MOOMIN KINGDOM 2

MOOMIN KINGDOM 2

1・6 時をかける少女

翌日、僕はタロおじさんと共に警察へ行った。

「おじさん、あの人達の中に過去に捜索願いが出されている人がいるはずなんですけど探すことって可能ですか?」

「うん、まぁ大丈夫やろけど…なんでそんな事が分かるんや?」

「あの人達の一人に昨日話を聞いてきたんです。彼女、自分は1994年から来たって。」

「そんな馬鹿馬鹿しい…でもお前が言うんやしなぁ、調べても損にはならんやろから…やってみっかぁ。」

「お願いします。」

「じゃあ調べるからちょっとそこのソファーで待っといてくれやぁ。その子の名前なんちゅうの?」

「沢下遙です。失踪当時の年齢は8歳。ですから現在は21歳のはずです。」

「おう、了解了解」


でもあの子の言うことが正しいのであれば…

彼女は時代を越えてやってきた、ということになる。

他の人も同じ時代から…

いや待てよ…そんなはずはない。

時代を超えてやってきたというのが正しければ…

あの軍服を着ていた男の人は戦争中にここへ来た。

そんなことがありえてもいいのか??

確か最近「時を駆ける少女」っていう映画がリメイクされてたな。

あれは確か…

「何かの拍子にタイムリープっていう能力を得た話…よね、雅人。」

「そう、それだ!ってえっ??」

「おはよっ、雅人」

「なんでここにいるんだ?愛梨」

彼女は金井愛梨。

一応僕の従兄弟だが…

僕はあんまり彼女を好きになれない…いや、好きになれないふりをしている…

「なんでってお兄ちゃんに会いに来ただけじゃんかぁ」

「馬鹿!こんなとこで腕組むなって」

「いいじゃん、もう…恥ずかしがらないのっ」

こんなことされたらいくら従兄弟って言ったって意識しちゃうだろがっっ!!

「それでさぁ、お兄ちゃん何ブツブツ言ってたの??」

「あぁ、愛梨は気にしなくていい。」

「何それぇ、あたしには関係ないって?」

「うん、大した事じゃないから心配するな」

「うん…(なんか隠してるね、お兄ちゃん。お兄ちゃんに隠しきれるかな…)」

こんな大事な事件に愛梨を巻き込むわけにはいけないんだよ、ごめんな。

でもなぁ、今日はこいつずっと付いてきそうだし…バレるのは時間の問題だな。


「お~い、何しとんのやぁ!」

「あっタロおじさ~ん!!」

「お前は声がでかすぎるって!」

「おっ愛梨も来とったんかぁ、また雅人といちゃついとったんやろ、この色男めが!」

「いてっ、そんなんじゃないですっ!!」

うわぁ、やばい…顔真っ赤だ。

自分でも分かる…

「でやなぁ、見つかったぞ雅人。沢下遙。」

「ホントですか!?」

「1994年9月20日に捜索願いが出ている。両親の話によると、家族で長野の湖岸に行っていたそうだ。なんでも娘さんの誕生日らしくてね。それで昼食をとって散歩に行き彼女が一人になってからの彼女の行方が分かっていないそうだ。捜査では雑木林の先の丘の上にくまのぬいぐるみが落ちていたそうだ。」

「1994年9月20日…湖岸…雑木林…くまのぬいぐるみ…間違いないです。それは彼女です。それで今両親は?」

「それから両親は長野で暮らしている。娘さんを探すために。現在でも長野に暮らしているそうだ。」

「両親に連絡をとれますか?」

「いや、まだ無理だ。この手の事件は世の中に出すと面倒くさいことになるからな。」

「そうですか…ありがとうございました。また彼女に会って話を聞いてきます。」

「そやな、そうしてくれや。」

「はい、ではまた連絡します。」

「おう!」


確かに彼女の言う事は正しかった。

でもまだ納得いかない。

タイムリープ…何がタイムリープだ。

ここは現実だぞ、映画じゃない。

「お兄ちゃん」

「ん?」

「さっきの話聞いてるとすごい事に手だしてるよね?」

「そうだなぁ」

「あっ吐いたっっ!!」

「やべっ!」

くそっまた言っちゃった。。。

どうしていつもこうなんだろ、こいつだけには勝てない。

「あたしにも何かできることないのかなぁ。」

やっぱりそう来たな。

こいつは優しすぎる。

ホントに優しすぎる。

だから僕は君が……

いやいやいやそんなこと考えてないです、僕はそんなんじゃないです。

待てよ…愛梨は女の子だ。

遙ちゃんも女の子だ。

ということは何か新しい進展があるかもしれない。

女の子同士だから話せることとかってあるのかもしれないし。

「なぁ、女の子同士だから話せる事ってあるか?」

「もちろん、身体の事とかぁ、」

「いやいやそんなんじゃなくて!!」

「…恋バナ!?」

「そうでもない」

「でも悩み相談的なかんじでしょ?さっきの沢下遙って子の。」

こいつ勘だけはいいんだよなぁ。

「その通り。明日大丈夫か?一緒について来てくれる?」

「大好きなお兄ちゃんの頼みだもん、断るわけにはいかないじゃん♪」

「大好きとか言わないのっ」

「あっ照れてる~かわいっっ」

「かわいいじゃない!」

「あっおこったぁ」

「怒ってない!!」

「おこってるじゃん」

「もういいです、はやく帰ろ…」

「うん♪」

また腕組んでるし…まぁいっか。


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: