ--裏切るわけがねえだろうが」薩摩の港町を一手に仕切り、賊刀『鎧』を所有する鎧海賊団船長・校倉必(あぜくらかなら)。“日本最強”を襲名した無刀の剣士・鑢七花と、変体刀を蒐集する美貌の奇策士・とがめは、“あるもの”を賭けての勝負を校倉から挑まれる--! “愛”に戸惑い、苦悩し鈍る七花の剣先--!? 刀語、第5話の対戦相手は、絶対の防御力を誇る鎧海賊団船長、校倉必!「なにすんじゃ―っ!」「いや…なんか、意地悪したくなって……」西尾維新のすごいところは、その トンデモな発想力 だな、と改めて思い知った第5話。こうして目の当たりにすれば、うっわ、そんなんアリ?( ̄□ ̄;)!!と思いはすれど、それをこうして活字にして1冊の物語にしたてあげるのが、西尾さんの力量だと思うわけで。それより何より、刀は刀としての体裁をとるべきっていう固定概念をこう崩してくるとは。ホント、何でもありです。何でもありすぎ。4話に引き続いて、ここでこんな禁じ手を使うと自分の首を絞めるだけなんじゃ?といらん心配をしてしまいますが、そこはまあ、余計なお世話なんでしょね。これからどんな変態…間違えました。変体刀が出てくるのか、めっさ楽しみになってきた!やっぱり、「ふざけるな!」と思いっきり本を壁になげつけるか、「良くやった!」と神棚に奉ってお神酒を供えるか二つに一つな大河ノベルと言えましょう。とりあえず、神棚はないのでお神酒の代わりに一杯聞こし召すことにします。私がね!(ぇーというわけで、殺伐な小説を読んで心がいじけかけてたところに、一服の清涼剤。相変わらず私のツボ心にど真ん中ストレートな刀語ですが、今回、七花は1人の人間であることを自覚しました。そんな七花が、これからより一層強くなっていくようで、同時に弱くなっていくようでもあり。1本の日本刀であり続けることの方がよっぽど楽だろうに、これからどんな荊の道を突き進むことになるのか、心配と同時に楽しみでもあります。まあ、七花はまだ知らないとはいえ、少なくとも七実姉さんのお仕置きは待ってるわけなので、荊どころか、自ら進んでアイアンメイデンの中に入っていくようなもんだとも思いますが(笑)何はともあれ、七花も嫉妬心ってスキルを身に付けたようなので(同時にSスピリットも身に付けつつあるような気がして戦々恐々ですが)、第6話では、帯をクルクルな「あーれーお代官様ぁ~」な腰元プレイ以上にすごいのを期待したいです。なんたって、次に出てくるのは美少女こなゆき(←美少女と決め付け)だしね!☆(≧▽≦)☆!さて、その他気になった点として1 校倉が賊刀「鎧」をもって繰り出す体当たりの数々。 書体が、こんなに無敵(笑)っぽいイメージになるとは思いませんでしたが、否崩れと刀賊 カモメの元になった書体が分からないのがちょっと悔しい。2 否定姫。 げに恐ろしきは女の戦いなわけですね。ここに七実姉さんまで混じればまさしくグーチョキパー の三すくみ。もしくはヘビ、カエル、ナメクジの三すくみです。怖っ!( ̄□ ̄;)!!3 まにわに鳳凰。 イラストがどんどん派手になっていくのに爆笑です。鳳凰ってか孔雀ってイメージですが、 ようやくまにわにも物語に派手な華を添えてくれそうで楽しみ♪4 「ちぇりお」と「ちぇすと」 とがめ、勘違いで幼児退行(笑) 間違えたまま押し通すことに決めた可哀相な人格のとがめが、かわいすぎ!☆(≧▽≦)☆!そんなわけで、相変わらず楽しめた刀語ですが、ただ一つの心残りは海賊絡みってことで期待してた「ワンピース」ネタがなかったってことだけで(笑)どっとはらい。どっとはらい。【絶対はずれる自信満々の第6話予想】(むしろ当たった方がビックリするわ!( ̄□ ̄;)!!)賊刀・鎧が鎧だったので、双刀・鎚はまんまかなづちと見た!☆(≧▽≦)☆!撲殺 に特化した刀ってことでどうだ!←我ながらどこから突っ込んだらいいのか分かりません(゚Д゚||)感想を読ませていただいた素敵サイト様かもめは本を読まない。 読書日記★PNU屋★ Alles ist im Wandel Magneの領域-Magnetic Field- 空夢ノート 第1話~第4話の感想はこちらからどうぞ。
2007年05月26日
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骨を見て、視て、診て、観る。骨が語る真実。一片の骨が語る声に耳を澄まし、真実と言う名の光を見出す。スケルトン探偵シリーズの最新作です。 十年前、ハワイで大牧場を経営するマグナスが失踪を遂げた。その遺骨が海の中から発見され、遺族の証言では当時のマグナスは殺し屋に命を狙われていたという。彼は逃亡の末にかわりはてた姿になったのか?現地を訪れていた人類学教授ギデオンは調査を開始。当初、それはごく普通の骨に思えた。だが、やがてその骨の異常さが明らかになり、遺族の隠されていた秘密が露わに…スケルトン探偵をも惑わせる遺骨の正体は。 「どうしていつもそうなんだ、先生?」このシリーズ、どの作品をとっても一定の水準を備えててちゃんと面白いです。ええっと、何作目?うっわ、10冊以上出てるんだ。それなのに一定のクオリティを保ち続けるのは素直にすごい。基本的に、1冊で物語りは完結するので、どこから読んでも問題ないっちゃないですが、ただ、これを一番に読むのはどうかな~とは思います。年齢、性別、身長、病気、職業……そういったことをたった一片の骨に刻まれた小さな徴しから読み解くのが、スケルトン探偵であるギデオンであって。このシリーズの醍醐味は、鑑定すればするほど出てくる様々な仮説が二転三転するスリリング。それを期待して読んでたんですが、今回、スケルトン探偵ならではのカタルシスがちょっと乏しい。「骨の鑑定」自体が謎の解決に直結してないのが残念でした。何より、結構早くに結末の予想がついちゃうし。ただ、シリーズを読み続けてきたファンとしては、ギデオンの長年の友人、FBI捜査官のジョンが活躍してるのは嬉しかったです。ジョンファンにはたまりません♪さて、このシリーズですが、エルキンズが上手いのか、訳者が上手いのか(その両方なんでしょうけど)、海外作品が苦手な人でもスラスラ読めるリーダヴィリティの高さが魅力の一つでもあります。更に言うなら、ロジックでがんじがらめ、それはないだろとしか思えないパズル性の高いミステリが苦手な人にもお勧めな端正さ。騙されたと思って、1冊手にとって見るのもいいかもしれないですよ?最後にちょっと蛇足的な感想を。私がこのシリーズを好きなのはもう一つ理由がありまして、ずばり、夫婦仲がこれでもかってくらいいいこと。海外ミステリと言うと、マッチョでハンサムな探偵が、次々現れる美人でロケットみたいな胸をしたダイナマイトバディな依頼人と会った5分後にはラブシーンみたいなイメージ(笑)があるんですが、そういった偏見極まりないイメージに反して、ギデオンとジュリーの仲のよさ(メロメロっぷり)は読んでてほのぼのできます。 結婚して7年もたつのに恋人夫婦。嬉し~恥ずかし~家庭内デート 待ち合わせは、わ・が・や!ってな感じに、思わず「家庭内デート」を口ずさんでしまうくらい(笑)←クリックするとYoutubeその他、夫婦仲がいいミステリとしては、パーネル・ホールの「探偵になりたい」のシリーズもお勧めです。 ユーモアミステリとしてもグッジョブ♪感想を読ませていただいた素敵サイトさま→ミステリの部屋 魔女の隠れ家 Mystery On Demandスケルトン探偵シリーズ 「氷の眠り」「遺骨」「死者の心臓」「楽園の骨」「洞窟の骨」はミステリアス・プレス文庫で既刊ですが、ハヤカワ・ミステリ文庫で再刊行される予定のようです。
2007年05月25日
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明石先生ってモデルがいたんだー……と言うことを今更ながらに知りました。お、遅い?伝奇小説の大家・京極夏彦が描き下ろした「魍魎」「猫また」「姑獲鳥」など、愛くるしくも異形の妖怪のリトグラフ35点に著者が解説を添えたファン垂涎の画文集給料日前だってのに、うっかり買ってしまいました。税込み 2,730円。←高い!( ̄□ ̄;)!!ちなみに、妖怪1体あたりの金額は、35で割ると 税込み78円 です。おおう、なんかお買い得のような気がするぞ♪(←気のせい以外の何ものでもありません)というわけで、憑物落としシリーズに出てきた妖怪達を、京極さんがリトグラフとして蘇らせました。ここで疑問が一つ。リトグラフって何?よく耳にするものの、何かと聞かれたら何のことやらなリトグラフ。美術の授業で習った気がしないでもないですが、記憶は消去されてるようです。ネットで調べてみると、「水と油の反発を利用して(または他の方法で)平らな版で刷る版画」なんだそうです。……何のことやら。ともかく、描いたそのままを刷ることができるのがリトグラフなんだとか。ふ~ん……(←まだちょっと分かってない)参考→【リトグラフって何?】(版画HANGA百科事典)で、京極さんのリトグラフですが、色がきれいでした。きれい……というより深い。刷り師の石橋泰敏さんとのコラボが見事な画文集。35体の妖怪達。できれば、100体(……この場合、百怪と言うべきか)の画文集が見たかったと思うのは贅沢ですか?ただ、翻れば、それはこの先、まだ楽しみがあるということでもあり。(でも、そうすると78円×100体=7,800円になったりして。高っ!( ̄□ ̄;)!!)ところで、冒頭に述べてる明石先生ですが、中善寺秋彦(京極道)さんが師と仰ぐ明石先生は、明石散人氏を指してたんですね。不勉強なので、今の今まで知りませんでした。というか、「絡新婦の理」の帯に明石氏の推薦文があったそうですが、全く記憶にございません。(←政治家風に)で、そもそも、明石散人って誰やねん!と、更に不勉強なことをさらけ出しつつ、やっぱりネットで調べてみる。参考→【明石散人】(ウィキペディア) 【明石散人の謎】「鉄鼠の檻」の中で、「(明石先生は)何者なんだ?」という関口くんの質問に京極堂はこう答えてます。「それが判らないんだって」まさしく現実もそのとおり。どうやら、明石散人氏は覆面作家さんのようで、やっぱり謎は謎のまま。わいら/鬼一口/野寺坊/青坊主/塗仏/おとろし/狂骨/魍魎/方相氏/絡新婦鉄鼠/精螻蛄/ぬっぺっぽう/うわん/ひょうすべ/けらけら女/毛倡妓/陰摩羅鬼河童/豆腐小僧/ゑびす/福助/隠神刑部狸/鬼/鳴釜/瓶長/山颪泥田坊/岸崖小僧/手の目/火車/猫また/川赤子/文車妖妃/姑護鳥 一頁に一怪。そして右頁に一文。「おとろし」がかわいい。 ~すべては虚仮威しに過ぎないのだが~「姑護鳥」が哀しい ~もう、人ではないのだから~京極さんの文章は、リズムに溢れてます。感想を読ませていただいた素敵サイトさま→流れるままに徒然に。 まあぼの交差点 世界の片隅で愛にはぐれる
2007年05月18日
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「昭菜と名付けられた私」の物語。「雪の断章」「忘れな草」に続く〈孤児〉4部作の3作目「花嫁人形」を読み終えました。すごい!シリーズを読み進めば進むほど 腹が立って仕方ない のに、読むのを止められない! 岡家には美しい4姉妹の影に、社会とのつながりを断絶された娘・昭菜がいた。家族から虐げられ、読み書きすら知らぬまま成長した昭菜は、普段は冷酷な叔父・壮嗣が見せる密かな愛情だけを心の支えに生きるが……。雪の花という言葉は、二人だけの秘密―。許されぬ恋でもかまわない、この愛は、ただ一つの光。家族に疎まれながら孤独に成長した昭菜。若き叔父と育む愛は、悲劇のはじまりだった。「愛の芸術の哀しみは語るすべなき錦織。若冬に舞うひとひらは涙をためた花嫁人形に降りしきる。」読めば読むほど腹が立つのに読むのを止められない。つまりは、是も非も超えたところで、読者を世界に引きずり込む力があるってことで。一旦嵌ると抜け出せない、恐るべし佐々木丸美ワールド。 不幸な少女が拡大再生産されていくとしか思えないこの孤児シリーズ、相変わらず美男美女しか出てきません。そして、ヒロインの趣味がどんどん分からなくなってくるシリーズでもあります。更には、どんどん児童相談所(もしくは警察)に通報したくなるシリーズと言うべきか。 児童虐待が叫ばれてる昨今、出版された当時(30年近く前)ならいざしらず、今、これを出版して、主要登場人物達に対する読者の理解が得られるかは心底謎です。主人公 昭菜に対するネグレクトもここに極まれり。 いやもう、読んでて禾田部長こそが真の悪人、ラスボスじゃないかと真剣に思いました。耳障りのいい御託を並べて、その実、犯罪行為を見逃す、むしろ助長するだけの存在にしか見えんがな。まあ、それは昭菜の想い人の壮嗣さんにも言えるわけで。 どんな理由があろうとも、ネグレクトを放置するのはネグレクトをするのと一緒。同罪です。 というわけで、読んでてむかつくのなんのってーーー!「忘れな草」の高杉さん以上にむかつくキャラはもういないだろと思ったら上手がいたよ。 そういや、中学生の頃初めて読んだ時にもむかついたんだったっていう遠い過去(?)をも思い出しました。壮嗣さんの台詞にいちいち腹が立つ。「勉強を始める前にまず昭菜の心を強制したい。今まで何度も独学しながら織たちにちょっとからかわれるとやめてしまった。そんな弱い気持ちでどうするのだ、それは昭菜の中にどうせ私は勉強などしなくていいと甘ったれた気持ちがあるからだ、そして学問を奪りあげた者たちに意地も見せずにだらだらと赦してしまうことだ。」小学校にも行かせてもらえなかった女の子に無茶言うな!(`Д´) ムキー!っていうか、あんただってそれを助長してたくせに、どの口がそれを言うかな!「恋は当人同志だが結婚は家が伴う」え?それっていつの時代の話?戦国時代か?っていうか、一体あんた何歳?という具合に、壮嗣さんの台詞にいちいち突っ込んでしまう罠。昭菜も織も奈津子も、壮嗣さんに人生を狂わされていくばかり。そんなこんなで、ひたすらむかつくんですが、なんで途中で読むのを放棄できないんでしょうか?ラストでうっかり感動してしまうんでしょうか? ある意味、これも一つのハッピーエンドだなんて思うんでしょうか?駄目だ、佐々木丸美作品は、駄目なことが分かってて止められないやばい薬みたいだ。 ストーリーは相変わらず、分かるようでいてさっぱり分かりません。「雪の断章」はまだ地に足がついていたけど、遺産の謎が絡まってくるとどんどん現実(リアル)とかけ離れていって荒唐無稽なファンタジーに。更にはリリカルで情緒的な文体に惑わされるので、何が分からないのかも分かりません(笑) そんな孤児シリーズですが、ひとまず次の「風花の里」で終わり。「花嫁人形」までしか読んでなかったので、「風花の里」は未読です。未完のシリーズなので、読みたいような読みたくないような……とは言え、文句を言いつつ、読むのは止められないんですけどね。孤児シリーズが終われば次は館シリーズ。当分、佐々木丸美作品から離れられそうにありません。 前2作の感想はこちら→「雪の断章」 「忘れな草」
2007年05月13日
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ネットをさまよってましたら「本物の読書家さんのサイトだったら○○みたいな本を面白いとは思わないはず」みたいな文章を見かけることがあります。 き、厳しいなぁ……(汗) だいたい、読書家に本物も偽者もあるんかいな。 某「失楽園」とか読むんじゃなかったとがっかりくる本は多々あれど、そういった本を大好き!と叫ぶ人はさっぱり分からん、とは思うけれど、某携帯小説で泣くなんざ、一体今まで何を読んできたんだ?みたいなことも思うけれど、そういった人たちだって、「読む」という行為をしているのは確かなわけで。読みもせずに知ったかなことを言う人は偽者かもしれないけど、何を読もうと、ちゃんと読んでるんだったらそれはそれで本物だと思うわけです。ちなみに、私は、「銀魂とかネウロとか、絵も雑だしストーリーも最低。読む気もおきない。あんな漫画が人気があるなんて世も末だ」みたいなことを思ってる方がいたとしても、その人自身を否定する気はありません。そりゃ、悲しくはなりますけどね。でも、作品をどう思うかは人それぞれだし。世の中、趣味の合う人ばかりじゃないし。「あんなに面白いのにその面白さが分からないなんて、そんな奴等は偽者のジャンプ読者だ!」みたいなこっ恥ずかしいことは思わないぞ。 で、話は冒頭に戻って、「本物の読書家さん」って言葉がスルっと出てくる人って、自分のことを「本物の読書家」だと思ってるんでしょうねえ。その自信はどっからくるのかな。 いわゆる文芸作品(の定義がいまいち分かりませんが)を読んでるってことからくるのかな。 もしそうだとしたら、私なんかまさしく「偽者の読書家」なんだろな。 ※ロシア文学は「イワンのばか」しか読んだことがありません。美人さんな男の人が出てくる文芸作品ってことでいそいそと手に取った「赤と黒」は途中まで読んで挫折しました。所詮この程度だ!<o( ̄^ ̄)o> エッヘン!!! ←威張ることか!
2007年05月12日
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拍手コメントで教えていただきました。もんのすごくツボった!☆(≧▽≦)☆!―弱きもの。汝の名は女―わたしの目の前で、夫となるはずだった人が消えた。しかも、結婚式の最中に。「死んだと思え」と言われても、納得などできない。彼を取り戻すため、わたしは幼馴染の見習い坊主を連れて城を飛び出した―。封印された手稿が語る「名も無き姫」の冒険譚!第一回C★NOVELS大賞特別賞受賞作。「絶対的な第三者が、わたし達全員を並べて、同じように殴ってくれれば良いのに。」教えていただかなければ、絶対手に取ったりしなかったに違いありません。これが第1回目のC★NOVELS大賞の特別賞受賞作とのことですが、ライトノベル的な華やかさにかけたこの物語に賞を送った英断に拍手を。C★NOVELS、侮れません。そう、装丁は120%ライトノベルなのに、とことん地味で理性的な、一瞬、翻訳モノか?と思ってしまうくらい淡々としたファンタジーでした。理性的、つまりは、世界観がしっかり構築されてるということ。と、同時にヒロインを表すキーワードでもあります。流されない。振り回されない。自分がどこに立っているのか、何を知らないのか、何が最善の道なのか。何も考えていないようで、彼女の鋭い観察眼は世界を解き解す。文章の巧みさと構成力が魅力なのは間違いなしですが、普通のファンタジーなら避けては通れない(この場合、ライトノベルに限定してしてます)ロマンスがないところが最大の魅力かもしれません。普通、ここでロマンスが来なきゃ!という期待(笑)が裏切られまくる様は読んでて爽快でした。いや、あるにはあるのかな。でも、切なさに胸を焦がすような、少女漫画的な要素がかけらもないってだけで(笑)なんにせよ、私みたいな ひねくれ者 にとって、拍手喝采な物語でした。これ以上書くと、どうあってもネタバレにしかならないので控えますが、レーベルと装丁だけで手に取らないのは勿体無い。ライトノベル好きな方にはこの地味さは物足りないかもしれないですが、ハヤカワの海外ファンタジー好きな方にこそ手にとって貰いたい。そんな1冊です。ファンタジーの醍醐味は、描かれる世界観とその世界を形作る歴史。久々にそれを感じることができました♪………と書くとちょっと大げさかしらん。でも、それだけ面白かったってことで!☆(≧▽≦)☆!ようし、他の作品も読むか!と思ったんですが、これ1冊しか出てないようです。う~む、それはかなりショックかも……(-_-|||)
2007年05月06日
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軽い! ←これは貶してるんじゃなく、盛大な誉め言葉です。(きっぱり)小説とは元来が危険物なのだ。毒にもクスリにもならないものは、存在する意味がない。42歳の主婦・晴美は、不要品をネットオークションに掛けたことがきっかけで、家中に目を光らせるようになったが(「サニーデイ」)。36歳夫の会社が倒産。専業主婦だった妻が働き始め、夫が家事をすることに。「ここが青山」離婚寸前の営業マン38歳の正春。妻が家を出てからインテリアショップ巡りに目覚めて・・・。「家においでよ」東京郊外の一戸建て、二人の子供を持つ専業主婦の弘子は、平凡だが幸せな毎日を過ごしていた。ある日自宅を訪れた営業マンに会った夜から、妙な夢を見始める。「グレープフルーツ・モンスター」イラストレーターの春代の夫は職を変わってばかり。ところが彼が転職するたびにイラストの出来がよくなることに気づく。「夫とカーテン」42歳作家の夫の妻が<ロハス>に凝りだした。子供ともどもつきあうことにしたものの・・・。「妻と玄米御飯」それぞれの家庭内の「明るい隙間」を名手が描く短編集。楽天ブックスのあらすじだけで、もう後、感想書くこと何にもないや、みたいな(笑)と、投げやりになるのはさておくとして、相変わらず奥田さんは小説巧者です。さりげない、どうってことない、日常の出来事をこうもユーモアたっぷりに描かれると脱いだ帽子を食べるくらいしか、読者に手は残されてません。って、我ながら何書いてるのか意味がさっぱりわかりませんが、それだけ楽しかったってことで。様々な家族を通して描かれる「家」……………「HOME」。1人で暮らすのは楽だし楽しい。誰かと生活を共にすると、それだけで気苦労や妥協や諦観や、なんやかんやとめんどくさくてしんどくてうざいことばかり。でも、誰かと一緒にいるからこそ、ふとした瞬間に、家族の何気ない言葉に、つまらなかった日常が光を取り戻す。深刻な事件を取り扱っているわけではないので、軽く読めます。さらさらと読めます。そして、「(どんだけめんどくさくてしんどくてうざくても、)やっぱ家族っていいよね」って素直に思える。クスリと笑えて、優しい気持ちになれる。やっぱり奥田小説にはずれはありません♪ただまあ、この軽さは、単行本じゃなくて文庫を待っても良かったかな、と思わないでもない………かもしれない(笑)
2007年05月03日
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主人公の今昔亭三つ葉……この人って、もんのすごく「理想の男性像」だよなぁ……としみじみ。 俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ツ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで…胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。読み終えたらあなたもいい人になってる率100%「馬鹿の上に馬鹿がつくわね」 「上等だ」三つ葉さんの何が理想的かっていうと、美人だけど(←ここらへんは女性の願望が入ってますが)、不器用で人とちゃんとつきあえないという、女性読者が自分を投影しやすいヒロインに対して、どれだけ腹を立てようと決して見捨てたりしない、挙句の果てにちゃんと好きになってくれる、まさしくそこのところだと思うわけで。これぞ、理想と言わずして何という!みたいな。口(モノローグ)では殴るだのぶっとばすだの言っても、絶対、女性に手を挙げたりしないし、どれだけひどい態度をとってもちゃんと受け止めてくれる。これって、白馬の王子様やちょいワルに夢を見られなくなった世代(笑)が、次に夢見る王子様像じゃないかなぁ。ニュースでもやってましたが、最近のモテる男性のトレンドは「ちょいワル」から「パパ男」にシフトしてるんだそうです。「パパ男」とは、「結婚したらいいパパになりそうな癒やし系の男性」のことを指していて、優しくて頼りがいがあって包容力があるかどうかがポイントらしい。→【いま注目される「パパ男」の一番手は城島茂】まさしく、主人公の三つ葉さんは(経済力は別としても・笑)ど真ん中ストライクに当てはまってます。しかも、作者が女性だけに、描写の一つ一つがツボを押さえまくり。 映画化に当たって、三つ葉さんは国分くんが演じるようですが、妙に納得してしまいました。三つ葉さんの話はそれくらいにして、この小説、作中、特に大きな事件(殺人とか自殺とか誘拐とかその他暴力沙汰)が起きたりはしません。檀家(落語家)が主役だからと言って、落語のことばかりってわけでもなし。描かれるのは、4人の傷を負った人たちの再生物語。と言っても、解決してるようでいて解決はしてないので、彼らがホントに自信を取り戻していけるかは、今後の頑張りにかかってます。そう、たいして解決はしてないけれど、読み終わったら「しょうがない、明日もがんばってみるか!」とちょっと前向きになれる。それはやっぱり、三つ葉さんの人柄によるものなんだろうなあ。同じ落語を扱った小説でも、田中啓文さんの「ハナシがちがう!~笑酔亭梅寿謎解噺~」とこれじゃ、ストーリーが違うのは勿論ですが、まとってる空気が違います。そこはやっぱり女性作家さんならでは。なんかこう、全編に渡って「優しい」イメージ。本屋大賞をとった「一瞬の風になれ」が面白かったので手に取ったんですが、期待通り楽しく読めました。落語に興味ない方でもきっと楽しく読めるはず♪感想を読ませていただいた素敵サイトさま→本を読む女。改訂版 ハムりんの読書 本のある生活 苗坊の読書日記 図書館で本を借りよう!~小説・物語~ "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!
2007年05月03日
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人間ってのは、弱くて強くって、切ないねェ…………と、呟いてみたくなる。大損まる損困り損 泣き損死に損遣られ損ありとあらゆる憂き世の損を 見合った銭で肩代わり銭で埋まらぬ損を買い 仕掛けて補う妖怪からくり寝肥、周防の大蟆、二口女、かみなり、山地乳、旧鼠――――小股潜りの又市が 初めて見せる御行姿明治へ続く巷説が ここから始まる百物語――――泣き乍ら帳尻合わせるばかりが人の道じゃねえ。騙して賺して謀って、夢ェみさせてやることだってできるじゃねェか。神や仏ってな、その夢なんだろが。神も仏もねェ世なら、化け物でもなんでも構いやしねェ。所詮この世は嘘ッ八だ。夢と承知で―――― 収められねェものかよゥ大好きなシリーズの最新刊。又市さんの「べらんめェてやんでェ」喋りはちょっと読み辛い……とブツブツ言いながら読んでたはずが、さすが京極さん。気が付けば作品世界にどっぷり浸かってました。浸かりすぎて溺れそうです。描かれるのは、腕っ節も弱い、知識が深い訳でもない、手先が器用な訳でもすばしこい訳でもない、色の白い痩せぎすで派手な着物を着た若者が、「御行の又市」となる物語。又市さんは生まれた時から御行姿だったような気がしてましたが、よくよく考えたらそんな訳はない。(よくよく考えなくてもそんな訳がない)一杯一杯でてんぱりまくってる、人に使われる立場(=パシリとも言う)な又市さんの描写が新鮮でした。なんたって、女性に入れあげる、「甘く見るな」「いい加減にしやがれ」「吠えるな若造」「頭ァ冷やせ」と仲間達から叱られまくる。あの微に入り細をうがつ仕掛けを施し、「あちら立てればこちらが立たず、それでも双方立てる」のを真骨頂とした又市さんが、青臭くって詰めが甘くって、全編、「もっとうまい図面が描けたんじゃないか、もっと上手い仕掛けを作れたんじゃないか」と後悔しまくってます。でも、この後悔が、苦い思いがあったからこそ、「巷説百物語」「続巷説百物語」「後巷説百物語」に繋がっていくわけで。物語は明治へと紡がれていくわけで。百介さんと出会う前の又市さんの物語は、いろいろ切ない。さて、メインとして描かれていたのは巷説百物語のシリーズに影を落としていた「祗右衛門事件」のいきさつでした。「続巷説百物語」に収録されている【狐者異】の中で「奴(やつがれ)は失敗った」と語った又市さんの失敗とは何だったのか。「続巷説百物語」との齟齬はちらほら見られます。10年前に祗右衛門として処刑された人物の正体であるとか、10年前に祗右衛門に関わらざるを得なかった経緯とか。又市さんが、「続巷説百物語」の中で百介さんに語るときに、どうして嘘を織り交ぜざるを得なかったのか。10年前の事件が又市さんにとってどれほどやるせないものだったのか。どんな理屈があろうとも、どんな大儀があろうとも、どんな想いがあろうとも、人殺しを勘定に入れておく仕掛けはしたくないと叫んでいた若かりし頃の自分を、どんな思いで振り返っていたのか。それを想うと、切なくって仕方ありません。結果的に人が死んでしまったことに後悔ばかりな又市さんが、10年後には人が死ぬことを織り込み済みで仕掛けを施してるのは皮肉としか言いようがありませんが。読み終えたあと、思わず「巷説百物語」「続巷説百物語」「後巷説百物語」を読み返し(と言っても斜め読み)、「巷説百物語」に収録されている【帷子辻】に出てくる林蔵さんのなんでもない台詞にうっかり泣きそうでした。「相変わらず口の減らン男やな又―――」「前巷説百物語」と「巷説百物語」の間だって、平坦な道では決してなかったろうに、「相変わらず口の減らない男」でいられた又市さんに、マジ泣きしそう。ところで、新キャラがわんさか出てきましたが、一番のお気に入りは山崎さん。まるで刀語の敦賀迷彩さんみたいな技量の持ち主でしたが、西尾維新が描くとひたすら荒唐無稽ですが、京極夏彦が描くと静かな怖さがあります。同じ材料一つとっても、料理する人が違うとできあがるものは違いってことか。飄々とした風のような様子がものっそ好みでした♪(だからこそ、最期のシーンはやるせないことこの上なしでした。京極夏彦のばかーーーーー!)そうそう、蛇足ですが、百介さんと又市さん。お互いがお互いを認識するという意味では出会ってませんが、若かりし頃の百介さんがちゃんと登場して、又市さんはしっかり百介さんを目撃してます。いろいろ切ない物語でしたが、その描写が一服の清涼剤でした。ちなみに、本書には、四つ折?八つ折?な「シリーズ解説書」が挟まってるんですが、その中の巷説相関図はかなりお役立ちです。入り組んで訳がわからなくなってる人物関係がすっきり整理されてました。巷説シリーズが憑物落としシリーズに繋がる様が一目瞭然です♪よしっ、続きが楽しみになってきた!☆(≧▽≦)☆!感想を読ませていただいた素敵サイト様→みすじゃん。(みすてり中毒者の部屋) 手当たり次第の読書日記 鮟鱇の記(しるし) 今更なんですがの本の話 本を読もう 蒼のほとりで書に溺れ。 のぽねこミステリ館まあぼの交差点 天竺堂通信【関連図書】
2007年05月02日
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4月に書いた感想の一覧です。 ううう、この感想の少なさ。自分が情けないったら(泣)人間、楽な方、楽な方に流されちゃいけません。【小説感想】「世界の中心、針山さん 2」(成田良悟)「これは王国のかぎ」(荻原規子) 「化物語」(西尾維新)「忘れな草」(佐々木丸美) 「刀語 第四話 薄刀・針」(西尾維新)6冊5作品でした。少なっ!( ̄□ ̄;)!!感想待ちなのが7冊か8冊くらいあるのに手をつけてません。小説感想は記憶力が最低ランクの自分にとっての備忘録なんですけど、こんなためてたら意味ないっていうか。【漫画感想】 毎週月曜日は相変わらず週刊少年ジャンプの感想でぶいぶい言わせてますが、それ以外のコミックス感想はこれだけ。 「アイシールド21」(24)(稲垣理一郎&村田雄介)「さよなら絶望先生」(8)(久米田康治) 「ダイヤのA」(5)(寺嶋裕二)もっと買ったり読んだりしてるんですけど、そうか、3冊しか感想書いてないのか……【アニメ感想】「銀魂」「D.Gray-man」「家庭教師ヒットマンREBORN!」ディグレはここ2週ばかりお休みしてます。今クールのドラマが終わるまで多分無理。平日に1日2感想、ダメ人間の私には荷が重いっす。【ドラマCD感想】「ドラマCD第2段 魔人探偵脳噛ネウロ」 子安さんの一人二役にうっとり(笑)【ドラマ感想】「セクシーボイスアンドロボ」「特急田中3号」松山ケンイチくんと塚本高史くんにメロメロのめろりんきゅーです♪ 感想の更新頻度がどんどん へっぽこ になってます。いえー、へっぽこ!☆(≧▽≦)☆!ったく、ここは一体何がメインのブログなの?って感じですよ、コンチクショー。 ところでここでご報告。【4月の1日平均アクセス】→3194アクセス ふと思い立って、ちまちまと1月ばかりチェックしてみました。 すげえ!3000超えてる?( ̄□ ̄;)!!とは言っても、ジャンプ感想を書いた日のアクセス数で稼いだ1日平均。最近のへっぽこぶりを見るに(泣)、ここから下がることはあっても上がることはなさそうです。(ぇー
2007年05月02日
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今日は、本屋さんで大漁もしくは大豊作だったのでホクホクです!☆(≧▽≦)☆!なんたって大好きな作家さんのシリーズ最新作やら新シリーズやらを4冊もゲットできたから!それにしても、こうして並べてみるとジャンルがバラバラ(笑)時代小説で【前巷説百物語】 京極夏彦ライトノベルで【冬の巨人】 古橋秀之ミステリで【水底の骨】 アーロン・エルキンズSFで【銀河おさわがせ執事】 ロバート・アスプリン&ピーター・J・ヘックここで特に注目は古橋秀之さんの新作でして。ワタクシ、ライトノベル作家では、小川一水さんも谷川流さんも秋山瑞人さんも西尾維新さんも冲方丁さんも成田良悟さんもお気に入りですが、それ以上に古橋秀之さんが大好きなんです! 今までそれなりにライトノベルも読んできましたが、ブラックロッドシリーズにまさる衝撃はなし! 例えばこんなところにめろりんきゅー♪ (以下、シリーズ完結作【ブライトライツ・ホーリーランド】から抜粋。) 「装甲車、自走砲、機動明王、走輪自走菩薩など、200両に及ぶ戦闘車両。その中央には、装軌式の大蓮華座に結跏趺坐する巨大仏。座高30メートル、本体重量2800トンを超える機甲折伏隊(ガンボーズ)の本尊、重機動如来〈毘盧遮那(ビルシャナ)〉。『現行相解析終了、目標は希臘系百手巨人族、30秒後に欲界に出現!』『金剛陣展開、迎撃用意!』『―――金剛陣展開、迎撃用意!』」「護摩壇が点火され、送風機の唸りと共に大量の白煙を吐き出した。発動機に連結された変速装置が作動し、祈祷車の回転数をトップに乗せた。自走菩薩や倍力袈裟が背負った法輪型の光背ジェネレーターが回転し霊光と妙音を発し始めた。『本尊機動準備よし!有線結集!三、二、一、三昧(サマディ)!』巨大な礼盤に結跏趺坐を組み整列した500名の羅漢が、ヘッドギアを結線し、一斉に読経を開始した」「『本尊開眼!』〈毘盧遮那(ビルシャナ)〉の巨顔が、眠るように閉じていた眼を半眼に開いた。同時に白豪――額の中央にある螺旋状の白毛から一条の光線が放たれ、中空を一閃、翼もつ魔物が一気に蒸発した。 次いで、巨大な脚が趺坐を解き、蓮華座から降りた。千輻輪相――法輪を備えた足の裏が接地すると、大地が鳴動し、地にある魔物が全て分解した」かっこいいよかっこいいよかっこいいよの百億万倍だよ!☆(≧▽≦)☆! これだけじゃ何のことやらさっぱりでしょうが、全編どこをとっても「かっこいい」としか言いようのない血湧き肉踊る小説です。(きっぱり)作品によってはあんま好きじゃないのもありますが、ブラックロッドシリーズの衝撃が大きすぎて、トータル的な評価は古橋さんに軍配が上がります。 新作がはたして期待通りの面白さかは謎ですが、読むのが楽しみ♪
2007年04月26日
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「錆白兵ですが、私としては、ここであっさり倒されちゃったら、西尾維新を神だと仰ぎたいです。」と、前巻の時に言ってた通り、西尾維新を「神」だと、むしろ「新世界の神」だと仰がせていただきます(笑) そして、「ここまでもったいぶって引っ張っといてそれかい!」と気持ちよく突っ込ませていただきましたとも! 最強 対 無刀「そいつを倒せば、俺が日本最強になれるってことだろう?」“日本最強”の堕剣士・錆白兵から叩きつけられた挑戦状!無刀の剣士・鑢七花と奇策士・とがめは、薄刀『針』を所有する錆から、その刀と、日本最強の称号を奪い取ることはできるのか--?伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が完成させた“刀”は12本--残るは9本!刀語、第4話の対戦相手は、日本最強の称号をほしいままにする錆白兵!「しかし、それにしても大変な戦いだった……」「ああ、大変な戦いだった」ふざけるな!と思いっきり本を壁になげつけるか、良くやった!と神棚に奉るか二つに一つな大河ノベルの4冊目。勿論、私は神棚に奉るクチです。まあ、神棚なんてウチにゃございませんが(待て)只一つ心残りなのは、ことあるごとに「拙者にときめいてもらうでござる!」と叫ぶ錆白兵の姿が拝めなかったことだけです。成る程、「女と見まごうような総髪の美少年」だからこその、このふざけた口癖なのか!と納得してただけに、最後の最後まで出てこないのにビックリするやら呆れるやら笑えるやら。もう大変ですよ、コンチクショー。とりあえず、この禁じ手は、西尾さんが「薄刀・針」の攻略方法を思いつかなかっただけなんだろな~と身も蓋もないことを考えつつ(笑)、いつか遠からず七実姉さんが活躍するとは思ってましたが、ここまで邪悪極まりないお方だとは思いもよらず。七実姉さんにかかれば、テニプリの不二の天才っぷりなんか屁でもないです。(と、比べること自体間違ってますが)そして、どんどんイロモノになっていく「まにわに」こと真庭忍軍。かませ犬化に拍車がかかってることよりも、挿絵がどんどん忍者とかけ離れていってることの方が気になります。彼らの忍術の奇抜さ、ありえなさ以上に気になるったら。まにわにはすっかりコスプレ軍団と化してました。あの3人だけ見たら、時代小説じゃなくほのぼのファンタジー小説です。毎度のごとく、ちびちびちびちびと今後の展開が小出しに開かされてますが、今回の主役だった七実姉さんは、いずれとがめと七花の前に、最も凶悪といわれる 悪刀・ビタ(金偏に悪一文字)を携え立ちふさがるそうです。ということは、敵としてではなく、単に七花におしおきをしたいがためだけに立ちふさがると見た!なんたって、弟の爪を噛む癖を直すためだけに、爪を全部剥ぐという拷問をするくらいですから(笑) ところで、「鎖骨のくぼみに水がたまる」のが美人さんの条件だとどこかで読んだか聞いたかした覚えがあります。というわけで、「刀語 第四話 薄刀・針」の一番の笑い所は「やんやんやん」「やんやん?なんだそりゃ、大陸に生息する珍しい白黒動物の名前か?」のくだりでございました。ちょうどバスに乗ってるときだったので噴出すのを押さえるのにどれだけ苦労したことか!全24話に変更されても文句は言わないんだけどな~と思いつつ、次は「賊刀・鎧」です。ワンピースネタを期待しよう(笑)感想を読ませていただいた素敵サイト様はこちら→空夢ノート かもめは本を読まない。 読書日記★PNU屋★ いつまで続くか黄金の意思!!既刊(タイトルをクリックすると感想に飛びます)「第一話 絶刀・鉋」「第二話 斬刀・鈍」「第三話 千刀・ツルギ」
2007年04月22日
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「私はみにくいアヒルの子」で始まる〈孤児〉4部作の2作目の「忘れな草」を読み終えました。「雪の断章」を読んだときと一緒。リリカルかつロマンチックという名の海に溺れて、すっかり瀕死の状態です。葵と弥生。二人の少女が企業の継承権を巡る争いに巻き込まれた。教育係の高杉青年を慕う二人の恋心は巧妙な策略に飲み込まれ、運めの糸はもつれていく。少女の愛と成長を抒情的に描いた名作『雪の断章』に続く、孤児シリーズ第二弾。 伝説の作家・佐々木丸美の長編 悲恋を照らす友情の灯あなたは私の半身。青春も恋も命も折半。 「雪の断章の」から一気に登場人物が増えます。一野木昌生、高杉正生、結城晋、矢島鉄太郎、斉木一昇、禾田進介……北斗興産に北一商事、東邦産業に絡む謎。謎。謎。う~ん、始めて読んだ頃(10代前半)は何とも思わなかったんですけど、たかが地方ローカルの会社のことで、ここまでするかな?と思わないでもない。ひたすら、「親の因果が子に報い」な世界です。血縁関係を何よりも重視する歪んだ世界。誰も彼も、会社という組織に囚われて、人の心を傷つけていく。そこまでのバイタリティーがあるなら、自分で会社起こすとかして、過去は過去と割り切って前向きに生きてきゃいいのに……………みたいな身も蓋もないことを考えてしまうのは、無駄に年を取ったって証拠なんでしょうか?(ぇーともかく、「雪の断章」と違って、登場人物の誰も彼もに腹が立つったらありません。特に、どこまでも自分本位な葵と高杉さんに腹が立ちまくりです。うん、そういや始めて読んだ時もムカムカしながら読んだんでした。そして、ひたすら怖い。下手なホラー小説より怖いです。片思いしてる女性に対して「犯した道徳に悩め、永久に熟れることなく腐れ、腐敗菌をばらまいた責任に恥を知れ」と断罪できる葵が怖い。今時血縁に囚われる会社もないだろ、と身も蓋もない感想は置いとくとしても、会社の権利なんか放棄すりゃいいだけなのに、子供を残して自殺することが抗議になると考える弥生の両親の一方的な生き方、死に方が怖い。10年以上もかけて、会社の進退と恋心を天秤にかけた陰謀を巡らす禾田部長が怖い。復讐のために1人の少女の心を壊すこともやむを得ないと考えられる高杉さんが怖い。そして、最後の陽子の決断が怖くて哀しくて切なくてやりきれない。なんでみんな、幸せになれないかな。北の地で、激しく燃え上がるのは恋情の炎。全てが焼き尽くされて、後には何が残るのか。登場人物全員の生き方にちっとも共感ができなくてムカムカしつつも読んでしまうのは、佐々木丸美ワールドに囚われてしまってるから。相変わらずの情緒過剰な言い回しに酩酊しまくりでした。「ひとつの手のひらには心に渦巻く人生の哀しみ、もうひとつの手のひらには自然界に満ちる慈悲。ふたつをぴったりと合わせて祈るとき、宇宙の片すみでささやかに生きる人間の本質が見えるのだ」「あなたは愛の錬金術師です」「難破船のエンジンは順調。私は恋の放火犯、そして恋の船長。青春のまっただ中へつき進め」う~ん、あいかわらずっていうか、情熱的というか、すごい大上段(笑)大上段といえば、「私は彼を愛してゆこう」と愛について語ってはずの葵ちゃん。いきなり「合理性の名による殺伐たる西洋思想、やみくもにかぶれて神秘な東洋人人の心を忘れた。封建社会に圧縮された気高い信義忠誠、日本人は何のために封建制を捨てたのだ?(略)人間は卑怯だ、弱虫だ、責任転嫁のペテン師だ。いつだって寄らば大樹のかげとなり、自分を脅かす革新者には石を投げる。歌えぬカナリヤは何が正義かもわからなくなった。巷の欲望を武士道の名において斬り捨てた勇気、主君忠誠の高い意思、義の一字に己の人生を賭けた意気、それらはみんな彼方へと砕け散り、金ピカメッキの名誉だけ大事にしている。混沌に潜む現代は歌をうたえぬ個人の責任だ」と、国家論染みたことを論じ出すのでビックリしました。ライトノベルではすっかりお馴染みの「セカイ系」という言葉があります。キミとボクの閉ざされた世界。個人の悩みが、世界の命運に直結する。個人の意思が世界の運命や未来を決定していく。セカイ系で描かれるのはそんな世界。セカイ系は『新世紀エヴァンゲリオン』からというのが一般的なんでしょうが、それよりもはるか以前、佐々木丸美の「わすれな草」から始まったと言ったほうがいいんじゃないかと、素で思ってしまいました。←いや、マジでマジで(笑)それはともかく、〈孤児〉4部作の3作目は「花嫁人形」、4作目は「風花の里」です。登場人物が錯綜してるので、相関関係を忘れないうちにとっとと読まねば! 感想を読ませていただいた素敵サイト様→本読み日記
2007年04月21日
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うっわ、こりゃ面白いわ。言うなれば、「京極堂シリーズ」の舞台を現代にして、萌え系美少女をちりばめて、ボケとツッコミで彩を添えたら、はい、出来上がり!☆(≧▽≦)☆!…………な感じでした。(←語弊ありあり)阿良々木暦を目がけて空から降ってきた女の子・戦場ヶ原ひたぎには、およそ体重と呼べるようなものが、全くと言っていいほど、なかった―!?台湾から現れた新人イラストレーター、“光の魔術師”ことVOFANと新たにコンビを組み、あの西尾維新が満を持して放つ、これぞ現代の怪異!怪異!怪異。 青春を、おかしくするのはつきものだ!阿良々木暦が直面する、完全無欠の委員長・羽川翼が魅せられた「怪異」とは―!?台湾から現れた新人イラストレーター、“光の魔術師”ことVOFANとのコンビもますます好調。西尾維新が全力で放つ、これぞ現代の怪異!怪異!怪異。 慌てるなよ、阿良々木君。元気いいなあ。なんかいいことでもあったのかい?文章にリズム感があって、出てくる女の子達は類型的なラインを3本くらい踏み外したよう。軽いノリですらすら読めるのに、ふと自分自身を振り返っても見たくなる。第一に、多分にキャラクタがカリカチュアライズされてるにも拘らず、語り口調が癇に障ることもないのが好印象でした。かつて、メフィスト賞受賞作は刊行と同時に即買いしてたころがありまして、クビキリサイクルも発売日当日にゲットして速攻読んだクチですが、実はあの戯言シリーズ、途中で読むのを止めちゃってます。それって、どうも玖渚ちゃんの「僕様ちゃん」って一人称にドン引きしたせいだと、最近気づいてしまいました。やっぱ、地の文章って大事だわ、うん。ストーリーが面白いか面白くないか以前にそこでひっかかってしまうともう読めません。その点、化物語は、最初、阿良々木君の突っ込み台詞に躓きそうになったものの(笑)、読み進むにつれて気にならなくなり(むしろ癖になる)、西尾さんのパワフルな文章力と高いリーダヴィリティに、最後まで楽しく読むことができました。相変わらず、読者置いてきぼりな小ネタ満載っぷりも楽しい♪以下、短編ごとの感想。各台詞は本編とは関係あったりなかったり、単に私のツボ台詞です。【ひたぎクラブ】「優しさも――敵対行為と看做すわよ」 by 戦場ヶ原ひたぎプロローグ。阿良々木君と吸血鬼の出会いは描かれないままの、戦場ヶ原ひたぎにとってのプロローグ。阿良々木君の無鉄砲な優しさと天然ジゴロの片鱗がここに。怪異は日常的にそこかしこに朧に存在し、神様は八百万。この短編を読んだ限りでは、セカイ系かと思いっきり疑ってました。それはいい意味で裏切られ続けるのだけれども。戦場ヶ原ちゃんは、かなり高レベルの「ツンデレ」でした。レベルが高すぎて、どこが「ツンデレ」なのか分からないくらいです。「ツン」が9割8分、「デレ」が2分くらいと見た。小ネタ的には、マイフェィバリットキャラの1人、夢幻魔実也の名前が出たのが妙に嬉しかったり♪【まよいマイマイ】「阿阿良々木さん」「阿良良々木さん」「ありゃりゃ木さん」「良々々木さん」「失礼、噛みました」 by 八九寺真宵八九寺ちゃんが一番好きです。常に前向きで常に突っ込みを恐れないところが。常に大変で、常に残酷な立ち位置に置かれ続けてるのに、その変わらない明るさが。ギャルゲーだったら真っ先に落としちゃうくらい ツボに嵌りました。その辺は4番目位に攻略しようって阿良々木君ととことん趣味が合いません。とは言え、阿良々木君の、八九寺ちゃんに対する目の中に入れても痛くないほど可愛くてついつい、過剰(=セクハラ)なスキンシップを図りたくなるマニアックな好意がこれ以上なく理解できるあたり、気が合うかも。(←アホか)ところで、この短編で「素敵滅法」という用語を覚えました。今度日常生活でも使ってみよう。【するがモンキー】「つまり、私は脱げばいいんだな?」 by神原駿河人間1人では抱えきれないほどの悪意を持った時、怪異とともに在ることを望みますか?戦場ヶ原ひたぎの情の深さと神原駿河の一途な想い。表裏一体なメビウスの輪。怪異に意思はなく、あるのは当事者の願いだけ。優しさが暴走するも実質的には役立たずな阿良々木君。結果的にハーレムレベルがアップしたので、結果オーライというべき?(笑)神原ちゃんが、これ以降、犯罪的なまでにかわいくなっていくので要注意です。キーワードは、「袖振り合うも多生の縁」 ※「多少」ではなくて「多生」です。【なでこスネイク】「暦お兄ちゃん…」(ポイントは三点リーダー)by千石撫子私も同じような願望を持ってるのであれですが、阿良々木君は西尾維新さんの理想を投影したキャラだということがしみじみ分かった短編でした。ツンデレにえろっ子にロリコンに妹キャラかよ!( ̄□ ̄;)!!選り取りみどりか?みたいな(笑)阿良々木君みたいに、自分に寄せられる好意にとことん無頓着なキャラは2次元では許されるけど3次元になると性質悪いですから気をつけましょう。(誰に言ってるんだか)阿良々木君の優しさの暴走は、自分にかかわりがあろうとなかろうと救いの手を差し伸べるだけじゃ飽き足らず、結果まで求めてしまうあたりトップスピードに達してきました。こんなのが彼氏じゃ、戦場ヶ原ちゃんは大変だとひたすらしみじみ。【つばさキャット】「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」 by羽川つばさエピローグ。怪異と関わり、怪異の存在を受け入れ、自分の足で進んでいくということ。この世に闇があり、そこに住むものがいるということ。セカイ系の代表作家とも言える西尾維新が、登場人物の悩みが世界と直結することのない物語を紡ぎだしました。阿良々木君と吸血鬼の出会いは描かれなくても、行く末は示される。私にとっては、エポックメイキング的な作品でした。キャラクター小説であることを前面に押し出しつつも、読み進むにつれて、短編が連なり、一つの大きなテーマが見えてくる。そこには、良質なビルドゥングスロマンがありました。うん、「刀語」が完結するまではなんとも言えませんが、現時点では西尾作品の中では一番好きかもしれない。2008年初頭頃刊行予定、「化物語」の過去編にあたる【こよみヴァンプ】が収録されるらしいと噂の『無物語(ナイモノガタリ)』もしくは『傷物語(キズモノガタリ)』が待ちきれません♪ところで、蛇足も蛇足な話をひとつ。自分、小説を読んで頭の中で2次元や3次元に変換することはないんですが、この化物語はうっかり変換してしまいました。阿良々木君のビジュアルイメージが、何故か(漫画版)「新世紀エヴァンゲリオン」の渚カヲル君に!( ̄□ ̄;)!!これはひとえに、首筋の怪我を隠すために襟足を伸ばしてるって記述と八九寺ちゃんの「う~ん。筋肉質な割に身体が細いから、とにかく半袖が似合いませんねえ、阿良々木さん」という台詞のせいです。もはや私の頭の中では阿良々木君だけ渚カヲル君に強制的に脳内変換です。わーい、アホか、自分。さらに蛇足に蛇足を付け加えてムカデにしてみる。(ぇー私は戦場ヶ原ちゃんと違って、「どうせ最後は二人がくっつくことが見え見えなのに、友達以上恋人未満な生温い展開をだらだらと続けて話数を稼ぐようなラブコメ」は大好きです。友達未満恋人以上よりはよっぽど健全じゃんねえ?(笑)
2007年04月14日
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15歳の女の子の物語。ひっさびさに正統派ジュブナイルを読みました。大人が読んでも充分楽しめるファンタジーですが、小学生か、中学生の頃にこそ読みたかったな。失恋して泣き疲れて眠ったあたしが目覚めたら、そこはチグリスの畔、目の前にはターバンをした青年が。不思議な力を持つ魔神族となったあたしは、彼と都へ向かい、王家の争いに巻き込まれて…。アラビアンナイトの世界に飛び込んだ少女の愛と冒険の物語。 ある日突然異世界へ。というのはよくあるパターンですが(最近では宮部みゆきさんの「ブレイブ・ストーリー」とか。)、下手な人が描くとべたべたなナルシシズム 満載で読むに耐えないことが多いです。その点、荻原さんは文章の骨子がしっかりしてるせいか、ベッタベタな自己愛にうんざりさせられることもなく、読んでて素直に気持ちがいい。「あたし」の葛藤は、そう遠くもない昔、自分が持っていたのと同じものでした。主人公は「あたし=上田ひろみ」。ひろみの一人称で物語は進みます。よくあるパターンなら、「勇者として異世界に呼ばれた」んでしょうが、ひろみ(異世界ではジャニ)は勇者なんて大層な存在ではなく、主人のために魔法を使うジン(魔神)として存在します。そう、自分のためではなくて、他人のために「魔法」を使う存在として。根がひねくれてるので、よっぽど前評判がいいとか、他の作品を読んで信頼してる作家さん(宮部みゆきさんとか)じゃなけりゃ、異世界召還ものは食傷気味なので読んじゃいないとこなんですが、文庫本の表紙イラストと口絵の雰囲気にうっかりのせられてついつい買ってしまったら、これが大正解でした。小説は苦手な人にも、口絵だけは是非とも見てもらいたいくらい、荻原さんがあとがきで仰ってるように、物語がこの1枚にぎゅっと詰まってて素敵です。口絵だけでも一見の価値ありってことで\(^▽^)/と、口絵が素晴らしいって話はさておき、異世界召還ものの何が好きじゃないかって、異世界側の他力本願っぷりなんですよね。どこか違う世界からくる誰かが解決してくれるのを待つだけの物語は、読んでてどうもはがゆい。でも、「これは王国のかぎ」では、異世界にいったひろみは、ジン(魔神)としてあくまで手を(魔力)貸すだけ。自分の道を切り開くのはその世界に住むハールーンだったりラシードだったりミリアム自身です。その世界のことはその世界の人が解決するのが筋だと思うとおりに物語が進むので、読後感がとても良かった。最後にタイトルの意味が分かります。「えっへん。」ひろみのこの言葉がものすごくかわいい。前向きなラストが気持ちいい1冊でした。一人称が苦手な人も、あまりベタベタした感じじゃないので大丈夫じゃないかな。ひろみが高校生になった物語もあって、そっちはファンタジーではなく学園もののようです。←「樹上のゆりかご」こっちも早く文庫化してくれないかなぁ。
2007年04月14日
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実は、成田良悟さんの数あるシリーズの中で、一番どうでもいいやと思ってたのが「針山さんシリーズ」でした。(ちなみに、好きなのは「バッカーノ!」と「デュラララ!!」)だから、出てもすぐ買わなかったし。やっぱ成田作品のタイトルには「!」マーク付いてなきゃ面白くねーよ、みたいなね。でも、それは私の思い違いでした。かーなーり、楽しかったです!ツボでした♪成田良悟、侮れません。埼玉県所沢市に住むその男の名前は針山真吉。眼鏡をかけて憎めない顔をしている一般人。父・母・姉・弟の四人家族の世帯主。他に特徴は―特になし。そんないたって普通な針山さんの周囲では、毎度毎度様々な出来事が起きている。狂気の事件に遭遇するタクシーの都市伝説、ヒーローよりも強い無敵な下級戦闘員の悲哀、殺し屋と死霊術士と呪術士のゾンビ戦争、そして、様々な人々が絡み合う惨劇の結末―。果たして、彼が事件を惹きつけるのか、それとも彼が世界の中心なのか!?人気イラストレーターコンビで贈る短編連作、第二弾登場。 タイトルに名前が登場してる針山さん、相変わらず影が薄いです(笑)いや、周りのキャラが濃すぎるだけかも。針山さんを中心にしたこの世界では、何でもありです。他のシリーズ以上になんでもありの世界。魔法使いだって幽霊だって殺し屋だってゾンビだって正義の味方だって悪の組織の下っ端構成員だって総統だって怪人だって、皆皆、元気に生きてます。(中には生きてないのもいるけれども)一生懸命だったり、なげやりだったり、気ままにだったり、流されるままにだったり。成田さん十八番の群像劇。言葉どおり、世界の中心に位置する針山さんの周りで、登場人物たちはひたすら踊り続けます。物語はくるくるくるくる回転していく。短編集のようで、1冊の長編小説のよう。正義と悪はどこにあるのか。どこにもないのか。そして、別々の事件は、針山さんを中心に収束していく。成田さんの話のまとめ方は読んでてホント気持ちいい。それはきっと、ハッピーエンドを予感させるからなんでしょねえ。以下、短編ごとの感想です。【としれじぇ2 ~たくしぃえれじぃ~】「…気を付けてね?心を強く持てば大丈夫だと思うよ?」この台詞、タクシーの運転手さんに言ったかと見せかけて、読者に語りかけてる言葉だと見た!いやもう、成田さんは頭のネジが1本とれてるんじゃなかろうか(←誉め言葉)かと思いました。まさかこうひっくり返されるとは。読んでて普通に怖かったです。もうタクシーに1人で乗れない(かもしれない)。ホラー作家さんに転職しても充分いけるのでは?(笑)ところで、「幽霊とか魂って言われてるのはね、情報の塊みたいなものなんだって!」という台詞は小野不由美さんの悪霊シリーズを思い出しました。ううむ、そう言われると、幽霊も普通に存在してるってうっかり納得してしまいそうだ。【37564人目の悲劇】成田キャラの最強と言えば、クレアか静ちゃんだと思ってましたが、それを上回る最強キャラが降臨されました。No.37564、その設定はいくらなんでも反則すぎなんじゃ………( ̄□ ̄;)!!いつか、成田キャラ最強最悪決定戦みたいな番外編を書いてもらいたいです。いや、マジでマジで。「僕は―悪人になりたいんだ」幼い総統の深い悩みや葛藤が、心に痛かったです。No.37564のそれよりも遥かに。園バスを襲撃する裏に、こんな想いが隠されてたとは思いもよらず。物語の中の単なる記号、パーツと捕らえがちな悪の組織、総統、怪人、戦闘員を主人公に据えて、彼らが存在する意味や意義を捉えなおそうとする、っていう視点は新鮮でした。ちなみに、特撮系のストーリーにも関わらず、主役は正義の味方じゃなくて悪の組織側っていうのは、高畑恭一郎さんの「Hyper hybrid organization」を連想しました。って、読んだことないんですが。(完結してから読もうとてぐすねひいてるってのに、高畑さん遅筆すぎ・泣)【THE DON‘T OF THE DEAD】そして。今宵――― 夢が叶った。喋りすぎると墓穴を掘る。もしくは足元をすくわれる。ということ。【柏木クロスの真っ赤な死】ヒーローは強い!なぜならば、ヒーローは強いからだ!燃えた!真のヒーローここにありです。柏木クロスみたいなヒーローがどこかに存在してるなら、この世も捨てたもんじゃないって思えるってもんです(←大げさな)いわゆる名称としての「正義の戦隊)」に属してようが「悪の組織」に属してようが、心に正義の炎を灯してることが(クサッ)、ヒーローをヒーローたらしめてるんだということ。う~ん、熱い。熱すぎる。戦隊スキーさんには是非読んで欲しいと思える物語でした。そして、この短編で、全ての事件が終結します。針山さんを中心に、幸せになるべきだと思える人たちはそれなりに、報いを受けるべきだと思える人たちもそれなりに。読者の期待を悪い意味で裏切らない(いい意味ではよく裏切られるけれど)。読後感は良好です。なんか、この針山さんシリーズ。シリーズ全体を覆う巨大な敵みたいな存在がないので、針山さんを中心に、サザエさんワールドのごとく永遠に続けられそうな気がしないでもない。あ、それはそれで結構いいかも!☆(≧▽≦)☆!というわけで、次回作もかなり楽しみです。でも、成田先生、シリーズ増やすのは程ほどにお願いします。じゃないとキャラが覚えきれません。恐るべし、群像激作家の多作振り!間違えました。(いや、群像激作家でもあながち間違ってはないような・笑)恐るべし、群像劇作家の多作振り!感想を読ませていただいた素敵サイトさま→Alles ist im Wandel 積読を重ねる日々 ライトノベル感想文 徒然なーる読書日記
2007年04月08日
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今日、いつものように本屋さんに寄ったらば、佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」が本屋大賞に決まったようで、早速大々的に宣伝されてました♪ これは、めでたい!☆(≧▽≦)☆! 1 イチニツイテ 2 ヨウイ 3 ドン すべてはこのラストのために。うむうむ、我ながら、真面目な感想と、ある特定の漫画好きさん用の腐った感想の2本もアップした甲斐があったってもんです(笑) ところで、この「一瞬の風になれ」ですが、本屋大賞は受賞したものの、惜しくも直木賞は逃してます。そんな直木賞の講評を読むとなかなか興味深いです。 特に、アマゾンでここまで酷評が多い人にそこまで言われる筋合いがあるのか?的な渡辺淳一御大の選評がすごい。 以下、こちらから抜粋。「優しく爽やかで軽すぎる。」 「作家が異性を書くときは、その異性の感性から生理まで書ける自信がなくして、簡単に挑むべきではない。」 ええっと、この「生理」ってのは 「御大お得意のエロ」 のことですか? すんません。高校生にっていうか、スポーツものに、御大が書いてらっしゃる様な 粘着質かつ執拗なエロ描写 はいらねぇ(笑) 他の方の選評に関しては一理あるって気もしないでもないですが、嫉妬や屈辱、そんなこんなで怨念執念入り乱れたドロドロスポーツものや、友情や努力に溢れた爽やかさに特化したキラキラスポーツもの、いろんなパターンがあってもいいんじゃないかな、なんて思ってもみたり。 まあ、めでたく本屋大賞に決まったようだし、読んで損なしです。 機会があるようでしたら、是非ご一読を。 お勧めです♪
2007年04月06日
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3月に描いた感想の一覧です。 相変わらずバタバタしてます。相変わらずコメントレスも遅れまくってます。落書きは増えまくってます。不思議不思議。(ぇー【小説感想】「墨攻」(酒見賢一)「笑う怪獣」(西澤保彦)「影踏み」(横山秀夫)「そして、警官は奔る」(日明恩)「評伝シャア・アズナブル」(皆川ゆか)「星界の断章 2」(森岡浩之)「空から見た殺人プラン」(柄刀一)「大峡谷のパピヨン」(茅田砂胡)「刀語 第三話 千刀・ツルギ」(西尾維新) 10冊9作品でした。3月はちょっとがんばった!でも、感想待ちの本が3冊あります。いや、よくよく考えると5冊かも。1週間ならともかく、読んでから2週間後とかに感想書こうとすると、内容ってすっかり忘れちゃいますね。感想に長時間かけたりせず、簡潔明瞭に書こうっていつも思うんですけど、なんでこんなに毎回ダラダラ長くなるんだ?(しかも不明瞭)もう、これって、一生をかけて解き明かす謎かもしれません。(←アホか)【漫画感想】 毎週月曜日は相変わらず週刊少年ジャンプの感想でテンションが高いです。それ以外のコミックス感想はこれだけ。 「銀魂」(17) (空知英秋)「魔人探偵脳噛ネウロ」(10)(松井優征)「ダイヤのA」(4)(寺嶋裕二)「家庭教師ヒットマンREBORN!」(14)(天野明) 「鋼の錬金術師」(16)(荒川弘) みごとに少年漫画ばっかり。【アニメ感想】「銀魂」「D.Gray-man」「家庭教師ヒットマンREBORN!」引き続き、月曜日(ジャンプ発売日)と水曜日(BSジャパンの銀魂放映日)は魔の曜日(笑)【映画感想】「墨攻」「ドリームガールズ」 「アンフェア the movie」 「アンフェア」は(-_-|||)でしたが、「ドリームガールズ」は面白かった!「墨攻」はアンディ・ラウが反則的にかっこよかった!!【展覧会感想】「NHK日曜美術館30年展」3月に80万アクセス突破しました。ありがとうございました\(^▽^)/更新頻度は相変わらず。落書き熱も相変わらず。80万アクセスも頂いたって言うのに、相変わらずこれっぽっちも成長してませんが、これからもよろしくお願いしますってことで♪
2007年03月31日
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さっさと感想書かねば4冊目が出てしまう! というわけで、2週間くらい前に読んだので既に記憶があやふやです。(ぇー)無刀の剣士・鑢七花と野心を秘めた奇策士・とがめは、出雲の国は三途神社へ辿り着く!伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が完成させた“刀”は十二本―残るは十本!“千本で一本”なる千刀・〓(つるぎ)の秘密とは!?刀語、第三話の対戦相手は、三途神社を束ねる 敦賀迷彩。「千刀流の千の奥義を――見せてやる」「ああ――ただしその頃には、あんたは八つ裂きになっているだろうけどな」さて、変体刀3本目です。金偏に「殺」と書いてツルギと読ませるんですが、てっきり先が千本に分かれてる刀だとばっかり思ってたんですよね。←ほら、お茶道具の「茶筅」みたいな感じで(笑)でも、その正体は全く同じ刀が千本。材料から。重量から。切れ味から、何から何まで同じ刀。但し、七花が変体刀として感じることのできる千刀ツルギは最初の1本のみなんですよね。こんな風に、七花(虚刀流)と四季崎記紀の変体刀との因縁をこれでもかと示唆されると、この先の展開がかなり楽しみになってくるってものです♪それはそれとして、刀の毒が千本に分散されている千刀ツルギ。精密に厳格に作られた量産品。それなのに、七花が千本の最初の一本を最初の一本だと感じることの出来る矛盾。千本が全て同じと言いながら、七花が斬刀「鈍」と同じ感覚を持つことの出来るのは最初の1本だけ。つまり、他の999本とは違う1本が存在する矛盾。なんだか、最初から破綻してる変体刀と思えて仕方ありません。そもそも、全ての物質は、存在し続ける限り、なんらかの影響を受けざるを得ない。全く同じ状態でいられるはずもない。つまり、時間の流れが、千刀が内包する矛盾を拡大していくわけで、なかなか因果な設定の刀だなあ…… 存在する限り、変容は免れませんから。いわゆる「北京の蝶」って奴です。バタフライ効果です。「巫女の一人が箪笥の角に小指をぶつけて千刀を放り投げ、それがたまたま鎮座ましましてた神像にぶちあたった時に付いた目に見えないわずかな傷=些細な出来事が、因幡砂漠の拡大に寄与した=将来に甚大な影響を及ぼす」みたいな。(←例えは適当。むしろいい加減。) 観測者の視点によって状態が変わる「シュレーディンガーの猫」とも絡めて考察したら面白いかもしれないですが、ものっそめんどくさい上に生産性がないので、さくっとスルーするとして、つまりは、3作目にして名が体を表してない刀が登場したのは、ちょっと興味深かったです。なんだか確信犯っぽいぞ、西尾維新!ところで、今回もまにわにはかませ犬でした。さすがまにわに。素敵な愛称だけありますね!(笑)で、今回の相手は、女剣士です。三途神社を束ねる 敦賀迷彩。突拍子のなさという点は1作目のまにわに蝙蝠を凌駕するには及びませんが、敦賀迷彩が刀を欲する理由と七花の純粋といえば聞こえがいいけれど、1本の刀として存在し続ける迷いのなさの対比は、とがめの心情を思うと身につまされるものがありました。そんなこんなで、七花ととがめも、素直にラブラブファイヤー(?)とはいかなさそうです。まあ、まだ3冊め。ラブコメに徹するには、まだまだ山も谷もないと面白くないしね!(笑)で、次は早々に錆白兵が出てくるそうです。てっきりラスボスだとばかり思ってたのでかなり意外。4作目にして中盤の盛り上がりどころってことなんでしょうか?ようっし、サプライズに期待しようっと!☆(≧▽≦)☆!感想を読ませていただいた素敵サイトさま→和の戯言メモ。 空夢ノート 読書日記★PNU屋★既刊(タイトルをクリックすると感想に飛びます)「第一話 絶刀・鉋」「第二話 斬刀・鈍」
2007年03月30日
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ビックリ人間大集合な群像劇。水戸黄門シリーズ、間違えた。クラッシュ・ブレイズ最新刊はジャスミンが主役でした。 盗難にあった『生き別れの相棒』を捜して、ジャスミンはパピヨンルージュと名乗り峡谷競走(キャニオンレース)に挑む。またたく間にスターダムにのしあがった女王の大胆不敵な奪還作戦とは!? 「嘘つけ。泣きそうな顔してるくせに」 ケリーとジャスミンのコンビは、私が茅田砂胡作品で初めて出会ったキャラでして、かなり思い入れがあるので、出てきてくれるだけで嬉しいってのもありますが、魔法を使ってちょちょいのちょい(←死後?)なリィ達と違って、いくら規格外でも(多分)普通の人間なケリーとジャスミンがメインの話の方が好みです。なので、かなり楽しく読めました。特に、ジャスミンの飛行シーンは 爽快 の一言です♪やっぱいいなあ、ケリーとジャスミンのコンビ。そう、カップルっていうよりコンビ。展開はお約束で先も読めまくりな展開にも関わらず、2人の物騒な会話にニヤニヤしっぱなしでした。この調子だと、次作はケリーが主役になるんでしょうか?あ、それってかなり楽しみかも!ところで、このシリーズはストーリーは現状維持のまま、このパターンで攻めるってことなんですね。 ※このパターン 常識はずれの主人公(リィだったりルーだったりシェラだったりケリーだったりジャスミンだったりダイアンだったり)に一般ピープルはビックリ仰天。 出てくる敵は小物ばかり。 なので主人公がピンチに陥ってもこれっぽっちもハラハラしないぞ!☆(≧▽≦)☆!つまり、「奢る平家は久しからず」ってことか!(←何か違う) もうストーリーが進展することに対しては諦めの境地に達してきました。このシリーズは後半45分で各さん助さんがばったばったと敵をなで斬る水戸黄門と一緒で、お約束を楽しめばいいんだと。 「デルフィニア戦記」や「スカーレット・ウィザード」が着々とストーリーが展開していったので、どうもその呪縛っていうか、期待感から逃れられなかったんですが、シリーズ7冊めにしてようやく悟りを開くことができました(笑) このシリーズ、1冊完結型のキャラ萌え必死な同人誌的ノリがちょっと物足りなかったんですが、逆に考えれば、続きが気になって仕方ないよ!ってハラハラドキドキしなくてすむから安心ってことかなあ。「ソフィアの正餐会」の感想で、「そろそろデルフィニア戦記と絡んだりとか」して欲しいって書いてますが、このシリーズで期待するより、新シリーズを待った方がよさそうな気がしてきました。そういや「ファロットコンビは是非皆勤賞でお願いします」っていうのも儚いお願いだったみたいで、影も形もいやしねえ!( ̄□ ̄;)!!ま、まあ、それはともかくとして(汗)、大型怪獣夫婦は今日も今日とて似たもの同志の仲良しさんでした。 「仲良きことは美しきかな」 ってことで!☆(≧▽≦)☆!ところで、「嘆きのサイレン」が完結したとのこと。小説の漫画化はあんまり読む気起きないんですけど、茅田砂胡さんの書き下ろしシナリオによる読み切り中篇ってのがちょっと気になるので買ってみようかな。 「嘆きのサイレン」 鈴木理華
2007年03月29日
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シリーズが進むごとに、どんどん龍之介君が若返っていくのは気のせいですか?そんな龍之介君、表紙イラストを見る限りじゃ、「え?中学生?」ではありますが、その正体は四捨五入すると30になるIQ190の天才だったり。秋吉台に突然現われては消える神秘の湖、そこで、ダイバー姿の他殺体が発見された。しかし、被害者の遺留品は現場から離れた場所で見つかる。「さまよえる湖」と共に死体が移動した?冒険家を名乗り迷路のような鍾乳洞を探検していた男はどこで殺されたのか。カルスト台地が呼んだ怪事件。諏訪湖の御神渡り、宮島の七不思議、鳥羽の歪んだ真珠―。ちょっと気弱な名探偵・天地龍之介が旅先で難事件に遭遇する。その土地でしか成立しない犯罪トリックを見破れるのか。「レーリー錯乱が起こるのですね!異質の層は黒褐色をしているのではありませんか?透過光と干渉波の作用ですよね」あいかわらず、龍之介君、訳の分からないことを喋ってくれるので、周りは皆置いてけぼりです(笑)秋芳洞はついつい「しゅうほうどう」と読んでしまうんですが、正しくは「あきよしどう」だそうです。何度か行ってるはずなのに、今頃何言ってるんだか。秋吉台の「黄金柱」→迫力ありまくりです。もう1回見に行きたくなってきた!というわけで、龍之介君シリーズの最新刊は、時刻表トリックこそないもののトラベル・ミステリでした。秋田の仁賀保、長野の諏訪、三重の鳥羽、山口の秋吉台に、わが町広島の厳島神社まで!森ミステリの天才達とは全く違う、庶民派な天才の龍之介君、「ブギーポップシリーズ」のイラストレーター緒方剛志さんによる表紙イラストのせいで、うっかり手に取るラノベファンもいるんじゃないかと思われますが、中身はしっかり新本格。いまいちリアリティのない事件にそれって考えすぎじゃね?というようなトリックだらけ。まさしく、新本格ここにあり!です。さてさて、探偵役の周りで起きる不自然に連続する事象(殺人事件)は、ミステリ作品のシリーズには避けて通れないことなので別に今更つっこんだりはしないんですが、作中、事件の関係者達が(時には警察関係者まで) ペラペラペラペラと事件の詳細を龍之介君たちに喋るのはどうなのかな。ページに制約がある短編なので、ある程度は仕方ないことなのかもしれないですが、皆さんちょっと喋りすぎ。特に、「神域の波打ち際」なんか、あそこまで部外者に喋らんでも……そこまで喋っちゃ、逆に先祖代々に申し開きできないんじゃね?なんて余計なお世話的な心配までしてしまいました。トリックが複雑怪奇なのは許容範囲だけれど、こういった描写はちょっと気になります。もっと自然に描いて欲しかったなというのが正直なとこでした。かなりマンネリ化してきたシリーズですが、龍之介君の学習プレイランドの建設っていう夢は進展してるのかしてないのか、いつになったら出来るのか、出来たとしても採算がとれるのか等など、いろいろ心配ごとは多いので、続きが出たらついつい買って読んじゃうんだろなあ……
2007年03月24日
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私の数少ない自慢の一つは、「星界の紋章」を発売直後に初版でゲットしてるってことなんですが、それはつまり、どうゆうこうことかと言うと、外伝じゃない正真正銘の本編の続きを大抵の人よりも 長い時間、待ちぼうけを食わされてるってことで!惑星マーティンの支配をめぐる裏交渉が明かされる「併呑」を始め、ラフィールと出会う前のジントが目撃したアーヴの真実に迫る「嫉妬」、ジントとサムソンが出会う「着任」、突撃艦搭乗直前のエクリュアの心情が語られる「童友」、ラフィールの修技館入学を祝う宴の模様を描く「祝福」、領地に向かうジントが新居を買う「転居」など、本篇では語られざるアーヴの歴史に隠された真実を暴いた、書き下ろし「墨守」を含む全12篇。 本屋さんで赤井孝美さんのイラストを見て、あっ、星界の新刊だ!☆(≧▽≦)☆! って、「戦旗」じゃなくて「断章」かよ!と、盛大にノリツッコミをしてたってのは内緒です。そんなこんなで新刊は、短編(逸話)集第2弾でございました。登場人物も立ちに立ちまくってるので、本編では描かれないそれぞれのキャラのそれぞれのエピソードは楽しく読むことができました。こんなん書く前に本編の続き書けよ!とはどうしても思っちゃいますが(笑)相変わらず、アーヴ語の奔流が楽しい。初めて読んだ時は、執拗なまでのアーヴ語の耳慣れない見慣れない響きに、読むのにいちいち引っかかってたんですが、今やすっかり慣れてしまった自分がいます。「グラーガ・ビューラル・ロニャワル(流砂艦隊旗艦)」「グラハレル・ルエ・ビューラル(帝国艦隊司令長官」「ベネー・ロダイル(翔士修技生)」「ソビユス・ホーカ(機動軍団)」こういった単語に、すっかり違和感がなくなってしまいました。それはともかく、1編ごとのページ数がかなり短いので、沢山のストーリーが読めるという楽しさの反面、やっぱり物足りなさはあります。ですが、「変転」はかなり興味深く読めました。ただ、もうちょっと枚数を費やして、ナヘヌード(地上世界出身者)の目から見たアーヴを突き詰めてほしかったかな。星界シリーズは、独特な言語体系を持つアーヴ語とワープに代わる星間移動の手段である平面宇宙(ファーズ)航法が特徴のSFですが、それ以上に普通の小説なら敵役になってもおかしくないアーヴという遺伝子改良された星々の 侵略者側 を主人公側に置いたところこそが、一番の特徴だと思ってます。そう、普通なら主人公側はアーヴっていうわけの分からん侵略者に対抗する地上世界の人たちであっておかしくない。その侵略者、いわゆる征服者と被征服者の構図を見ることができて、興味深い短編でした。最後の短編「墨守」と含めて、帝国(フリューバル)がアーヴ、ナヘヌード問わず、様々な人々の集まりである限り内部に様々な葛藤を抱えざるを得ない組織だということを、改めて思い知らされる。ジントやラフィール、エクリュアの日常話な短編もいいですが、こういった歴史描写こそが、本編を離れた短編集の醍醐味ってとこなんでしょね。やっぱりスペースオペラは楽しいです。ところで、最近のSFの特徴は「ワープ」を作品独特の解釈に消化してることなんじゃないかと思うわけですが、星海シリーズもその一つ。星界シリーズの平面宇宙航法は、別の宇宙やら別の世界やらなんだかよく分からん未知の空間(ぶっちゃけると、物語上都合の悪い物理法則の制限を受けないでいいように作られた空間ってことですね)を経由して目的地にたどり着くってパターンですが、同じようなものとしては「カウボーイビバップ(Cowboy bebop)」の位相差空間を利用したゲート航法、「スカーレット・ウィザード」のショウドライブ。存在確率なんていう素敵単語が頻出するのは「敵は海賊シリーズ」の Ω(オメガ)ドライブ。海賊課フリゲート艦A級コンピュータのラジェンドラ(超かっこいい!)曰く、「まずその宇宙のなかで存在する確率がどこでも等しい状態にし、その後目的空間ににおける存在確率を限りなく上げてから実体を送り込む。Ωドライブにかかるエネルギーはその存在確率を上げる過程において使用されるものがほとんど」なんだとか。他にも、「レンズマン」は バーゲンホルム機関を使って質量を0にして超高速で移動したし、「トップをねらえ!」の次元波動超弦励起縮退半径跳躍重力波超光速航法も原理は今一理解できなかったけど(←バカ?)かっこよかった。とまあ、大抵のSFには出てくる「ワープ」ですが、作品ごとに独自の解釈が加えられて千差万別なところに燃えるわけです♪話が思いっきり脱線してますが、こういった燃えどころもあるので、SF読みは止められないってことで!☆(≧▽≦)☆!さあってっと、久々の星界シリーズは、普通に楽しかったです。で、星界シリーズ20万人読者(←適当)の共通した思いとして、本編の続きはいつ出るんでしょうか?感想を読ませていただいた素敵サイト様→感想雑記。 梅花の茶園 booklines.net ただ、それじゃ終われないでしょ! 彩彩華美
