『ヴェルーシュカ 変容(veruschka)』


『ヴェルーシュカ 変容/序文 スーザン・ソンタグ』(リブロポート出版)
ヴェルーシュカ―消滅し、遍在する身体―不在の願望と恐怖、そして美学



《デヴィッド・ヘミングス激写!ヴェルーシュカ》




『欲望 Blow-Up』(1966)
<内的ネオ・レアリスト>ミケランジェロ・アントニオーニ(Michelangelo Antonioni)
も合わせてご覧ください。

『欲望 Blow-Up』(1966)
監督: ミケランジェロ・アントニオーニ Michelangelo Antonioni
音楽: ハービー・ハンコック/ヤードバーズ(ジェフ・ベックとジミー・ペイジのツィンギターで「トレイン・ケプト・ア・ローリン」を演奏!)
出演: デヴィッド・ヘミングス/ヴァネッサ・レッドグレーヴ/サラ・マイルズ
ジェーン・バーキン/ヴェルーシュカ(Verushka)



この映画は当時最前衛であった60年代スウィンギング・ロンドンの頃のスタイリッシュなモード感覚あふれた美術や衣装、そして音楽などのセンスがすばらしく、これだけリアルに、生々しく時代の空気を自然に閉じ込めた映画はほかにない!デヴィッド・ヘミングスのいきがったカメラマンぶりにも最高に魅せられ、しばらくは彼のようなカメラマンになりたいと思いましたね。簡単にいうとスタイリッシュなサスペンス不条理劇で、カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した問題作。当時のスーパーモデル、イブ・サン・ローラン・リヴ・ゴーシュのミューズだったヴェルーシュカやそのコスチュームや撮影風景、ヤードバーズのライブ場面 、無名時代のジェーン・バーキンなど何回見ても飽きさせない!オールタイム・マイ・フェイバリットな1本です。



往年の伝説的モデルで、60年代のアントニオーニのこの傑作『欲望』で主人公のデヴィッド・ヘミングス演じる写真家が上にまたがったモデルが当時のスーパーモデルだったヴェルーシュカ。激写のシーンは全くもってデヴィッド・ヘミングスと対等以上の存在感があり、強烈な印象が残り伝説的な出演となった。




<デヴィッド・ヘミングス David Hemmings>  



<ヴェルーシュカ veruschka>
本名(ヴェラ・レ-ンドルフ Vera Lehndorff)July 20 1944ドイツ生まれ.
元モデルでアーティストの伝説的アイコン!ヴェルーシュカ。
「The mimikry(擬態) dress art series (London, Paris 1970 - 1973)」 「Oxydationen body painting series (Hamburg, Germany 1975 - 1981)」 「Sirius - da wo der Hund begraben liegt- series (Prato, Italy 1984 - 1988) are fruits of their labor. 」







ヴェルーシュカは裸体にペインティングすることで他のモノになる。
透明にも廃墟にも。



背景と一体化するボディ・ペインティング。



「消滅」?することにこだわり続ける、元祖スーパーモデル(笑)!





 今はもう絶版になっているが、CAT-Oさん秘蔵の『ヴェルーシュカ 変容/序文 スーザン・ソンタグ』(リブロポート出版)という写真集があります。身体にペインティングし、錆びた工場や薄汚れた扉などの風景に同化してしまうというパフォーマンスの写真集で、強烈な印象で一度みたら忘れられない。
ヴェラ・レーンドルフ+ホルガー・トリュルシュ『ヴェルーシュカ』(リブロポート、1987年、5000円)は、全159頁、スーザン・ソンタグによる序文が付されています。巻末には、作家2人によるテクスト(ヴェラ・レーンドルフ「背景に溶け込む」、ホルガー・トリュルシュ「現実と幻影」)。





ハンブルグとフィレンツェで絵画とデザインを学んだヴェラ・レ-ンドルフはニューヨークのリー・ストラスバークのスタジオで演技を学び、まずファッションモデルとして活躍を始めた。それは他のものになり、他のものに同化したいという、彼女の欲望のあらわれでもあったという。



その欲望を押し進めて、’66年頃から「ヴェルーシュカ」と名乗り、自らの裸体にボディ・ッペインティングをほどこす沈黙のパフォーマンス<擬似ドレス・アート>シリーズを開始する。









正にヒトの変容の姿を収めたこの写真集は、私に知らない、新しい世界をみせてくれました。









 ・・・錆び、寂びれた風景に溶け込むように、裸体の女性が目を瞑って居る。





また、森の中の朽ちた椅子に、裸体に苔生し、草を群生させた女性が森と一体になって居る・・・。目を奪われて惹きこまれてしまいます。



1970年以降はホルガー・トリュルシュと若い写真家の二人の共同作業として作品を作り続けた。
  「ヴェラの身体にペインティングを施すことは、彼女に触れることであり、愛の行為だ。それはまた同時に彼女の身体を彼女のものでなくし、彼女とは見えなくする行為でもある。



  ヴェラの身体にペインティングを施すことによって、私は自己表現好きな画家の自我というものを脱ぎすて、自分の描いたものの裏へと消えることができる。私たちの作品には肥大した自我の跡はない。



  絵画と写真は私たちの作品ではそのそれぞれの特徴ゆえに深く結びついている。絵画は「ヴェラ」であった身体が実在の背景に沈み込んでゆく、という歪んだ幻影を造り出す。同時に写真は「現実」の方をそれに特有の形に変形し、幻視にもとづいた現象である、見えるものが現実だという認識を生み出す。私たちはアートという目的のためにこのふたつのメディアの特徴を意識して使った。(・・・)
 「現実」をひとつの美の形態、わたしたちのペインティングと関わり合い、それと同じような地位にある美の形態、として見る私たちは、現実と絵画との境界というのを廃止してしまおうと思う---現実はそのまま絵画なのだ。」

ekato


YOKO MY LOVE


私はド頭よくクラッシュしてフリーズしますが、そろそろ肉体もクラッシュしそう...。私の気持ちのどこかにも、錆びた風景や、廃墟に溶け込んでモノになってしまいたいという願望があるのでしょうか。肉体フリーズする前に...。


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