MOOMIN KINGDOM 2

MOOMIN KINGDOM 2

1・2 始まり

何かあやしげな空気が流れている。

時が経つのが遅く感じる。

僕をこれほど惑わすものがこれまであっただろうか、いやどこを探しても見つからなかった。

そこにいる全ての人が僕を見ている。

僕がここにいる事が間違いのような目で・・・。

しばらく僕はそこから動けなかった。

ふと気付くと後ろにはパトカーや報道車が次々と到着している。

通りかかった人か誰かが通報したのだろう。

もちろん辺りはざわめきとどよめきとでとても楽しい街とはいえないような光景である。

僕の後ろではアナウンサーがこのじょ今日を説明している。

「只今、現場に到着しました。なんということでしょう。人が、大勢の人がいます。年齢も服装もそれぞれ違っています。服装に至っては時代を越えたように違いがあります。閑静な住宅街のど真中、街のシンボルであるこの丘でいったい何が起こったのでしょう。私の後ろには目撃者らしい男性の姿があります。ちょっとお話を伺ってみましょう。」

その男性はもちろん僕のことだ。

こんな時にそんなインタビュー受けようと思うわけがないのだ。

しかし報道陣はその意志を認めてくれない。

僕が逃げようとも逃がしてはくれないのだ。

「すみません、目撃者の方ですか?」

カメラに写ってはもう嘘もつけない。

仕方ない、受けるとするか。

「はい、そうですけど・・・」

「いったいこれはどういうことなんでしょう。今までにこの街でこのような怪奇現象が起こった事はありますか?」

怪奇現象・・・これは怪奇現象なのか。

マスコミというものは礼儀も何も分かっちゃいない。

怪奇現象呼ばわりされている人の気持ちを少しでも考えたのか?

しかもその事をネタにしている。

おもしろ半分のニュースに僕が参加しなければならないのか。

どこか腑に落ちないような気がするが・・・

「いいえ、ありません。」

「では、初めてということですね?」

わざわざ確認する必要があるのか?

ないと言ったらないんだろう。

初めてだからないと答えた。

2回目なのにわざわざないと嘘をつく必要はあるのか?

「はい。」

「それでは、あなたが目撃したときどのような状況でしたか?」

状況も何もただ散歩していると、見つけただけのことなのだが・・・

ここは正直に話すか。

相手はおもしろ半分、それを批判する立場としておもしろみのない解答は僕にとっても気持ちがいい。

「僕は朝から散歩をしてました。そして太陽の丘を登った先で休憩しようと思ってたんです。するとこのありさま。色んな人が僕の方をじっと見ていました。彼らは何かを求めているような目をしていました。今の彼らを見てください。完全におびえているでしょう。彼らはおそらく何もしていません、僕達も、もちろん彼ら自身もこの状況を把握できていないのだと思います。それを怪奇現象というのは失礼だと思いますが・・・」

あぁ、余計な事を言ってしまった。

話しているとなんだか怒りがこみ上げてきて・・・

こんなこと言ってしまえばまたインタビューが延びるのではないだろうか・・・。

「貴重なお話ありがとうございました。では一旦スタジオにお返しします。」

都合の悪いときはスルーか。

上手くできたもんだな、テレビ局って。

「なんであんなこと言ったんですか。もっと空気呼んでくださいよ。プロデューサーに怒られてしまうじゃないですか。」

スタジオに返してから説教か。

なんで僕がそんなもの聞かなきゃいけないんだ。

一応反論しとくか・・・面倒くさい・・・

「ニュースってそんなもんなんだ。真実伝えるのがニュースじゃないの?ニュースとバラエティ混同する方がよっぽど間違いだと思うんですけどね。」

「・・・」

さすがに返す言葉も見つからない・・・か。

おもしろくない。

そんなことより僕はなぜ彼らがここに来たのか、そして彼らはなぜ服装も何もかもがばらばらなのか、そういうことを知りたいのだ。

知りたい・・・

今僕はこう思っていた。

初めての経験かもしれない。

自分から進んで何かをしようという気持ちになったのは。

そういえば・・・

「(携帯電話を取り出して)・・・ピッ・・・・ツーツーツー」

「もしもし」

「あっもしもし雅人です、こんにちは。」

「おぉ雅人かぁ、今テレビ出てたやん。なんかかっこいいこと言ってたやんかぁ。で、おっちゃんになんか用か?」

「実は、そのテレビの内容なんですけど今太陽の丘を越えたすぐの池にいるんですよ。そこにね、色んな人がざっと1000人くらいいるんです。その人たちがなんでここにいるんだろうっていうことが気になって・・・」

「で、おっちゃんに手伝って欲しいと・・・」

「その通りです。タロおじさん刑事さんでしょ?だからそういうのには詳しいかなと思って」

「ほぉ・・・興味はあるな。よし、分かった。調べようか。じゃあとりあえず今から行くから待ってろ。後待ってる間にできるだけたくさん写真を撮っておけ。」

「わかりました。ありがとうございます。では失礼します・・・ツーツーツー」

本当にどうなってしまったのだろう。

一刻も早くこの謎を解いて彼らに安心させてあげたい。

タロおじさんにはかなり協力してもらわないといけないだろうけど、こんな気持ちになれたのは初めてだ。

このチャンスは絶対活かさないといけない。

よし、いっちょ頑張ってみるか!


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: