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私の仕事は、小売を営む企業様と深く関わらせていただく商売です。本部の方とお話をするだけでなく、サービスの現場である店頭にうかがう機会が多くあります。現在のお客様だけでなくまだ加盟店になっていないショップの視察もさせていただくのですが、そんなある日のこと。あるスーパーマーケットを訪れました。たまご売り場が充実した店舗だったのですが、ちょっと面白いことに気づいたのでここに書きます。商品が大きな棚の何段にも並べられ、それぞれに商品・価格プレートが掲げられています。その横に手書きのPOPが添えられて、丁寧かつ積極的にお客様にたまごを買ってもらおうという姿勢がうかがえます。こんな感じ。■名古屋コーチンの卵 6コ入り 380円 名古屋コーチンから産まれた卵です。卵殻色は桜色です。■みちのくの赤たまご 6コ入り 237円 味の秘密は、希少鶏黒鶏。普通よりも大きい鶏が産んだたまごです。■四季の恵たまご 10コ入り 279円 恵のひとつは国産玄米。フードアクション日本協賛商品です。■ヨード卵光 6コ入り 322円 ヨード成分をにわとりに食べさせることで卵の中に移行させた食品で、卵黄と結びついたヨード分が健康に強く働きかけるミラクルエッグです。■地養卵(三重県産)白卵 10コ入り 259円 飼料に地養素をミックスした三重県産のたまごです。■旨味賛卵赤たまご 6コ入り 170円 健康な赤鶏が産みました。履歴が確かなたまごです。■森のたまご 10コ入り 259円 コクと甘みのあるプリッとした黄身が人気。キレイなオレンジ色で料理に映えます。■味わい茜白たまご 10コ入り 218円 ビタミンEを強化した白いたまごです。しかし。私はふと考えました。たとえば、「今日はすき焼きだから少々奮発しても新鮮で美味しいたまごにしよう」と思っているお客さんがいたら、その人は上のうちからどのたまごを買うのでしょう?POPに色々と説明がしてあってそれぞれのたまごの特徴はわかるのですが、横に並べたとき商品同士を差別化する基準や要素に、実は乏しいような気がします。“希少鶏黒鶏” と “健康な赤鶏” とでは、どちらがよりお肉や野菜を引き立てるような味わいがあるのでしょうか。“ビタミンEを強化した白いたまご” と “フードアクション日本協賛商品” とでは、どちらが家族団らんの場を盛り上げてくれるのでしょうか。「サッカーと野球、どちらが強いですか?」と問われるくらい、難しい(答えようのない)選択なのではないかと思います。結局お客さんが「価格」と「日付」を基準にたまごを選んで行くようでは、せっかくのPOPがもったいないですね。(※POPを書いた人も努力ももったいないですが、一々読んだお客さんの時間ももったいない。)商品を説明する際にFeature(単純な商品・サービスの説明)やAdvantage(商品・サービスの優位性)を中心に書くとこのようなことが起こりやすく、Benefit(商品・サービスの先にあるもの)に思いを馳せると、お客さんに手がかりを与えやすいのではないかと思います。「すき焼きならコレ!ネギとの相性抜群☆もりもり食べて明日のあなたの活力に。- みちのくの赤たまご 6コ入り 237円」「ママ、今日のお弁当のたまご焼きすっごく美味しかった!と笑顔で言われました♪(28歳主婦)- 四季の恵たまご 10コ入り 279円」なんていうノリのPOPが並んでいると、より売り場が楽しいような気がします。中村晃一
2015年04月24日
皆様の周りでもインフルエンザが流行ったりしていませんか。私どもの会社でもしばらく前からちらほらとマスク姿が目につきます。今日、うちの事業のNマネージャーから私の携帯に電話がかかってきまして、「すみません、新型になっちゃいました。」というものですから、「わー!誰にも近寄らないですぐ帰って。」と自宅待機してもらうことになりました。私も気をつけなくてはいけないと思って、ミーティングの最中マスクをはめておりましたら、太田君がくれたのがこれ。「マスクケアのど飴」“マスクをしていてもお口の中爽やか”と書いてあります。これ、マーケティング的になかなかすごいですね。ニッチマーケットを獲りに行く作戦、たまごかけごはん専用醤油と同様に狭く深く切り込むことで結果的に大きな市場を手にすることができる(かもしれない)というプロダクトの一例です。それを「マスク」と掛け合わせたところが、唸らせます。調べてみるとこの商品だけではなく、類似のコンセプトの「マスク用あめ」がいくつも発売されているようです。ちなみに味のほうは結構辛口でした。鼻がすーすーするくらいがちょうど良いのでしょうね。楽天 中村晃一
2009年12月07日
そろそろまたボジョレー・ヌーヴォーの季節ですね。今年の解禁日は11月19日木曜日。うちの近くの酒屋さんは、木曜日の深夜0時から1時まで、1時間だけ店を開けて試飲会&販売をするそうです。ビールをケースで注文したりすると、6本だけ冷えたものを混ぜて持ってきてくれるような細かな配慮をしてくれる酒屋さんなので、試飲会の話を聞いてもさすがだなあと思います。こういうタイミングの商売って、なかなかネットがまだ踏み込んでいけていない領域なんですよね。実は。深夜に1時間だけ店を開けるなんて、実にポジショニングを良くわかったマーケティングではないでしょうか。地域に根ざしたとんがり戦略。いろいろなもののヒントになりそうな気がします。楽天 中村晃一
2009年11月05日
中谷先生のHOTERES連載『サキヨミサービス』に、こんなエピソードが載っていました。市川雷蔵さんの映画“陸軍中野学校”に出てくるシーン。面接教官が地図を机の上に広げ、スパイ志願の人間に対して、質問をします。「今から言う都市を示せ。」都市名を言って、地図の上を指し示すやり取りが繰り返されます。しばらくすると、教官は質問します。「地図を広げる前の机の上に、何が置かれていたか?」市川雷蔵扮する主人公は答えます。「たばこ、ライター、灰皿、手帳、万年筆。」教官は続けます。「たばこの銘柄は何か。」「敷島です。」「灰皿には吸殻が何本入っていたか?」「長いのと短いのが、1本ずつです。」・・・このエピソード、相当深いと思いませんか。地名を答えることは、予習をして知識をインプットしていればできるレベルのことです。また地図が取り出されるとき、誰もが地図に関する質問をされるだろうと予想します。しかし地図を広げる前の机の上に何が置かれていたか、という質問を想定してそれらのものを頭に入れておくという所業は、誰しもにできるわけではありません。想像力と察知力、そしてそれらをつなげる力。「すごい」仕事や「すごい」サービスとは、実はこのあたりに本質があるのではないかという気が致します。楽天 中村晃一
2009年10月23日
音楽アルバムを買うとき、皆さんはどういう探し方をしますか?ミュージシャンの名前から?レーベルから?曲名から?アルバム名から?音楽のジャンルから?・・・いろいろな探し方がありますよね。購買行動の源泉をたどり、それをWEBに反映させることがすなわちネットでのビジネスを成功させるユーザーインターフェイスづくりの基本だとは、従来から何度かご説明申し上げてきたとおりですが、最近タグの商用化がめざましいので、あえて話題にしたいと思います。たとえばここに、“弦楽四重奏曲集(ドビュッシー、フォーレ、ラヴェル) エベーヌ四重奏団 ”というCDアルバムがあります。このアルバムのタイトルを見て、これがなんと「なんだか眠れないとき」に聴くものだと、そういうイマジネーションが働く方いらっしゃいますか?もちろん上に挙げたような通常の検索もできるわけですが、もし100人のレビュー投稿が皆「眠れないときに聴くといいよ」とWEB上で言っていたとしたら、それは立派にインデックスの役割を果たすということです。つまり「なんだか眠れないとき」というタグに紐付けされたアルバムの中から、ユーザーが消費行動を始めるというこの構図。先日このブログにも書いた、お客さんが単なるお客さんで終わるのではなく、売り手の役割を(一部)果たして行くという一例でもあります。HMVさんが始めたタグタイルでこの実装が見られます。「甘えたい」「とことん沈みたい」「ファイト一発」など様々な切り口が用意されていますが、従来のインデックスのように売り手が勝手に分類をするのではなく、ユーザーのレビューにつけたタグによりこれを仕分けしているというところにこのサービスの肝があります。色々なジャンルで応用可能なタグの一例ということで、今更ながら話題にしてみました。データの蓄積がその精度を高めていくので、今後はそのあたりが期待されるところですね。楽天 中村晃一
2009年10月13日
単なる「お客さん」はもういなくなった。多くの方がそうおっしゃっているとおり。特に最近そのように思います。ひょっとすると昔から単なる「お客さん」はいなかったのかも知れないけれど、個人が情報発信するツールが発達してそれがより明確になった、というのが正しいのかもしれません。インターネット上への情報アップロード数が、インターネットからのダウンロード数を上回るだろうという予測は、それが現実になる日までのカウントダウンをより速いスピードで刻み始めている気がします。ただの消費者はいない。彼らはときによりサービスの提供者であり、オピニオンを発する人たちであり、ビジネスのパートナーであったりします。いわゆるプロシューマー。いきなりプロシューマーとまではいかなくても、レビューという行為が日常的なものになっています。例えばホテルに泊まりに行って、サービスを受けているときは彼らはお客さん。しかしチェックアウト後、掲示板にお客さまの声を寄せたり、アンケートに回答したりするとき、彼らはホテルの評価者となるというのがインターネットが出現して以来、当たり前のことになりました。最近はさらに、各種のSNSやブログ、Twitterなどのサービスに、デバイスが多様化することによって旅の途中から生の情報をどんどんネット上に発信できるようなインフラが整ってきています。時間で、タイミングで、瞬間瞬間に情報発信がされる環境。それはすなわちひとつひとつの「声」がより生々しく力をもって他の受信者に伝わるということを意味すると思います。マーケティングにおける「口コミ」のパワーがますます増幅しているということです。また口コミ者の発言は、オンラインで繋がっている人の数で“乗数的に”広がりを見せます。Twitterでつぶやかれた文章は、50人のフォロワーがさらに50人ずつフォロワーを持っていれば、2,500人のユーザーに広がっていくわけです。(理論的には。実際は見ないかも知れないけど。)従来ネットサービスにおいては、集客とコンテンツはしっかり切り分けて考えたほうが良いというのが定石でした。基本は今も変わらないはずです。しかしコンテンツやサービスそのものが、集客力の向上に資するという二者の間の“距離”が爆発的に縮まってきたのではないかと思います。彼らを味方にできるかどうかというのが、サービスの成否自体を決めかねないくらい重要なポイントになりつつあります。さまざまなレイヤーの事業の提供者が、ここにより大きな関心を払うべきだと私は考えます。「ユーザーを理解する」というのはもう使い古された言葉かもしれませんが、変わりゆくユーザーを知るという行為が、事業の展開に今以上に重要だった時代はないのではないでしょうか。単なる消費者はもういない。単なるお客さんはもういない。そういう認識とそれに対する取組みは、きっとサービスレベルの質自体も上げていくと思います。楽天 中村晃一
2009年10月08日
訂正、とまではいかないまでも、勉強不足でした。モバツイッターってこういうことだったんですね。http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0909/18/news093.html昨日の記事の補足を兼ねて。(ITmediaより)ある休日。妻と2人で外食しながら、携帯電話をチェックする。携帯電話向けTwitterクライアント「movatwitter」(モバツイッター、モバツイ)にアクセスし、Twitterをチェック。うまくつながらないと「帰りたくなる」。 Twitterにはまっていて、どうしてもチェックしたいから、家に帰ってPCで確認したい――というわけではない。「監視の意味で、いつもチェックしている」。藤川さんはモバツイの開発者。15万ユーザーが使うサービスを、1人で開発・運用する。 普段はpaperboy&co.で、ショッピングモール「カラメル」を統括するプロデューサー。モバツイは趣味だが、「家にいる時間はほぼずべてモバツイに費やす」ほどの力の入れようだ。長期休暇は「機能追加週間」。お盆休みもゴールデンウィークも、機能追加や負荷対策に明け暮れた。休む時間もないが、楽しいという。 2007年4月に開発してから2年。月間ページビューは6000万と、個人が運営するサービスとしては破格の大きさに成長した。負荷の急増に「このままではヤバイ」と焦ったこともあったが乗り越え、今は「1億ページビューを超えたい」と意気込む。使ってくれるユーザーがいることが、励みになっているという。動作テストも「Twitter的」 妻のすすめでTwitterを使い始めた07年4月、Twitterが日本語の投稿には完全対応していないことに気付き、日本語の自動送信ツールとしてモバツイを企画した。携帯電話向けにしたのは、画面デザインが苦手だから。PCより小さな画面で済むし、Twitterは、モバイルと相性がいいと考えた。 自分用に作ったサービスだが、一般公開してみたところ、口コミでユーザーが拡大。当時はTwitterの携帯電話向けサービスがなかったこともあり、「1日100人ぐらい増えていった」という。