English Roses

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両親のこと……


先日引越しを決める際に、母の月命日を選んだように
いつも私の気持ちは両親の元に戻って行きます……。

いい加減にそこから振っ切れてもいいとも思うのですが……。

そこが今の私の原点で、そこから私の二度目の人生が始まったという気持ちで

事あるごとにそのときに思いは帰って行きます。

あのときの気持ちを忘れないようにと……。

そしてそこに戻り、自分の今の生き方をを確認することを……

自分に課しているのかもしれません。



それ以前の私は若くして事業のようなものに成功してしまったがために

ある意味で完全に思い上がってしまいました。

銀行に行けば、支店長の方が飛んできて応接室に通される。

地元の百貨店に行けばほとんど店員の方に顔を覚えられ上顧客としての対応。

母の誕生日には高級車のプレゼント……。

それが二十歳半ばでしたから、完全におかしくなってしまいました。

両親は私の成功には喜んでいましたが、

それが私の性格に明らかに好ましくない影響を及ぼしていると非常に危惧していました。

でもその頃の私は両親の言葉に耳を貸すこともなく完全に舞い上がっていました。



そんなときに爆弾が……

それは母の発病に始まりました。

母は最初の診断は直腸がん、ということでした。

そして、それが分かったときに経済的に自信があった私は

大都市、東京、大阪、に出て十分な治療をしようと主張します。

ところが医療人であった母の実姉に説得され、地元の病院での治療となります。

無事に手術も終わり、一年が経過、順調に回復しているかに見えた頃、

母は盛んに視力の異常を訴え始めます。

でも、診断が着かず……。

私はおばに不安を訴えますが、

母の不定愁訴ということで問題が片付けられてしまいます。



あの時、母のあまりに強い訴えにふと書店にて開いた本……。

そこに母の症状のよく似たことが……。そしてそれは脳腫瘍の症状……と。



その後の定期受診の際に、私が余りに強く主張したために

脳外科受診が……。脳外科のドクターも私の不安を一笑しますが

結局脳のCTだけは同意。約一週間後に予約が入ります。

ところがその日を待たずに急変。

尿の垂れ流し、意識混濁、ただ「 痛い、痛い。」 とだけわめき散らす母。

大慌てで病院に、緊急CTの結果は……。

脳腫瘍のために脳から脊髄を循環して流れる水の水路がふさがれたため……。

脳の中の圧が急激に上昇した結果で、

それは一刻も早く手術して圧を下げなければを命にかかわる状況でした。

手術の準備、私達への緊急の説明の中でもう一度母の体の検索が……。

そして発見されたのは両方の肺への癌の転移でした……。

それをきいた瞬間、「終わった。」と……。

あれほどに大都市に出よう、大きな病院に行こうと私が主張したのに……。

そのとき、はっ、と思い当たることが……。

思い起こせばそれより数ヶ月前に

「風邪を引いた。」と言って再三風邪薬を定期受診の際にもらって来ていたのです。

あれがもしかしたら……。

でもそのときには胸の写真は撮ることなく、

母の求めのままに風邪薬の処方で終わっていたのです。



もう遅すぎました……。



私は叔母と口論に……。

自分の勤務していた病院に自信を持っていたおばは頑として私の言うことを認めず……

そしてこの後もう一度決定的なことが起こり、

私は叔母を含めた母方の親族と一切の袂を分かつことになっていくのです。

さて話を……元に戻します。

脳外科の主治医の方の説明では……。

先にも書いたように即刻手術をしなければ二日と生きられない、

と言うことで私達に手術の決断を迫りました。

開頭して管を入れて、更に首を通し、おなかの中に導いて、

おなかの中に流れなくなった水を捨てる、と言う説明でした。

(念のために、私はその頃は今の仕事はしていませんでした。)

しかし、おなかの中に癌の細胞がある水を捨てるために

おなかの中に再び癌が再発してくるやも知れず、

また腸が詰まってしまうかも……と言うことでした。

これを聞いて私は

「もう痛みだけを止めて、このまま死なせてほしい。」と……。

でも再び叔母の説得に……。

そして、脳から腸に至る管が入れられ、

自由を失った手足の機能を取り戻すための放射線治療、

肺がんの進行、あるいは脳腫瘍の進行を抑えるための化学療法。

矢継ぎ早にいろいろの治療が開始されて、行きます。

私達は情勢の変化に必死についていこうと……。



しかしあまりの急激な病状の変化に当然、今までの定期受診でお目にかかっていた

直腸がんの手術をなすってくださったドクターだけでなく、

呼吸器、脳外科、放射線科、の多くのドクターがかかわってくださることになりました。

でも母の病状が複雑すぎて……。

このドクターに訴えてみると、

「いや、僕の管轄でないから……。」

で別のドクターに伝えてみると

「いや、僕はそっちは見てないから……」

途方に暮れる日が……。






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