2007年03月21日
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「宇宙」と書いて「そら」と読む。「ニュータイプ」「スペースコロニー」「地球の重力に魂を引かれた人々」「人の革新」こういった単語を見ると、聞くと、ワクワクしませんか?ガンダムはアニメ至上のエポックメイキングな作品であることは間違いありません。やっぱ宇宙世紀は面白い!私のSF好きの原点はガンダムなんだなあ、としみじみさせていただきました。そりゃもう、しみじみと。 『機動戦士ガンダム公式百科事典』の編著者が描く“宇宙世紀の英雄”の生涯。シャアを切り口として『機動戦士ガンダム』から『逆襲のシャア』までのリアルな歴史ドラマを読み解く。人間シャアの生き方に学ぶ画期的ガンダム評伝。 21世紀のビジネスマンは、宇宙世紀のシャアに「男の生き方」を学べ!いきなりですが、告白します。ガンダム世代ではありますが、実のところ、ファーストガンダムではなくZガンダム世代です。しかも再放送で嵌ったクチです。当時は鼻水たらしたガキだったので、これっぽっちも内容を正確には理解しちゃいませんでしたが、何故か嵌りに嵌ってテレビに釘付けでした。更に言うなら、シャア自体あんまり好きじゃありません。1年戦争時にジオン公国側にいたくせに、7年後には連邦軍の内戦に関わって、さらにその後いきなりオールバックになったと思いきや、地球に小惑星を落として核の冬をもたらそうとするなんざ、言動に一貫性を感じられず(一貫してるのは、赤に拘るファッションセンスくらいじゃね?)、いくら外見が端整だろうと池田秀一さんのお声が素晴らしかろうと、ガンダム至上屈指の人気キャラだろうと、だからどうした!というのが正直なところでした。で、本書を読んで、シャアに対する気持ちが変わったかと言うと、これが、ものの見事に、変わりませんでした。 (ぇー私が、昔も今も惹かれてやまないのは、行動の規範を「情」に求めるタイプ(カミーユ)であって、「理」に求めるタイプじゃないんだな~と再認識しましたともさ。ただし、気持ちは変わらないけれど、評価は変わりました。個人的な好みで言えば、決して好きなタイプのキャラではないのに、最後までページをめくる手がとまらなかったのは、ガンダムという世界観の壮大さ緻密さだけではなく、やっぱりシャアというキャラクタの奥深さ故なんでしょうねえ。稀有な状況分析能力や判断力があるばかりに、己を2流のニュータイプであることをいやでも認識できてしまう。それに反して、周囲の人間は皆、彼を1流のニュータイプだと認識しているというギャップ。周囲の期待と自己評価のギャップに苦しめられ、葛藤しながら、それでも周囲に求められる役割を演じ続ける。そんな風にシャアを捕らえたことがなかったので、目から鱗が落ちるとはこういうことか!とひたすら感銘を受けましたとも!こうしてシャアを理解することができたのも、皆川さんが丹念にシャアという1個人を掘り下げて考察してくれたおかげです。(まあ、理解できても、納得も共感もできやしませんでしたが・笑)好きになれないけれど、気になって仕方がない。その考えに賛同はできないけれど、無関心ではいられない。私にとって、相変わらずシャアは難解でめんどくさいキャラクタですが、稀有なキャラクタであることだけは間違いありません。ともかく、好きとか嫌いっていう個人の好みのレベルを超えて、シャアというキャラクタが強烈だってことなんでしょう。というわけで、「評伝 シャア・アズナブル」を読んで、シャアに対する私の評価は、「マザコンでロリコンでマッチョで派手好きな言動に一貫性のないナルシスト」から「最後まで自己の行為に個人として向き合おうとし続けた独りの英雄」へ コペルニクス的転回 を果たしました。良かった良かった♪さて、シャアと言えば、日本アニメ史上、もっとも名言の多い男として有名ですが、数々の名言をあますところなく読むことができて、その点でもかなり楽しめました。 「坊やだからさ」とか「認めたくないものだな……自分自身の、若さ故の過ちというものを」という台詞は、いつか日常生活で使ってやると思いつつ、いまだ実現には至らない素敵台詞ではありますが、更に「若者をいじめないでいただきたい」も加わりました。 これなら、すぐにでも使えそうです。上司に向かって(笑) 本書はファーストガンダム、Zガンダム、逆襲のシャアがベースとなってます。Zガンダムについては、一時期、台詞をほとんどソラで言えるくらい嵌ってましたので、読むたびに映像がよみがえって仕方なかったです。とくにハマーンとシャアとシロッコのゴジラとバトラとモスラのごとき三つ巴決戦の描写を読んだときは、アニメの画像と音声が一瞬で蘇りました。あのシーンはほんっとに良かった!もうシャアの時代は終わったんだなと、世代交代をしみじみ実感した名シーンでした。(と思ってただけに、「逆襲のシャア」を見たときはぶったまげたもんです・笑)皆川さんと言えば、「新機動戦記ガンダムW(ウイング)外伝」で、単なる「人気アニメに便乗したノベライズ」の枠を超えた筆力に感動したものですが、それは本書でも変わらず。いえ、さらにパワーアップしてました。女性はキャラ萌えしかできないという既成概念(笑)を打ち崩すその偏執狂的なまでのガンダム史の掘り下げと事象の積み重ねにただただ圧倒されるばかりなり。これを読んだら、あたかもシャアが実在してたかのように思えること間違いなしです。ガンダム世代は読まなきゃ絶対損!ということでお勧めです♪感想を読ませていただいた素敵サイト様→フォトリーディング@Luckyになる読書道 What A Wonderful World
2007年03月17日
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思い浮かべるのは「踊る大捜査線」。ストーリーもキャラ造型も違うけれど、作品の根底に流れる無邪気なまでの前向きさはきっと同じ。隣の家から、いないはずの女の子の声が聞こえる。東京・蒲田署にもたらされた、不法滞在外国人を母に持つ幼女の監禁事件。浮き彫りになる子供の人身売買や虐待は、無骨刑事・武本の前に大きな壁となって立ちはだかる。それぞれの立場で『警察』と『法律』、そして『自分』の無力さに直面した元上司・潮崎との凸凹コンビは、裁ききれない闇にどう答えを出すのか。「父親もいない、国籍もない、母親にも捨てられそうな赤ちゃんがいる。このまま母親に捨てられて、国の福祉の下に生きていっても、大変な人生が待ち受けているのは目に見えている」最近のメフィスト賞は、受賞作を講談社ノベルズじゃなくて単行本で刊行するなんて暴挙をしでかしてくれるおかげでずっと読めなくてイライラしてたんですが、ノベルズ落ちしてくれたおかげで、続きが気になってた武本・潮崎の凸凹コンビのシリーズ第2弾をようやく読むことができました♪作品の出来は期待どおり。メフィスト賞受賞作家さんらしく、かなり厚みはありましたけど、さくっと一気読み。やっぱ日明作品は面白いや。前作「それでも、警官は微笑う」で、潮崎は警察をやめ、キャリアへ挑戦することになりました。続編ではてっきり武本が青島刑事、潮崎が室井さんのポジションに立って切磋琢磨しながら事件を解決するかと思ってたんですが、意外や意外。この作品中、潮崎は民間人のままです。そうなると、コンクリートも頭突きで粉々にしそうな程頭ガッチガチな武本と潮崎の間には、公僕の守秘義務という壁が立ちはだかって、2人が協力して事件を解決ってのは無理なんじゃないかなあ……なんてことを思いつつ読んでたんですが、なるほど、こうきたか!という上手い展開の持っていきように感心しきりでしたw前作に比べて幾分地味です。というのも、派手なアクションがないので。せいぜい武本が植木鉢を投げるエピソードが派手なくらいです(笑)ただし、事件自体は地味なんてもんじゃありませんでした。神ならざる身としては、誰も彼もむやみやたらと幸せに、なんて暢気なことは言えないし、現実は、世界征服の先駆けに園バスをのっとる怪人をやっつけたら平和になるような単純明快、勧善懲悪がまかり通る世の中じゃないってことも充分承知してます。けれど、皆幸せになれるように努力することは決して無駄じゃない、むしろ尊い。たとえ、到底、解決策が見つかりそうにないことであったとしても。……ということをしみじみ感じる「不法滞在外国人が絡む事件の数々」でした。扱ってる事件が陰惨な割には、カラッと明るいイメージがつきまとうのは、潮崎のキャラならではっていうより、日明さんならではってことなんでしょう。まあ、武本が、いくらなんでもそれはありえないだろ的に頑固で不器用だったり、武本を知る人物がやたら武本を誉めまくったり、潮崎が何かって言うと馬鹿の一つ覚えみたく「先輩はすごい」を繰り返したり、潮崎ってばもうちょっと冷静にものを考えるタイプだと思ってたのにちょっと能天気すぎるんじゃ?みたいな、気になるところもチラホラあれど、そこら辺は些細なことでして、リーダビリティも高く、すらすら読めるのはさすがです。事件描写が丁寧なのも好感触。(←とは言え、私は苦にならないだけで、薀蓄描写が苦手な人は辛いものがあるかもしれないですが。)そうそう、潮崎は最後の最後に、「踊る大走査線」の室井さんになってました。現場の刑事の視線に立って物を考えることの出来るキャリア(←まだなってはいませんが)の辿る道は、結局同じなのかもしれません。ただまあ、室井さんと違って、前警視総監の奥方、現警視総監のご母堂も門弟だっていう歴史と格式のある茶道の家元っていう協力無比な後ろ盾があるんだから、是非とも最大限に活用して、武本みたいな無骨で不器用な、けれど正義感だけは誰にも負けない、そんな警官が思うがまま働けるような警察を、少しでも早く作ってもらいたいものです。前途は多難そうですが(笑)いつ出るのやらさっぱりですが、シリーズ第3弾が楽しみです♪感想を読ませていただいた素敵サイトさま→眠り猫の憂鬱 猛読醉書 どこまで行ったらお茶の時間 倶楽部 醴泉~酒とミステリィの日々~ The World Is Made Out Of Entertainment
2007年03月11日
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ミステリではありますが、ハードボイルド要素がかなり加味された1冊でした。窃盗罪での服役を終え出所した真壁修一(34)が真っ先に足を向けたのは警察署だった。二年前、自らが捕まった事件の謎を解くために。あの日忍び込んだ家の女は夫を焼き殺そうとしていた―。生きている人間を焼き殺す。それは真壁の中で双子の弟・啓二の命を奪った事件と重なった。十五年前、空き巣を重ねた啓二を道連れに母が自宅に火を放った。法曹界を目指していた真壁の人生は…。一人の女性をめぐり業火に消えた双子の弟。残された兄。三つの魂が絡み合う哀切のハード・サスペンス。 文庫本の帯のコピー「かつてこれどほ切ない犯罪小説があっただろうか。」……それは、普通にあるんじゃないの?と身も蓋もないことを思ってしまいました(笑)とりあえず、思いつくのは「青の炎」とか。連作短編です。作品を追うごとに、兄と弟の関係もすこしずつ揺らいできます。短編ごとのミステリ部分も楽しいですが、修一と啓二のイレギュラーな状態でい続けることの不自然さが、読み進むうちに大きくなり、この2人は最後にどこにたどり着くんだろうという興味で一気読みしてしまいました。出てくる犯罪者たち(この場合は職業がということではなく、その人の本質がということで警察官も含みます)も、それぞれの特技やら性格やらが特徴的で興味深い。泥棒刑事は「ドロケイ」っていうのはともかく、忍び込みを指す「ノビ」に始まってハコ師やら波引きやらバンカハズシやらっていう知らない隠語が山のように出てくるのも楽しかったです。概ね高評価ではあるものの、若干気に食わないことが。一つは、兄の修一が法曹界を目指していたって割には、その設定がたいして生かされてなかったこと。折角の設定が勿体無いように感じました。で、それ以上に気になったのが、ハードボイルドは好きでそこそこ読むんですが、なんでこうも都合のいい女性しか出てこないんでしょう?ヒロインの久子は、修一をただ待つだけ。修一のとる行動に応じて動くだけ。修一が犯罪を重ねるが故にその身にもたらされる理不尽な仕打ちに、少しは抵抗してみせたっていいのに、なされるがまま。修一が戻ろうと思えば、いつでもその先に待ち構えている。修一には、いつでも帰れる場所がある。う~ん………男性側にしてみれば願ったり叶ったりな女性なんでしょうが、こうも受身でしかない女性ってのは好きになれない。よっぽど 友人の玲子の方が人間味溢れてて好感がもてます。とはいえ、行動原理が恋愛至上主義なのはやっぱり気に食わないけれど。全部がそうだとは言わないものの、ハードボイルド小説に出てくる女性ってのはどうしてこうも恋愛至上主義者ばかりなのか。世の中、他にも大事なことはあるんじゃないか?と野暮なことを言いたくなります。作家さんの理想が女性の登場人物に投影されてるのかもしれませんが、某漫画家さん(男性)の言葉を借りるなら、「女なんてねェ みんな こえだめから生まれてきてんのよ 銀蠅の飛び交う中闘ってんのよ」。これ、ものすごく至言だと思います。そんな心意気を持った女性が出てくると、ハードボイルド小説ももっと面白くなるのに。警察小説ばかり書いてる作家というイメージを打ち砕く意表をついた主人公だし、双子でありながらすれ違った時間に存在し続ける兄弟間の葛藤も普通に面白い。これで女性がもっと魅力的だと言うことなしなんですが、その辺がちょっと残念でした。感想を読ませていただいた素敵サイト様→まじょ。のミステリブロ愚 higeruの大活字読書録 日だまりで読書 メモ KEN太’s 日記 KITORA's Blog 日記/源氏の宝物
2007年03月10日
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そうそう、このバカバカしい設定の西澤ミステリが大好きなんです!☆(≧▽≦)☆!突如出現する巨大怪獣。地球侵略を企むナゾの宇宙人。そして人々に襲いかかる驚異の改造人間。いい年齢をしてナンパが大好きな、アタル、京介、正太郎の3バカトリオに、次々と恐怖が襲い掛かる!彼らを救うヒーローは残念ですが現れない!密室、誘拐、連続殺人。怪物たちは、なぜか解決困難なミステリを引き連れてくるのであった。空前絶後のスケールでおくる、本格特撮推理小説。 「本編の主役とも呼べる巨大生物に関する詳細はいっさい不明のまま進行すると心得て以下の文章をお読みにならないと怒髪点を衝くことになります。それはもう確実に。仕方ないじゃありませんか。分からないものは分からないのだ。俺のせいじゃない。」(「怪獣は密室に踊る」から)本格特撮推理小説ってのがどんなものなのか、さっぱり分かりませんが、本書では、怪獣やら改造人間やら宇宙人やらが、バックグラウンドの説明いっさいなく好き勝手に現れて、暴れて、去っていきます。荒唐無稽もここに極まれり。トンデモ設定の説明を一切することなく、ミステリ部分だけは理にかなった(理屈っぽいともいう)ストーリーは、西澤さんの真骨頂ですね!この作品で、小説家志望の人が公募賞に応募したりしたら、速攻、落選箱に入れられて放置されそうな気がしないでもないですが(笑)、そこは我らが西澤さん。このくだらない設定(←誉め言葉)で、1冊の本になるまで書き上げ、ちゃんと刊行されるところが見事としか言いようがありません。読者としては、バカバカしさに単純に笑うか、怒髪天を衝くか、二つに一つ、みたいな(笑)今回、西澤さんの得意技、ジェンダー絡みの謎がなかったのは印象的でした。実は密かに、ジェンダー絡みの謎に消化不良を起こしそうになってたので、ちょっと好印象かも。ミステリとしては、安楽椅子ミステリです。(いや、特撮ミステリではあるんだろうけどもさ)事件の謎は明かされはするけれど、それが本当に真実かは分からない。一つ注文するとすれば、その辺は、後日談としてでも真相を明らかにして欲しかったかな。この辺は、倉知ミステリと同じ感覚ですね。文庫は解説を石持浅海さんが微に入り細を穿って書かれてるので、あんまり感想書く余地がないんですが、主人公3人組みの名前。アタルはうる星やつらの諸星アタル。正太郎は鉄人28号のショタコンの語源にもなった正太郎君。京介は氷室京介(笑)しか思い至らないんですが、この3人、モデルがあったりするんでしょうか?感想を読ませていただいた素敵サイト様→ながし読み日誌 KITORA's Blog
2007年03月04日
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いやもう、面白い!うすっぺらい文庫本なのであっという間に読めちゃいますが、文章の密度が違う。一つの文章にライトノベル1ページ分の情報量がつめこまれてる感じ? こうゆう佳品を読むと、時代小説はやっぱいい!と真剣に思います。淡々とした語り口ですが、だからこそ、当時の時代背景や思想背景に好きなだけ思いを馳せることができる。それが、私にとっての時代小説の醍醐味です。 戦国時代の中国、特異な非攻の哲学を説き、まさに侵略されんとする国々を救援、その城を難攻不落と化す謎の墨子教団。その教団の俊英、革離が小国・梁の防衛に派遣された。迫り来る敵・趙の軍勢は2万。梁の手勢は数千しかなく、城主は色欲に耽り、守備は杜撰であった。果たして革離はたった一人で城を守り通せるのか―史実を踏まえながら奔放な想像力で描く中島敦記念賞受賞作。 -弱気の救援を行うのは我らの規矩(きまり)です-墨家教団の俊英、革離の城邑防衛戦に当たっての孤軍奮闘ぶりは鬼気迫るものがありました。食糧保存から武器の製作、城壁補強、塹壕の掘削、井戸の掘削、兵卒管理に至まで、全てを1人で管理し、梁国内に規律と統制をもたらす様は圧巻の一言。脳天からまっすぐ体の芯を貫く強い信念。ただそれだけのために邁進する。墨家の理想の善悪はどうあれ、革離の行動自体に善悪の価値基準の入る隙間はありません。 人心の掌握のために、謀略を用いて人を殺めることすら厭わない。女子どもでさえ容赦しない。 休息をとることもなく、たった一人で策を練り、実行し、思考する。 作中、人がバタバタと死んでいきます。とにかく死にます。人が死ぬことを軽く扱ってはいけないけれど、軽く扱われていた時代は確かにあったことを思い知る。死を伴わない戦争はありません。殺戮が起きない戦争はありません。墨家の解く「兼愛」がどこにあるのか、どこに向かっているのか、正直私には最後まで分かりませんでした。 革離の言動を通して語られる墨者の特異さにただただ圧倒されるばかり。ただ一つ言えるのは、それでもページを繰る手が止まらかったということ。 史実を忠実に再現した歴史小説というわけではなく、純然たるエンターテイメントに仕上がってます。 酒見さんの想像力に、気持ちよく翻弄されました。 殴ったら人を殺せるんじゃないかって言うくらい分厚い小説がはびこってる昨今、薄っぺらなのであっという間に読めるのも魅力の一つ(笑) 過剰な説明も形容もないので、ライトノベル読者には厳しいでしょうし、時代小説を読みなれてない方には、とっつきにくいかもしれないですが、ものは試しに読んでみるのもいいかもしれません♪ それにしても、単純に面白いと、感想も長くは書けないもんですねえ。映画の感想はあれだけダラダラと書いたくせに(笑) 感想を読ませていただいた素敵サイトさまLife with books, dirt, and a cat. 子供と一緒にお仕事の日々 まじょ。のミステリブロ愚書評風 - 読んだら軒並みブックレビュー【参考】革離を演じるアンディ・ラウが反則的にかっこよかったです。映画「墨攻」公式ホームページ
2007年03月02日
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2月に感想を書いた小説その他をまとめました。 ここのとこ、ものすごく忙しいです。何故だ!更新頻度は落ちてないものの、コメントレスが遅れに遅れてるし……(泣)コメントのレスにかなり時間がかかるんですけど、やっぱり、だらだら長々とレスしてるせいですか?だって楽しいんだもの!ただ、なかなかその時間がとれないジレンマが……(-_-|||)いやもう、折角コメントしてくださる皆様、御迷惑おかけしてます。いやマジでマジで。【小説感想】「逃亡日記」(吾妻ひでお)「ぼくのキャノン」(池上永一) 「フィッシュストーリー」(伊坂幸太郎)「刀語 第二話 斬刀・鈍」(西尾維新)「一瞬の風になれ」(佐藤多佳子) 「図書館危機」(有川浩) 6冊8作品でした。(←少ない!)読んではいるんですけど、感想書くのが追いついてません。早く書かないと内容忘れるっちゅーねん。相変わらず、西尾維新さんの連続刊行のシリーズ(「刀語」)が楽しいです♪で、2月の収穫は、佐藤多佳子さんっていう作家さんを知ったこと。初めて読む作家さんの本って、ワクワクしませんか?【漫画感想】 毎週月曜日は相変わらず週刊少年ジャンプの感想でテンションが高いです。それ以外のコミックス感想はこれだけ。 「D.Gray-man」(10)(星野桂)「To loveる」(2)(矢吹健太郎&長谷見沙貴) 「アイシールド21」(23)(稲垣理一郎&村田雄介)「のだめカンタービレ」(17)(二ノ宮知子)「さよなら絶望先生」(7)(久米田康治) いつものことながら、購入したものの、感想が書けてない本はやっぱりあります。(「ハヤテのごとく!」とか。)ちゃ、ちゃんと書けるのかなぁ……(多分、きっと、おそらく、確実に無理!←ぇー)【アニメ感想】「銀魂」「D.Gray-man」「家庭教師ヒットマンREBORN!」引き続き、月曜日(ジャンプ発売日)と水曜日(BSジャパンの銀魂放映日)は魔の曜日(笑汗)【映画感想】「守護神」 「墨攻」も見てるんですが、小説も映画も感想は近いうちに!2月に70万アクセス突破しました。ありがとうございます\(^▽^)/更新頻度は落ちてないものの、感想本数が激変です。それもこれも、某お江戸ファンタジックコメディーのせいってことで(笑)←笑いごとじゃない。
2007年03月01日
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えええええ?堂上教官ってば、郁に自分が王子様とばれたからって机に突っ伏した挙句、脳震盪?ださっ!( ̄□ ̄;)!!………と思わず叫んでしまいました。勘違いも甚だしいです。よく読もうよ、自分。有川浩『図書館戦争』シリーズ最新刊!!図書館は誰がために―王子様、ついに発覚!山猿ヒロイン大混乱!玄田のもとには揉め事相談、出るか伝家の宝刀・反則殺法!―そしてそして、山猿ヒロイン故郷へ帰る!?そこで郁を待ち受けていたものは!?終始喧嘩腰でシリーズ第3弾、またまた推参。 ---稲嶺指令の奥さんが好きだった花なんだそうだ---「図書館内乱」を読んで、感想に「図書館のっていうより、堂上班の明日はどっちだ!?」と書きましたが、訂正させてください。「図書館のっていうより、手塚と柴崎の明日はどっちだ!?」堂上教官と郁、源氏の君と紫の上 小牧教官と毬江ちゃん、玄田隊長と折口女史………正直、この連中の行く末はどうだっていいです。こっちが心配するのもアホらしいくらいラブラブだし。というわけで、時代は、手塚と柴崎ですよ、コンチクショー!☆(≧▽≦)☆!いやもう、堂上さんと郁なんか目じゃないくらい、肝心なとこで鈍感この上ない手塚と柴崎の2人にメロメロしながら読んでました。愛だの恋だのいう以前に、「友人」という関係すら、人から指摘されないと自覚できない2人に萌え萌えです♪(燃え燃えでも可)堂上さんと郁の関係より、ひたすらこっちの方が心配です。思いっきり前途多難そう。お互いがお互いの気持ちを自覚しつつも気付かない振りをして、年齢だけ重ねていく……みたいな、「遠回りもいいかげんにしろよ、おまえら!(`Д´) ムキー!」的なまわりくどさとめんどくささをこの2人に感じてしまうのは私だけですか?まあ、有川さんのことだから、登場人物全員にこれでもかっていうくらいのハッピーエンドを用意してくれてる違いないと思うと一安心ではあるものの、あと1冊でシリーズ完結するのに、この二人の関係にちゃんと決着がつくのか、気になって仕方ありません。もう、続編が待ちきれないったら!今回もいろんなエピソードがこれでもかと盛り込まれてて読み応えがありました。(図書館や本屋では痴漢が多いってエピソードに力一杯うなずいてみたり)堂上さんと郁の砂を吐きそうなくらい激甘な台詞はいたるところに散りばめられてますが、郁が様々な出来事を不器用ながらも乗り越えて、着々と成長していく様を見るのはやっぱり楽しい。そして、何といっても玄田隊長、男前すぎ!最後までハラハラしっぱなしでした。このおじさん、心臓に悪すぎる……堂上さんが、心労のあまり禿げたりしないか、思いっきり心配してしまいました(笑)ともかく、全てのエピソードに、カミツレのエピソードが上手く絡んでいて、途中どれだけ笑ったとしても、最後はしんみり感動させられます。そもそも、有川さん、サブタイトルに「稲嶺、勇退」ってつけるの反則です。(←マジ)稲嶺指令が出てくるだけで条件反射で泣きそうになるのに、あんなエピソード入れられたら泣かずにいられないってば!というか、サブタイトルの段階で既に泣きそうに。有川さんに思いっきりしてやられてしまいました。なんか悔しい。そうそう、この感想の冒頭に書いてます「堂上教官脳震盪で気絶?ださっ( ̄□ ̄;)!!」事件ですが、私の早とちりでして、実際のところは、「郁が王子様の正体を知った」ことはまだ堂上さん本人にはばれちゃおりません。ホッとしたような残念なような(笑)郁が「堂上教官は自分の王子様」だって気づいてない段階は純粋に楽しかったんですが、立場が逆になると、ひたすら堂上さんが不憫に思えてくるのは何故?こと「恋愛」方面に関しては、女の子の方が開き直ると強いっていうか、男の子(子じゃないけどさ)の方が余裕がなくなるっていうか、その辺の差かもしれません。ともあれ、相変わらず乙女回路内臓な堂上さんと郁がかわいらしかったですwww期待にたがわず、楽しく一気読みさせていただきました\(^▽^)/ラブコメの破壊力も、ますますパワーアップだ!(笑) 「図書館戦争」感想 「図書館内乱」感想 感想を読ませていただいた素敵サイト様→怪鳥の【ちょ~『鈍速』飛行日誌】 まじょ。のミステリブロ愚 たいりょうのちょっと一息 What A Wonderful World 蒼のほとりで書に溺れ。 苗坊の読書日記 今更なんですが本のはなし 活字中毒 マロンカフェ ~のんびり読書~<花>の本と映画の感想ところで、一つだけ気になったことが。作中に出てくる「盲撃ち(めくらうち)」という単語。「盲」を「めくら」って訓読みするのは、差別用語ととられる場合もあるというのが私の認識なんですが(この認識はあながち間違ってはないようです)、図書館シリーズに毬江ちゃんというキャラを登場させてる有川さんがどうしてわざわざこの単語を使ったのか。「三 ねじれたコトバ」で描かれたような、安易な「言葉狩り」に対するアンチテーゼか何かなんでしょうか?う~ん、正直、どう理解していいのやら、分かりませんでした。「言葉」って難しい………【追記】コメントをいただいたので、誤解を招いちゃいけないと追記させていただきます。有川さんが、差別意識を持って「盲撃ち」という言葉を使ったとは思ってません。「言葉」を大事にしてるからこその図書館シリーズだと思ってますから。「差別用語」っていうのは、実際に差別されてると感じる人がいるかどうかで決まると思ってるので、「床屋」という呼称に差別されてると感じる人がいないのに、「床屋」という言葉を狩るのは問題だと思います。(実際「床屋」のどこが差別に値するのかさっぱり分からん。)ただ、私は、「盲(めくら)」という言葉を使うのは視覚障害者を傷つける言葉なので使わない方がいいと教わってきたし、実際に「盲(めくら」という呼称に差別されていると感じる人がいるんだと思ってたんです。なので、ここで有川さんが「盲撃ち」という言葉を使ったことで、それが正しい知識だったのか、間違った知識だったのか、今まで自分は、自覚なしに安易な「言葉狩り」に加担してただけだったのか……そんな風に自分自身が思いっきり揺らいじゃった故に、上記のような書き方になりました。有川さんを疑っちゃいません。恥かしいことですが、疑ってるのは自分自身です。誤解を招くような書き方をしてしまい、失礼いたしました。
2007年02月23日
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してやられました。スポーツものって、なんでこうも応援したくなるものなのか。自分の信じた道を、全身全霊をかけて突き進む、取り組む、打ち込む姿に心揺さぶられました。 1 イチニツイテ 2 ヨウイ 3 ドン すべてはこのラストのために。「速くなる」ただそれだけを目指して走る。白い広い何もない、虚空に向かって…………。「最高だ」直線をかっとんでいく感覚。このスピードの爽快感。身体が飛ぶんだ……。「1本、1本、全力だ」ただ、走る。走る。走る。他のものは何もいらない。この身体とこの走路があればいい……「この決勝走れて、どんなに嬉しいか、言葉じゃ言えねえよ」森絵都さんの「DIVE!!」(感想はこちら)を読んだ時と同じ読後感。晴れ晴れと清清しい気持ちで読み終わることができました。クライマックスはインターハイ出場をかけた関東大会。インターハイ(全国大会)直前で終わるあたり小憎らしいです。あとは読者が勝手に想像しろと?ああ、分かったよ、してやるさ!主人公の新ニの大学生活あたりまで、こっちで勝手に想像してやるさ!と思わず意気込んでしまいましたw合言葉は「希望を胸に」(笑)そんな戯言はさておき、ライバル達との友情。出来のいい兄への想い。ほのかな恋心。そんなこんなを散りばめながら、主人公はぐいぐい成長していきます。勿論、スポーツものの王道として、挫折を味わいます。泣くし、怒るし、落ち込むし、走るのをやめようとも思う。いずれ立ち直ることは分かっているのに、ハラハラドキドキしながら読んでしまう。大森望さんがどこかで仰ってましたが、まさしく陸上版「タッチ」と言えます。まあ、「タッチ」と違って、主人公は恐ろしく前向きですが、爽やかさはいい勝負。ところで、まだまだ体も心も成長途上の高校生。どんな指導者に出会えるかで、彼らの将来は大きく変わってしまうんだな、ってことがよく分かる。それは、春野台高校で出会えた奇跡。新ニたちを導く三輪先生がとても印象に残りました。「俺はおまえらの夢までは面倒見ねえぞ」「夢が実現するようにいくらでも手は貸すが、俺がおまえらの夢を先に見るようなことはしねえやる気のない奴のケツをたたいてやらすほど親切じゃないぞ」「自分で夢を見ろ。でかい夢を見ろ」生徒と同じレベルで笑って泣いて。生徒が勝ったら泣いて、負けても泣いて。生徒にタメ口を叩かれ、あだ名で呼ばれ、だるくてゆるくてちっとも偉そうじゃないけれど、いつだって柔らかくがっちり受け止めてくれる無敵のクッションのような、そんな先生。熱血スパルタ教師では全然ないけれど、根っこは心底熱い。新ニや連、ネギ。みんなみんな、三輪先生に出会えてよかったね。三輪先生のもとで、気持ちをとぎらせることなく走ることができて、走りたいと思うことができてよかったね。読んでる間中、ずっとそんなことを思ってました。やっぱり、自分の年齢的に、高校生よりも(とうのたった)大人の方に思い入れが強くなるのかもしれません(笑)才能はあるんだけれども、まだまだ最強ではない。最強ではないけれど、最強になりたいという思いを持ち続ける。三輪先生やチームメイトやライバルに囲まれて、主人公の新ニは、近い将来、最強のランナーになるに違いない、とワクワクしながら思える、そんな小説でした。私は、運動神経を母親のお腹の中に忘れたまんま産まれてきてしまったので、スポーツと名のつくものは何もかもダメですが、新ニの走りを読んでると、自分もトラックを走りたくなります。高校時代、体育が嫌で嫌で仕方なかったんですが、あの頃に読みたかった。そうしたらきっと、あのグラウンドのトラックを、もっと別の目で見ることができただろうに。走ることの楽しさを、少しは感じることができただろうに。そんな悔しい気持ちも抱えつつ、楽しく一気読みしてしまいました。今年早々の直木賞に惜しくも落選してしまった本書ですが、佐藤多佳子さん、いずれは確実に直木賞作家になるに違いありません!お勧めです♪【追記1】non*nonさんに、コメントで素敵情報を教えていただきました♪春野台高校のモデルは、こちらだそうです!→【麻高陸上部が小説のモデルに】【追記2】本屋大賞受賞 おめでとうございますwww感想を読ませていただいた素敵サイト様→ひなたでゆるり 浅読み日記 とんとん・にっき まったり読書日記 こんな日もあるよね☆ぞうの耳 -本に埋もれて暮らしたい- 宙の本棚 アン・バランス・ダイアリー NO BOOK,NO LIFE!! 本を読む女。改訂版 rocketBooks 栄養補給の綴り~舞台で消費するための~ + ChiekoaLibrary + マロンカフェ ~のんびり読書~ まったり感想日記 小さなことを喜ぼう!~女41歳の「ちょいハピ」な日々~ 苗坊の読書日記
2007年02月18日
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期待通りに楽しかったです。キャラクターで魅せ、ストーリーで魅せる。読み捨て御免の潔さに満ち溢れていて、惚れ惚れしました♪無刀の剣士・鑢七花と野心を秘めた謎の奇策士・とがめは、一路、西へ!伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が完成させた“刀”は十二本―残る十一本は誰が?何処に?愛と復讐の旅路に迫る危機また危機!刀語、第二話の対戦相手は、因幡砂漠に聳え立つ下酷城・孤高の城主、宇練銀閣!刀は斬る相手を選ばない。しかし-持ち主を選ぶ。 彼は、彼女を選んだのである。 感想を書くのが遅くなりましたが、しっかり面白かった!相変わらず、テンポのいい弾むような文体でサクサク読めます。 単純明快なストーリーは、エンターテイメントのど真ん中をまっすぐぶち抜きます。 「(七花が)蒐集対象の刀の所有者が善人の場合―といった、目的と人情の板ばさみの状況に陥ることになるのは、もう少し先の話である。」とか「(斬刀・鈍の)刀身がどんな姿なのかを知るのは、それが再び彼に向けられるとき-つまりはこの年の暮れのことになる。」とかって、今後の展開を小出しにしていくあたりも小憎らしい。続巻への期待がいやが上にも高まらずにはいられないってもんです。 西尾さん、ひきが上手すぎー。 そして、自分、常日頃から「西尾維新ほど、ツンデレとか萌え描写が半端ない作家さんはいない」と勝手に思っていましたが、それがどんどん確信に変わっていってます。時代活劇にも「萌え」ってマッチするんだーすげぇーーーー…(遠い目)みたいな(笑)さて、肝心のストーリーのほうですが、かっこよくみせかけといて、今回の対戦相手の宇練銀閣、意外に間が抜けてました。居合い抜きを光速にするためとは言え、自滅したら駄目じゃん。己の命を顧みないってことは、結局何も守れはしないと同義なんじゃないかな。 何かを守りたいと思う気持ちは真摯で強い。とは言え、ただその思いだけじゃ足りない。何かを守りたいと思い、そして、自分の全てをかけてでも、そう、狂うことも厭わないほどに守りたいと思うものに、ちゃんと、きちんと、流されることなく出会うことができるかどうか。出会いは一つの奇跡なのかもしれません。 七花は出会うことができ、銀閣は出会うことができなかった。 虚刀流の圧倒的な強さは別にしても、それが勝負の明暗を分けたのかもしれない。 銀閣は、七花の鏡像だったのかもしれない。……読み終わったときに、そんなことをつらつらと考えてみる。 そして、この「刀語」。七花のビルドゥングス・ロマン、所謂「成長物語」だということを第一話を読んだ時以上に感じました。それも、銀閣という存在あってこそ。とすれば、宇練銀閣は、第一話の真庭蝙蝠に比べて圧倒的に地味ながらも、なかなかに奥行きの深いキャラだったのかもしれません。 というのは、深読みしすぎですか?以下、各キャラクターに関する雑感。 【とがめと七花】 やっぱりか……! とがめが頭脳派、七花が肉体派と見せかけて、頭脳も肉体も七花が独り占めか!とうっかり納得しそうになるくらい、とがめの頭の螺子が抜けまくってきました(笑)←ちぇりお! 「なるほど-前向きだ だからおれは、あんたに惚れたんだ」 「惚れる」の意味が、ちゃんと分かってるのか?七花!と思わず叫んでしまったのは内緒です。 ところで、虚刀流の「薔薇」ですが、薔薇っててっきり外来植物だと思ってました。なので、時代劇に出てくる技名としては違和感バリバリだったんですが、実は日本って薔薇の自生地だったんですね。まさか万葉の時代からあったとは。自分の不勉強っぷりをただただ恥じ入るばかりです。 【錆白兵】 錆白兵がどんな人物なのかかなり楽しみにしていたんですが(勝手にクールなナイスガイ(笑)だと思ってた)、七花同様、かなり会いたくなくなりました。 ことあるごとに「拙者にときめいてもらうでござる!」剣士って………ORZ 【まにわに 真庭忍軍】 今回、しっかりかませ犬。そんな展開は予想もしていなかったので、きっと、七花と銀閣の対決の時に高笑いしながら出てくるもんだと思い込んでました。 「時代活劇=水戸黄門をはじめとするお約束な展開」じゃないんだー。【宇練銀閣】 「零閃編隊--十機」 しゃりんしゃりんしゃりんしゃりんしゃりんしゃりんしゃりんしゃりんしゃりんしゃりん--! 零戦と居合いを結びつける発想に、ただただときめく!ひたすらときめく!感想を読ませていただいた素敵サイトさまはこちら→booklines.net ライトノベル名言図書館 空夢ノート かもめは本を読まない。 Alles ist im Wandel 和の戯言メモ。続巻は「刀語 第三話 千刀・ツルギ」。(ツルギは金偏に「殺」)千本で一本の刀っていう訳の分からない代物を、西尾維新がどのように描きだすのか。七花の成長ぶりとあわせて楽しみですw「刀語 第一話 絶刀・鉋」の感想はこちら
2007年02月16日