携帯電話からTwitterに写真を投稿できる機能や、GPSから位置を取得する機能など、思い付いた機能を盛り込んでいった。 新機能の動作テストは「Twitter的」だ。自分やサービスのTwitterアカウントで新機能を告知。フォローしているユーザーがテストした結果を報告してくれるため、テスト用端末を購入して1つ1つチェック――という手間もなく、2日ほどで各キャリアのテストが完了するという。 機能追加は試行錯誤。クリップボード機能など、「あまり受けなかった」機能もあれば、“ふぁぼり”機能(Twitterのお気に入り登録機能)などよく使われる機能も。「独自の機能はあまり使われない。機能追加はTwitterという文脈の中で行わないと受けない」と気付いたという。 ユーザーIDやパスワードといった個人情報の管理も、重要な仕事だ。パスワードは暗号化。ログイン後のアクセス用URLは外部にもれないよう、検索よけを施している。ユーザー本人がソーシャルブックマークに登録するなどしてURLがWeb上に載っているのを見付けた場合は手動で削除するなど、気を配っている。自宅サーバの限界に挑戦 ブレーカーが落ちたり、徹夜メンテも 「自宅サーバでどこまでできるか、突き詰めたい」と、つい最近まで自宅サーバで運用していた。 最初の2年は、サーバ1台と、手持ちのルータで運用。負荷が増えるにつれ、メモリを増設し、CPUを増強し、データベースサーバを追加し――と工夫していたが、Twitter本サイトに紹介リンクが掲載された今年5月以降、ユーザー数やアクティブ率の急増に伴い、ルータの負荷がいっぱいに。ルータを増強したが間に合わず、家からUstreamを見られなくなったり、ネットにつながらなくなったりした。「自宅サーバでは600万PVが限界」だったという。 自宅サーバで運用しているとメンテナンスも大変だ。HDDが壊れて徹夜でメンテしたこともあれば、ハブが壊れ、仕事を抜け出して家に帰ったことも。エアコンは24時間フル稼働。それでも部屋は暑いという。サーバとエアコンに加え、自宅の家電も使ったらブレーカーが落ちたこともあった。自宅サーバの調子が悪いと機嫌が悪い――そう妻に言われたこともあるという。 サーバを増強するにも自宅にはスペースがなく、電源容量にも限界が。実家など別の場所に置かせてもらうにもメンテナンスの手間がかかる。自宅サーバでの運用の限界に来た6月、米Amazon.comのクラウドサービス「Amazon EC2」に一部サーバを移行した。EC2ならハード面のメンテナンスが不要で、サーバの“増設”もほんの30分程度で可能。負荷対策も簡単になる。「EC2がなかったら、個人運用は続けられなかった」 EC2の月額費用は1600ドル(約15万円)と痛い出費。約2万円の電気代とHDD取り替えなどメンテナンスコストとだけで済んでいた自宅サーバ時代とは比べものにならないが、コストは、モバツイに貼ったAdSenseでまかなえているという。「“AdSense狩り”にあったら死にます」 「モバイル版AdSenseってどれぐらいのものだろうか」――モバツイにAdSenseを導入したのはそんな興味から。貼り付け位置などを工夫するうち、「PV増に伴って収益が上がる流れができてきた」という。AdSenseはほぼ唯一の収入源。「“AdSense狩り”(規約違反などでGoogleにAdSenseを止められること)にあったら、モバツイは死にます(笑)」 寄付も募った。お金がほしいというよりは、「見知らぬユーザーが増える中、ユーザーとつながっている実感を得たい」という思いから。ネット企業役員などから高額の寄付もあったが、「運営コストをまかなうには厳しい」額にとどまったという。 ユーザーが藤川さんの励みだ。運営には手間もお金もかかり、寝る暇も休む暇もないこともあるが、モバツイは楽しいと笑う。「モバツイを使ってくれている人がいること、モバツイで生活が変わったと言ってもらえることがうれしい。インフラを提供して、ニコニコしていたい」Twitterが“電話”になれば…… 当面の目標は、月間1億ページビュー達成だが「どうなるか分からない」というのが本音だ。Twitter日本版公式の携帯サイトの開発も進んでおり、「公式日本版ができればユーザーはそちらに流れるだろう」とも思う。ただ「Twitterが電話ぐらいのインフラになれば、モバツイのような派生ビジネスも、なくならないだろう」という期待もある。 いつかは、Twitterなど外部サービスに頼らず、ゼロからユーザーを集めたオリジナルサービスも、作ってみたいという。楽天 中村晃一
2009年09月19日
遅ればせながら最近私もTwitterを始めました。WEBのインターフェイスを研究するのは仕事のひとつでもあるわけですけれど、色々なサイトを使ってみるのは面白いですよね。Twitterはミニブログの一種と言われたりもしますが、言葉(記事というより言葉)がどんどんフローで流れていってしまう点や、ゆえにアーカイブを引っ張り出してどうこうというような情報発信のあり方には向いていない点など、ブログとは根本的に構造が異なるような気がします。一方でリアルタイムの動いている感がとても強く伝えられるメディアでもあり、だから私がやっているような「ブログ更新しました」というようなつぶやきは、たぶん本来の使い方ではないはずです。リアルタイムだったら、楽天ブログだってケータイで投稿できるじゃん、とお思いかもしれませんが、タイトルを入れたりタグを付与したりといったフォームはそういう行動形態には不向きなんだと思います。Twitterのモバイルインターフェイスは(改良の余地のある部分は多いと思いますが)、“What are you doing ?”とシンプルにフォームが用意されていて、そこに文字を打ったら“Go!”ボタンを押すだけなんですよね。情報伝達のあり方が、フォロワーの数×フォロワーの数によって乗数的に広がりを見せるという点も、このメディアの特徴のひとつです。ハッシュタグなどという機能も使い方次第でマーケティングに活かせると思います。Twitterを使うメリットを享受する際には、しかし自社のサーバーにログを溜め込んでデータマイニングするような発想をある程度捨てる必要がありますね。しっかり整理して、使い分けをしていくべきだと考えます。それからステップの踏ませ方で感動的なのは、やはりFacebook。つながり力がスゴい。つながり力というのはすなわち、勝手につながるわけはなくて、つながるための「仕掛け」がものすごく良く考えられているということなんですが。例えば、メールアドレスのドメインを見て、ひょっとしてお友達ではないですか?とずらり楽天の役員の顔写真が出てきたり、'91年長崎北陽台高校卒業というプロフィールを見て、同じ学校に通っていましたという人たちが並べられたその横に「友達になる」ボタンが設置されていたり、非常にアグレッシブにつながらせるためのポイントが落とし込まれていると思います。友達だけでなく友達の友達までつながっていける拡張性。つまり当たり前ですけれど、こういうのを目にするたびにつくづく思うのは、思想や哲学がインターフェイスを決めていくということです。しかも重要なのはその細部。本当にディテールこそがユーザビリティを決め、サービスの広がりを左右すると思います。興味深い記事があります。ピーネストという会社のやや小規模なリサーチではありますが、それによれば・女子中高生の8割はTwitterを知らない・女子中高生の7割は「リアル」を知っていて、4人に1人は「1日10回以上」つぶやいている(参考URL:http://www.p-nest.com/research/rst.php?seq=1568)「リアル」というのは「リアルタイムブログ」の略で、いくつものサービスがありますが、中身を見るとTwitterが外部の不特定多数に向けた情報発信であるのに対し、リアルは個人を中心とした(仲間内の)ライフログの積み上げといった色がより濃いような印象を受けます。こういうサービスのインターフェイスがユーザーの層までも決めていくわけですね。ちなみにTwitterユーザーの6割は35歳以上だと言われています。私のTwitterはこちらから。よろしければフォロワーになってください。最新のつぶやきはこの二人の写真つき投稿です。 ↓楽天 中村晃一
2009年09月18日
何かわからないことがあったら、検索エンジンに訊ねてみる。そんなユーザー行動が、定着しまた加速しているのは世界的な潮流のようです。(出典:comScore qSearch,July 2009) 米comScoreのリサーチを見ると、世界の月間検索数は1,136億回。昨年対比+41%という実績が出ています。地域別に見ると、ひとりあたり検索数が最も多いのは、中南米で130.4回。パネラーの母集団の偏りによって少しバイアスがかかっているとは思いますけれど、世の中もうこんなことになってるんですね。私は、うーんどうでしょう。数えたことありませんが、ひと月に間違いなく130回以上検索していると思います。万歩計ならぬ検索回数測定器があると面白いかも。楽天 中村晃一
2009年09月14日
今日は一日朝から有楽町の会議室にカンヅメでありますが、お昼休みは外出できるので、さきほどランチに行ってきました。当たり前ですが東品川とだいぶ街の様子が違います。お昼はいろんな会社の方が入り混じって周辺の飲食店に行かれるようです。数多くのお店があって、目移りしてしまいますね。 ・・・こんな感じ。しかし多くの軒先を比べる中で、私がひときわ惹かれたのはこちら! 「チャーハンのおいしい店」です。とんがってます。狭く深くアピールをするそのキャッチコピーに、ワタクシ見事に捕らえられてしまいました。中に入ると、壁に貼られたメニューに躍る文字列もイケてました。「元祖職人チャーハン」「チャーハン検定合格者のプロの味」などなど。単にチャーハンと言わないわけです。実はラーメンやその他の丼もあるのですが、この辺に添えられたコピーも注文者の背中を押してくれます。「半チャン和だししょうゆラーメン~当店のスタンダード!元祖の歴史はここから!!」「オリジナル味噌をブレンドした最終兵器!!」「東竜飯~ガツンとピリ辛 男の味!!」強いコピーはターゲットを切り捨ててしまうリスクもあるわけですが、メインターゲットであろう30代男性の私にはグサグサささってくる内容でした。チャーハンを食べに店に入ったのに、つい「最終兵器」の味噌ラーメンに浮気しそうになったくらいです(笑)。肝心のチャーハンの味は・・・そうですね、食べてみてのお楽しみということで。楽天 中村晃一
2009年09月11日
久しぶりにモバイル曽根慶三くんが私に読んでみろと持ってきた本。『こころを動かすマーケティング』読みました。いや、すごい。素晴らしい本でした。曽根慶三エラい。著者は日本コカ・コーラの魚谷雅彦会長。ライオンからクラフト・ジャパン副社長等を経て、1994年、39歳で日本コカ・コーラ取締役上級副社長に就任して以来、数々のプロダクトブランドの再建・構築に携わられた方です。2001年に社長就任、2006年に会長となられています。さすがプロフェッショナル・マーケッターという感じで、この本に書かれていることは一節一節がマーケティング的にかなりレベル高いと思います。難解な言葉で書いてあるということではなく、読む側のレベルに応じてその深さが浸透してくるようなレベルの高さ。intrinsic value を120年間変えていないコカ・コーラという製品がextrinsic value の変化により時代を経てトップブランドに君臨し続けていること、ペネトレーションとフリークエンシーのバランスをブランド毎に管理しshare of stomach を経済価値に変えていくこと等々。純粋に、国内で一日5,000万人が消費するというプロダクト・マーケティングがどのような発想で行なわれているかを知るだけでも、相当興味深いですよね。しかしこの本は単にマーケティングの実際を説明しているだけではありません。むしろ強力なチームや組織とはどういうものかを全編を通じて描いた本であると思います。缶コーヒーのジョージアをNo.1ブランドに押し上げたチームワークのくだりは、読んでいて涙が出そうになりました。マーケティングとは単にエンドユーザーに向けたコミュニケーションではなく、経営そのものであり、新しい価値をつくっていこうという志のことだと魚谷さんは説きます。「人の喜びや楽しさ、便利さ、感動など、人の心を揺さぶり、動かすようなものを考えていきたい、と思う気持ちに仕事の原点がある。」マーケティング関係のみならず、営業系の方、サービスを提供する全ての方にご一読をおススメします。楽天 中村晃一
2009年08月14日
先日書きましたGoogleのピン、見学に行ってきました。恵比寿駅、西口改札を出たところに出現していました。「おぉ。」って感じです。隣にいたカップルも「あー、これこれ♪」と言いながら近寄ってきていました。覗き穴から中のディスプレイを覗いたところ。 穴の横にイヤホンを差し込むところがあります。差込口だけ。今や皆iPodで音楽聴いてるからイヤホンは各自が持っているでしょう、ということなのでしょう。ここらへんもイケてる印象を醸し出していました。ほんのディテールなんですけど、“YOUR HEADPHONE HERE”というシンプルなメッセージが、ターゲットやコンセプトを想起させるわけです。オブジェの横のポケットにはリーフレットが入っています。ピンの形をした冊子には「わたしの好きな場所」を選定した著名人達の紹介文を掲載。ピンの横には青い制服を着た警備員のおじさんがいました。壊されたり落書きされたりしないように見ているということなんでしょうね。おじさんはとてもとてもとても暇な様子で、ときおりリーフレットを整頓したりしていました。楽天 中村晃一
2009年08月08日
もう皆さん街で見かけましたか?Googleマップのリアル版「ピン」。実物を見に行きたいと思いながら私もまだ見られずにいるのですが、またもやGoogleさんやってくれましたという感じのマーケティング施策です。今週3日から始まったこの企画、著名人がお気に入りの場所をGoogleマップ上に公開する「わたしの好きな場所」というサービスと連動し、その現地にアイコンを模したピン型オブジェを設置してインターネットと現実を繋ぐというプロモーション。文字で説明するより見ていただいたほうがわかりやすいですね。こういうWEB上の画面があって、色々な業種で一線でご活躍の方たちが自分のお気に入りの場所に「ピン」を立てています。建築家の平田晃久さんが場所のひとつに「築地本願寺」を指定したことにちなんで、築地本願寺の前に高さ4mのピン型オブジェが登場し、その前で記者発表会が行われたのだそうです。(マイコミジャーナルの記事より拝借)色々な場所にピンが置かれます。ピンの設置場所と日時は下記のとおり。渋谷駅 センター口 8月3日~8月9日 恵比寿駅 西口 8月3日~8月9日 新宿駅 新南口 8月4日~8月5日 池袋駅 中央口 8月6日~8月7日 秋葉原駅 昭和口 8月8日~8月9日 オブジェには中央に覗き窓があり、各場所にちなんだYouTube映像を見ることができるそうです。もちろんYouTubeには専用チャネルが設けられています。http://www.youtube.com/user/favoriteplacesちなみにこのサービス、世界13都市を対象に展開しており、ニューヨークだとブルームバーグ市長がお気に入りの場所としてフェリー乗り場を紹介。Staten Island FerryBack when I was young and just starting out in New York, one of my favorite places to bring a date was the Staten Island Ferry.クロスメディア、バイラルマーケティング。楽しいですね。楽天 中村晃一
2009年08月06日
皆さん、もうご覧になりましたか?Googleが先週始めた“Moon in Google Earth”、通称グーグル・ムーン。20日にサービスリリースがされたのは、アポロ11号が月面に着陸したのが1969年7月20日だったからだとか。NASA エイムズ研究所 及び 宇宙航空研究開発機構(JAXA) と共同開発されたこのサービスでは、月面地図を検索することができます。このニュースを聞いて、セス・ゴディンの『「紫の牛」を売れ』が記憶によみがえったマーケターの方も少なくないのではないでしょうか。「こんなのやって儲かるの?」とお考えの向きもあるかと思いますが、一体何十ヶ国のメディアがこのニュースを取り上げたのでしょう?その媒体価値換算だけでも相当なもので、広報効果は優に採算ベースに乗ると思われます。こうやってバイラルで話題になっていくことを考え合わせるとなおさらです。また、これがGoogleというブランドの鋭利なユニークさと先進性をますます強固にイメージづけることを考えると、実に上手いと言わざるを得ません。(こんなオモロいことやる企業で働いてみたい!と思う人も増えたりするでしょうね。)Internet Watch の記事によれば、Googleでは現在、月面でのホスティングアンドリサーチを行なう「Google Copernicus Hosting Environment and Experiment in Search Engineering(G.C.H.E.E.S.E)」の研究を着々と進めているという。Googleでは人類の月面着陸100周年を記念して、2069年7月20日に「Google Local」の技術をGoogle Moonに組み合わせて、ユーザーが月面での住所や電話番号をすぐに探し出せるような「ムーン・オリエンテッド」な地域情報サービスを提供するとしている。とあります。うーむ。面白すぎ。楽天 中村晃一
2009年07月27日
今日の朝礼、第2技術プロデュース部の藤森君のスピーチがすごく良かったのでご紹介します。「インプットはミーハーに、アウトプットはプロフェッショナルに。」彼が表現したのは、つまりどんなに業務や業界に精通しても、初心忘れずユーザーとしての目線を大切にしたいということ、しかしプロダクト・サービスを提供する際には高度な技術や仕掛けに裏打ちされた上質なものにこだわりたいということでした。藤森君は昔からバンド活動をやっていて、友人にある有名なアーティストがいるそうです。その友人がアルバム制作をする際に、“街”を題材にしたものにしようと考えました。そう決めた彼が何をしたか。大きな紙に、街のデッサンをしたそうなんですね。絵に描くだけでなく、細部にわたってイマジネーションを膨らませます。たとえば街の中にテレビ局があれば、その局の名前まで考えるという具合に。テレビ局の名前が曲に、またはアルバムに出てくるわけではありません。しかし一枚のCDをプロデュースするに際して、彼にはそういった作業が必要だったというわけです。プロの仕事だと思いました。わかりやすい例で言えば、お鮨屋さんの「仕込み」みたいなものでしょうか。目に見えない、表面に出てこない仕事が手を抜かずに施されたお鮨は、時として人の心を震わせ長く記憶に残るような体験を与えたりします。その積み重ねがお店の評判になり、ブランドになっていったりするわけです。ブランドとは、「約束」のことだと言った先生がいらっしゃいました。いつも違えず手を抜かず、そこに行けば約束されたクオリティのものが提供される、それがブランドだということです。しかしブランドとかプロフェッショナルだとか突き詰めて考えていくと、ともすれば業界に精通しそこの事情に左右されたり、またはマニアックになったりしがち。それをあえて「ミーハー」という言葉に表現されるような、ポップでキャッチーな一般的な感覚に引き戻して一方で思考できるかどうかが、実はその人のレベルを示すものなのではないでしょうか。ミーハーとプロフェッショナルの間を自在に行ったりきたりできる技量を、色々な分野でもてるように精進していきたいものです。楽天 中村晃一
2009年07月24日
夜、湾岸線を車で走っていましたら、お台場の観覧車がリボンになっていました。あれ?どこかで見たことあるリボン・・・あ!キティちゃんだと気づいたわけです。(サンリオさんのHPより拝借した写真です。こんな感じ。シークレットイルミネーションもあるとか。)今年はハロー・キティ、誕生35周年なんですね。年初より話題にはなっていましたが、6月下旬から始まったこのお台場の観覧車ほか、次々と繰り出されるプロモーションが圧倒的なのでつい書きたくなってしまいました。リアルとWEB、色々な展開がされているのですが、いちいち各媒体の特長を活かした仕掛けになっています。どなたがプロデュースされたのか知らないままに申し上げておりますが、あえておこがましい表現をさせていただくならば、「クロスメディア」というものをかなり高いレベルで“わかった”人がこれを手掛けられているようにお見受けします。観覧車というリアルな建造物を選択すると、何が起こるか。期間限定のゴンドラがある、特製イラストカードがもらえる、ゴンドラに入ったキティちゃんのグッズがある、そういったことももちろん特別で重要なことですが、マーケティング的な意味合いを考えると何よりすごいのは「そこに行った人が知る」のではなく「見た人すべてが人に教えたくなる」ということですね。しかも東京のいたる場所から見える観覧車。ゆりかもめの車内にベタッとプロモーション告知をされているのは言うまでもありません。WEBでの展開、というときも十把一絡げにせず細かくメディアの選定と特性に沿った戦術が見られます。特設サイトももちろん設けられているのですが、たとえばアメブロさんで展開している「プレゼント」にスペシャルコンテンツとして5色のキティが提供されていたりします。コミュニケーションマーケティング、バイラルマーケティングでムーブメントが波及していくための仕掛けですよね。35周年記念サイトには、キティ検定があり、スペシャルムービーがあり、iPhoneアプリがあり、メッセージ募集の告知があります。そしてイメージソングは、東方神起のジェジュンとユチョンのデュエット曲「COLORS~Melody and Harmony~」。9月から全国のサンリオショップのBGMになるそうです。グッズも本業だけあって、相当盛りだくさん。バッグにぬいぐるみにマグカップに各種の小物。それぞれ別デザインラインで、発売日を違えて世に出されます。英国王立造幣局が鋳造した記念硬貨にいたっては、もう誰も追いつけないレベルのような気がしますけれど。まさにクロスメディアマーケティング。さすがハロー・キティ。ロンドン郊外出身という設定のこの猫ちゃんは、1974年の誕生以来代々3人のデザイナーの手で育まれ、いまや世界約70ヵ国、年間5万種類のグッズ展開がされているそうです。お台場のキティ観覧車は9月23日まで。機会あれば皆様ご覧になってください。⇒35th Anniversary Hello Kitty Colors ハローキティ誕生35周年記念サイト楽天 中村晃一
2009年07月21日
フォーラムに参加いただいた施設様の中で、特に熱心なところからは個別にメールなどをいただいたりしています。そうです、熱いうちに行動することが何より重要。わかったような気になっていても、それを表現しなければ知らないのと同じですからね。R-mailやページについての意見を求められることが多いのですが、ひとつ、皆さんに共通して言えることがあるのでここで書いておきます。・「顔の見える」メールやページというのが良いのではないでしょうか。ユーザーにとってはあまたある宿泊施設から皆さんのところを選択するという理由が必要なわけですけれど、コミュニケーションによってそれをなそうと思えば、やはり自分達が何者であるかをしっかりわかってもらうことが重要だと思います。極端な話まったく同じ商品を扱っていても、選ばれる営業マンとそうでない人がいるのと根本は同じことです。エンターテイメントとは、人の心を動かすこと。エンターテイメントとは、演出。同じことを伝えても、そのインパクトが違う。エンターテイメントとは、それがあることでお客さんに楽しんでもらいながらコミュニケーションが図れ、お客さんとの距離を縮めることのできる強力なマーケティング手法のひとつ。お客様と、どんどん上質なコミュニケーションをとっていただければと思います。楽天 中村晃一
2009年07月08日
しばらく前から展開中のフリスクのキャッチコピー、イケてますね。「Hello,Idea」Feature,Advantage,Benefitでいえば、完璧にBenefitを表現したこの広告、久々にスカッとした気がします。ものすごく短いセンテンスの中に含まれた意味の深さは、その道に詳しい人ほど余韻を残すのではないのでしょうか。Hello,Idea.楽天 中村晃一
2009年06月28日
今日6月9日は、ドナルドダックの誕生日。ディズニー作品『かしこいメンドリ』(The Wise Little Hen)で彼が初登場したのが1934年の今日なんだそうです。実に、75歳。すごいですね。さて。そんな話題と直接関係はありませんが、今日の竹内謙礼さんのメルマガに、強烈に良いことが書いてありました。私がECコンサルタントをしていたときに、言葉は違えどお客様に説いていたことを、よりクリアな言葉で明快に表現されていて、「そうそうそう!」と頷きながら読んでしまいましたので皆様にもご紹介したいと思います。(中略)最近、ちょっとある法則に気がついたんですが、自分の取り扱っている商材やサービスが、世の中にあまり需要がないものを取り扱っている人になればなるほど、「戦略」のせいにするケースが多いんですね。チラシのキャッチコピーが悪いんじゃないか?DMの配布エリアが間違っているんじゃないか?SEOが悪いんじゃないか?キーワード広告の戦略が悪いんじゃないか?ホームページそのもののデザインが悪いんじゃないか?いろいろ、悪い点を探す姿勢は認めるんですが、そう言う人に限って、絶対に自分の取り扱っている「商材」や「サービス」のせいにはしないんです。最終的には、取り扱っている商品に対して、どのような付加価値をつけるかが、売上に大きく影響する課題であって、キャッチコピー作りやSEO、楽天広告なんていうのは、「オマケ」みたいなもんなんですよね。世の中で誰も求めていない商品やサービスに対して、どんなに小手先の販促テクニックをからめても、やっぱり「売れないもん」は「売れない」んです。しかし!「自分の取り扱っている商品そのものがダメ」ということを認めると、今までの努力そのものを全否定するようなものだから、やっぱりそうカンタンには認めたくはないものなんですね。おそらく、本人も「この商材とサービスはダメなんじゃないか」と心の奥底で薄々思いながらも、それを直視したくないから、「戦略」のせいにして、自分を誤魔化そうとする人が多いんです。いいですか?「戦略」を見直す前に、まずは自分の商材やサービスに対して、しっかり客観的に、そして直視する姿勢がビジネスには必要です。その姿勢がないまま、いつまでも商品を愛し続けると、意味のない「戦略」の改善行為をずーっと続けることになるんです。ビジネスの世界の全てに言えることなんですが、最終的に「考える」という力がある会社は、どんな不況時でも生き残ることができます。お客様の喜ぶサービスを考えたり、お客様の喜ぶ商品を考えたり、この「考える」が、お金に換算されるのが「商売」なんです。いかがでしょう?私のブログでも、戦略とかマーケティングの手法について考えることが多いわけですけれど、根本的には上に書かれているようなことが大前提だと思っています。事業をやるということは、1)その本質的な価値が何であるかを定義し(つまり自分のやりたいこと・やるべきこととやらないことを区別のうえ、それが生み出す“意味”を明確にし)2)それが多くの人に知られ支持され愛されるにいたるまでの道順を考え(場合によってはそれを邪魔するものをいかに制していくかということも含め)、いくつかの分野で方針を練り、3)各分野でのコミュニケーションのをとり方を具体的に企策して、実行していくことだと説明できると思います。つまり、今までにも何度か触れたように、1)がミッションコア、2)が戦略、3)が戦術であります。1)→2)→3)の順にそれは波及していくべきものであって、逆は不可なんですね。本質的な価値をないがしろにして、戦略や戦術を語っても何も意味がないということだと思います。(以前、「突き抜けていくサービス」でご案内した図)竹内さんのメルマガは、これを日常のマーケティング施策に落としてわかりやすく説明されていて説得力があります。とても勉強になって面白いメルマガですから、ご興味の方はこちらから登録なさって下さい。⇒ http://www.e-iroha.com/ドナルドダックもあのキャラクタや物語が素晴らしいからこそ、きっと75年も世界中の人たちから愛され続けているんですね。決して広報戦略が巧みだからというだけでは、そうならないということです。楽天 中村晃一
2009年06月09日
今月の12日に発売になったMOSDO第2弾のハンバーガー、今週末に食べました。ご存知の方も多いと思いますが、ミスタードーナツとモスバーガーのコラボレーション商品。ミスタードーナツではハンバーガーの形をしたドーナツ「ドーナツバーガー」が、モスバーガーでは、ハンバーグがドーナツの形をしたハンバーガー「ドーナツバーガー」が販売されています。(ちょっとややこしいですけれど、簡単に言うとお互いの形を模した本業の商品があるということです。) 左がドーナツ、右がハンバーガー。どちらも「ドーナツバーガー」ミスタードーナツを運営する株式会社ダスキンと、モスバーガーを運営する株式会社モスフードサービスは2008年2月に資本・業務提携を行なっているんですね。それぞれ4.1%、1.55%にとどまる株式の持ち合いなのですが、こういう形で継続的にユーザー向けの新企画が打ち出されるのは、本当に実のあることだと思います。片方食べたらもう片方も食べてみようかな、って思います、実際。楽天 中村晃一
2009年05月24日
今日、香港のWホテルの中にあるレストラン“FIRE”から届いたワイン会の案内。ちょっと格好良くないですか?単なるDMなんですけど、デザインの力を感じてしまいます。フィーチャーされているワインは、南アフリカの「RUPERT」ですね。ルパート家は高級ブランドグループ・リシュモンのオーナーだと言えば、ピンとくる方も多いかもしれません。カルティエ、ピアジェ、ヴァシュロン・コンスタンタン、ランゲ&ゾーネ、IWC、モンブラン、ダンヒル、ランセル、クロエ・・・これら皆リシュモン傘下のブランドであります。上の案内状、Wのコンセプトに沿って「WHO」「WHAT」「WHERE」と記載があります。「WHO」のところの、“W Hong Kong,Rupert Wines and you.”というのがグッときませんか。今度の金曜日(May 22)、なんて行けませんけれど(笑)。こうやって口コミでも広がるわけですから、デザイン/クリエイティブの格好良さってマーケティング上やはり重要なことだとあらためて思います。楽天 中村晃一
2009年05月19日
昨日5月13日に販売開始された、東京ディズニーリゾートの「“おとなの水曜日”パスポート」。45歳以上の方は、1DAYパスポート通常5,800円が5,100円になるというものです。マーケティング的な観点からこれを考察すると、興味深いものがあります。「おとな」を、子供連れの同伴の人、ではなく、新たにホワイトスペースとして捉えなおすリポジショニング。先日このブログでも取り上げたハッピーセットの逆マーケットを獲りにいくわけですね。考え方としては特に新しくないわけですが、「それを実現させるための具体的方法」をいくつか提示してくれているケースとして面白いと思います。(成果についてはこれからでしょうから、あくまで実験的興味という意味で書かせていただきます。)昨日の日経新聞に全15段広告を出されていました。テレビCM も流されています。起用した女優は黒木瞳さん。「デートでも子供のためでもない。ちょっと忘れてたな・・・この感じ。」と黒木さんがつぶやきます。クリエイティブはこんな感じです。(ちょっぴり恥ずかしい格好?(笑))こういう逆張りマーケティングをやるときの手法の要諦は、つまりメジャー感なのだと思います。一種の「許し」であります。・45歳以上の人でも、大人同士で遊びに行って良いんですよ。・こんなはじけた格好をしちゃっても良いんですよ。そういう提案がされるとき、受け手側にとってはそれがマイナーな意見なのかメジャーな潮流なのかという感覚は、それに「乗る」かどうかの重要な判断ポイントのひとつです。だからもっと言えば(予算が許すなら)、これにテレビの特番などを組み合わせるとか、マスコミで流行り言葉(「アラフォー」のような)を造成してよりメジャーな印象を醸成するとかやれば、これはより強固なプロモーションになるでしょう。・みんなやっているから、あなたもやって良いんですよ。ユーザーは背中を後押しされるわけです。「良いんですよ=許し」マーケティング。そういった広義の「パーミション(許し)マーケティング」は他にもその原理を応用したものが見られますね。たとえば『ヤッターマン』。最近また映画が公開されたりテレビ放映がなされたりして、小さな子供に人気を博しているようです。私くらいの世代が、昔見ていたアニメなんですよね。2世代を睨んだマーケティングを考えるとき、実は根底に横たわるパーミションの感覚に狙いを定められるかどうかが、成否の大切なポイントになり得ると思います。自分が子供の頃見ていたアニメって、その事実だけで、他の見たこともない(得体の知れない)作品よりもパーミションレベルが高いわけです。子供と一緒に映画に行きやすい。なぜなら、ゼロベースからその作品を調査する必要がないから。共通言語が作りやすいから。むしろ共通体験を求めているから。ヤッターマンの玩具が売ってあれば、「昔自分もヤッターワンの超合金を親父にねだったっけ。」などと、過去の思い出と共に手に取ったりします。それを買い与えてよいかどうかの判断が、普通の見知らぬアニメを題材にした玩具より圧倒的にし易い。昔の体験がパーミションレベルを一段高いところに押し上げています。通常、子供向け商品の購入判断軸は、それが経済合理にかなっているかどうかに加えて、それが有害なものではないかとか、子供に与えた結果どのような影響を与えるかというベネフィットまで考慮されるべきものです。そういう意味でも、「少なくともこのおもちゃで育った子供は自分くらいの大人にはなる」という実証がそこに既にあるわけですから、他の商品と同じ棚に並んでいたとしても、購買心理としてはパーミションレベルがスタート地点から全然違うわけですね。はじめから「許された」状態にある商品・サービスが競争優位にあることは、言うまでもありません。ちなみに、“おとなの水曜日”パスポートは500円の買い物割引チケットがついていて、これをフックにしたグッズ購入の導線設計がされているとか、結構細部まで見ていると着想の切り口がいろいろ工夫されていて勉強になります。楽天 中村晃一
2009年05月14日
皆様、マクドナルドのハッピーセットをご存知だと思います。ハンバーガーのセットにおもちゃがついてくるやつですね。あの商品がなしたものをマーケティング的な視点で考察すると、色々深いものが見えるなあと今更ながら感心しています。ハッピーセットを巡っては、子供のころから味覚を慣れさせることで長期的なファンを作る戦略であるとか、以前より諸々の説が飛び交うわけですが、ここでは短期的にあの商品が実現しているマーケティング的な意味を考えてみましょう。大きく2つ、あると思うんですね。ひとつは購買の決定権者をシフトしたという点。家計の支出を決める人、通常は親であるはずです。だけどハッピーセットがあるせいで子供が「マクドナルドに行きたい」って言うわけですね。モスバーガーじゃなくて。別に彼らはマックのハンバーガーが食べたいわけではないのだと思います。本当はおもちゃが欲しいだけ。しかし、休日の午後のファーストフードくらいだったら、子供に購買の決定権を譲り渡しても良いと考える家族が多いのも事実で、2週に1回玩具が入れ替わることで、ここにリテンションマーケットが生まれます。さらに、子供が購買決定権者になると何が起こるか。「○○ちゃんが持ってる」のに自分は持っていない、とか、これがないと仲間に入れない等という、空腹需要以外での消費が促進されます。バイラルマーケティングの上を行く、共同体マーケティングであります。そしてもうひとつ。ここが重要なのですが、この“効果”といえば、単におまけがついているからハッピーセット420円分の購買が促進される、ではないんです。子供をきっかけにして、それに同伴する「家族4人分2,000円の消費が繰り返し起こる」といったレバレッジが効いているという点に、そのすごさがあります。ファミリー層の取り込みに強力なパワーを発揮するフックとなっているのがハッピーセットなんですね。日本マクドナルドさんが実際の原価計算をどのようになさっているか私には知る由もないわけですが、マーケティングのケーススタディとして考えるならば、採算の考え方は、玩具の原価○○円でハッピーセット420円の利益を割る、でなくて良いはずです。玩具の原価がかかる一方、繰り返し消費を行なう複数名の家族需要が取り込めた場合のライフタイムバリューでROI計算がなされるべきだと思います。いやー、ハッピーセットって深いですねえ。勝手に考えて感心している次第です。楽天 中村晃一
2009年04月24日
最近、「エンターテイメント」について考えています。 エンターテイメントは、サービス産業において消費行動へいざなう重要な要素のひとつだと思うんですね。 近頃、百貨店業界の再編が起こっていて、人事管理の話やコストリダクション、仕入れのシステムなど経営的な観点から書かれた書籍も多くあります。 しかしそもそもサービス産業の視点から百貨店というものを考えるとき、テクニカルなマネジメントの話よりもその「役割」に着目した議論があるべきではないかと思います。 高度成長期時代の“デパート”って、エンターテイメントを提供する場だったのではないでしょうか。 彼らはそこを訪れる人たちに、夢を与えて、ライフスタイルを提案していました。 そんな時代に強烈に支持を得て、そしてその本質が忘れられたとき、人々はデパートにかつての魅力を感じなくなったような気がします。 象徴的な数字をお見せします。 9,761億円。 2009年2月期の高島屋さんの売上高です。 2008年の楽天グループの流通総額は9,874億円です。高島屋さんの売上高を超えたんですね。 自分の属する会社の自慢をしたいわけではありません。 たとえば楽天市場というサイトの中で、ユーザーに向けてエンターテイメントな企画を展開する店舗さん達が、まさに時代の支持を得ているという事実が重要なのだと思います。 “Shopping is Entertainment !”これが楽天市場のコンセプトです。 品揃えや在庫数はもちろん大切。それが前提条件です。 しかし市場競争におけるプレイヤーのほとんどが同じような商品ラインナップを持ち得るとき、それでもなお「自社で買う理由」をお客様に提供するシナリオは何か。 エンターテイメントはその解決策のひとつなのだと思います。 しかしエンターテイメントって何でしょう。 「ひとの心を揺るがすこと」と表現した大物TVプロデューサーがいらっしゃいます。視聴率の怪物といわれた人物です。 「心からのもてなしで人々を楽しませること」とおっしゃる方もいます。 私なりにエンターテイメントをマーケティング的な見地から解釈するならば、 「エンターテイメントとは、それがあることでお客さんに楽しんでもらいながらコミュニケーションが図れ、お客さんとの距離を縮めることのできる強力なマーケティング手法のひとつ」 であります。 普通のおもてなしと何が違うかといえば、大気圏を突破できるだけのパワーをもった催しや仕掛けのことこそエンターテイメントと呼びたい、そんな気がします。 エンターテイメントは、提供する側の想像力が大きく問われます。 想像力を思いきり働かせて、ユーザーの期待を超える楽しみを提供していくことがこれからのマーケティングには重要だと思います。 今の楽天トラベルが十全にエンターテイメントを提供できているかというとそうではないのですが、もっと楽しいサイトにしていこうと考えています。 ご期待いただければありがたいです。 楽天 中村晃一
2009年04月16日
あなたがとんかつ屋さんの店主だったとします。この道を究めて、「最高のとんかつ屋」になろうと思ったとき、あなただったらどうしますか?多くの熱心なお客様に支持され、山ほどのリピーターを確保できるような店作りをしようと思ったらどうしますか?やはりお肉で勝負?価格で勝負?本格的で上質なお肉、いまやいろいろなバリエーションのものがあり、消費者の舌も肥えています。それを正面突破して本当にクオリティの高いものを限りなく安い値段で提供していこうと思うと、それは正攻法ではありますが、ややもすると価格の過当競争に陥りがちです。過当競争の末、疲弊してサービスを提供できないような状態になってしまえば、元も子もありませんね。価格競争を勝ち抜くことができるのは、No.1の巨大資本しか理論的にあり得ないのです。あなたがそんな巨額の資本もない、とんかつ屋さんだったとします。でも、資本力がないから圧倒的なリピーターの支持を得る権利がないかといえば、そんなことはありません。お肉で勝負する以上に、千切りのキャベツにこだわりなさい。美味しいお味噌汁と美味しいご飯で差別化できるとんかつ屋さんになりなさい。と説く本が、『ホテルのとんがりマーケティング』です。消費者にとって、どんな店でもある程度上質なお肉が食べられるのであれば、それはもうお店を選ぶときの絶対的な判断ポイントではないのです。でも提供側は往々にしてそういう固定観念に囚われがち。本当のニーズをそこで見落とす結果になっています。いかがですか?私がこのブログでも何度か解説をしたことのある独自化やポジショニングの話の、とてもわかりやすい一例だと思います。こういうわかりやすい事例を多く引いて、サービスのあり方を説いた一冊の本。マーケティング業界、サービス業界に関わるすべての方に、おススメします。『ホテルのとんがりマーケティング~すぐに使える70の実践テクニック~』楽天 中村晃一←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。
2009年03月09日
20日、スウェーデンの自動車メーカー「サーブ(SAAB)」が経営破綻したそうですね。サーブはゼネラルモーターズ(GM)の傘下企業だったのですが、世界的な新車販売の低迷で業績が悪化し、GMが分離検討とともにスウェーデン政府に金融支援を要請していたところ、スウェーデン政府が拒否。GMは資金負担に耐えられず、法的管理下での企業再生法の適用を申請したと書いてあります。実は私が生まれて初めて自分で買った車は、中古のサーブでした。SAAB 900 turbo という'91年式のやつで、カクカクしたシルエットが一時日本でも人気を呼んだことがあります。紺色の4ドアセダンで、ブルーのレザーシートでした。エンジンやボディはタフなのですが電気系統がやたらと壊れやすくて、本当に手のかかる車でした。今のサーブとはちょっと印象が違うでしょうね。もともと飛行機会社が作った自動車ということで、いろいろユニークな作り方がされていました。例えば、イグニッションキーは通常ハンドルの横側に差込口があると思うのですが、900 turboの場合はオートマチックギアのところにあるんですね。左ハンドルですから、キーを差し込む動作は右手を下のほうに伸ばすということになるわけで、乗りながら独特の風合いを随所に感じる車でした。計器類なんかについても、普通は向こう側から発光させるタイプが主流だと思いますが、この車の場合は上から常時照らしこむ方式でした。常時安全性の確保を図るためという説明でしたけれど、電気系が弱いと前述のとおり、私のサーブ君はこのランプが頻繁に切れて、夜走るときにはスピードメーターがまったく見えないという事態もしょっちゅうでした。手間がかかりながら、その個性が愛着を湧かせる良いクルマでした。でもその後サーブは新しい900シリーズにモデルチェンジする際から同じGM傘下のオペル(OPEL)と共用のシャーシを使うようになり、そこからだんだん普通の車になっていった気がします。記事中に「経営再建中のGMは米国内で8つあるブランドを半減するとともに、海外ブランドの統廃合に着手している」とありますが、自動車のブランドマネジメントは本当に難しいテーマだと思います。楽天 中村晃一薬販売規制で本当に困る人がいます。ネット署名にご協力下さい!
2009年02月21日
中村塾ってどんなことやってるんですか、と訊かれることがあります。基本的には秘密にしておきたいのですが(笑)、ちょっとだけご報告迄にご紹介すると、こないだの年末から年始にかけては「ブランディング」をテーマにワークを行ないました。「ブランド」という言葉、世間的には様々なレベルで使われています。いわく、「ブランド品って高いと思います」「ブランド牛の偽装問題が近頃よく新聞をにぎわしています」「うちの会社には100種類製品ブランドがありまして、その販売チャネルとして・・・」・・・云々。しかし私達が塾内で考えた「ブランド」はそのように乱雑でイージーな意味ではなく、真に研ぎ澄まされたマーケティング上の「ブランド」の再定義から入るわけです。高ければブランド?有名であればブランド?違いますね。それでは、ブランドとはすなわち何か?こういうことをケースに照らし合わせながら考えていきます。LOUIS VUITTONが約束するものは何か、ゴールドマンサックスというブランドから人々は何を想起するのか。アドバタイジングとマーケティングそしてパブリックリレーションと、ブランディングの違いは何か。そういう基礎的な理解は勿論ですが、ブランディングを考えるときにより重要なものとして求められるのは、経営の視座ではないでしょうか。自分達が手がける事業のブランディングを考えるとき、ステイクホルダーのそれぞれに対して何を約束していくのか、それには事業の構造的な理解が不可欠ですし、競合戦略上の視点がなければ実効性に乏しいものになってしまいます。だから「事業のブランディングを考える」というのは一種の総合力を問われるアウトプットケースなんですね。USP(ユニーク・セリング・プロポジショニング)のことを楽天では「とんがり」と呼びます。「ウリ」を「とんがり」に磨き上げるためには、その前段としてポジショニングシートを何十枚も作成してみる作業が必要かもしれません。そういった思考プロセスの習得を、塾の中では目指しています。次回、20回目を数える中村塾ですが、現在取り組んでいるテーマは「アカウンタビリティ」です。過去全ての講座はアーカイブ化してあるので、ご興味ある方は是非と申し上げたいところですが、現在のところ弊社リーダー向けのみに開講している自主勉強会であります。楽天 中村晃一←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。
2009年01月28日
皆さんご存知だと思いますが、adidasとPUMAはアドルフ・ダスラーとルドルフ・ダスラーの二人が兄弟喧嘩の末、1948年にそれぞれ独立して創った会社といわれています。両者が世界的なブランドになっているところがすごいですよね。製品領域や戦略面においては各々違いが見られますが。さて、そのPUMAが昨年末からやっている60周年記念キャンペーン。WEBサイトに行くと、自分の顔写真を使って上のような写真が合成で作れます。(左上でラグビーボールを抱えているのが私です。)それを色々な人が投稿するわけですが、メールアドレスを入力する時点でFacebookにも連動しているようです。簡単な操作なのですが、ユーザーにアクションさせ体験させるタイプのプロモーションとして非常に面白いと思いました。画像がこんな風にサイトに即時UPされるので、こうやって人に伝えたくなりますし。ブランドロイヤリティが高まりますね。こんなのも作れたりして。楽天 中村晃一←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。
2009年01月16日
「腕時計しなくなった」4割――― 日経生活モニター調査の結果、携帯電話の普及で腕時計を「まったくしなくなった」「しないことが増えた」という人が合わせて4割にのぼったらしいです。私が2002年当時、時計を取り扱うネットショップに対し「ポジショニングを考えていくと競合は他ブランドの腕時計というよりは、ケータイ」というコンサルティングをしていた話を、このブログでも何度か書かせていただいたことがあります。しかし、とうとう4割まできたか、という感じですね。他にも携帯電話の機能増加・普及促進による生活習慣の変化をいくつも調査項目として挙げています。・アドレス帳を全く持たなくなった 35%・家族と電話で連絡取る機会が増えた 56%・自宅への電話が減り家族の交友関係がわからなくなった 36%などなど。「電波の入らない地下街などを避けるようになった」という50代女性からの声は、地下街で商売なさっている店舗にとっては脅威ではないでしょうか?店舗のみならず、テナント貸ししているビル業者や不動産業者にとっても然り。こういう行動が増えてくると賃貸料の下落にも結びつきかねません。色々考えさせられます。しかしその中のひとつ、「詳細な待ち合わせ場所を決めなくなった・決めないことが増えた」という人が3割、といったような数字はもう少し深堀りしてみないといけないと思います。人と待ち合わせをする際に目的地に近づいてから携帯で連絡を取ればいいのであらかじめ詳細には決めておかないということなんですが、こういう行動習慣はジェネレーション別にかなりでこぼこがあるのではないかと推測します。つまり、私のようなおじさん世代は昔からの習慣のようなもので、携帯があるにせよ「一応」決めとこうという心持があると思うんですね。電話もメールもGPSもナビゲーションも使いこなせるけど、でも一応決めとかないとなんか気持ち悪いというか何というか。ところが、少し下の世代の子達と話をしていると、そういう感覚って理解できないみたいです。私が学生の頃、「天神(福岡の繁華街)に6時ね。じゃ!」と言うと「あ、はいはい天神にね。6時と。・・・っておい!そんなんで落ち合えるかぁ。天神のどこやねん?」とノリ突っ込みするのが おキマリの冗談だったんですが、こんなの今の子には通じないんですよ。「今日は渋谷で5時」って。本当にそれでいい。鈴木雅之さん&菊地桃子さんも真っ青てなもんです(笑)。だからある年代以上は頑なに待ち合わせ場所を決めるにもかかわらず、一定年代以下は3割どころじゃなくて9割くらい決めることがない、みたいな行動様式を理解しておかないとこういった調査データを見誤ることになり、新しいサービスやビジネス機会の創出に結びつき難いと思います。(そもそも日経生活モニターというのは携帯電話から登録できないようなので、その時点で母集団を見定めておく必要もあります。)私個人的には、携帯電話によるインターネット接続サービスの出現が、地下鉄に対するJRの競争力を上げたと思っているのですけれど、誰かそのあたり調査していただけないでしょうか。ま、これも接続圏がどんどんひろがっていくことにより解消されるわけですが。楽天 中村晃一←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。
2009年01月10日
9月12日号の週刊HOTERESに載っていた、中谷先生のホテル向けコラムの中にあった言葉。「行ってみたいホテル」より、「もう一度行きたいホテル」を目指そう。うーん、ささりました。楽天 中村晃一←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。
2008年09月17日
先日、「狭く・高く」売る“ポジショニング”の話をご紹介しましたけれど、このことについて誤解を生じてはいけないので、あらためて補足させていただきます。「狭く・高く」売るというのは、販売経路を遮断するのとは意味が違います。あくまで自社の商品が消費者の頭の引き出しのどこに収まりたいかを計算して、戦略的にそのブランドを作り上げていく行為に他なりません。にもかかわらず、売る場所を制限すればそれが実現するといったような幻想が巷にあるようなので、説明をさせていただこうと思います。簡単な話です。たとえば先日ご紹介した“たまごかけごはん専用醤油”の販売場所を、ダイエー限定にしてイオンでは売らない、という風にしたらその醤油のブランド価値は高まるでしょうか?答えは、否です。そういう手法でその価値を高めている醤油ではそもそもないからです。その商品のとんがりが十分に実現されているとき、イオンで売らないというような販売制限を設けることはむしろ顧客満足を下げます。「なぜイオンで売っていないのですか?」そういうお客様からの問い合わせが発生するだけです。醤油を扱う企業としては自社の素晴らしい商品を知ってもらう販売経路を自ら遮断することに合理的な意味はありません。(さらに肝に銘じておくべきは、99%のお客様は問い合わせすらしないという事実です。無言のうちに他社商品へと流れていきます。)ところがこのような簡単なことが、実際の世界ではまことしやかに行われていたりします。外資系の企業が世界的ブランドを打ち立てている一方、ローカルスタッフのレベルがそこに追いついていない場合等にこのような間違いが起きるようです。「自社のブランドを傷つけないように、販売経路を絞る。」一見正しいように思えるこの理屈は、2つの意味でブランディングというものを理解していません。その1.ブランドの強みが確立されたものでありその価値を十全に理解していれば、大概の販売経路は味方でありこそすれ、それを傷つけるようなことはない。その2.販売経路を絞るくらいで自社のブランドが高まると思っているとしたらそれはあまりにも考えが甘い。自社商品のブランド力がどこにあるのか、その正しい理解がないとき、影響を恐れて販売チャネルを拡大できないというケースに陥ります。このような守りに入ってしまうと言っている当人も正論を吐いているような気になりますが、そのブランドに未来はありません。もはやマーケティングが不必要なブランドなどこの世の中にないからです。上の例で言えば、ダイエーの仕入れ担当者は当社独占にしてくださいと申し入れをしてくるでしょう。自分たちにとってはその方が都合が良いからです。しかしそのような発言をする人間は、そのブランドの真の発展を願っているとは言い難いと思います。また場合によってはダイエー独占にすることによる経済的メリットの供与を提案してくるかもしれません。しかしどんなに優越的な条件でもイオン全店での取り扱いを反故にするだけの経済合理があるはずはないと思われます。新規顧客獲得によるライフタイムバリューとそれがブランド組成に寄与する影響度を考えれば尚更です。本質を見据えたプロフェッショナルなマーケッターであれば、このあたりを全て包含して考え冷静に判断を下すでしょう。「狭く・高く」売るというのは、商品の特長を磨き出しブランド力を高め、むしろそれによって大きく販売量を増やしていくという戦略的手法のことでありますから、そこを違えずご活用いただければと思います。楽天 中村晃一←いつもクリックありがとうございます。1日1回有効です。
2008年09月15日
前回の「誰に何を売るか」に関連する話題としてもう一つ、今日はどういう売り方をするかという話を取り上げたいと思います。「誰に・何を・どう」売るかという文脈でいうところの「どう」とは手法や表現の方法を指すものだと思いますが、今回話題にしたいのはむしろマーケティング用語でいうところの“ポジショニング”にあたる話です。近頃、安く・しかし大量に売って利益を得るというモデルがやや古びてきて、「狭く・高く」売るというマーケティングの手法が着目されていますね。たとえば皆様ご存知の、“たまごかけごはん専用醤油”。実に数十種類(ひょっとしたら3桁)の専用醤油なるものが既に発売されているようなのですが、これが一つのわかりやすい例です。(ポジショニングを体現するマーケティング事例として、一種のブームやアイデアでこの醤油を片づけるにはもったいないので、敢えて書きます。)当たり前ですが、たまごかけごはん専用、と謳うことで随分用途が限られてしまいます。できるだけ大量に出荷して利益を稼ぎたいと思っていた時代には、このような商品の打ち出し方はなかなか困難であったはずです。しかし今、なぜこのようなことをするのでしょう。本当にたまごかけごはんに使われることだけを目指して、職人がこだわりにこだわって専用の商品を全国で何十と開発してきたのでしょうか。構造を単純に説明するならば、狭く深く売るほうが経済的な利益が多ければこのような用途限定は意味があるということになります。つまり単なる醤油として製品を出荷していていも、消費者は何百という選択肢の中のひとつの調味料としてしか見てくれません。後発の製品であればあるほど、人々が古くから親しんできた「いつもの味」を覆して売上を伸ばしていくことなど、至難の業です。それをたまごかけごはんにはこの醤油だ、というとんがった認知をひろげていくことで、先にマーケットを占めていた製品を追い出しその座に取って代わる、これはすなわち2番手戦略の好例だと思うのですね。実はこれマーケティングの手法としては、古くはフィアットのパンダという自動車がドイツ市場に切り込んだ時の原理として有名です。フィアットは、その昔イタリア国内での販売頭打ちに悩んでいました。そのとき自動車王国ドイツ市場に着目し、そこでのマーケティング戦略に取り組んだことがフィアットパンダの売上高増に大きく貢献をしたと言います。彼らがとった戦略というのは、フィアットパンダは燃費が良く経済的で、IQの高い人には排気量の大きいメルセデスその他の自動車は無駄であるという一種のネガティブキャンペーンだったそうです。つまり、大型自動車に乗っている人はイケてなく、フィアットパンダに乗っている人は知的水準の高い素敵な人だというイメージの打ち出しであります。皆様おわかりのようにドイツは自動車王国であり、メルセデス・BMWに代表される大型車には根強いファンがいます。それを逆張りに小型車ユースに訴えることは、自ら市場を狭めているようなものであります。ところがここで、そのようなキャンペーンを張ることで9割のマーケットを失って1割の消費者の熱烈な支持を取り付けられるとしましょう。その1割=自動車大国でのシェア1割、が自国イタリアでの市場寡占度5割をたちまち上回る規模であったとしたらいかがですか?実際、フィアットパンダのネガティブキャンペーンはドイツ国内における殆どのユーザーに嫌われた一方、確実な1割のファンを獲得し、それはイタリア国内の市場の何倍にもあたる成功を意味したといいます。万人に受けることはない、大半の市場を一見捨てることに思える行為が、実際はそれをやらずに成りゆきで行なった場合に比べて大きなマーケットをとることができるという一例です。たまごかけごはん醤油も、このストーリーに沿った一種の戦略的市場シェアの獲得方法であるように思えます。非常に興味深いマーケティング事例ですよね。とんがることで捨てるものも出る一方、それを補って余りある市場を手にすることができるならば、用途限定という2番手戦略には非常に大きな意味があると言えるでしょう。「狭く・高く」の可能性を、自社の商品で今一度検討してみてはいかがでしょうか。楽天 中村晃一←いつもクリックありがとうございます。1日1回有効です。
2008年09月08日
最近身の回りのことばかり書いてマーケティング系のお話がお留守になっていたので、今日はちょっとその手の話を。家計の引き締めなどが今話題でもありますし、個人消費の総額は簡単に変化するものではありませんが、商売をやるうえでは「誰に何を売るか」のひと工夫が商機を作り出すことがあると思います。最近ショッピングモールなどにテナント出店しているある子供服ブランドが売上を伸ばしているといいます。このお店は誰に何を売っているのでしょう?子供服ブランドだから「子供に洋服を売っている」んでしょ、という答えではちょっとつまらないですね。このブランドがターゲットにしているのは、その子の両親・両祖父母であります。いわゆる6ポケットですね(最近では叔父叔母まで含め10ポケットともいうらしいですが)。つまり例えばおじいちゃんが、孫に“ありがとうおじいちゃん、大好き。”と言ってもらいたいがために洋服を買うわけです。おじいちゃんは別に洋服が欲しいわけではありません。孫の笑顔や可愛い姿が見たいのです。この場合、つまりこのお店は「おじいちゃんに孫の笑顔を売っている」という言い方ができるでしょう。これと同じようなことが、当然のように宿泊業界においても援用できます。例えばここにいる40歳のビジネスマンは会社では課長という肩書きですが、家庭においては小学3年生の息子の父親だとします。業務においては出張をします。なるべく交通の便がよい宿泊施設を望むでしょうし、経費の許す範囲でグレードの高い部屋に泊まりたいと思うかもしれません。ところが休みになるとこの課長は、父親として小学3年生の息子とバーベキューのできるペンションに泊まりたいと思います。近くに虫採りのできるようなクヌギ林があるといいし、一緒にボートに乗れる池などがあるのも理想的です。こんなニーズがあるときに自分の宿泊施設をその対象として欲しければ、「ビジネスマンに、息子がいきいきと活動し成長する姿」を売ることが求められます。いつもプレミアムホテルに泊まっているビジネスマンだからといって、このようなシーンにおいては必ずしも交通至便だったり設備が豪華だったりアメニティが充実していたりする必要はありません。誰に何を売るかで訴求するポイントは全く違ってくるのです。(この場合の「誰」とは、一人の人間の様々な側面を想像することによって複数の対象が考えられます。)しかも、子供が成長する姿を見るのに価格は激安である必要もないのです。しかるべき価値を提供できるとき、価格の過当競争から逃れることができるということも頭に入れておきましょう。このケースのようにビジネスパーソンを対象にすると、インターネット上で予約されている出張予約たるやものすごい数ですから、商機の対象はかなり大きなマーケットです。(うちはリゾート施設だから出張予約がなされるサイトには興味がない、などという見解はマーケティング的に言えば大きなチャンスを自ら放棄していることに他なりません。)でも、待っているだけでビジネスパーソンが自分のペンションのお客さんになってくれるわけではありません。提案して、気づいてもらうことが重要なのです。プランを作り、それを露出していくことが必要です。企画特集を利用するのも一手です。いずれにしても、今までのようにスペック重視の商品そのものをステレオタイプな“思い込み顧客”に売り続けるだけでは、他社と差別化を図り厳しい消費環境を打破していくことは困難でしょう。「誰に何を売るか」の深堀りが、これからのマーケティングを支える大きな要素のひとつになってくると思います。楽天 中村晃一←クリックありがとうございます。1日1クリック有効です。
2008年09月06日
前回の話題、サービスの差別化について、ちょうどこんな事例に遭遇したので皆様に共有したいと思います。こちらをご覧ください。私が楽天市場で日本酒を購入したら、それが配送されてきた包装の中に封入されていた手書きのお礼状です。「山々が緑色に染まって、それは美しい若葉の季節がやって参りました。春の花々が咲き乱れ、のどかな田舎の風景が広がっています。間もなく田植えが始まり、また緑一色に包まれます。この度は日本酒のご注文をいただきまして、ありがとうございました。ご指定の商品お送り致します。ご贈答用になさるようですが、きっと先方様にも喜んでいただけることでしょう。また何かの折には是非ご用命ください。時節柄なお一層ご自愛なされますよう。」と書いてあります。これを送っていただいたのは新潟は南魚沼の酒蔵八木という店舗さんなのですが、私がここでお酒を買うのは二度目になります。初めて買ったのは三月頃でしたが、特にこのお店のことを知っていたわけではありません。行きつけの鮨屋の大将が「なかなか手に入らない酒を無理言って酒屋から2本仕入れたんで」と言って飲ませてくれた八海山の純米吟醸がすごく美味しくて、自分でも買おうと思い楽天市場で検索して出てきたいくつかのもののひとつがこのお店でした。そうしたら届いた一升瓶の横に、新潟は今雪が多く積もっていてまだスキーのシーズンですといった文章で始まる手書きのお礼状が添えてあったんですね。手に入りにくいお酒ではあるけれどちょうど入荷があったのでお届けしますというニュアンスの一文もそこにあり、なんというか数十年の付き合いの酒屋の親父が私向けの酒が入ったから送っとくよ、と言ってくれているかのような錯覚に陥った次第です。これは、すごい。と素直に感じました。裏側を説明すると、いちいち全ての文章を書いているわけではなくて、手書きで書いたものの一部を差し替えてコピーを取っていらっしゃるのではないかと想像します。効率化しつつ、でも少しだけ手間をかけた結果がユーザーにしっかり響いている事例です。で、今回はお世話になっている鍼の先生に持参するためにもう一本これを買うことにしたのですが、私はもはや商品を検索して値段を比較検討してということはしていません。もう最初からこのお店で買おうと思ってしまっているのですね。これが他店と差別化するブランドだと思います。インターネット通販はマスマーケティングというよりは、One to Oneマーケティングを実現する究極の対面販売ですとECコンサルタントは説明するわけですが、こちらのお店はそれをしっかり実行されて私のようなファンを今日も全国に作り続けていらっしゃるのではないでしょうか。なんだかうれしくなりました。楽天 中村晃一←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。
2008年05月18日
“消費”というものについての意見が語られる、旭化成のへーベルハウスのCMがあります。「私達は次々に大量につくられるモノを、次々に大量に消費していく。」というフレーズからはじまり、「(中略)・・欲望は刺激され、モノの寿命はまた短くなる。このぐるぐる回るサイクルに、いつまでも回されるのだろうか。そこから出て、ゆっくりモノとつきあうのは、どうだろう。」と締めくくられる30秒ほどのメッセージは、こちらのページからご覧いただくことができます。ロングライフ住宅というものの考え方については賛否色々なご意見があるようで、私は不勉強なので今はそのどちらの立場にも立つものではありませんけれど、上のコマーシャル・メッセージにはひとつの時代の気分や方向のようなものを感じます。それはエコロジーという言葉に代表されるような地球資源・経済価値に対するひとつの考え方なのですが、心を砕かなくてはいけない対象が個々の家庭の経済的裕福さからより広い範囲の将来環境等へ大きくシフトしているように思います。昔たとえば食卓でわりばしを無駄遣いしたりすると「もったいない」と叱られました。今も、たぶん同じく「もったいない」と言われます。でも'70年代に「もったいない」という台詞に込められた意味の割合は、大部分において家庭の経済がもったいなかったような気がするのです。わりばし一本いくらすると思ってるの?みたいなニュアンスがそこには強かったように思います。ところが、30数年が経った今、「もったいない」というのは地球資源がもったいないという意味が多く含有されるような気がします。あなたのそんな心ない行動が私達の地球環境にどう影響するか考えなさい、とはいちいち食卓で言われたりしないかもしれませんけれど、今の時代「もったいない」という言葉にはそんな雰囲気が感じられるのです。だからCMの「このぐるぐる回るサイクルに、いつまでも回されるのだろうか。」という問いに対しては、きっとそうじゃなくなってくるのだと思います。だから大丈夫ですよというわけではなく、各企業にとって目先の経済活動における関心事はそれがどの分野から積極的に取り組まれるかということだと思うので、そこに着眼して訴求をしようというへーベルハウスさんのCMは、マーケティング的にはなかなか深いなあと感心した次第であります。楽天 中村晃一←今日は何位でしょう?
2008年04月27日
今日はいよいよ十ヶ条の最後です。■お客様に「ありがとう」と言う毎日の店舗運営の忙しさにかまけて忘れてしまってはいけないこと。それはお客様への「ありがとう」の気持ちです。どんなにHTMLのスキルが上達しようと、メールマーケティングが巧みになろうと、関係ありません。 商売を成り立たせてくれているのはお客様です。ベテランの店舗様も、経験の浅い店舗様も、初めて楽天で注文が入ったときのことを覚えていますか?金額の多寡にかかわらず、それは嬉しい出来事であったと思います。その喜びがだんだんに忘れられがちになるのは勿体ないことです。お店がいかに大きくなろうとも、お客様への素直な感謝を忘れないようにしましょう。 そしてそれをきちんと表現していきましょう。お店の姿勢は自然とページやメールに出るものですが、伝えようとする努力もまた大切です。「ありがとうございます」を忘れない。当たり前のことですが、もっとも大切なことだと思います。───────── 感謝とは「感じたことを、言葉で射る」と書きます。つまり、感じたことをありのままにパッと伝えるのが感謝なんです。ですから、感じても言葉や態度に表さなかったら、それは感謝ではありません。ありがたいと思ったら、口や言葉や文章で相手に伝える行動が必要です。 竹田陽一著『小さな会社・儲けのルール』より 楽天 中村晃一←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。
2008年04月23日
今日は十ヶ条のその九です。(店舗様向けの当時の文章をそのまま転載します。)■3年先の誕生日に何を着ているかイメージする3年先の誕生日に何を着ているかイメージする 随分具体的に言い切ってしまっておりますが、こういうことです。楽天での店舗運営、楽しいですか?いろいろな立場の方がいらっしゃるので、感想も様々だと思います。社長自ら店舗運営をなさっている方、上からやれと言われたから最初はしぶしぶだった方、いろいろな契約のうえで店舗運営されている方…などなど。けれどひとつだけ共通して考えて頂きたいのは、「楽天の店舗運営を続けた先に何があるのだろう?」ということです。楽天というマーケットは年率150%以上の伸長を果たしている成長マーケットです。リアルの世界では考えられないような可能性がそこにはあります。そんなマーケットを相手に店舗運営を軌道に載せ、3年間ご商売を続けたとしたら、そのとき自分はどうなっているでしょう?もしくは「どうなっていたいですか?」たとえば、会社自体を大きくしたい!お給料をいっぱいもらえるようになりたい!ECのプロとして胸を張りたい!今の10倍のお得意様をつくりたい!たくさん感謝のメールをもらいたい!いろいろな思いがあると思います。そうなったときの自分を想像してみてください。そのとき、あなたはどんなレストランで食事をしますか?どんな服を着ていますか?誕生日は誰と祝いますか?具体的にイメージしましょう。書き出してみて、それをパソコンの横に貼っておいたり、デスクの中にしまったりしておくのも良いですよ。なりたい自分になるために、今日はかけがえのない一日だと思ってください。店舗運営に夢をもっていただければ、きっと楽しみながらお店を大きくしていただけると思います。楽天 中村晃一←今日は何位でしょう?
2008年04月22日
今回は十ヶ条のその八です。(店舗様向けの当時の文章をそのまま転載します。)■「商品」は売らない「商品」は売らない…一体何のこと?ご商売なので、当然商品は売りますよね?ここで言わんとすることは「商品のセールスに終始しない」ということです。モノの価値だけで売れていくから、とそれ以外のことをおろそかにしているとなかなか強い店舗運営はできません。商材がどこにでもあるようなものであれば、同じモノを、ライバルがちょっとだけ安い値段で売り始めたときに安売り合戦の開始です。最後にはお互いに疲弊しきっておしまいでしょう。商材がとってもレアなものであれば、よほどの場合を除いて、認知すらされていないモノを買おうというお客様はそうはいません。どうすればよいか?商品自体を売るというよりは、「商品の先にあるもの」を売りましょう。その商品を使うとどのような良いことがあるのか?どのようなシーンが待っているのか?どのように変われるのか?どのように楽になるのか?みたいなことをイメージさせてあげましょう。お客様がモノを買うときは、 メリットとコストの関係で申し上げると、メリット ≧ コストと不等式が向いたときです。商品自体のベネフィットを訴求するのも結構ですし、 自分のお店でお買い物をすることのメリットを前面に打ち出すのもよろしいかと思います。お客様がリピーターとしてまた自店に戻ってくるだけの「理由」を作ってあげられると良いですね。それからもうひとつ付け加えて言うならば、「何を売るか」だけでなく「どう売るか」まで常に併せ考えている店舗様はさらに強い店舗運営ができると思います。「商品の先にあるものを売る」ことについて、Benefitとは何かという話を、以前こちらでも書かせていただきました。復習の意味であわせてご参照いただければ幸いです。 楽天 中村晃一←今日もよろしくお願いします。
2008年04月21日
本日は、十ヶ条のその七です。(店舗様向けの当時の文章をそのまま転載します。)■走る前に歩いてみる「走る前に歩いてみる。」別に助走期間をもうけましょうとか、ゆっくりのんびりとしてくださいという意味ではありません。楽天大学で学んだことや、ECコンサルタントに言われたこと、全て実行できていますか?「頭ではわかっているんだけど」「いそがしいし、やってる暇ないし」「ほんとにうまくいくかどうかわかんないし」…わかっちゃいるんだけどね、っていうことすごく多いと思います。それを本当にやれるお店は必ず伸びます。なのに、なぜやらないか?やれないか?ひとつコツがあります。いきなり走ろうと思うから、なかなか実行できないのです。100%でなくて良いのです。いきなりすごいスピードを出す必要もないのです。「とりあえずやってみる」「とりあえず第一歩を踏み出してみる」これが大切です。まずそのはじめの一歩を踏み出せるかどうかが、ゆくゆくはお店の決定的な差になってきます。新しいお店もベテランのお店も、楽天に出店している限りはこのことを実践していただければと思います。各種の企画、メールの書き方、プロモーション、大学への参加、いろんな場面でトライ&エラーを繰り返しましょう。
2008年04月21日
中休みを挟みましたけれど、私がECコンサルタントを卒業した2003年に店舗さん向けに書いた“売れるお店の十ヶ条”をまたご紹介していきたいと思います。(当時の文章をそのまま転載します。)■担当ECコンサルタントにあだなをつける担当ECコンサルタントにあだなをつける!これは半分言い過ぎの感もありますが、それくらい担当と仲良くなった方が得だということです。あなたと担当ECコンサルタントの距離感をチェックしてみましょう。 □担当ECコンサルタントの苗字を言える □担当ECコンサルタントのフルネームを言える □担当ECコンサルタントの顔をパッと思い浮かべることができる □楽天と電話するのは週に1回以上 □担当からのメールは見逃さないように振り分けなどの工夫をしているいくつチェックがつきましたか?0個という方は、今すぐ担当宛に電話です!用事はなくても良いので(笑)。3個以上の方は、まずは大丈夫でしょうか。ECコンサルタントはご自分の店舗のためにとことん活用しましょう。どんどんお声かけいただける店舗様にはコンサルタントも話をしやすいものです。会話の数に比例して売上が伸びていく店舗様も多いように感じます。メールや電話で、どんなことでも!まずは担当コンサルタントの脳内認知を高めることが店舗運営の秘訣かも知れません。 トラベル事業におけるITC(インターネットトラベルコンサルタント)についても、上と同じようなことが言えます。ITCが従来型代理店の仕入担当者と異なるのは、あくまでマーケティングの主権は宿泊施設様の側にありながら、それを大いにサポートしていく役回りにあることです。またネットエージェントにありがちな、単なる広告販売員でもありません。彼らをどう活用していくかは施設様次第。二人三脚で売上を伸ばしていくことができるようにITCとパートナーシップを構築していただくことが、楽天トラベルというサイトの力を余すところなく引き出すことに直結すると思います。楽天 中村晃一←今日は何位でしょう?
2008年04月20日
本日は、十ヶ条のその五です。(店舗様向けの当時の文章をそのまま転載します。)■企画が「成功した理由」を考える自社で立てた企画やプロモーション、無料のもの・有料のものすべて含めて、「失敗したときの理由」は殆どの方が考えると思います。けれど「成功したときの理由」を考えられる店長様は意外と少ない気がします。「成功した理由」こそが次の店舗運営に生かせる「勝ち続ける秘訣」なのですが。極端な話、失敗したときの話は忘れちゃってもかまいません。嫌なことをくよくよ考えるのはやめましょう。 成功したときこそ、その理由をとことん考えてそれを次に生かす、その“成功パターン”の多さが店舗運営の厚みを生み出すのだと思います。楽天 中村晃一←クリックよろしくお願いします。1日1クリック有効です。
2008年04月18日
本日は、十ヶ条のその四です。(店舗様向けの当時の文章をそのまま転載します。)■「割り算」と「引き算」をする売れるお店は割り算と引き算ができるお店です。どういう意味??たとえば広告を出すときに、「先月100万円売れたから今月は5万円広告が出せるな」と考える、これは「足し算」の店舗運営です。対して「割り算・引き算」の店舗運営とは、 1. 「いつまでにいくら売り上げたい」という目標がある2.その目標を達成するためには、今やるべきことは何か、を考えるすなわち、「年末には月商1,000万円売りたい」という目標があった場合に「今のアクセス数のままだと 500万円までしか行かないから、R-mailのリストを毎月2,000ずつ増やさないと」 と考え、「R-mailのリストを効率的に集めるには、懸賞広告が一番だ」と考えて17万円の投資をする。そのような『逆算の発想』が出来るということです。これが出来るお店はどんどん自社のステップを上げていくことができます。お金を使ってくださいと申し上げているわけではありません。計画的に、あるべき数値を追いかけることの出来るお店は必ず伸びるということをご理解いただければと思います。楽天という会社の中にも“Get things done”というコンセプトがあって、それは「さまざまな工夫を凝らして物事を成し遂げる」ということなのですが、それを助けるための手法が“因数分解”だと言われています。物事を整理し、どこをどう動かせばそれが達成できるかを考えます。会議の場などでも「これこれこうだから、できません。」ではなくて、「○○があったらできます。」と言えと言われます。「目的を成し遂げるためにはどうしたらいいんだろう」という発想をまず持ち、そしてそれを具体的な要素に分解して考えることは、実は自分のやるべきことを明確にし物事をシンプルにしていくことでもあると思います。楽天 中村晃一←クリックよろしくお願いします。1日1クリック有効です。
2008年04月18日
本日は、十ヶ条のその三です。(店舗様向けの当時の文章をそのまま転載します。)■他店のメルマガを最低10通は読むみなさんメルマガ書くの、得意ですか?メルマガ書くのは楽しいですか?メルマガ書くのが得意だ!楽しくて仕方ない!という方は読み飛ばして頂いて結構です。そうでない方は、ぜひ下のことを実行してみましょう。1.同じ商材を扱うお店(競合)のメルマガを5店舗分(そんなになければ全部)は購読する2.同じジャンルに属するお店のメルマガを10店舗分は購読する3.全然自社商材とは関係のないお店のメルマガを5店舗分購読する4.楽天の出店舗様以外のメルマガを5通は購読する以上全部で25通分のメルマガがあなたの手元に届くことになります。そのうち最低10通を1週間ごとに読みましょう。全部読める方はどうぞお読みください。でも大半の方はそんな暇ないよ、ってことが多いと思います。10通選ぶとしたら、 □どうしてそのメルマガを選んだのか? □全部読み通せたか? □思わずクリックしてしまったURLがあったか?どこらへんでグッときたのか? □また読みたいと思うか?という視点でその10通をチェックしてみてください。真似はしなくて良いです。読むだけで良いのです。ただ、続けて下さい。ひとつ言えるのは、「他店のメルマガを読まない店長さんのメルマガは大体つまらない」ということです。頑張ってみましょう! 宿泊施設様がお客様向けに書くR-mailも単なるDMとしてしまうか、お客様との距離を縮めるコミュニケーションツールとして位置づけられるか、その差は大きいはずです。サービスレベルの向上のために、研究してしっかり取り組みたいものですね。楽天 中村晃一←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。
2008年04月17日
