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映画「ザ・タウン」は1年ほど前に公開されて以来、ずっと観たいと思っていた映画だった。ボストンが舞台になる映画はニューヨークやロサンゼルスなどに比べるとずっと少ないが、この映画の監督で指揮を執ったベン・アフレックはボストン出身で、前作の監督デビュー作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」で舞台となったボストンの別の地区の描き方があまりにリアルで上手かったので、今回も期待していたのである。今回は、ボストンの北東部にあるチャールズタウンという地区が舞台になっている。ここは全米でも銀行強盗の発生率の高い町だそうで、その町に銀行強盗の一家の中で生まれ育ったベン・アフレック扮する主人公のダグが、まるで家業を受け継ぐかのように強盗一味のリーダーとなり、完全犯罪とも言える銀行・現金輸送車の襲撃を繰り返すのだが、その中で、ある事件をきっかけに、そんな自分の境遇に疑問を持ち始め、新しい人生を模索し始めるのだが。。。という、お話。腐れ縁とも言える幼馴染の仲間との葛藤や、恋愛、父子の確執などなど、話の題材としては特に目新しいところはなく、ダグを追うFBI側のかなりのお間抜け感もちょっと気になったし、巷が絶賛するほどの出来ではなかったと思うが、私はストーリーそのものより登場人物やディテールの描き方に興味があるので、そういう意味では大いに満足できた。映画の中でもチャールズタウンを手前にした、ボストンの町全体を俯瞰するシーンが何度か出てくるのだが、それからも分かるように、チャールズタウンは、ボストンの中心から橋を隔ててちょっと隔離されたところにある。それだからこそ犯罪の温床となったのだと思うが、実際のところ、私の持っている印象では、一部の地域を除けば、それほど危ないところではない。こんな形で全世界に「危ないところ」というイメージを持たれたらちょっと気の毒に感じるほどである。ボストンにはもっと危ないところもあって、前作の舞台となったところの方がずっとずっと危ないと思う。特に、チャールズタウンのメインストリートのあたりは、おしゃれなカフェやレストランが立ち並び、子供がいないか子供がまだ小さい若い家族が移り住み始めたところでもある。ただ、一方で、昔からの、コテコテのアイルランド系やイタリア系が代々住んでいる町でもあり、それが、この町の、地理的な条件とあいまって、保守的でよそ者をなかなか受け入れない土地柄を形成しているのだろう。私はここにある知り合いの花屋に時々手伝いに行っているのでこの町にはなじみがあって、映画の中で自分の知っている通りや場所の名前が出てくるのがとても嬉しかった。この映画の中で、この強盗一味の元締めが花屋のオーナー(今は亡きピート・ポスルスウェイトが怪演)なのだが、ここで出てきたアレンジメントを、この知り合いの花屋が作ったそうだ。その話を聞いたときは、具体的にどんなアレンジメントかは聞かなかったのだが、「実際には日をおいて撮影があったのだが、シーンとしてはつながっているので、同じアレンジメントを2度作った」みたいなことを言っていて、恐らくこれだろうな、というアレンジメントがシーンの中に出てきた時は、これも嬉しかった。そのほかにも、警察や救急車、MBTA(公共交通機関)の制服や乗り物、すべて馴染みのあるもので、一人で勝手に盛り上がる。町の描き方に関しては、前作の方が上手かったと思う。前作の時は、その町の、しかも特定の地区の荒んだ感じがあまりにリアルで、そこに多くの夫側の親戚を持つ私としては観た後にどよよーんとするほどだったのだが。ただ、これはむしろ、チャールズタウンの町そのものが、前作の町と比較すると描き甲斐がなかったせいだろう。でも、ボーナス特典によると、この映画では、実際そこに住んでいる住民をオーディションによってキャストとして起用したとのことで、その脇役陣が、もうまさに「あー、こういう人いるよね」みたいなボストンの下町の雰囲気を匂うほど醸し出していた。ベン・アフレックは、ボストニアンとしてはハンサムすぎるというか(笑)、風貌にしてもボストン訛りにしても、それほどリアルに感じられないのだが、この現役「ザ・タウン」市民たちは、その体格と言い、声と言い、その訛りと言い、当然ながら正真正銘のホンモノ。しかし、オーディションで選ばれたとはいえ、素人でこれだけ大物の俳優陣に混じってぜんぜんヒケをとらないって、すごいよなあ。映画はチャールズタウンだけでなく、観光地としても有名で、ハーバードやMITのあるボストンの郊外ケンブリッジをはじめ、イタリア人街のノース・エンド、そしてレッド・ソックスの本拠地フェンウェイ球場も舞台となり、ボストンの魅力を余すところなく見せてくれる。それだけでも観る価値はあると思う。
2012.01.30