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告白します。一読しただけじゃ、誰が誰やらろくに分かりませんでした。←記憶力がものすごい勢いで減退中。登場人物の他作品とのリンクについて、私の分かる範囲で書いてますので、ご注意ください。「なあ、この曲はちゃんと誰かに届いてるのかよ?」売れないロックバンドが最後のレコーディングで叫んだ声が時空を越えて奇蹟を起こす。デビュー第一短編から最新書き下ろし(150枚!)まで、小気味よい会話と伏線の妙が冴える伊坂ワールドの饗宴。 とりあえず、初期の作品「オーデュボンの祈り」と「ラッシュライフ」を読み返したところ、これでだいたい分かりました。良かった、良かった。実は両方とも単行本を初版で持ってまして、数年前読んだ内容ってここまで覚えてないもんかと愕然としてみたり。以下短編ごとの感想です。【動物園のエンジン】河原崎?伊藤?誰やねん!……としょっぱなから分からなくて落ち込みつつ読みました。河原崎は、「ラッシュライフ」で宗教に嵌っていく河原崎のお父さん。最初は河原崎本人だと思ってたんですが、イメージが違うし、「フィッシュストーリー」の 9ページと「ラッシュライフ」(単行本)の15ページを比較するに、お父さんの方みたいです。ふう、騙されるとこだった。(ちなみに、この感想、書きなおしてます。最初は河原崎本人のつもりで書いてました。←しっかり騙されてるし。)で、伊藤は「オーデュボンの祈り」の主人公。(主人公の名前すら覚えてない自分って……)さて、ストーリーは一種の叙述トリックもので、きれいさっぱり騙されました。現実的な話と思わせつつ、微妙に日常と乖離していく空気感はさすが伊坂作品というところでしょうか。シンリンオオカミに会いに行きたくなりました。【サクリファイス】さすがに黒澤さんのことは忘れてませんでした。伊坂ワールドの最頻出キャラを忘れちゃいけません。名前は出てないものの、友人の佐々岡さんも話にちらっと出てきまして、時系列的には「ラッシュライフ」より後のようです。泥棒に探偵、八面六臂の活躍の黒澤さんですが、今回も淡々と事件に巻き込まれてます。リアリスト黒澤さんにオカルト的なものは似合わないと思ってたんですが、意外にマッチしてました。彼が出てくる話はいつもカラリと乾燥したイメージが付きまといます。これも、そんなイメージ。ところで「地獄への道は綺麗に飾られている」をググったんですが1件もヒットしませんでした。ということは、これも伊坂さんお得意のオリジナル諺なんでしょうか?そして、妙に気に入ってしまった暢気な自称芸術家の柿本さんですが(是非また違う作品に登場してもらいたい)、彼のツチノコ発生説には、ものすごく納得してしまいました。黒澤さんは的外れと思ってるようだけれど、こうゆうバカバカしいごまかしがもとで日本全国ツチノコブームが起こったのかと思うとかなり楽しい。【フィッシュストーリー】これが一番好き。伊坂さんご本人が仰ってるように、「長い時間と場所を漂う物語」。必要以上にウェットになることもなく、伊坂さんってば、この手のを書かせたらホント上手い。ラッシュライフに登場した強盗の老夫婦が出てきてまして、相変わらず人生に充実してるっていうか、物事に動じないところが素敵でしたwストーリー的にはバタフライ効果を思い出しもしましたが、伊坂さんが正義の味方を書くとこうなるのか、としみじみ。【ポテチ】「ラッシュライフ」で密かに気に入ってた今村が主人公の物語。「犬はどこだ」(感想こちら)のハンペーもそうですが、、学校の勉強はとことんできないけれど、物事の真理に独力でたどり着ける頭の良さを持つ、そんなキャラにとことん弱いです。伊坂作品の人気キャラ、黒澤さんも当然のように登場しますが、「オーデュポンの祈り」に出てくる若葉ちゃんが美人さんになって出てきます。これにはビックリ。「重力ピエロ」の和泉さんも出てきて、今も黒澤さんと交流があるんだ~とニヤニヤしてみたり。で、ストーリーですが、最後はうっかり涙ぐんでしまいました。最後は出来すぎの感もありますが、そう分かっちゃいても感動させられるあたり、伊坂さんの小説巧者っぷりにものの見事にやられてます。タイトルが「ポテチ」なところも小憎らしい。伊坂作品はやっぱり面白いです。なんか悔しい(笑)以上、かなり楽しく読ませていただいたものの、一抹の不安が……冒頭にもあるように、記憶力がどんどん減退していってるので、作品のリンクを辿るのがかなり厳しくなってきました。キャラ一覧表とか作った方がいいかもしれません。誰か作ってくれないかなあ…(←他力本願もここに極まれり)【追記】 重力ピエロという素敵伊坂ファンサイト様の「ISAKA WORLD」というコーナーで 伊坂ワールド作品間リンク=人物相関図が網羅されてました! マーベラス!☆(≧▽≦)☆! 伊坂ファンは必見です。感想を読ませていただいた素敵サイトさまはこちらです。→未定の予定~ラビ的非日常生活~ booklines.net 流石奇屋~書評の間 雑読日記 GRASSHOPPER けっこう休みのサラリーマン! まったり読書日記 My Favorite Books うらひろ 本を読む女。改訂版 宙の本棚 ほんだらけ"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!! 苗坊の読書日記
2007年02月11日
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B級映画的な筋立てなのに、読み終わった後に迫ってくるこの思いを何と表現すればいいものか。豊かで美しい村の守り神である、帝国陸軍の九六式カノン砲「キャノン様」。だが、そこにはある秘密があった。村を統べるマカトオバァ、チヨオバァ、樹王ら三人の老人とその三人の孫たち(雄太、博志、美奈)は、村の開発を企む謎の美女や、怪しげなアメリカ人と対決する。戦争の記憶を、奔放なストーリーに乗せて希望に満ちた未来へと託す、マジックリアリズムの傑作。 -ここが俺の村、俺はここで生まれたんだ-やっぱり池上永一作品は面白いです。途中で止まらず一気読みしてしまいました。私の睡眠時間を返せ!戦争を知らない世代だけれど、同じように知らない世代の雄太や博志や美奈や泰典や麗華達が前向きに生きていこうとする姿が愛しいです。扱っているのは暗いテーマなはずなのに、登場人物が無駄に元気よすぎて、暗さを感じません。沖縄が舞台なだけに、池上作品には欠かすことの出来ないオバァもちゃんと出てきます。遠目で眺めてる分にはいいけど身近には絶対いてほしくない、勘弁してください的な破天荒っぷりは「ぼくのキャノン」でも、ちゃんと健在でした。 そして、B級さをかもし出す最たるものは、お色気で男を惑わす寿隊に仕置き人的性格を持つ秘密結社の男衆です。戦隊ものを思い出さずにはいられないノリの良さが楽しすぎ。あ、寿隊に限っては、戦隊もののほかにマジンガーZに出てくるアフロダイA、もしくはグレートマジンガーに出てくるビューナスAを思い出しました。おっぱいがミサイルになるアレです。これもいわゆる女の魅了を武器にしてるわけで、寿隊もやってることは同じことじゃないかな!(笑) 池永さんと世代が近いせいか、この辺、こども心にワクワクした要素を全部詰め込んでくれてありがとう、と声を大にして言いたいです♪ そして、帝国陸軍の961式15センチカノン砲を「キャノン様」と呼ぶ村人達の信仰の純粋さに胸を打たれました。カノン砲が何故キャノン様になったのか。一人の男の真摯な思いが、一つの共同体をここまで強固にするものなのか。こどものころの純粋さ、ひたむきさを無くすことなく年を重ねていったマカトオバァ、チヨオバァ、樹王の生き様に圧倒されるばかりでした。そして、彼らの思いは新たな世代へと受け継がれていく。自分も、何かに対してそこまで熱い思いを持つことができるだろうか。登場人物たちのひたむきさが、ただただ羨ましい、そんな小説でした。あいかわらず、行間からほとばしるエネルギーと奔放な想像力には脱帽です。脱いだ帽子を思わず食べちゃうくらい。確かに、ストーリーの流れにはいろいろ無理やり感はありました。それは否定しません。最後の博志のエピソードなんか、かなり力技です。でも、それが何?そんなこと気にならなくなるくらい読後感は心地よかった。力技な博志のエピソードに気持ちよく泣くことができました。 今まで読んだ池上作品はどれも怒涛の勢いでハッピーエンドへと突き進みます。道具立ての一つ一つはバカバカしいものだらけなのに、なんでこうも感動するかな。 池上作品の、希望に溢れるラストが大好きです。ちょうど文庫にもなったことだし、少しでも興味をもたれたなら、是非読んでみてください。何度も読み返したくなる、そんな小説です。感想を読ませていただいた素敵サイト様→本を読みながら日記をつけるBlog juice78
2007年02月09日
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吾妻さん曰く、本書はやむをえないしがらみがあって引き受けただけの「失踪日記の便乗本」で、漫画(9+4P)だけ立ち読みすればいいらしいですよ?(笑)「とりあえず、逃げてみた」『失踪日記』では描かれることのなかった、生い立ち・漫画家デビューから、失踪・アル中体験…そして、大ブレイクと今日までの周囲の変化。誰も知らなかった吾妻ひでおがここにいる。 大ブレイクした「失踪日記」、小ブレイク(?)した「うつうつひでお日記」に続く失踪三部作の完結編!?※ 吾妻ひでお公式HPどうも、吾妻さんと言うと、竹本泉さんを思い出します。あ、逆だな、これは。竹本さんを見ると吾妻さんを思い出す。絵はかわいいし、作品はギャグテイストが多いけれど、根底にあるのはSF観に基づく(かどうかは謎ですが)合理主義。 私が吾妻さんの作品と始めてであったのは、アニメの「オリンポスのポロン」でして、それがギリシャ神話を始めて読んだときとほぼ同時期だったため、かなり頭の中が混乱した記憶があります。ストーリーはこれっぽっちも覚えてないんですが、こうして記憶に残ってる辺り、好きな作品だったんだろなあ。 その後は、新井素子さんの「…絶句」の表紙イラストで再会を果たします。 で、やっぱり新井素子さんの「ふたりのかつみ」(表紙イラストが吾妻さん)って続きが出ないなあ~と思ってたら、まさかの失踪 をされてたというわけで。 「失踪日記」はしみじみとした衝撃がありました。うん、ほんと、しみじみ。で、今回は漫画ではなく失踪現場再訪ルポ付きのインタビュー形式でした。失踪現場再訪ルポ付きと言うことで、吾妻さんご本人も写真で登場なさってます。吾妻さんのイメージは自画像のちょっと憎めないちびなおじさんだっただけに、初めて写真で拝見すると、微妙に現実に打ちのめされます。ああ、実在の人物だったんだなって(笑)←当たり前だ。 こういっちゃなんですが、ホームレスでも違和感ないくたびれっぷりです。(←すみません) にしても、失踪後の吾妻さんの著作を拝見するに、真に尊敬すべきは奥様じゃないのかと思いますねえ。2回も失踪してるのに、三行半を突きつけず一緒にいるのはすごいです。しかも、その後はアルコール中毒でボロボロ→強制入院へ一直線だし。 任意じゃない強制ってよっぽどですからね。医療保護入院でもなく、いわゆる措置入院ですから。措置ってのはあれです。公権力による 強権発動 です。人権問題に絡みかねない行為(本人の意思を無視した強制入院)をあえてしなければならないってところに、措置入院の怖さがあるように思います。 そういえば、一度、アルコール中毒の治療も行う病院に行ったことがありますが、目的地が4階だと聞いてたので行こうとしても階段が見当たらない。じゃあ、エレベーターだと思ってもボタンがない、で途方にくれたことがあります。どうも、患者さんが脱走しないよう、看護師さん達が持つ鍵じゃないとエレベーターが動かない設計にしてあるようでして、右往左往してたら、優しそうな看護師さんに声をかけていただいて、無事目的地にたどり着きました。勿論、真摯に治療に勤しんでる方も大勢いらっしゃるんでしょうが、治療しようという意思、そして治療自体(下手したら人生そのもの)を諦めた、倦怠感の交じり合ったようなあの独特の空気感は忘れられません。 失踪してホームレスになったあげく、措置という形態でアルコール病棟に入院した過去を持ちながらも、それを第三者的視点で冷静にギャグテイストで作品を上梓し、なおかつかつて失踪した現場を メイドさんと一緒に 訪れる。吾妻さん、凄すぎます!にしても、ギャグ漫画家ってのは、己の人生すり減らして漫画を書かれてるんですね。空知さんも、「銀ちゃんねる!」で「1話読み切りは毎回しんどいです。脳みそから血が出る んじゃないのっていうくらい、しんどい。」と書いてらっしゃいますが、確かに、1話完結のギャグものは作者の消耗が激しいんだろなあ。吾妻さんの著作を読むと、世の中の全てのギャグ漫画家がいつかは失踪するんじゃないかと戦々恐々となります。実態はどうかはわかりませんが、個人的な印象で言えば、うすたさんあたりは、いい具合にガス抜きしながら作品を発表されてる気がしますが、空知さんあたりは、絞れるだけ搾り取って、あとはポイと鼻をかんだちり紙のごとく捨てられそうな予感がしないでもない……(笑)←笑い事じゃない。ともかく、これからも、前向きなんだか後ろ向きなんだか分からない吾妻さんを、影からこっそり応援しようと思った次第です(笑)最後に、ある一説を引用させていただきますm(_ _)m「 (漫画化協会の)入会方法のパンフレットを見たら、実際に書いてあるんだ。失踪したら除名って。(略)失踪するような会員こそ、協会がかばってやれよ。 」全くです。 漫画って、夢を売る商売なのに、世の中って世知辛い…(-_-|||)
2007年02月03日
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時代活劇って、どうしてこうも胸を躍らせてしまうんでしょう? メディアミックス化を驀進して連続DVD刊行でもしたら、かなりブレイクしそうな予感w 「虚刀流はよ、刀を使わないからこそ強いんだ」伝説の刀鍛冶、四季崎記紀(しきざききき)がその人生を賭けて鍛えた12本の“刀”を求め、無刀の剣士・鑢七花(やすりしちか)と美貌の奇策士・とがめが征く!刀語、第1話の対戦相手は真庭忍軍十二頭領が1人、真庭蝙蝠!衝撃の12ヵ月連続刊行企画“大河ノベル”第1弾!「 虚刀流七代目当主、鑢七花 -推して参る- 」時代ものと言っても、登場人物達の頭の中身は現代人のそれと変わりありません。っていうか、時代を数百年先取ってます。 物語の時代背景と登場人物の時代観が違うのは、京極道シリーズがおなじみですが、これはそれを思いっきりラノベ風にしてみました、っていう感じ? 戯言シリーズを途中で放り投げてる身としては(←単に買いそびれてるだけです。で、登場人物をあらかた忘れてしまってるので、もはや続きが読めない(-_-|||))、今度こそシリーズ完読してやるぜ!という意気込みを持って読み進めたわけですが。 さすが西尾維新、期待通りに中身が薄い!(←盛大な褒め言葉) これこれこれ!これを待ってたんですよ。 込み入った時代背景やら人間関係やらの説明を極力減らし、かと言って、登場人物達の人物設定は読者のツボを刺激しまくる描写を惜しげもなく散りばめ、活劇を魅せることのみに最大限の力を奮う。 この潔さがたまりません。 西尾維新のファン層が広いのがよく分かる。デビュー作「クビキリサイクル」に顕著な、過剰なまでのリフレインも也をひそめて、随分読みやすくなってました。 講談調で始まり、テンポの良い文体の中に、西尾さん独特の揶揄の塊のような一説がふとした瞬間に紛れ込む。悔しいけど面白い!にしても、この突拍子もない設定はバカバカしいとの紙一重でした。ちなみに、私は荒唐無稽であればあるほどツボに嵌るので、刀を持たない(刀の使い方すら知らない)剣士というのはかなりツボでした。 そして、七花ととがめは12本の変体刀を求めて旅に出ます。日本刀の常識を、鼻で咬んでゴミ箱にポイ捨てするような設定がまた素敵でした。 1本目は、頑丈極まりない、絶刀、鉋。 そして、残りの11本は名前だけ判明してます。12本の刀の秘密も最後に触れられました。 これはもう、難しいことは考えずにワクワクしながら読むしかありません。 他に七花ととがめのラブ模様も盛大に気になるので(笑)、西尾さんのお得意のツンデレ描写がどこまで炸裂するか楽しみです♪ 感想を読ませていただいた素敵サイトさま→ラノベなPSP かもめは本を読まない。 和の戯言メモ。 空夢ノート いつまで続くか黄金の意思!! ラノベ365日 naoの本棚 ある休日のティータイム Alles ist im Wandel続刊 【刀語(第2話)】-斬刀・鈍-
2007年02月02日
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1月に感想を書いた小説その他をまとめました。 ウイークデーは忙しくて、めっきり小説感想を書けなくなりました。今はもっぱら週末に2冊を目標にアップしてます。感想書きたいのが3冊たまってるんですけど、やっぱ週末まで無理っぽい……で、でも!これでも本風呂がー、間違えた。本ブロガーの端くれとして、がんばります!【小説】「龍の館の秘密」(谷原秋桜子)「雪の断章」(佐々木丸美)「墜落」(東直己)「あなたに不利な証拠として」(ローリー・リン・ドラモンド)「黄金の灰」(柳広司)「ηなのに夢のよう」(森博嗣)「密室殺人ゲーム王手飛車取り」(歌野晶午) 「ROMES 06」(五條瑛) 8冊8作品でした。佐々木丸美さんの復刊がものすごく嬉しい。西尾維新さんも1月から連続刊行のシリーズ(「刀語」)が始まってますし、今年は毎月お楽しみがあるのが嬉しいですwそして、何より収穫だったのが、ハヤカワポケミス初体験の 「あなたに不利な証拠として」!必読です。面白すぎる!【漫画】 毎週月曜日は相変わらず週刊少年ジャンプの感想でテンションが高いです。それ以外のコミックス感想はこれだけ。 「みえるひと」7巻(岩代俊明) 「ダイヤのA」1巻、2巻3巻(寺嶋裕二)「家庭教師ヒットマンREBORN!」13巻(天野明)「おおきく振りかぶって」7巻(ひぐちアサ)どれも、かーなーり、お勧めです♪特に「みえるひと」の最終巻は感慨深かった!購入したものの、感想が書けてない本はやっぱりあります。う~ん、時間がない。【アニメ】「銀魂」「D.Gray-man」「家庭教師ヒットマンREBORN!」いやもう、「銀魂」アニメが楽しくて仕方ありません。おかげさまで、どんどんどんどん感想が長くなって始末に終えなくなってるし(笑) 月曜日(ジャンプ発売日)と水曜日(BSジャパンの銀魂放映日)は魔の曜日。今クールは、ドラマ感想を1本も書いてません。書かないと、ほんっとに楽ですね!アクセスは落ちるけれども!(←ぶっちゃけ、週あたり2000くらい落ちてます。)のだめのドラマをやってた頃は、月曜日はジャンプ感想にのだめドラマ感想にコメントレスに、まさしく阿鼻叫喚の地獄絵図だったことを鑑みれば、今は少し落ち着いてきました。で、その分、某漫画の記事が増殖してますが……(笑)
2007年01月31日
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関空がモデル。装丁は素晴らしく、期待感を煽りまくります。「プラチナ・ビーズ」で涙した身としては、どんな丁々発止のやりとりや、泣かせるエピソードが出てくるかとワクワクしながら読んだんですが…………とにかくビックリだったのが、最後に犯人が分かってもそれが誰なのやら思い出せなかったことだったりします。○○って誰やねん、みたいな。 世界最先端の施設警備システムROMESに守られた海の要塞、西日本国際空港。だが、ROMESの全貌を知る者は、西空警備チームでもただひとりだけ。成嶋優弥。ROMESの最高運用責任者。鋭い知性と飄々とした言動で他人をケムに巻く、常識はずれの天才が信じるのは、愛犬ハルと、自らが運用するシステムのみ。ある日、西空に複数のテロの予告状が届く。そしてROMESの警告装置が作動した!?成嶋とテロリストたちの、知と情を賭けた白熱の攻防が始まる。五條さんは嫌いな作家さんじゃなく、リアルでシビアな組織世界に「情」を持ち込む作風は好感が持てるんですが、いかんせん浪花節すぎました。というわけで、以下、かなり辛口です。 タイトルにもなっている世界最先端の警備システムですが、その凄さはとんと分からずじまい。なんかひたすら砂村くんがパシらされてるだけという印象でした。折角の設定が勿体無い……おまけに、犯人側にちっとも共感がもてないのは痛い。復讐のためには、子どもの命を犠牲にするのもいとわない、犯人像として、それはそれでかまわないんですが、一方の犯人の動機がダブルスタンダードとしか思えません。そんな犯人に共感できるかって言うと全く出来ない。これはずばり、キャラクタ設定のミスでしょう。もっと利己的で後悔とは無縁。自分の大切な人意外はどうなってもいい、そんな人間にすりゃよかったのに、やたらめったら浪花節なノリを持ってくるのでとたんにチープに。 浪花節に徹するなら、もっと動機にリアリティを持たせて欲しい。そうじゃないと、シンパシーを得ることは出来ません。 冒頭にも書いてるとおり、最後に(上に書いてるのとは別の)犯人が誰か判明するんですが、ホントに誰のことか分かりませんでした。え?そんな苗字の人いた?( ̄□ ̄;)!!慌てて読み直したものの、すぐには分からず。余計であからさまなミスリードにページを費やす前に、犯人像をもっと掘り下げて欲しかったです。う~ん、五條さんってこんな小説書く人だっけなあ…… ただまあ、五條作品のファンにとっては、砂村君のヘタレっぷりは待ってました!という感じです。やっぱり(色)男だらけの五條作品には、真面目で貧乏くじをひかされまくりなのが1人は出てこないとしまりません。なんたって、砂村君が、ハル(元麻薬犬)以上にワンコでした。成嶋に怒られてしゅんとしてるとこは、まさしくご主人様を慕うワンコそのもの。っていうか、高校生見たく初々しいぞ!二十歳過ぎた男がそれでいいのか!(笑)というわけで、五條作品を読んだことない方にはあまりお勧めできません。その場合は「プラチナ・ビーズ」→「スリー・アゲーツ」と読んでいくことををお勧めします。(←必読)五條作品の人間関係が大好きな方にとっては、ストーリーに難はあれど、楽しめるんじゃないでしょうか。
2007年01月28日
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わーい♪バカミスだ、バカミスだーーー!☆(≧▽≦)☆!<頭狂人><044APD><aXe><ザンギャ君><伴道全教授>。奇妙なニックネームを持つ5人がインターネット上で殺人推理ゲームの出題をしあっている。密室、アリバイ崩し、ダイイングメッセージ、犯人当てなどなど。ただし、ここで語られる殺人はすべて、現実に発生していた。出題者の手で実行ずみなのである……。茫然自失のラストまでページをめくる手がとまらない、歌野本格の粋を心して噛み締めよ!「おまえ、マジおかしい。目がヤバい。イッてる。」主人公の頭狂人は「ハサミ男」(←ネタバレになるかもしれないので反転)の主人公を彷彿とさせます。特に、虚無的な性格が似てる気がしました。 頭狂人をはじめとして、推理ゲームをするためだけに、実際に殺人を犯す探偵達。突拍子もないストーリーですが、今の御時世、警察に挑戦状を叩き付けたいって理由だけで猟奇殺人を犯すバカ者が出てきても、ビックリはしてもどっかで納得しちゃうのかなあ、それってやだなあ……と思いながら読んでました。そんな現代人の微妙な心理(笑)を刺激する問題作です。 探偵達の正体は謎のままストーリーは進んでいきますが、その正体は、一人は警察関係者で、一人は女性……という予想はしてたものの、については、自信を持って八田理の長男(小学生)だと思ってました。う~ん、結構いい予想だと思ったんですが、ものの見事に欺かれた! 作中犯される犯罪の一部は、そこまで警察を出し抜けるもんなのかな、と思わないでもないですが(特に最後の頭狂人の殺人)、冒頭のミッシングリンクはものすごくバカバカしくて、「殺人」という行為そのものを脇に置くと、推理パズルとしては言うことなしです。舞城ミステリに出てきてもおかしくない荒唐無稽っぷりが素晴らしい! 最後は、真の探偵(=殺人を犯さない探偵)が出てきて縦横無尽に大鉈を振るったり……ということもなく、予想外の展開が待ってました。全てを放り投げたかのような終わり方には、作品解説にもあるように、ただただ茫然自失。この終わり方に、快哉を叫んで膝を打つか、罵りながら本を投げつけるかは、正直微妙。(この辺に、バカミスを許せるか許せないかの違いが出てくるのかもしれません。) 個人的には、本を投げつけはしませんが、最初から最後まで集団でパズルを突きまわすエンドレスな終わり方でも良かったなあ……。それにしても、さすが歌野さん、どんなネタでもいっぱしの小説に仕立て上げる小説巧者っぷりは健在です。推理ゲームという趣向上、理屈っぽくなりがちなところを、リーダヴィリティの高さでぐいぐいと力技で作品世界に引きずり込んでくれます。かなり簡単に意味もなく人が殺されていくので、「見ろ、人がゴミのようだ」と高笑いする台詞に憤りを覚える人には向いてないかも。エンタメ作品として割り切って読める人にはお勧めです。 ところで、ミステリ好きにはたまらない小ネタが山程しこんでありました。 特にお気に入りは「リアル推理ごっこ」と「生首に聞いてみる?」。(元ネタは「リアル鬼ごっこ」と「生首に聞いてみろ」)他にもいろいろありそうなので、小ネタ好きさんはどうぞ思う存分拾い捲ってください♪自分、拾いきれてないネタも山程あるんだろなあ。誰かデータベースとか作ってくれないかな(←無理言うな) 感想を読ませていただいた素敵サイトさま→読書日記★PNU屋★ 月の歌 ミステリっぽい本とプログレっぽい音楽 読書狂のまったり日記 ミステリあれやこれや だって、ミステリが好きなんですもん♪まみむメモ 仏恥義理 海砂のつらつら日記
2007年01月26日
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これ、もうミステリじゃないよ。森ミステリィという看板は下ろして、森ファンタジィってのはどうでしょう?事件の核心には、あの、天才の姿があるのか!?絶対に見逃せない、Gシリーズの転換点(ターニングポイント)!!地上12メートルの松の枝に首吊り死体が!遺されていたのは「η(イータ)なのに夢のよう」と書かれたメッセージ。不可思議な場所での「η」の首吊り自殺が相次ぐなか、西之園萌絵は、両親を失った10年まえの飛行機事故の原因を知らされる。「φ(ファイ)」「θ(シータ)」「τ(タウ)」「ε(イプシロン)」「λ(ラムダ)」と続いてきた一連の事件と天才・真賀田四季との関連は証明されるのか?Gシリーズの転換点、森ミステリィ最高潮!-ヘビに噛まれて死んだら、面白い。女王に相応しくない?-とりあえず、一番言いたいことは、Gシリーズの主人公って誰さ!( ̄□ ̄;)!!ものの見事にさっぱり分からなくなりました。犀川先生?萌絵?それとも四季?(←既にC大トリオじゃないと思ってるし。海月くんなんか今回一言でも喋ったか?……あ、一応喋ってはいるのか。)ミステリと言えば、謎があって、解決があるもの(解決がなくても解決に至る道筋は示されているもの)と解釈してたんですが、ものの見事に謎は謎のまま放り出されてました。不自然な状況で起きる事件なのか事故なのか、いつものように死体の傍には「η(いーた)なのに夢のよう」と書かれたメッセージ。この謎が、きれいに謎のまま。自殺だったとしても、どうやって地上12メートルの松の枝で自殺できたのか、犀川先生を始め、誰も解決しようなんて気はこれっぽっちもございません。そもそも、森さん自身もトリックのトの字も思いついてないんじゃなかろうか(笑)←笑いごと?別に、それがダメってことじゃないんです。そうゆう作風もありだとは思う。紅子さんや、なんたって「四季 冬」に出てきた久山先生やら、それより何より金子くんまで出てきて、シリーズ通して読んでる読者に対するサービスはこれでもかってくらいてんこ盛り。萌絵の進路も決まった上に、例の飛行機事故の真相まで明らかに!(ちなみに、飛行機事故の真相ですが、これは、四季をラスボスにしてから後付けで決めたことなのか、当初から決めてたことなのか、ちょっと興味あります。デビューしたての頃からここまで考えてたんだとしたら、素直にすごい……けど、やっぱ後付けなんだろなあ。森さんってば、そこまで四季が好きなのか!)最後のエピソードなんて、シリーズ最初から読んでる身としては、時の流れをしみじみと感じてしまいました。だけど、これ、ミステリじゃないよね?ギリシャ文字に関わる事件自体が、解かれるべき謎として描かれなくなったら、ミステリとするには厳しいものがあるんじゃなかろうか。S&MシリーズやVシリーズだけじゃなく、ここまであからさまに「女王の百年密室」と絡み合ってくると、ミステリという1ジャンルに収まらなくなってきたように思えます。強いて言うなら、むしろ、ファンタジィ。ここまで山と積み上げてきた伏線がGシリーズで一気に解きほぐされるんだとしたら、今後、かなり読み応えがあるシリーズになっていくんだろなあ。シリーズ未読の読者はおいてけぼりなとこは正直どうよ?等々、言いたいことは多々あれど、そんな期待を抱かせる内容ではありました。ところで、今回の犀川先生には詐欺師の風格が漂ってました。だって、他人の家のベランダで自殺したことに対して、何を言うかと思いきや「悪事が行われてない」ですよ?萌絵の「先生のおっしゃりたいことが、よくわかりません」とか「意味が分かりません」っていう台詞に激しく同意してしまいました。そんな感じで言ってることは訳分からないのに、萌絵と一緒に思わず納得しそうになるあたりが詐欺師(笑)あと気になったのが、金子くん。私には金子くんに死兆星が見えたような気がしました。………き、気のせいですよね?次は、Gシリーズじゃないようです。ええええ?ここまで伏線張り巡らしといておあずけ?それってヘビの生殺し?( ̄□ ̄;)!!というわけで、次回作は「イナイ×イナイ」。←短編集かしらん?感想を読ませていただいた素敵サイトさま→Alles ist im Wandel まじょ。のミステリブロ愚 + ChiekoaLibrary + ながし読み日誌きつねの本読み ミステリ読みの戯言 のぼねこミステリ館 猫は勘定にいれません まあぼの交差点 べきゅの長期投資、IPO戦績+趣味なぞを綴るブログ 日々のあぶく?
2007年01月20日
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シュリーマンと言えば、幼い頃の夢を決して諦めることなく、絶え間ない情熱と努力で夢をかなえた人物。そんな、イメージしかありませんでした。天才的な商売の手腕とか、抜群の記憶力とか、世界中を旅して回ったこととか(日本にも来てたんですね!)、数ヶ国語を自由に操ったりとか……不勉強ながらそのあたりのことは全然知りませんでした。そんなシュリーマンの魅力的なエピソードをちりばめた本格ミステリです。1873年、オスマン・トルコの辺境、ヒッサルリクの丘。シュリーマンは、伝説の都市トロイアがこの地に実在したことを証明する、莫大な黄金を発見した。しかし、それをきっかけに、シュリーマン夫妻の周囲で不可解な事件が続発する―。混沌と緊迫の世界で繰り広げられる推理合戦の果てに、シュリーマンがくみ取った驚愕の論理とは?鬼才のデビューを飾った傑作本格ミステリ。 柳さんの作品の特徴といえば、実在の歴史上人物を配してる点ですが、私の中では、柄刀一作品の印象と重なります。どちらも、一級のエンタメ作品でありながら、丹精で硬質な本格ミステリ。 シュリーマン、ダーウィン、オッペンハイマー、夏目漱石等など、誰もが知ってる歴史上の人物を主人公にすることで掴みはOK!キワモノな展開になるかと思いきや(鯨作品みたいな・笑)、蓋を開ければ密室などのミステリ好きにはたまらないがジェットの数々。 ミステリ好きにはたまりませんw。「黄金の灰」を読んで、特に印象的だったのが、次の一説。「独創などというものが、神以外の場所には、決して存在しないということを。およそ誰ぞが思いついたことは、別のものによって既に思いつかれているという事実を」神ならぬ人間にできることは、"誰もが同じことを思いつく"という陳腐に耐えることだけじゃ。」この一説が、ストーリーに深く関わってくるんですが、なるほど、そう来たか!と感心しきりです。屁理屈というか思い込みによる言いがかりと言ってしまえばそれまでですが、そこにキリスト教的世界観が加わると、一転説得力のあるものに早変わり。そして、伝説の都市、トロイアの遺跡で発見された「プリアモスの黄金」を盗んだ動機にも意表をつかれした。まさか、ネタバレ反転→ 歴史から消し去りたいからって理由で盗むとは!逆転の発想が見事でした。伏線の回収の仕方もきれいで、これがデビュー作とは思えない完成度の高さ。血沸き肉踊る!とはいかないまでも、ミステリとしてはおさえたい作家さん、そして作品です。最近、ミステリだかサスペンスだかホラーだか判然としないジャンルクロスオーバーな作品が増えてる今、この手の正当派ミステリは貴重かもしれません。 ところで、小学生のころ、伝記を読むのが好きでした。ナイチンゲールとかキュリー夫人とか野口英世とか。苦労して成功を掴む物語は読んでで心地よかった。まあ、石川啄木に限ってはその身勝手さに子ども心に腹立ってましたが。ただ、腹立ちながらも石川啄木の書く詩は心に響くのでタチ悪いんですけどね。やっぱ詩人は性格が悪いほうが、いい詩がかけるんでしょうか?(ぇーそれはともかく、柳さんの一連の作品を読むと、わくわくしながら伝記を読んでた小学生当時の自分を思い出します。 やっぱり、歴史に名を残す人たちの人生は、良きにしろ悪きにしろ心に残りますね♪ちなみに、アレクサンダー大王のような英雄でも、起きぬけに小指を箪笥の角にぶつけて悶絶したりしたんだろうな、なんてことを想像するのが大好きなので、シュリーマンのトロイ遺跡発掘の影にはこんなことが!なんて煽られると、「ええ?何々?何があったの?遺跡発掘の時に転んで頭でも打ったりとか?!☆(≧▽≦)☆!」と楽しくなってしまいます。だから、柳さんの作品をついつい手にとっちゃうんでしょねぇ。これって、確実に、柳さんの思う壺なんじゃ……
2007年01月19日
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青山七恵さんが第136回芥川賞受賞だそうです。へえ~……(←知らないので、あまり感慨がない)メッタ斬りコンビの予想をみると、あまり評価は高くないようですね。っていうか、ぼろくそだよ→【第136回芥川賞候補作を斬る!」(青山さん部分)とりあえず、大森さんの「芥川賞なら発表媒体、直木賞なら版元だけ見ればOK。」(芥川賞は「文學界」発表作品。直木賞は、文藝春秋刊行作品)っていうのは、芥川賞に関してははずれってことか。ってことは、北村薫さんの直木賞受賞もあり?(大森さんの評価はぼろくそですが)直木賞は7時から8時の間に発表らしいですね!どうなることやら……【追記】直木賞、受賞なしでした。北村さん、ダメだったか!( ̄□ ̄;)!!(まあ、北村さんレベルなら、今更とっても……なのかもしれないですが。いや、そうでもないかな。宮部さんも、あんだけ売れてたのに直木賞とったら更に破壊的なまでに売れたらしいし)
2007年01月16日
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これってミステリなんでしょうか。ミステリとするには、謎が一つもありません。警察官を主人公に置きながら、事件そのものよりそれに携わる人間心理をリアルに、そして緻密に描き出す。ハヤカワのポケミスから出てるからと言って、ミステリと括ってしまうには惜しい。ジャンル訳が無意味に思える、そんな奥の深さと、エンタメ作品としてのリーダヴィリティを兼ね備えた傑作でした。タイトルはミランダ警告の一節から。警官を志望する若きキャシーがマージョリーと出会ったとき、彼女の胸にはステーキナイフが深々と突き刺さっていた。何者かが彼女を刺し、レイプしたのだ。怯え、傷ついた彼女を慰めるキャシー。だが捜査を担当したロビロ刑事は、事件を彼女の自作自演と断じる。マージョリーに友情めいた気持ちを抱いていたキャシーだったが、どうすることも出来なかった。それから六年後、キャシーとマージョリー、そしてロビロの運命が再び交わるまでは…MWA賞最優秀短篇賞受賞の「傷痕」をはじめ、男性社会の警察機構で生きる女性たちを描く十篇を収録。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀短篇賞受賞。 -人は自らの弱さを抱きしめるとき、強くなれる-実はミステリが好きだといいながら、ポケミスを手に取ったのは初めてです。宝島社の「このミス!」の1位も納得。っていうか1位になってなきゃ、きっと手に取らなかったです。このミス!ありがとう! マッチョで頑固でわからずや、そして権威主義を振りかざす、ただの役立たず。私が読む海外ミステリが偏ってるのかもしれませんが、これが私にとってのミステリ中の警察官のイメージです。それは、探偵である主人公が、犯人の次に対決せざるを得ない存在。でも、そんな認識もいい加減改めねば。この作品を読んで、警察官も、悩んだり笑ったり苦しんだり憤ったりする一人の人間だと、言う当たり前のことを思い出しました。これは、ルイジアナ州バトンルージュ市警に勤める5人の女性達の物語。一人の人間として生きる前に、己が警察官であるということ。警察官である前に、1人の人間であるということ。卵が先か、鶏が先か。彼女たちの苦悩は果てしない。 「愛する者たちに囲まれて、穏やかに眠ったまま死んでいった老女だろうと、流れ弾に当たって死んだ少年だろうと、クスリのやりすぎで死んだ麻薬中毒者だろうと、死が醜いことに変わりはない。人はどんな性格や体質でも遅かれ早かれ死によって、それまでいつも一緒だった命-わたしたちをわたしたちたらしめているもの- から切り離されてしまう。」常に死に遭遇する彼女達の、さりげない言葉の一つ一つが、心にズシリと響きました。そして、最期に登場するサラ。誤って罪を犯してしまった彼女のストーリーは、ただただ圧巻。読み終わったその時、彼女のために祈らずにはいられませんでした。 少しでも平穏な時が訪れますように。 彼女の苦悩に想いに、心からの敬意を表して。ところで、本書ですが、上の画像とは違う新装丁で再刊行されてます。あのダサダサな装丁が、ポケミスを手に取らない理由の一つだっただけに、オールカラーな上、やけにスタイリッシュでビックリ。 と思ったものの、読み終わってカバー外してみたら、いつものダッサダサなポケミスでした(笑) やっぱオールカラーのカバーはこのミス!1位と文春傑作ミステリベスト10をとったせいなんでしょね。この勢いで売りまくれ!と。 その判断はナイスです(きっぱり)装丁を変えるなり、文庫化するなりなんなりして、いろんな人に読んで欲しい。そして、ミステリ好きさんだけではなく、小説を好きな全ての人に、読んで欲しい。そう思える作品でした。 感想を読ませていただいた素敵サイトさまはこちら→みけねこ日記 ~映画と、本と、美味しいものと♪ 本にとり憑く日々 juice78 プリオシン海岸 今日とはちがう明日のために 本読め 東雲(しののめ) 読書の日々 イドハタノホンダナ 固ゆで卵で行こう! ヨコシマなシマウマ 地下室の好作用 *モナミ* SOMETHING ELSE
2007年01月13日
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面白い。もう、この一言だけでいいんじゃないかな。 遅ればせながら畝原シリーズ最新作「墜落」の感想です。(←べた褒めw) 人は、どこまで落ちるのだろうか-。自らを傷つけるために、罪を重ねる少女。その行動は、さらなる悪意を呼ぶのか。私立探偵・畝原シリーズ。書き下ろし長篇ハードボイルド。東作品好きだということはこのブログでも散々書き散らかしていますが、しつこく叫ばせてください。 東作品、大好きだ! シリーズ単体で読むことの出来る……というわけにはいかなくなってますので、未読の方は「待っていた女」からずずずいっとお読みになって、ずぶずぶと東流ハードボイルドの世界に浸るのが吉かと思われます。断言しましょう。畝原シリーズ、どれを読んでも外れはありません。 東さんが執筆されるその時々の時勢に従って描かれる犯人像。どの作品にも東さんの悪に対する「怒り」を感じることができます。今までのシリーズでは新興宗教絡みだったり、ホームレス絡みだったり、クレーマー絡みだったりしましたが、この「墜落」では、前作「熾火」に引き続き、キーパーソンは少女。 作品ごとに、東さんが、恐ろしいと思う犯人像の変遷のようなものを見ることができますが、きっと、東さんにとって今一番理解できない化け物は、その場のノリで犯罪に手を染める「今時の若者」達なんでしょう。ジェネレーションギャップという一言で安易に片付けたくはないけれど、不可解で別世界の住人としか思えない堕ちていく少女、心の底から愛しいと思う少女。そんな少女達を核に物語りは進みます。畝原さんの葛藤や愛情はそのままリアルにずしんと胸に響く。東さんはリアルな会話描写が魅力ではありますが、それと同時にやるせない事件を描き出すのがとことん上手い。 複雑怪奇なトリック、アクロバティックな密室は登場しません。そこにあるのは、明日の朝刊で目にするかもしれない事件。事件の背景が道警や官庁といった団体からクレーマーや1人の少女といった個人へ、作品を追うごとにシフトし、事件自体もそれに比例して小さくなっていきます。けれど、事件の大小と、事件が当事者に与える影響は、比例することはありません。だから、この作品の、無自覚に、そして無思慮に罪を重ねる少女を怖いと思う。理解できないもどかしさを、そこに感じてしまう。 叙述トリックやサイコな犯人が跳梁跋扈するミステリも好きですが、東さんの描く世界はまた格別です。 ジャンルはハードボイルドですが、主人公の畝原さんの職業は探偵な上に、作中の事件についても、伏線がきれいに収束する様は、ミステリ好きの方にもお勧めです。決して派手ではないけれど、じっくり読むことの出来るいぶし銀の作品と言えるんじゃないでしょうか。 ところで、シリーズも5作目。東作品は、残酷なほどに登場人物が年を重ねます。(この辺り、私の大好きなミステリ、ヴィクシリーズと一緒です。) 実は、この畝原シリーズ。私の中ではキャラクター小説の赴きも冠してきてまして、山岸所長や大田さんの今にしんみりしつつも、真由の意外な活躍や、貴と冴香の恋の行方(笑)を読めるのが楽しくて仕方ありません。 特に、冴香ちゃんが一途に貴を想ってる様は微笑ましいのなんのって、これが応援せずにいられようか! しかも、今作では畝原さんと明美さんがとうとう結婚までしてしまい、真由と冴香以外にもう一人娘が増えてますからさあ大変(笑) 今後、彼女がどう変化していくのか、楽しみでしかたありません。東さん、やることが小憎らしいったら! それにしても、主人公の畝原さんは50過ぎて人間が出来てきたなあ、としみじみ。やっぱ(一応)2馬力になって家計に余裕もでき、なおかつ家庭が幸せだからなんでしょうか?でもね、油断してたら、いきなり貴と冴香が駆け落ちとかしてるかもしれないぞ!(笑)感想を読ませていただいた素敵サイト様→19番の独り言
2007年01月12日
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