昨日に引き続き、本日は、十ヶ条のその二です。(店舗様向けの当時の文章をそのまま転載します。)■楽天での買い物に「楽しかった」思い出をつくる楽天の他のお店でお買い物をして楽しかった経験がありますか?まさかお買い物をしたことがない方はいらっしゃいませんか?楽天でお買い物をしてみることは基本中の基本です。楽天には「楽天ドリーム」という言葉があります。楽天に出店して成功し大きな自社ビルが建ったとか、憧れの高級車に乗れるようになったとか、そういう話です。その裏に「楽天ビンボー」という言葉があります。この2つの言葉は相反する意味ではなく、実は同じベクトルを向いています。楽天ビンボーとは、楽天でいっぱいお買い物をするためにいつも店長のポケットマネーが苦しいという意味です。会社として売れている店舗様ほどこんな嘆き(半分喜び?)が聞かれます。お客様が楽天で買い物をするって一体どういうことなのか、良いサービスだなあと感じるときってどんなものなのか、自分で分かっていないと絶対に提供できないと思います。楽天での買い物で「楽しかった」思い出がない方は、楽しい体験に出会うまで買い物を繰り返しましょう。そんな苦労はきっと10倍にも100倍にもなって返ってきます。常にお客様からの視点を外さずに店舗運営をするために、新サービスのリリース時にはそれを使ってみるとか、定期的にランダムにお買い物をしてみるとか、そのようなシンプルなことも結構大切ですよ。管理画面ばかり眺めているのではなく、ユーザーインターフェイスからの見え方にも心配りをできると良いですね。サービスは常にお客様視点で。楽天 中村晃一←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。
2008年04月16日
懐かしいものを発見してしまいました。私が2003年にECコンサルタントを卒業した時に、店舗さんへの置き土産として作成した「売れるお店の十ヶ条」。自分が店舗担当をさせてもらって売上を伸ばしてきた経験をもとに、ネット販売における心構えのようなものを説いた簡単な文章です。久々に目にして懐かしいなあと感じると同時に、今も生かせる部分があると思ったのと、これは物販に限る話でもなくてインターネットを通じた宿泊予約やその他のビジネスにも言えるところがあるなあということで、ちょっとこのブログを借りてご紹介をさせていただければと思います。本日は、十ヶ条のその一です。(当時の文章をそのまま転載します。)売れるお店の十ヶ条その一■開口一番「それは無理」と言わない 楽天での店舗運営は、いかに「思うような接客(自分がこうありたいと考える接客)」を形にしていくか、の連続だと思います。楽天大学で習うこと、ECコンサルタントが提案すること、メールマガジンを見てひらめいたこと、そんないろいろをどうやって自分のお店に落としこんでいくか、どう自分の店舗運営に反映させるかの繰り返しです。そのとき店舗様のタイプは2つに分かれます。 ・「それは無理だ」と“出来ない理由”を並べてしまう方。 ・「難しいけど、どうやればできるかな?」とやれる方法を見つけようとする方。当然ですが、後者の方が店舗をより伸ばしていくことが出来ます。「そんなこと、わかってる。」…ですよね。でも頭でわかっていることを実践することが大切です。思考法は訓練です。まずルールを決めましょう。ルールその1 無理だよ、と思っても良いので、「言わない」。ルールその2 『言い換え』を考える。 たとえば、 「どうしてうまくいかないんだろう?」 ⇒ 「どうしたらうまくいくだろう?」 「売れないなあ」 ⇒ 「どうやったらもっとお客様に買っていただけるだろう?」 「ちっともメルマガの反応がないなあ」 ⇒ 「もっと反応の良いメルマガってどんなのだろう?」みたいな感じです。言葉は思考法のアウトプットですから、こんな単純なことの繰り返しがきっと前向きな店舗運営につながっていくと思います。楽天 中村晃一←クリックよろしくお願いします。1日1クリック有効です。
2008年04月15日
(→その4からの続きです)なぜ、このようなことが可能なのか。インターネットを使っているから、というのが大きな理由です。しかしインターネットを使いさえすればそれが可能になるかというと、そうではありません。インターネットというのは道具に過ぎないので、それよりも本質的な構造を理解する必要があります。端的に言ってしまえば、楽天トラベルと従来型の旅行代理店との違いは、マーケティングにおける主権を誰が持つかという点にその特徴をみることができます。楽天トラベルのシステムでは、参画施設がいつでも自由に管理画面を操作して、利用者向けのプランを登録したりページを作成したりすることができます。一方、従来型代理店モデルは、代理店が部屋を預かり「パンフレット」を代理店が作成します。マーケティングの主導権を誰が握るか、という観点から解説すると、前者の主導権は宿泊施設にあり、後者の主導権は代理店が持っているということです。歴史的に見れば、そもそも日本では何十年もの間旅行代理店制度が継続されてきましたから、楽天トラベルという新興の会社が既存の枠組みを変化させているということになります。主権のありどころを変えること、誰がパワーを持つかを変えること、それを指す言葉が「革命」です。インターネット革命、と言われますがそれは単に情報技術によって物事の利便性が増すことを示すものではありません。インターネットの活用によって従来パワーを持っていなかった層にパワーシフトが起こっているという意味において革命なのです。その結果、宿泊予約マーケットの潜在能力を規定するのは、代理店のパンフレット作成能力・販売能力ではなくなりました。それぞれの宿泊施設が目指すべきものに向かい、自分達の商品を自分達でマーケティングした結果が、前回見た2140万人という数字になって表われているということです。(→その6へつづく)楽天 中村晃一←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。
2008年03月13日
(→その3からの続きです)それではマーケティングエージェンシーは、どう在るべきか。楽天トラベルの考え方をご説明しましょう。お断りをしておくと、現状の楽天トラベル上で着地型観光がガンガン盛り上がっているわけではありません。基本的には宿泊施設単体の持ち込みプランに依存をし、特集や足回りを絡めた周辺提案がそこにあるといった程度です。しかし私達が提供しているシステムやそれを支える設計思想は、着地型観光推進のためにも大きく貢献できるはずのものであると考えます。楽天トラベルのMission Statementは「革新的なトラベルテクノロジーおよびサービスの提供により、より多くの豊かな “出会い”を創造する」というものなのですが、着地型観光に果たす役割を考える場合にはまさにそのテクノロジーの在り方が議論の焦点になるでしょう。楽天トラベルのビジネスモデルは、インターネット上にサイトを構築しそれを媒介に利用者と供給者(宿泊施設など)のマッチングを行なうというものです。一見、リアルの世界で行われている旅行代理店の仕組みをインターネット上に置き換えたもののように思われますが、実は根本的にその構造が異なります。このグラフをご覧ください。楽天トラベルと、旅行会社最大手JTBとの年間送客人数の比較です。2007年一年間に楽天トラベルが全国の宿泊施設へ送客したお客様の人数は2140万人にのぼり、JTBの2500万人に肉薄する水準に来ています。伸長率などをご勘案いただくと、ここ数年でこれが逆転するのは想像に難くありません。一方それをどれくらいの人数で実現しているかということに目を転じると、楽天トラベルは約400人、JTBは約2万人の従業員でこの数字を作り出しているという事実があります。楽天トラベルの社員がJTBの方の50倍働いているわけではないのですが、人的コストは50分の1で済んでいる計算になります。なぜ、こういったことが可能なのでしょうか?(→その5へつづく)楽天 中村晃一←クリックよろしくお願いします。1日1クリック有効です。
2008年03月09日
(→その2からの続きです)着地型観光の発展を考えるときに必要なことは、ロングテール型で限りなくコストを低減しながらやっていかなくてはいけないので、まず流通段階におけるエージェンシー(代理業者・代理店)の数は少なければ少ないほど好ましいということになります。すなわち、着地型観光の資源をもつ地域やそこに根差す企業や団体が、自ら情報を発信していくという状況が望ましいのです。しかし一方で、それぞれの地域がそれぞれにゼロベースから集客の努力をしなくてはいけないとなると、そこにかかるマーケティングのコストが膨らむというジレンマがあります。簡単に「情報を発信する」と言っても、それを受信してくれるお客様が当然のように存在しているわけではなく、情報の発信先に人を集めて来るには相応の努力が必要なのです。よって強力な集客力をもつマーケティングエージェンシーを一つだけ挟むというやり方が、現実的な解決策として存在します。また、CORE(Mission Statement):核 → Strategy:戦略 → Tactics:戦術 という3層構造を、着地型観光に関わるすべてのレイヤーで持っていることが求められると思います。着地型観光の資源をもつ地域は、「何を大切に育み“とんがり”とし、誰に何を訴えていきたいのか」という核になるものをまずはっきりと定義し、それを実現するための手順や方策を考えるわけです。すなわちそれが戦略と呼ばれるものであり、より細分化し具体化させたものは戦術と呼びます。例を挙げて説明すると、地域への観光誘致のために東京で物産展を開いて試食会をやろう、そこでパンフレットを配布して地域観光協会ホームページのURLも記載しよう、などという類の話は「戦術」に過ぎません。それが自分たちの「核」から出るものであれば良いですけれど、核がないままに話を進めると、いやURLの記載よりもQRコードの配布のほうが良いのではないかとか、物産展をやる費用があるくらいなら新聞広告を出すほうが有効なのではないかとか、実のない戦術の議論に終始してしまいます。そうではなく、「私たちの地域のMission Statementは、10代の子らに自然と歴史の素晴らしさを知ってもらい健全で視野の広い青少年育成に貢献することだ。なぜなら開放感溢れる広大な自然と清流の中で上質なわさびの栽培ができる土壌があり、また歴史上の有名な武将がつくった古城があるから。」となれば、その2つを柱にした体験型学習を前面に押し出す戦略がとられるはずで、そのための戦術としては物産展などではなく学校や青少年育成のスポーツ団体との提携や夏休み体験プログラムの提供等となっていくはずです。またすべてのレイヤーで3層構造をもつ必要があると前述したのは、資源をもつ地域だけでなくそこに介在するマーケティングエージェンシーにもそれが必要だからであります。着地型観光は自ら情報発信していく状況が望ましい、と言いながらマーケティングエージェンシーが昔ながらに「では地方のウリや特色をパンフレットにまとめ代理店として我々が売ってまいりましょう」などということしか発想しえないのであれば、着地型観光の隆盛など望むべくもありません。(→その4へつづく)楽天 中村晃一←クリックよろしくお願いします。1日1クリック有効です。
2008年03月08日
(→その1からの続きです)しかしそれではインターネットを使って何ができるでしょう、といった「施策・企画・アイデア」については実はバリエーションにきりがありません。ここばかり議論をしていると手法論に陥ってしまい、本当の意味でのブレイクスルーができないと思います。重要なのは、インターネットという道具を使って「何を実現したいか」というコンセプトです。突き抜けていくサービス・突き抜けていく企業というのは、この図に端的にあらわされるような構造を持っているはずです。中心に核となる自分達のやりたいこと・やるべきこと(Mission Statement)があり、そこから生まれる戦略(Strategy)と、更にそれを具体的に落とした戦術(Tactics)が発生します。この核となるものを抜きにして、戦略や戦術論ばかりが語られてしまうと結局それはブレイクしないものになってしまうのだと思います。(→その3へつづく)楽天 中村晃一←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。
2008年03月07日
「地方」「地域」の活性化、地域固有の文化・産業・資産を資源とする着地型観光が注目を集めています。こういった概念は十数年前から提唱されていたものだと思いますが、その広がりを可能にする環境が整ってきたという意味で今スポットライトが当たりつつある観光の形態と言えるでしょう。わかりやすいところで例を紹介すると、農林業体験や伝統工芸品づくりなどがあります。都会では機会のない、野菜の植え付けや養蚕作業を旅先で実際に体験してみるわけですね。全国総東京化するのではなく、地域でのオリジナリティを大切にしそれをウリにして来訪客を増やしていくという構造の、旅行・観光のあり方です。ただ従来は以下の3点において、それらを商品として広範に浸透させることへのハードルが存在していたのだと思います。(1)地域が広範にわたるという点(2)観光資源のサイズが小さいものが多い点(3)ゆえに採算に乗るビジネスとしてそれを主体的に展開しようという業者がいなかった点お気づきのように、そうです、これはまさにロングテール型のビジネスなのだと思われます。かつコスト面では限りなくチープ革命的にやりたい種類のビジネスです。インターネットがここに果たす役割は非常に大きいのではないでしょうか。(→その2へつづく)楽天 中村晃一←いつもありがとうございます。1日1クリック有効です。
2008年03月06日
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