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月の耀き
アメリカ(3)
ホテルはMGMに泊ることにした。すごく安くて一泊一万円以下だった。
(たぶん当日申し込みなため。事前予約より安いが、満室だと悲惨)
ラスベガスの他のホテルもそうだが、MGMも入口を入るとフロント前に
バーンとカジノが広がっている。
スロットマシーンが並び、奥にはカードやルーレットの場所があり、景品(?)として本物のポルシェが飾られ、その周りをグルッと取り囲むスロット。
とにかくホテルを出入りするたび部屋に戻るには、カジノを通るしかない。
私はパチンコ・パチスロに全く興味がなく、ほとんどやったことがなかった。
が・・・完全にスロットにはまる(笑)
カジノのスロットはアメリカの本物のコインを使うが、日本人の私にはゲーセンのコインと感覚的に変わらない。
スロットには、5セント、10セント、1ドルなど種類があり、私がやり続けていたのは 5セントのスロット。
当たっても(いらぬ考えだが)大した金額にはならない。
5セントスロット地帯には いつ行っても同じような人たちがいた。
貧乏そうな(失礼!)中南米系の人、パキスタン人、などなど大抵同じような感じの人々。
たまに日本人の男の子がいても、言葉も交わさずスロットをやり続ける私。
この「貧乏地帯」がすっかり気に入り、スロット三昧の私に、彼はすっかり呆れて部屋に先に帰ってしまう事も多かった。
通路には 両替ワゴン・ドリンクワゴンを押した本物のバニーガールが行きかい、目が合うとニッコリ微笑んでくれる。
カジノには 何とも言えない独特の雰囲気があった。
夜にホテル内の劇場でミュージカル風のショーをやっているのを知って、フロントにドレスコードを問い合わせてみる。
全然厳しくなかったが、私も彼もボロボロの格好だったので、お土産代わりに一応恥ずかしくない程度の服と靴を買って、ショーに備える。
私たちが申し込んだのは、夜11:00開演のもの。その次の回は、夜中の2:00開演。
まさしく 眠らない街ラスベガス!
劇場は結構なキャパがある本格的なものだった。
私たちが案内された席はU字型のソファー席で、4カップルで一つのテーブルを囲む。
ドリンクをオーダーして 開演までの間 自然に会話が交わされ始めた。
それまで何度も彼に「アメリカ人は英語を話せない人の対応に慣れている。話せたとしても 英語が母国語じゃない人はみんな訛ってるんだし、文法とか気にせずとにかく話せ!」と言われていた。
でも 英語を話せない私が、同席した人に話しかけられてもやはり会話は繋がっていかない。
「Yes」「No」で答えられる質問はいい。「学生か?」「No」「仕事をしているのか?」「Yes」
「どんな仕事をしているのか?」「・・・・・・・・」
私は「こういう会社でこんな仕事をしている」と言いたかった。
だがとっさに 肝心な単語がまったく出てこない。その上 頭に浮かびあがるのは、受験で叩き込んだ意味のない構文。
学生時代遊びほうけて勉強していない私は、受験で覚えたそれらの事もほとんど忘れかけていた。
結局「Office Worker」と答えただけだった。
彼はそれなりには話せたが、英語がペラペラなわけではない。
それでも 文法や単語の間違いなど気にせず、ノリで話していく。
コミュニケーション能力というか、ジョークを言ったり、会話を楽しんでいるというのが相手にも伝わっていくんだなーとつくづく思った。
そして 私がオドオドした態度になってしまうのには、英語が話せないことの他にもう一つ理由が・・・
ここまでの旅で、アルコール類を買おうとすると必ずIDの提示を求められた。そしてIDを見せると、とにかく大仰に驚く店員。
同僚を呼びに行き、IDと私たちを見比べて笑ったり、驚いたり。
私たちもすっかり慣れて、IDを笑いながら渡したり、彼は渡す前に「いくつに見える?」と必ず聞いていた。
(彼はとっても童顔で、日本でも常に実年齢より五歳近く若くみられる)
別に笑われたり、驚かれたりすることが嫌だったわけではない。
でも完全に自覚したのは、「自分たちは、子供にみえる」ということだった。
同席している人たちは、きちんとした立派な大人にみえる。
この人たちに 私は「場違いな子供」と思われているんじゃないか・・・
という気持ちが どうしてもぬぐいきれなかった。
それでもショーは楽しく、見てよかったと大満足。
その後はもちろん「貧乏地帯」に立ち寄って、最後のスロットを楽しんだ。
結局 収支はプラス・マイナスゼロ(多分)ちょっと負けたかな?
MGMは巨大なホテルで、屋上に遊園地があった。
ジェットコースターにバイキング、スプラッシュマウンテンのように水に落ちるジェットコースターまである。
他のホテルも盛りだくさんにいろんな事をやっており、もう何泊かしたいぐらいだった。
最後の夜、ロス市内に入ってしまうと逆にホテルが探しづらいので、ディズニーランドのある街 アナハイムで一泊することにした。
帰国目前 だんだん気が緩んできており、深夜にコンビ二に行った際、それまであんなに気をつけていたのに、駐車場の出口から道路に左折して出てしまう。
右側通行なので、センターラインを越えて左折しなければいけなかったのに。なんと、車線を逆走。
そのとき 両車線とも全く車が走っていず、助手席に座っていた私も全然気がつかなかった。
そして 最初に出会った車がパトカー。。。。
道路脇の駐車場に車を入れるように誘導される。
彼が警官と話しており、私はパスポートを出そうとバッグをガサゴソあさっていた。
すると突然 パトカーの屋根についている、強力なライトで照らされてまぶしくて何も見えない。
警官に怒鳴られて 呆然とする私に彼が「バッグごとよこせって言ってるんだ!」とまた怒鳴る。
ようやく事態を理解した私は、警官にバッグを渡してボディチェックまで受けるはめに。
日本からの旅行者ということでお咎めなし、最初に出会った車がパトカーで本当によかった。
最後の最後で 危うく事故を起こしていたかも。
結局 小さなトラブルはたくさんあっても大変な事態にはならず、無事に旅を終えることが出来た。
旅にでて、絶対に英語が話せるようになりたい!英語を勉強するぞ!
と思う人は多いと思う。
私も 心の底からそう思い、誓ったはずなのに・・・・
日常生活に戻り、日々の仕事と遊びに追われだすと すっかりその決心はどこえやら・・・
いわゆる 「成田決心」が実行に移されたことは一度もないまま、相変わらず今も英語が話せない私。
語学が出来たら 旅の楽しさは何倍にも膨らむ。
それは わかっているのになぁ
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