勿忘草~戯曲集~

勿忘草~戯曲集~

爆破1時間前~30分前




 TVニュースの声が聞こえる


キャスター もうすぐ東部デパート爆破事件の判決が出る模様です。被告の香西孝明には、東部デパート爆破事件の他にも、警視庁前での乗用車爆破の関与も取りだたされております・・・・・


 ざわついた裁判所内

 判事が所内に入ってくると、所内は静寂に包まれる

 判事が次席官となにやら小声で会話をする

 主席判事が主文を読み上げる


判事 主文。被告人、香西孝明を死刑に処する


 主文が言い終わると、判決理由を待たずに所内をざわめきが包む

 被告席で黙って、判決を聞いていた男
 香西孝明(28) 以降:孝明
 静かに上を見上げる


 TVニュースの声が聞こえる


キャスター 死刑、死刑です!求刑通り死刑判決です!!



第2場 東部デパート レストラン 11:30AM

 窓際の席で1人座っている女
 小林由紀(24) 以降:由紀
 水の入ったグラスを手で弄んでいる

 由紀が時間を気にして腕時計に視線を向けたのとほぼ同じくしてレストランに入ってくる男
 久鍋文哉(26) 以降:文哉
 きょろきょろと周りを見渡し、由紀の後ろ姿を見つけ近づく
 文哉 由紀の肩をポンと叩く
 由紀 驚いて振り返るが、すぐに笑顔になる


文哉   お待たせ!
由紀   時間通りよ。


 文哉 席に座りながら


文哉   いつきたの?
由紀   ついさっき。
文哉   そう?
由紀   ええ。


 ウェイトレスがやってきて水とメニューを置く


ウェイトレス   ご注文がおきまりになりましたら、お呼び下さい。


 文哉 うなずく
 ウェイトレス テーブルから離れる


文哉   朝ご飯は食べた?
由紀   うん、軽くね。
文哉   そう・・・俺、結構お腹空いてるんだけど・・・・食べる?
由紀   ん~食べて。私はいいから。
文哉   そう?
由紀   うん。


 文哉 メニューを見始める


文哉   日曜でもこの時間だと結構空いてるんだね。
由紀   そうね。でももうすぐ混み始めるんじゃない?もうすぐお昼だし。
文哉   そっか・・・あ、これにしよう。由紀は?何か飲む?
由紀   そうね。
文哉   決まってる?


 由紀 少しメニューに目を落とし


由紀   ええ、いいわ。


 文哉 軽く右手を挙げて


文哉   すいませーん!


 ウェイトレス すぐに気づきテーブルにやってくる


ウェイトレス   お決まりですか?
文哉   えっと・・・BLTサンドとコーヒー。ホットで。あと・・・


 文哉 由紀の方をちらっと見る


由紀   私は、アイスミルクティ。以上で。
ウェイトレス   かしこまりました。それでは、ご注文繰り返します。BLTサンド、ホットコーヒー、アイスミルクティ。以上で宜しいですか?
文哉   はい。
ウェイトレス   ありがとうございます。


 ウェイトレス メニューを受け取り、テーブルを離れる


文哉   で、この後、どうする?
由紀   そうねえ・・・。
文哉   なんか考えてるコトあるの?
由紀   ん~・・・まあ・・・。
文哉   何?
由紀   ん~・・・文哉は何かあるの?
文哉   いや、実は・・・観たい映画があるんだけど・・・。
由紀   何?邦画?洋画?
文哉   邦画。
由紀   珍しいね、邦画が観たいなんて。
文哉   最近の邦画は凄いんだぞ!配給会社だけじゃなくてテレビ局や新聞社、出版社がタッグを組んで宣伝に力入れる分、制作費も上がってきてるし・・・。
由紀   で?
文哉   ん?
由紀   何?
文哉   ん?
由紀   何が観たいの?
文哉   んっと・・・


 文哉 伺うように由紀を見る


由紀   嫌だ。
文哉   まだ何も言ってないじゃん。
由紀   怖いのでしょ。私は観ないよ。
文哉   なんで~いいじゃん。
由紀   嫌よ。ただでさえ怖いの嫌だって言ってるのに、最近の邦画のホラーって異様に怖いじゃん。
文哉   作り物だって、結局。
由紀   そう思えないから嫌なの。
文哉   行こうよ~。
由紀   1人で行けばいいじゃん。
文哉   1人は嫌だよ。
由紀   何で?
文哉   怖いじゃん。
由紀   文哉も怖いんじゃん!だったら観るな!
文哉   怖いから面白いんだろ!
由紀   なんで、わざわざお金払って怖い思いしなくちゃならないの?
文哉   由紀だってジェットコースター空きじゃん。
由紀   ジェットコースターは怖くないよ。
文哉   怖いよ。
由紀   怖くない。それにジェットコースターは私1人で乗ってるでしょ?だからあんたも1人で観なさい。
文哉   くそっ・・・。


