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焔の岸辺
マリンペスト(海の病原体)の脅威
海草のジャングルが広がるオーストラリアの豊かな海が、日本からやってきた、ヒトデに脅かされています。
オーストラリアの主要な輸出品は、紙の原料となる木材チップ。最大の輸出先は日本です。日本から大型の貨物船が港に入りました。さっそく政府の検疫調査官が船に乗り込みます。
オーストラリアは世界に先駆けて、
バラスト水(積荷のない状態では船内に海水を積んで重し代わりとし、船体を安定させる。この積まれる海水のことを、バラスト水Ballast Water)と呼ぶ。底荷(ballast:船底に積む重し)として用いられることからその名が付いた。)
の持込規制を厳しく実施している
のです。チェックするのは、バラスト水を外洋上で交換しているかどうか。規定違反の場合は、入港を拒否されることもある。
この日、4万4千トンのこのパナマ船籍の船は、その半分近く、2万1千トンのバラスト水を積載していました。調査官は、厳密に調べるためにそのサンプルを採ります。
果たしてこの中には、どんなマリンペストが潜んでいるのでしょうか?
これは、オーストラリアのとある、動物大学。バラスト水のサンプルはここに運び込まれます。港に入った、ある船のバラストタンクの底の部分のサンプルを顕微鏡で分析してみます。すると、三千から四千種の様々な海洋生物の卵、微生物、プランクトンが生きたまま含まれていることが確認できます。
最も毒性が強いとされる、有毒渦べん毛藻.現状では食中毒を引き起こしている。。
肉眼では見えないほどの微小な
マリンペスト
、しかし彼らこそ世界の海の生態系を変えている大きな原因なのです。<
中には人を死にいたらせるほどの毒をもったものもいます。そして実際、オーストラリアでは、このバクテリアが原因と考えられる食中毒も発生していました。
この街を襲ったのは、ヒトデだけではなかったのです。
豊かな海草のジャングルが、多くの命を育んできたタスマニアの海。ところが、ここ数年そのジャングルにも異変が起きています。
この海で魚達を守ってきたジャングルが、いま、日本原産のワカメの森へと変わりつつあるのです。日本からの貿易船に、付着してやってきたワカメ。実はこれだけふえたことにも私達日本人が深くかかわっていました。
ワカメの異常繁殖の直接の原因はウニです。ウニが異常に増えて、海草を食い荒らしたのです。
その後に日本のワカメが入ってきて、次々とその辺りを独占していったのです。
ウニ自体はマリンペストではありません。
そこかしこに、ウニの歯で食いちぎられた海藻が漂っています。しかし、何故もともと、この海にいたウニが異常繁殖したのか。その原因はウニの天敵、ロブスターの乱獲(ロブスターを多く捕ってしまったこと)にありました。そしてそのロブスターの行く先こそ、日本人の胃袋だったのです。
海草のジャングルは、ロブスターとウニの微妙なバランスによって保たれていました。
しかし、ロブスターが減ると、天敵のいなくなったウニが異常繁殖。ジャングルを食い荒らしたのです。そして、その後を日本のワカメが独り占めしたのです。一旦崩れた自然のバランスはもう元に戻すことはできません。
ワカメの繁殖を止められないなら、それを利用しようという新たな挑戦もあります。
しかし、ワカメの芽かぶからは免疫力を高める有効な成分が発見されました。現地では、医薬品として有効利用しようとしています・・。
タスマニアの海にやってきた日本原産のマリンペスト、ワカメ。いつの日か、この海に海草のジャングルがもどることがあるのでしょうか。?
ワカメを根絶することが不可能なら、もっと現実的に考えるべきではないでしょうか。ワカメを有効利用して、地元の産業にする試みがあります。
マリンペストを医薬品に生まれ変わらせようとしている・・・。
いま、世界中の海でマリンペストとの戦いが始まろうとしています。日本では外来種の持込に関する外来生物法が施行されました。しかし、日本から大量に持ち出されているマリンペストに関しては、規制がまだまだ緩いです。
故郷の海の風景を一変させるマリンペスト。
知らなかったでは済まされません。なぜなら海の異変はきっと必ず、私達人間に降りかかってくるから。
気が付いたときには、もう取り戻すことができない海。その恐ろしさを、オーストラリアの南にある小さな町が既に警告しています。
備考
マリンペストが増えてしまった原因は、
1.日本人が、ロブスターを乱獲、捕りすぎてしまったこと。そのため
オーストラリアの海の生態系のバランスが崩れてしまったこと。
2.オーストラリア側から、日本への紙(パルプ)の原料を運んだ船が、自国へ
帰る際に、日本のバラスト水(上記、説明済み)を持ち帰ってくるため、
マリンペストが増えてしまった。
という原因が挙げられると思います。
こんな状況では、いつか、日本の海に沈んだ、ダイオキシンもオーストラリアの海に持ち帰ってしまうといったような危険性も考えられうるかもしれません。
そんなことになってしまわない前に、自分のここのフリーページにも書きました、小さなはしがきですが、こんな内容の話→
紙の原料の代替物
も、現実にならなければならない?日が来るかもしれませんね。
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