月の耀き

月の耀き

アメリカ(2)


ネバダの砂漠を抜けるので 大量のお水を買いトランクに積み込む。
砂漠は、草や木がチョボチョボ生えた広大な荒野という感じ。
たまに砂漠らしいサラサラの砂地が広がっている場所もあった。
道路はまさしく一本道で一直線だ。
土地に結構起伏があり、地平線が続くわけではない。
まわりを取り囲む丘(山っぽい丘)を超えると 次の丘までまた 道は一直線に続く。
それまで 交通量が多い所や山道などは必ず彼が運転して、比較的簡単そうなところで私が運転を交替していた。
この一本道はかなり私も運転したが、本当に一直線でだんだんおかしくなりそうになった。
だいぶ進んだところで、ホテルのありそうな街に行くため一本道から東側に
砂漠を抜ける。
なんとか小さな街にたどり着き、そこでステーキハウスに入った。 
その店はステーキの煙とタバコの煙で店内が白く煙っており、そこにいるお客も店員も店の雰囲気も、今まで通ってきたカリフォルニアとは全く違う感じがした。
店の片隅には、スロットが置かれている。州によってこんなに違うのかなーと驚く。 

翌日また一本道に戻り、ラスベガスを目指してひたすら走った。
二~三時間走り続けると この道沿いの唯一の店ガソリンスタンドが現れる。
ガソリンスタンドが二件ぐらいと併設されている売店、そして経営している人のものと思われる家があるのみの集落。
まわりは砂漠で本当になーんにもない。
トイレを借りるために必ず立ち寄るのだが、すごいなぁと思っていた。
私だったら こんな場所で暮らしていけない。
そしてもっと先にはびっくりするものが待っていた。
正確にいうと ガソリンスタンドは道沿いではない。
ちょっとだけ一本道から枝別れしている道にそれた所にあるのだ。
走っていたら本当に道に面した形で建物が見えてきた。お店かな?楽しみにしながら近づいていった。
しかし! それは道路に面した前方、側面、三方に板が張ってある大きな看板だった。西部劇に出てくるような店の絵が本格的に描いてあるが、企業の広告などは全くない。
誰が?何のために?アメリカ流のジョーク?すごく印象に残った。

そのうち一本道の西側に「ネバダ刑務所の敷地」という看板が続くようになった。刑務所の建物自体はどこにあるのかわからない。
こんな砂漠だったら脱走も不可能だし、この地下で核実験とかやっても確かにわかんないだろうな などと考える。
ラスベガスはまだまだ先だろうけど、次の丘を越えるときそろそろ見えないかなぁと必ず期待するようになっていた。

そんな思いで丘をいくつか越えて それでも一本道しか見えない光景が続いていた時 突然 丘の上から先が見渡せるようになると、一本道から分岐する道がみえた。その道の先には なんと街がある!!
東側の丘のふもとに、かなりの数の建物が密集して建っていた。
バラバラと広範囲に広がっているのではなくて、やはりその街のまわりにはなーんにもないのだ。
彼と「ネバダの地下秘密基地で働いている人の街?」などと妄想して盛り上がる。
あの街で暮らしている人たちは、どんな生活をしているんだろう? 
買い物などには、ラスベガスまで行くのだろうか?
結局 その街には立ち寄らなかったので、人が住んでいるのかどうかもわからない。だが 一本道の分岐点には その街への案内看板があった。

そして 進んでいくと今度は「インディアン居住区」の看板。
もちろんそこには何もない。
こんな所に土地を与えられても住めないよ・・・と思う。

とにかく走りに走って やっとラスベガスの街が見えてきたときは感動だった。ネオンの煌きが懐かしくて すごくほっとしてしまった。


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