 文哉 舌打ちをする


文哉   じゃあ、由紀は何がしたいの?
由紀   したいコトって言うか・・・聞きたいコトがあってね。
文哉   聞きたいこと?
由紀   うん・・・。
文哉   俺に?
由紀   そう。
文哉   本当に俺に?
由紀   そう。
文哉   何で俺に?由紀の方が確実に俺より色々知ってるだろ?
由紀   それでも、文哉の方が知ってるコトなの。・・・私なんかよりね。
文哉   なんだ、それ。・・・クイズ?
由紀   クイズじゃないよ。
文哉   何だ?・・・それ・・・。


 文哉 考え込む

 文哉の後ろの方の席に家族連れがやってくる
 両親と10代中盤くらいの娘


娘   お父さんってさあ、いつもお昼は何処で食べてるの?
父   最近は・・・あ、会社の近くに旨いカレー屋ができたんだよ。そこはよく行くなあ・・・。
娘   いくら?
父   え?
娘   そこのカレー。
父   ランチセットでサラダとコーヒーがついて850円。


 娘 母親の方を向いて


娘   ほら、850円だってよ!
母   何がよ。
娘   500円は少ない!
父   あれ?おまえ昼は弁当じゃないの?
娘   それがさ、しょっちゅう誰かさんが作らないのよ。で、その時に貰えるのが500円。
父   そうなんだ・・・。
母   十分じゃない。朝ご飯も晩御飯も家で食べるんだから、おにぎり2つと飲み物だったらそのくらいでしょ?
娘   育ち盛りなんです。そんなんじゃ部活までもたないよ。
父   でも小遣いも貰ってるんだろ?
娘   それは、それでしょ。
父   そこからちょっとくらい補填したらいいじゃないか。全部出せって言ってる訳でも、毎日出せって言ってる訳でもないんだから。
娘   お父さんは黙ってて!今はお母さんと交渉中なの!
父   ああ・・・すまんね・・・。


 文哉のトコロに
 ウェイトレスがトレンチに色々載せてやってくる


ウェイトレス   お待たせしました。


 ウェイトレス サンドイッチと飲み物をテーブルに置く


ウェイトレス   以上で宜しいですか?


 文哉 目を瞑ってまだ考え込んでいたが、その声で驚いたように顔を上げる


文哉 え?あ、ああ、はい。
ウェイトレス ごゆっくりどうぞ。


 ウェイトレス 立ち去る
 文哉 ウェイトレスが立ち去るのを待ってサンドイッチに手を伸ばす


文哉   いや~今日まだ何も食べて無くてさ・・・。
由紀   そう。で、何話してたか、覚えてる?
文哉   え?・・・なんだっけ?
由紀   だから聞きたいコトがあるの。
文哉   ああ、そうだった・・・で、何?
由紀   何、もう考えるのやめちゃったの?
文哉   だって、考えても分からないモン。
由紀   可愛く言うな。もう・・・ちゃんと考えてよ。
文哉   でもなあ・・・何?全く思いつかない。
由紀   いいよ、もう・・・とりあえず食べちゃいなさいよ!
文哉   いい?食べちゃって。
由紀   いいわよ。
文哉   すいませんねえ・・・で、映画は?
由紀   映画は駄目。
文哉   ちっ!


 場面変わって警備員室
 モニターをみつめる男
 安永篤志(59) 以降:安永
 そこへ同僚が入ってくる
 木村剛(33) 以降:木村


木村   お疲れ様です。
安永   おう、お疲れ。


 木村 壁に掛かっている時計を見て


木村   安永さんも・・・あと4時間半ですか・・・。
安永   ん?


 安永 時計を見て


安永   ああ・・・そうだな。
木村   もう、次の仕事は決まったんですか?
安永   いや、まだ決まってない。
木村   そうですか・・・。
安永   まあ、でもしばらくは貯金と退職金があるから大丈夫だよ。
木村   なら、良かったです。
安永   世話になったな、君には。
木村   いえ、そんなこと・・・でも・・・
安永   まあ、そうだな。君とは長い付き合いになりそうだし・・・。
木村   ええ。・・・そろそろ亜紀さんと仲直りをするってのは・・・
安永   その話は、いいよ。それにな、俺にその気があったとしても、亜紀の方にその気がなけりゃ無理だろ?
木村   ってことは亜紀さんが仲直りをしようと思ってれば・・・
安永   まあ・・・いや、終わり終わり!最後の日なんだから、辛気くさい話はやめよう。
木村   はい・・・わかりました・・・でも
安永   終わり。ほら、もうすぐ巡回の時間だぞ!
木村   え?ああ・・・そうか・・。じゃあ、行ってきますね。


 木村 立ち上がると携帯が鳴る


木村   あ、すいません。


 木村 安永に詫びを言って携帯をとる


木村   はい。・・・ああ、亜紀か。


 木村 安永の方を見る
 安永 その様子を見て、立ち上がり帽子を被る


安永   巡回は俺が行ってくる。
木村   いえ、すぐに・・
安永   いや、いいよ。


 安永 部屋を出る


 木村 安永を見送って、電話を続ける


木村   ああ、今出て行った。・・・で、どうする?・・・・え?あそこの予約取れたの?・・・・・安永さん、驚くだろうなあ・・・。


 木村 表情が徐々に笑顔になる


 場面変わって、東部デパート最上階 レストラン街
 ベンチに座っている男 香西孝明

 孝明 黒いボストンバックを足下に置いている
 孝明の携帯が鳴る


孝明   はい・・・・・ああ・・・・大丈夫。・・・・手はず通りだ・・・・・。いや、まだ来てない。


 そこへ男がやってくる
 黒川伸吾(24) 以降:黒川


伸吾   香西さん?
孝明   ああ・・・おまえは?
伸吾   黒川だ。


 孝明 携帯に戻り


孝明   来たみたいだ。・・・・で、誰だ?・・・・・見届け人?
黒川   ああ。
孝明   何だよ、見届け人って・・・・・はぁ!?・・・・逃げねえよ!・・・・あ、ああ。


 孝明 携帯を切る


孝明   どういうことだ?
黒川   ほら、今回はでかいヤマだろ?だから、俺がいるって訳。
孝明   今まで、そんなコト一度も言って無かったじゃないか。
黒川   だから、今回はヤマがでかいからだって。それとも何か?俺がいるとできないってのか?
孝明   ああ・・・おおいに邪魔だな。
黒川   何だよ、そんなコト言うなよ~。別に邪魔しないからさ~。


 孝明 黒川のチャラチャラした物言いにうんざりしたように


孝明   ああ・・・分かったよ。
黒川   良かった・・・で?その中に入ってるの?
孝明   ああ・・・そうだ。
黒川   で、どうするんだ?
孝明   もう30分も経つと昼時で人がココに集まってくるだろ?
黒川   そこで、ドカン!か?


 孝明 驚いたように、小声で


孝明   気をつけろよ・・・・。
黒川   何が?
孝明   ここにいるんだったら、頼むから不用意な言葉を吐くな。


 黒川 ようやく気付いたように


黒川   あ、ああ・・・分かった。悪ぃ。で?どうするんだ?
孝明   もういい・・・それに知ったところで、別に手伝って貰うようなコトもないしな。
黒川   そうか・・・。


黒川   黙り込んだが、そわそわしてるように孝明をちらちら見ている


 孝明 いらついたように


孝明   まだ、何かあるのか?
黒川   あ、いや・・・あんたの作るモノの中にさ・・・いつも・・・
孝明   何だ?
黒川   ほら、入れてるらしいじゃん?・・カブトムシの角の形の・・・
孝明   ああ・・・あれか・・・


 孝明 ふと思いついたように


孝明   ん?それ、誰に聞いた?
黒川   有名だよ!知らないのか?
孝明   そうなのか?
黒川   そうだよ!
孝明   ああ、そう。で?
黒川   いや、何でなのかと思ってさ。
孝明   別に・・・思い出だよ。
黒川   思い出?どんな?
孝明   いいじゃないか・・・別に
黒川   何だよ、教えてくれよ~。
孝明   うるせーよ!
黒川   怒んなよ、別に教えてくれたっていいじゃん。減るもんじゃねえしさ。
孝明   ・・・少し黙っててくれ。
黒川   自分で入れてるんだろ?知られたくないなら、入れなきゃいいじゃん。
孝明   黙れ!おまえはただの見届け人だろ?俺に構うな!
黒川   おまえ、口のきき方気をつけろよ!
孝明   何だよ!
黒川   何だよ!


 黒川 孝明の胸ぐらを掴む
 その姿を巡回していた安永が見つけ2人に近寄る


安永   どうかされましたか?


 黒川 その勢いのまま安永に反応する


黒川   なんだよ!
安永   お客様、どうかされました?


 孝明 一瞬にして冷静になり


孝明   おい!やめろ!
黒川   ああ!?


 黒川 孝明にもつっかかったものの、状況に気付き掴んでいた胸ぐらを放す


黒川   おお・・・っと・・何でもない、何でもないよ。
安永   大丈夫ですか?
黒川   ああ、大丈夫大丈夫。問題ない、ただの痴話げんかだから。


 安永 視線を孝明に向け


安永   本当に大丈夫ですか?
孝明   ええ・・大丈夫です。
安永   ・・・そうですか?じゃあ、まあ気をつけて下さい。仲良くね。楽しい日曜日なんだから。
孝明   はい。すいません、お騒がせして・・・。
安永   いえ、それじゃあ・・・。


