月の耀き

月の耀き

伝えたいこと


でぃんを子供乗せ自転車の前カゴに乗せて、昔のさびれた商店街をチンタラ走っていたときのこと。
人・車どうりも少なく、いいお天気でおしゃべりしながら楽しい自転車。
そんな時向こうからやってきた、同じように子供を自転車に乗せた親子連れとすれ違いました。
すれ違いざま、でぃんが「すごいブツブツ~!!」とデカイ声でつぶやく。
私はとっさに自転車を停め、後ろを振り返ると何事もなかったように走り去る自転車。
その子は 一目でアトピーとわかる状態でした。
でぃんは「ぬりぬり先生(皮膚科のこと)のところ行くのかなー」などとのんきに言っています。
でぃん自身私に似て皮膚が弱く、刺激に反応しやすいため皮膚科に頻繁に通っていました。
なので自分の体に出来るブツブツにも敏感で、それがどういうことかはよくわかっています。
私「あの子はでぃんにブツブツって言われて、すごく悲しい気持ちになったかもしれないよ。相手が悲しい気持ちになるようなこと言わない!!」
で「お薬塗れば治るよー。ぬりぬり先生のとこいかないの?」
私「お薬塗っても治らないブツブツもあるんだよ」
で「なんでー?」
私「とにかく ブツブツって言われたら悲しくなっちゃうから、そーいうことは言わないの」
私はでぃんに「言わない」ということを教えたかったのではなく、もっともっとどうしても伝えたい大切なことがありました。
でもそれをでぃんが理解できるような言葉で伝えられない。
まだ理解できないのかもしれない・・・頭と気持ちが混乱し、その場では「言わない」ということしか伝えられず、気持ちはザワザワしたままでおさめてしまいました。

でぃんと五ヶ月違いのイトコ こっちゃん。
こっちゃんは出産時のトラブルで重度の肢体不自由というハンディキャップをおっています。
急な出産の知らせに駆けつけた私たちは、翌日義妹と対面。
義妹の命も危険な状態だったので、とにかく無事で比較的元気そうな姿にほっと安心しました。
その後義妹と赤ちゃんの初対面の場面に私たちも立ち会ったのですが、両親しか入室を許されないNICUの窓ガラスに張り付くようにして、必死で保育器に入っている赤ちゃんを見ようとしていました。
義妹が赤ちゃんの手を触っている姿に、涙が止まらなくなり兄である夫もその場からすーっと消えていました。
でぃんは覚えているでしょうか・・・
退院後義妹が言っていたのは、自分の目で赤ちゃんの姿を見るまで、夫も医師も看護婦も実母も私たちもとにかく全ての人の「赤ちゃん助かったよ。大丈夫だよ」という言葉を全く信じていなかったと・・・
自分にショックを受けさせないためみんな騙してる。と思っていたそう。
それほど追い詰められての出産でした。
退院してきたこっちゃん、当初は比較的順調でしたがその後ミルクを飲まない、寝ない、泣き続けと壮絶な育児状態に。
転機のきっかけは、こっちゃんが笑顔を見せるようになったこと。
ほとんど動けなくても、目がちゃんと見えてるのかも不明でも、子供の笑顔のパワーというのはスゴイ。
この笑顔のためなら何でもする!という気になります。
こっちゃんは おばバカと言われればそれまでですが、本当にカワイイ。
育児というより介護状態の義妹はキレイごとじゃ済まないけど、癒し系の子なのです。
そんなこっちゃんが最高の笑顔を見せる場所、ディズニーランド。
昨年の秋に義妹一家と私とでぃんで行く機会がありました。
ディズニーリゾートはハンディキャップを持つ人たちに対するサービスに関しては、日本で一番の娯楽施設だと思います。
それでも気になる点は多数・・・こっちゃんと一緒に行動して初めてわかるいろいろな問題点。
体は細いながらも身長があるこっちゃんのオムツ替えが、これからの外出の一番の問題点だね。などと話していたとき、義妹に
「でぃんも もっと大きくなったらこ○○と一緒にお出かけするのを嫌がるようになるかもしれない。それまでにいっぱい一緒に出かけよう」と言われました。

大ショックでした・・・
義妹はイヤミでそーいうことを言う人間ではありません。私がショックだったのは義妹に言われるまで、全く自分はその事を考えなかったということ。
でぃんは赤ちゃんの頃からこっちゃんのことをそれはそれは大切に扱い、話しかけ、大好きで会うのを楽しみにしていました。
ありのままのこっちゃんを一番自然に受け入れているのは、でぃんだと思います。
こっちゃんが歩けないこと、しゃべれないこと、でぃんに聞かれたらもちろん話すつもりですが、まだ聞かれたことはありません。
「一緒に出かけるのをイヤがるようになる・・・」
私はそれがどーいうことか、わかっています。
こっちゃんと一緒に外出すると、浴びせられる視線、視線、視線。
どうして気になるか?私が見ている人を見るから。浴びせられる視線に反応するから。当の義妹夫婦はそんなこと気にしていられる状態じゃない。
意識は視線を浴びせる人ではなく、こっちゃんに向いています。
視線に慣れたというのもあるでしょう。
でぃんがどう感じるようになるのか、わかりません。
そして そのとき 私はでぃんに何て言うのだろう。

以前 とても信頼している友人とこういう話をしたことがあります。
彼女は「親が態度と行動で示していくしかないと思う」といいました。
私もそう思う。それしかないと思う。
長い長い時間をかけて、伝えていきたい大切なこと。
言葉で表現しきれない、いろいろな思い。
でもいつか でぃんに言葉でも伝えられるようになりたい。
本当の優しさには何が必要か・・・心の強さなんだと思う。

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