れいんぼータウン

れいんぼータウン

私の場合・後編






「ねぇ 道川来ると思う?」


「来るに決まってるじゃんっ!麻生の名前使ったんだよ?」





数人の女子の声が屋上の扉の向こうの階段から聞こえてくる


その声はどんどん近づいてきて


扉が開いた





「あんた達さぁ  そんな事して楽しい?」




女子の足が一瞬で止まる



自分達以外ここに来るのは誰もいないと思ったんだろう



ましてや今日呼び出す相手の友達の声がして



自分達より先に来ているのだから





「・・・麻生さん 」


「あんた達、 美沙痛めつけるんでしょ?」




ざわつく声、全てを知っている私


どっちが有利なんだろう





「悪いけど 美沙は来ないよ、下駄箱にあった手紙」


私が読んで捨ててきたから」


「なっ」


「一対一で呼び出すんなら何もしなかったけど こんなに人数いるんじゃねぇ」




相手は5~6人いる


うちの学校の中でも結構目立つ部類に入る方だろう



だからこそか


あの跡部に自分が選ばれなかった悲しみ


ごく普通の 美沙が彼女になった事への悔しさ




「あんた達も色々大変なんだねぇ」


「・・麻生さんには関係ないでしょっ」



誰か 道川呼んできて そう1人が言った


何人かが扉を開け 美沙を呼びに行こうとする



「言っとくけど今呼びに行ったら」


「な・・何よ」




「 美沙の傍には跡部がいるよ」



彼女達の表情が一変する


今行けば跡部に自分達がしようとした事が知られてしまう


そうすれば 跡部は絶対彼女達を物凄く


冷たい目で見るだろう





「ねぇ 好きな人から冷たい目で見られる時って





どんな気持ち・・・?」






「・・・っ  麻生さんには分かんないでしょうね」



「何を?」



「手の届かない場所にいる人を好きなった私達の気持ち・・」





彼女達はフッと静かになる


みんな同じ気持ちなんだよな


でもさぁ




「そうだね  私には分かんないよそういう気持ち」



「な・・っ」



「だって好きな人の大切なもの痛めつける気持ちなんか」




そう言って私は屋上を出た


はっきりとは言い切れないけど


もう 美沙には手を出さないと思う  


また同じような事が起こったら今度は・・・





「こういう事だったのかよ  麻生」



こいつが出てくると思うし


「盗み聞きなんて趣味悪すぎ」


「通りかかっただけだ」



「また偶然だね  まぁいいやそれより 美沙は?」




先に部活に行った、跡部はそう言うと


廊下の窓からちょうど見えるコートに目を向ける




「おい跡部」


「俺様に対してそんな態度とるのはお前だけだ」


「俺様じゃなくて 何様だよあんたは」




違うそんな事が言いたいんじゃなくて



私は・・・




「 美沙の傍にいてくれてありがと」



「・・・・・」



「なんで沈黙なのよ」



「いや、お前からそんな言葉出るとはな」




自分でもこいつに『ありがと』なんて


もったいないと思ったけど


まぁ一応私の言った事聞いてくれたから言っとく




「俺らしくねぇが 今回の件は助かった」



「本当にあんたらしくないね   美沙のためだし」








お互い鼻で笑って  廊下を歩く


当然私は跡部から離れて


廊下の隅の隅を歩いた













私の場合、跡部へ特別な感情なんて抱かなかった


それとは全く逆で 私は跡部の事が大嫌いだし




けれど今になってゆっくり考えると


美沙がこの男を選んだ理由が何となく分かった気がする













+おまけ+



美沙:あっ2人ともやっと来た


魅羅:ねぇ 美沙、今日は一緒に帰れるの?


跡部:俺と帰るんだよな?あぁん


魅羅:私とだよね!


跡部:俺と・・っ


魅羅:私と・・っ




やっぱ跡部景吾なんて大嫌いだ



                  fin.


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