 安永 2人が気にはなっているものの、その場を離れる


 ふたり 黙り込む


第3場 香西孝明の過去 8年前

 大学研究室内

 孝明 白衣を着て作業をしている

 しばらくすると男が入ってくる
 飯野広敏(23) 以降:広敏


広敏   おっす。調子はどうだ?
孝明   ん?あ、ああ・・・多分・・・・・徹夜だな。
広敏   そっか・・・ま、予想通りだな・・・。
孝明   予想通りに行かなけりゃ、朝までかかっても終わらないけどな。
広敏   でも、朝までに終わらなけりゃやばいな。
孝明   そう思うなら、手伝ってくれても構わないけど?
広敏   ん?んん・・・・考えとく。
孝明   ああ、そうしてくれ。


 広敏 研究室をうろうろと見回っている
 孝明 それが気になって


孝明   何か用か?
広敏   いや、そう言うわけでも無いわけでも無いんだけど・・・
孝明   意味が分からないぞ。
広敏   あ?ああ・・・そうだな・・・。
孝明   なんだよ。
広敏   ん~でもなぁ・・・。
孝明   言えよ!言う気がないなら、出てってくれ、気が散る。
広敏   ああ、分かってる・・・分かってる。


 広敏 考え込んでいたが、思い切って口を開く


広敏   今から言うことは、非常に・・・なんというか、デリケートな話だから・・・んっと・・・もし、もしだよ?


 孝明 いらついて


孝明   だから何だよ!
広敏   興味が無かったとしたら、俺の話は忘れてくれ。
孝明   あ?なんだそれ?
広敏   おまえさあ・・・俺のやってる・・・・
孝明   あ?ああ、知ってるよ。
広敏   知ってるのか?
孝明   そりゃあな。結構一緒にいるし・・・でも、別に誰にも言わないから安心してくれ。
広敏   そっか・・・知ってたのか。
孝明   ああ・・・あ、でも俺は違うぞ。俺はノーマルだからな。
広敏   は?
孝明   だから、俺は男に興味はないから。
広敏   何言ってるの?
孝明   え?そういうことじゃないの?
広敏   何処からそういう話が出てくるんだよ。
孝明   いや、すまん。結構、噂になってたから・・・。
広敏   そうなの?そんなに噂になってるの?
孝明   そんなにって言う訳じゃないけど・・・まあ・・・。
広敏   そうだったのか・・・


 広瀬 ショックで考え込んでしまう


孝明   違ったのか?
広敏   何が?
孝明   だから・・・おまえが・・・その・・・ゲイだってのは・・・。
広敏   見えるのか?
孝明   いや、全然・・・。


 孝明 即答するが語尾が濁る


広敏   そうか・・・。
孝明   いや、見えないって。ただ、ほら・・・先に噂を聞いちゃったから、先入観って言うか・・・。
広敏   今ではそれ以外には見えないって?
孝明   すまん。
広敏   謝るな!


 孝明 黙ってしまう


広敏   まあ、いいよ、別に・・・。


 孝明 落ち込んでいる広敏を見て


孝明   あ、じゃあ・・・何?
広敏   ん?
孝明   だから・・・ソレじゃないとしたら・・話っていうのは・・・。
広敏   ああ・・・おまえさあ・・・。
孝明   何?
広敏   昔、爆弾を作ったことがあるって言ってたよな。
孝明   爆弾?
広敏   ああ。
孝明   まあ、そんな大したものじゃないよ。高校の時に爆竹やら花火やらの火薬取り出して・・・おもちゃだよ。子供の遊び。
広敏   もし・・・俺が、材料を集めるから、作って欲しいって言ったら作れるか?
孝明   爆弾か?
広敏   ああ・・・。
孝明   まあ・・・出来ると思うけど。


 広敏 身を乗り出す


孝明   あ、でももし今作るなら、あんなのは作りたくないね。どうせ作るなら、もっと繊細で、もっと大胆で・・・・。
広敏   完璧だ。
孝明   え?
広敏   そういうのを作って欲しいんだ。
孝明   ・・・・何に使うんだ?
広敏   ん?・・・撮影だよ。
孝明   撮影?何の?
広敏   俺さあ、自主制作の映画撮ってるんだけど・・・
孝明   待て待て待て!聞いたこと無いぞ!
広敏   言ったことないからな。
孝明   あ?じゃあしょうがないな・・・で?どんなのを作って欲しいんだ?
広敏   車を1台吹き飛ばすくらいのモノ。
孝明   車か・・・。


 孝明 ちょっと考えて


孝明   ま、可能だな。
広敏   マジで?
孝明   ああ、そんなに難しくない。
広敏   そうか?
孝明   材料はそろえてくれるんだろ?
広敏   それは任せておいてくれ。
孝明   じゃあ、大丈夫だ。
広敏   いつまでに出来る?
孝明   材料があれば・・・2,3日あれば・・・。


 広敏 メモ帳を取り出し


広敏   じゃあ、集めて欲しい材料を書いてくれ。すぐに集めるから。


 孝明 メモ帳を受け取り、書き込みながら


孝明   えっと・・・単純に爆弾って言っても色々あるんだけど・・・
広敏   どんな?
孝明   話せば長くなるんだけど・・・撮影なら殺傷能力は低くていいんだろ?
広敏   いや、できるなら・・・
孝明   そうなの?
広敏   ああ・・・やっぱりリアリティは必要だからな。
孝明   そういうモン?
広敏   ああ、扱う人間の心構えも変わるしな。
孝明   なるほどな・・・じゃあ・・


