れいんぼータウン

れいんぼータウン

鳴海様 キリリク






もし、地球が明日で終わるとしたら?

そしたら

貴方は今日、なにをする?








How do you?







国語の時間、ぼぉっと意味もなく空を見てたら、先生に当てられた。

机には、開いておいただけの教科書とノートと先生自作のプリント。

「鳴海さんだったら、どうしますか?」

「えっ、あ、ハイ!」

席を立ち、ふと黒板に白いチョークで大きく書かれた綺麗な字を見た。

黒板には、こう書いてある。

‘もし明日で地球が終わるとしたら’

そしてその問題は先生自作のプリントにもそう記してあった。


たぶんそのことを古都に訊いたんだろう。

古都は、その文を見ながら唸った。

そうしてよくよく考えると、自分なりの答えが浮かんだ。

べつに、普通でいいんじゃないの?


「あたしは、特になんかしようとは思わないんですけど・・・ただ、いつもと同じがいいなって」

淡々と古都がそう言うと、国語の先生は笑顔でうんうんと頷いて聴いていた。

きっと先生もそう考えていたのではないだろうか。

そして、先生はふふっと頬を緩ませて微笑しながら言った。

「そうね。先生も鳴海さんの意見と同じかなぁ」







―――明日で地球が終わるからこそ、いつもと同じように、普通に終わればいいと思う。

その日だけ特別なにかする、というのも何処かおかしい気がするから。

・・・・そうだ、精市はどうするんだろ?

きっと精市のことだから。

その日ずっと、テニスしたいって言うと思う。

今日病院行って、訊いてこよう。















* * *




その日、古都は先生からの連絡物を抱えて病院に向かった。



「精市!体調どお?」

ドアをノックして返ってきた返事と共に、古都はドアを開けて明るい声で言った。

幸村は、いつもと変わらない古都の姿を見てくすくすと笑って返事をした。

「大丈夫だよ、今日は随分と早めに来てくれたね」

「うん、今日は精市に訊きたいこととか。いろいろあったから」

「・・古都がオレに訊きたいこと?」

「そう。これ、見て」


そして古都は、連絡物の袋の中から国語の先生自作のプリントを差し出した。

それをそっと手にとって目を通す幸村。

『もし明日で地球が終わるとしたら』

と大きく印刷された活字を見て、古都が言っていた‘訊きたいこと’の内容が浮かんだ。



「・・・これをオレがどう答えるか、、を訊きたいんだね?」

「うん!そう。あたしの予想だとね、精市のことだから・・1日中テニスしたいって言うかなって」

古都の一直線な答えを聴いて、幸村はふふっと口を押さえて笑った。

「え?なに笑ってんのよ、精市。あたしの予想と違った?」

「ふふ、違うね・・・どうして古都はオレが1日中テニスしたいって言うと思うんだい?」

「えー・・精市は、テニスが大好きだからかな」


そう古都が真剣に答えると、さらに幸村口を押さえながら肩を震わせてくっくっくと笑いを押さえるように笑った。

古都は首を傾げた。

幸村は何が可笑しいのか、そして地球が終わるとしたら何をするのか?

サッパリ分からずにいた。



「ねぇっ、何なの?精市の答えとその笑いは・・」

「聴きたいかい?」

「だから訊いてるんでしょ」

古都は少し不機嫌そうに答えた。

「ごめんごめん、怒らないで」

「べつに怒っちゃいないけど・・」

そして幸村は、笑いを抑えて言った。





「さっきの問題の答えだけど、オレは1日中テニスしないで、1日中古都のトナリにいるつもり」




いつもの穏やかな顔で微笑みながらそう答えた。

古都は、少し頬をピンクに染め、幸村から視線をズラして言った。

「なんで、1日中テニスしないの?テニス、大好きじゃん」

「オレが大好きなのはテニスだけじゃないだろ?」

「じゃあ他に何がっ・・・」


言いかけた言葉を飲み込んだ古都。

ふと、幸村の顔を覗くと、にっこりと笑みを浮かべている幸村の顔。

もしかして・・?

‘もしかしたら’という予想が古都の頭を過ぎった。




「・・・・それって・・・」



「そう。古都のこと。ほら、大好きなのはテニスだけじゃないだろ?

それに古都よりスキなものなんてないから。

つまり、1日中テニスするより1日中古都のトナリにいた方がいいってこと」



「・・・よく、クサイ言葉にランクインするぐらいの言葉をサラリと言えるね・・精市」

「どうして?本当のことだろ」

ふふっと笑って、笑顔でクサイ言葉を流した幸村。

すると、古都がまた幸村に訊いた。

「ね、あたしの答え聞きたくない?」

「じゃあ、教えてもらおうかな」





古都は一呼吸おいてから、話し始めた。


「あたしは、いつもと同じがいいなって思うの。

いつもと同じように学校行って、

いつもと同じように精市のトナリにいて、

いつもと同じように終わればいいなって。

つまりね、いつもと同じように精市といっしょにいたいってこと。

あたしも精市といっしょ」


「嬉しいね」















あたしたちに、

『明日』なんてなくて結構。


ただ、

『今日』いちにち、いっしょに居れればそれでいい。




・・・ってこと。

分かった?国語の先生へ。












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