 孝明 書いたメモを広敏に渡す


孝明   こんなモンかな。
広敏   おお、サンキュ。じゃあ、1週間くらいで集めるよ。
孝明   分かった。
広敏   じゃ。


 広敏 出て行こうとする


孝明   あのさ・・・
広敏   何?
孝明   やっぱり手伝う気はないんだな。
広敏   ああ、残念ながら。


 広敏 出て行く


第4場 東部デパート 12:00PM


 場面はレストラン内
 家族が食事を終えて談笑している
 娘 急に意味ありげに口を開く


娘   あのさ・・・
母   何?
娘   実は・・・
母   何よ、なんかやらかしたの?
娘   何もやらかしてないよ。どうしてそういう話になる訳?
母   だって、今の声のトーンは絶対・・・「テストで赤点採ったの・・・」か「お母さんの大事にしてた、お皿割っちゃったの・・・」・・・って、割ったの!?もぅ、いい加減にしてよ。10枚セットで買ったって言うのに、いつの間にやら残りは3枚・・・これじゃ私たちが使って終わりじゃない!お客様が来ても使うお皿は、あのパン食べて貰ったお皿くらいよ?
娘   私は2枚しか割ってません!残りはお母さんでしょ?
母   私はいつも盛りつけたり、洗ったりしてるの。使用頻度から言ったら、全然多くないわ?あなたが割らなければ、まだ5枚残ってる訳だし、問題にもならない・・・ん?また割ったってコトは、残り2枚?何よ、それじゃ家族でも使えないじゃないの!お父さん!これからは少し遅く帰ってきて下さいね。
父   ちょちょっと、なんでそういう話になるんだよ。帰ってきたい時に帰っちゃいけないのか!?
母   だって、お皿が無いもの。
父   そっか・・・じゃあおまえ達と一緒に家でご飯を食べることは、もう無いのか・・・。
娘   あの~取り込み中のトコロ、申し訳ないんですが・・・私、お皿割ってないよ。
母   そうなの?もう、なんで、そんなくだらない嘘つくのよ。
娘   ついてない。
母   え?
娘   お母さんが、勝手に勘違いしたんでしょ?
母   そう?私・・・またやっちゃった?
娘   うん。結構な猛スピードでやっちゃった。
母   ごめんねぇ。
娘   もう慣れてるからいいけど。
母   じゃあ、なんなのよ。
娘   えっと~。
父   さっきの声のトーンからすると、デザートが食べたいんだろ?しかもちょっと控え気味ってコトは・・・このストロベリースペシャルパフェと見た!
娘   正解!
母   今、ご飯食べ終わったばっかりじゃない?
娘   それとこれとは話が・・・
父   違う!俺にも食べさせてくれるならいいぞ。
娘   本当?
父   ああ。
娘   やった!
母   ダイエットは何処に行ったのかしらね?
娘   若い内はそんなこと気にしない方がいいんだよ?
母   あら、それは私の言った言葉だったと思うんだけど・・・
娘   でしょ?私はそれを忠実に体現してるだけ。すいませーん!


 娘 ウェイトレスを呼ぶ
 母 溜息をつく

 由紀・文哉の方も文哉の食事が終わり、飲み物を飲んでいる
 文哉 メニューを手にとろうかどうか悩んでいる


由紀   何、やってるの?
文哉   ん?ちょっと。
由紀   まだ、食べたいの?
文哉   いや、それが・・・よく分からないんだ。
由紀   は?
文哉   食べたいと言えば食べたい。けど、食べたくないと言えば食べたくないっていう絶妙のバランス。
由紀   そのくらいでやめとくのがいいのよ?
文哉   うーん。分かってるんだけどなあ・・・。おまえが食べないから、なんか変なんだよ。
由紀   変って何が?
文哉   ほら、おまえいつも食べ残すだろ?で、俺がそれをもったいないって食べる。その恒例行事が今日はない。
由紀   じゃあ、それは夜ね。
文哉   夜か・・・・夜!?そこまで待つのか・・・。


 文哉 考え込む


由紀   あの、くだらないコトを悩んでいるトコロ悪いんだけどサ。
文哉   何?
由紀   ごはん食べる前の話、覚えてる?
文哉   ・・・・映画?
由紀   違う!
文哉   ・・・・なんだっけ?
由紀   聞きたいコトがあるって言ったでしょ?
文哉   ああ・・・で、何?
由紀   ・・・もういい。
文哉   ん?何だよ、なんでも聞いてくれよ。
由紀   いい。
文哉   なんで、怒ってるの?
由紀   怒ってないよ、別に。
文哉   怒ってるじゃん。聞くよ、聞くって。それで、適切な答えを導き出すよ。
由紀   本当にもういい。
文哉   良くないよ。
由紀   ・・・・
文哉   それってさ、良い話?
由紀   そういう一面もある。
文哉   じゃあ、悪い話?
由紀   そういう一面も否定できない。
文哉   ・・・なるほど。良いことでもあり、悪いことでもあるんだ・・・。で、それは俺の話?
由紀   ある一面においては。
文哉   由紀の話?
由紀   主たる部分は。
文哉   2人の話?
由紀   結果的には。
文哉   え~と・・・なんか聞くのが怖くなってきたな・・・。
由紀   だからやめとこ?
文哉   いや、ココでやめたら気持ちが悪くて、今食べたばかりのBLTサンドが消化不良を起こす。で、それは仕事関係?
由紀   ん~・・関係ないとは言えない。
文哉   仕事に関係が無い訳ではなくて、由紀がメインの話だけども、俺に関係が無いわけではない。で、結論的には2人の問題へと発展するってコトだね?
由紀   そう。
文哉   なんだ・・・それ・・・


 文哉 考えながらコーヒーカップを口に運ぶが、中身が既に空であることに気付く


文哉   あ、すいません!


 文哉 ウェイトレスを呼ぶ
 ウェイトレスがやってくる


文哉   コーヒーを。
ウェイトレス   かしこまりました。


 文哉 由紀のグラスを見て


文哉   由紀は?
由紀   私はいい。


 文哉 ウェイトレスに目を向けて


文哉   じゃあ、それで。
ウェイトレス   かしこまりました。
文哉   あ、あと・・・
ウェイトレス   はい。
文哉   仕事に関係が無い訳ではなくて、この人がメインの話だけども、俺に関係が無いわけではない。で、結論的には2人の問題へと発展するコトって何?
ウェイトレス   は?
由紀   ちょっと!


 由紀 ウェイトレスを向いて


由紀   何でもないです!冗談です!!
ウェイトレス   はい・・・


 ウェイトレス   不思議そうな顔を浮かべ立ち去る
 由紀 顔だけで文哉を怒っている
 文哉 申し訳なさそうに、顔だけで謝る

 後方では・・・
 父親 パフェを食べている


娘   あのさあ、お父さんの1口ってどんななの?
父   大丈夫、まだ1回も飲み込んでないから。
娘   そういうコトじゃなくてさあ・・・だったらもう1コ頼みなよぉ。
父   あ~旨いなあ・・・俺疲れてるんだな、きっと。甘いモノがこんなに旨く感じるなんて・・・。
母   そんなに美味しいの?
父   やっぱり、久々に食べると旨いね。
母   ホント?私にも食べさせてよ。
父   それは駄目だよ。
母   なんで?
父   だってほら、1コのパフェを3人で食べてるって、なんか貧しくて買えないみたいじゃん。
母   いいから、食べさせてよ。
父   だから、駄目だって。


 父と母がパフェを取り合っている
 娘 それを見て


娘   すいませーん!


 娘 ウェイトレスを呼ぶ

 ウェイトレス やってくる


ウェイトレス はい。
娘   すいません。これ、もうひとつ。
ウェイトレス   かしこまりました。

父   おい、ずるいぞ。
母   そうよ。みんなで、食べようよ。
娘   そうね、それは2人で仲良く、お食べ下さい。私の分は気になさらずに。
父   本当に!?


 父の目を盗んで、母 パフェを食べている


父   おい!ずるいぞ!


 ウェイトレス 文哉のトコロにコーヒーを持ってくる
 文哉 尚、考えている
 由紀 席にいない


ウェイトレス   お待たせしました。
文哉   ありがとう。


 ウェイトレス その場を離れない


文哉   ん?
ウェイトレス   あの~さっきの話なんですけど・・・
文哉   え?
ウェイトレス   転勤・・・とか?
文哉   転勤?
ウェイトレス   あ、すいません。・・ごゆっくりどうぞ。


 ウェイトレス 立ち去る

 由紀 戻ってくる


由紀   で、分かった?


 文哉 由紀の顔を見て


文哉   ・・・転勤・・・なのか?
由紀   は?
文哉   だから、仕事に関係が無い訳ではなくて、由紀がメインの話だけども、俺に関係が無いわけではない。で、結論的には2人の問題へと発展するコトって!!
由紀   ・・・・それだったら、仕事がメインでしょ?
文哉   ん?ああそっか・・・。もう、だったら何だよ~?


 場面変わって、東部デパート最上階 レストラン街
 ベンチに座っている 孝明と黒川


孝明   頼むから、何もしないでくれるかな。
黒川   分かったよ!でも、いつまでココにいるんだ?
孝明   もう移動するよ!誰かのせいで目立っちまったからな!!
黒川   で?何処に行く?
孝明   そりゃ、地下だろ。全く時間までここにいようと思ってたのによ。


 黒川 少し周りに気を遣いながら


黒川   ちなみにさ、それをどうやって・・・やるの?
孝明   は?
黒川   だからさ、リモコン?それとも・・・時計?それとも・・・他の何か?
孝明   時計だよ。
黒川   何時?
孝明   12時半。


 黒川 腕時計を見て


黒川   あと30分じゃねえか。
孝明   そうだ。
黒川   なんで、そんな涼しい顔してるんだ?
孝明   は?
黒川   あと30分だぞ!
孝明   そうだ。
黒川   だったら、どこかその辺に置いて、もう行こうぜ。
孝明   はぁ?
黒川   だって、そうだろ?
孝明   あのさ、怖いなら、何処か行ってくれよ。
黒川   そんなんじゃねえよ。
孝明   ま、でも安心しろ。あと30分もある。
黒川   なにかの手違いで、時間がずれることだって・・・
孝明   ない。
黒川   でも・・・
孝明   絶対にない!だから、それに信じられないんだったら先に帰れって。ニュースでも見てりゃ成功したかどうかは分かるだろ?
黒川   分かった!じゃあこうしようぜ。俺が、そのバックしかけるからおまえは帰っていいぞ。
孝明   何言ってんだ?
黒川   任せとけ。
孝明   おまえ、下調べとか全くしてないだろ?
黒川   あ~それなら、大丈夫だ。ホントのコト言うと少しだけ指令が変わったんだ。
孝明   は?
黒川   だから、香西さんが頑張って調べてくれたコトは全く無意味になったってコト。


 孝明 少し怯えながら


孝明   で、何処に?・・・何処でやるつもりなんだ!
黒川   聞かない方がいいんじゃないかなぁ~。あんた、あれなんだろ?人殺せないんだろ?
孝明   おまえ・・・
黒川   だからさ、俺が変わりにやってやるから。あんたは帰っていいぞ、それ置いて。


 孝明 ぼそっと呟く


孝明   そんなコト・・・そんなコト絶対にさせない・・・。


 孝明 バックを握りしめ走り出す


黒川   あ!くそ、待て!


 黒川 孝明を追って走り出す

 場面変わって警備員室
 木村 以前電話中


木村   じゃあ、もうすぐ着くね。・・・・ああ、分かった。待ってる。じゃ。


 木村 携帯を切る
 安永 そこへ、少し急いで戻ってくる


安永   まだ、電話してたのか?
木村   あ、すいません・・・。
安永   まあ、良いけど。それより、レストラン街に変わったトコロはないか?
木村   レストラン街ですか?大丈夫だと思いますけど・・・なんかありました?
安永   いや、男2人で言い合いをしてたから・・・
木村   言い合い?


 安永 モニターを見ながら


安永   ああ・・・・あ、こいつらだ!
木村   落ち着いたみたいですね。
安永   ちょっとなあ・・・
木村   何か?
安永   なんだろ?堅気に見えないって言うか・・・な。


 安永 モニターから離れる
 木村 まだモニターを見ていたが


木村   あ!
安永   どうした?
木村   いや、こいつらまた揉めてるみたいですよ。
安永   は?


 安永 再びモニターに目を向ける


木村   あ!
安永   なんだ?何があったんだ・・・?
木村   逃げたように見えましたが・・・
安永   ああ・・・。俺はこいつら追いかけるから、おまえはココで何処に行ったか無線で知らせてくれ。
木村   あ、はい。分かりました。
安永   じゃ。


 安永 部屋を出る


 場面変わって最上階階段踊り場
 孝明 走り込んできて後ろを確認し、バックを開け何やらいじっている


孝明 くそ!やっぱり駄目か・・・。


 孝明 バックを閉めると、後ろの気配に気づき再び走り出す

 黒川 そこへ走り込んでくる


黒川   くそっ!何処行った・・・。


 黒川 携帯を取り出す


黒川   ああ、すいません。黒川です。・・・いや、奴に逃げられまして・・・すいません・・・はい・・・多分下に降りたと思いますが・・・はい。分かりました。それじゃあ、すぐに俺も下に降ります。


 黒川 携帯を切り、来た方向へ走り去る


第5場  香西孝明の過去 1ヶ月前


 場面は広敏の自宅
 広敏 ドアベルの音に反応し玄関を開ける
 孝明 立っている


広敏   おう!どうした?


 孝明 押し殺した声で


孝明   何でだ!?
広敏   何が?
孝明   どうして、あんなトコロで使ったんだ!


 広敏 うつむいていたが、顔をあげ


広敏   ま、上がれよ。


 孝明 広敏に導かれるまま部屋に上がり込みソファに座る


孝明   聞いてないぞ!俺は!
広敏   まあ、落ち着けよ。・・・俺も、知らなかったんだ。
孝明   だからって!!
広敏   俺もちゃんと聞いてないから、良く分からないけど、事故だったんだよ、きっと。それに良かったじゃないか?犠牲者って言っても2人だけだ。
孝明   2人もだ!2人もだぞ、2人も死んだんだ!
広敏   そんなに大きな声を出すなよ。ここの壁薄いんだからな。違法建築じゃないのか?上の住人の足音は聞こえるしさ、夜も満足に寝られたもんじゃないよ。
孝明   関係ないだろ!そんなこと。それに事故ってなんだ?そんなモノ起こらないようなモノ作ったはずだろ?
広敏   でも、現場じゃ何が起こるか分からないもんだぞ?
孝明   ちゃんと計画を立ててやってるのか?お前等は!
広敏   どんなに計画を立てても、その通りにいかないコトだってあるさ。
孝明   そうならないようにするのも、お前等の仕事じゃないのか
広敏   ああ、分かってるよ。でも、ほらおまえも有名になれたんだからさ。
孝明   は?
広敏   そりゃそうだろ?・・・最初はただのクズだと思われてたあの・・・なんだ?カブトムシの角だっけ?あれが今回の現場でも見つかったんだから。これで、都職員庁舎建築現場の爆発も、地下鉄のトイレの爆発も今回の警視庁も同一犯の爆弾だって宣伝したようなもんだ。おまえもそのつもりで入れてたんだろ?あんなモノ。
孝明   俺は・・・俺はそんなつもりじゃ・・・。
広敏   だったらどういうつもりで入れてたんだよ。わざわざ自分で作ってさ。
孝明   だから、俺はそんなつもりは・・・!
広敏   おまえにそのつもりがあろうがなかろうが、周りはそう見るんだよ!


 孝明 黙ってうつむいたまま動かない


広敏   ・・・まあ、でもさ、こっちからすれば良い方に転がったよ。
孝明   どういう意味だ・・・?
広敏   結局、人間なんて忘れて生きてくもんだろ?そういう意味では、今まではあまりにも早く忘れられすぎた。でも、流石に死人が出れば、そうそう忘れないだろ?それに警告を聞かなければこっちは本気だっていう決意表明にもなったんじゃないか?
孝明   まさか・・・お前等・・・。
広敏   いや、今のは結果論だよ。結果論。
孝明   ・・・
広敏   それに爆弾を作ってるってコトは、そういうコトだろ?何かを壊す為に作ってるんだから。
孝明   俺は!・・・俺は人を殺す為に作ったつもりはない!
広敏   そう思ってるのはおまえだけだ。
孝明   そんなコト無いだろ!ちゃんと言ってきたじゃないか!人がいるようなトコロでは爆発させないって!!
広敏   ああ、聞いたさ。だから俺達だって、人の近寄らないような場所や、人がいない時間を狙って使ってきたじゃないか。でもな警察の連中だって、ニュースで見た奴らだって、俺達だってな・・・アレは人殺しの道具だと思ってるんだよ
孝明   ・・・
広敏   ・・・今回は事故だったが、これからは分からない。
孝明   ・・・だったら俺は降りる。
広敏   おまえはもう降りられないトコまで来てるだろ?
孝明   でも、もう俺は作らない。
広敏   おまえだってぶち壊したかったんだろ!?親も兄弟も友達も全部壊したかったんだろ!?
孝明   俺は、そんな・・・。
広敏   おいおい、まだしらばっくれるつもりかよ!いい加減にしろよ。俺はおまえの願望の手助けをしてやってただけだ。おまえだって利害が一致したから作り続けてたんだろ?
孝明   ・・・
広敏   黙りこくってても、誰かが代わりにやってくれるわけでも、状況が変わる訳でもない。いいか?自覚しろ。おまえの作った爆弾で人が死んだんだ。そして、警察はその爆弾を作ってるおまえを脅威に感じてる。だから、俺達もおまえの作る爆弾をより効果的に使う方法を考えてる。


 孝明 しばらく黙っている
 広敏 煙草に火をつける


孝明   分かったよ・・・
広敏   そうか?
孝明   ああ・・・多分、俺も分かってたんだ。いつか、こうなるって・・・。
広敏   そうか。
孝明   ただ・・・
広敏   なんだ?
孝明   俺に・・・セッティングもやらせてくれないか?
広敏   俺達じゃ任せられないってのか?
孝明   そういうんじゃないが・・・俺は最後まで責任をとりたいんだ・・・爆発した最後まで。それにな、爆弾は爆発させてこそ爆弾なんだ。お前等の爆発のさせ方は美しくない。大体、事故ってなんだ?死なすつもりはなかったのに死んじゃった?そんな爆弾を俺は少なくとも作ったつもりは無い!!誰かを殺すつもりなら、そういうのを作る・・・。
広敏   ・・・そうか分かった。・・・そうするように上には言っておく。
孝明   頼む・・・。じゃあ、帰るわ。
広敏   ああ・・・。


 孝明 部屋を出て行く
 広敏 孝明が出て行くのを待って電話をかける


広敏   もしもし、俺です。・・・ええ、今、家に来まして・・・・ええ・・・・とりあえず納得はさせましたが・・・次あたりが最後かと・・・分かりました。じゃあ・・・・そういう方向で・・・。


 広敏 電話を切る


つづく

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