ちょっと前の話になるけれど、ルナと親戚の子を連れてディズニー映画 "The Princess and The Frog"を観て来た。ボストンに暮らすお父さんに会いに、隔週末にニュージャージーからやって来るこの親戚の子Dはルナと年も近く、お互いろくに言葉も話せない頃からの仲良し。我の強いルナと穏やかでおっとりとしたD、性格が正反対なところが意外に仲良しの秘訣なのかもしれない。ルナはとにかく落ち着きのない子だったから映画に連れて来るなんてつい最近までほとんど考えもしなかったけれど、映画館の椅子にそれぞれ腰かけて、ポップコーンを頬張りながら映画を最初から最後まで集中して観ている2人を見ていると、あーあ、この分じゃ、彼氏と一緒に来ていちゃいちゃしながら映画を観る。。。なんて日もそう遠くないんだろな、なんてぼんやり思ったりして。ストーリーは現代版シンデレラという感じで、お友達が言っていたとおり、大人も十分に楽しめる映画で満足満足。しかし、お金持ちの大邸宅のある町から電車に乗り、電車の走る景色がやがて主人公の住む貧しい町に移り変わるシーンは非常に身につまされた(笑)。私がフラワーアレンジメントを教えに行っている生徒さんのお宅は、どこも教育や治安の良い美しい佇まいの町の中にあって、そこから電車に乗って自分の家のある町に戻って来る時の情景と気持ちに重なってしまってね。でも、主人公が自分の父親について言っていたことに似ているけれど、お金で買えないものはちゃんと全部揃っているんですから、ないものねだりはナシですよ、私。
2010.03.07
映画『バンテージ・ポイント』を観た。大統領暗殺事件を複数の目撃者の視点(バンテージ・ポイント)から再現するというストーリーで、目撃者によって少しずつ新たなストーリーが加わって、最後に一つの結末に向かうという、何となく『クラッシュ』を思わせる展開だが、それよりもっとアクションもスリルもあってストーリーの展開も速くてスカッとする面白い話だった。黒澤監督の『羅生門』のスタイルを取っているとのことで、アメリカでもラショモーンみたいな映画なんだと話題だったらしいのだが、私はこの黒澤監督の映画を観たことがなく、でも、羅生門の原作者が芥川龍之介だというのは知っていて、芥川の作品は昔、国語の教科書かなんかで読んで、その鬼気迫るほどの臨場感溢れる描写に感銘を受けつつも「こりゃ自殺しちゃってもしょうがないな」という感想を抱いたという記憶があるので、その懐かしさもあいまって調べてみたら、映画『羅生門』の、この、複数の視点から真実を浮き彫りにする(『羅生門』では、それぞれ言うことが違うので最後まで真実はわからない)という形式は、芥川の『藪の中』という作品のものであることが分かった。映画の方はこの形式と、芥川の作品『羅生門』と『藪の中』の両方から題材を取ったとのこと。ほう。それぞれの作品が読みたくなったので、amazonで買おうかなと思っていたら、青空文庫というサイトに所蔵されていた。http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card127.html(羅生門)http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card179.html(藪の中)作者没後50年経って著作権が消滅した作品を載せているんだそうだ。というわけで、久しぶりに漢字いっぱいの読み応えのある作品を楽しんだ。国語辞典を傍らに(笑)。
2009.03.25
本作でアカデミー主演男優賞に輝いたフォレスト・ウィテカー、最初に観たのは『ブローン・アウェイ』という、ボストンを舞台とした連続爆弾犯人を追う映画で、その頃乗りに乗っていたトミー・リー・ジョーンズ扮する爆弾犯を追うボストン警察の爆弾処理班の一人だった。最初に観た時から落語家の笑福亭鶴瓶に似てるなあ、というのが感想で、このアカデミー受賞作でもやっぱり鶴瓶に似てるなあ、と最初は思ったのだが、その役どころであるウガンダのアミン大統領のカリスマ性溢れる屈託のない笑顔から一転して冷徹な表情に変わると背筋が凍るほど怖くて怖くて、うぉー、ウィテカー演技うめえー、と思いながらぐいぐいと映画の中に引きこまれて行き、最後まで飽きさせなかった。主演男優賞は納得。ストーリーは史実を元にしたフィクションとのことだが、なかなか良く出来ていた。準主役級のスコットランドの医師のやりたい放題加減には『おみゃーがまいた種だろうが』とちょっと言いたくなってしまったが。反体制派の国民を30万人も虐殺したと言われるアミン大統領であるが、DVDの特典についていたドキュメンタリーフィルムの中の本人はウィテカーが演じたように一見人懐っこく陽気で大柄なアフリカ人といった印象で、とてもそんな残虐なことをした人物には思えない。しかし、何かのインタビューで笑顔からふと真剣な表情に変わった時のその変わりようには、ウィテカー以上に背筋の凍る思いがした。
2007.07.16
ダンナはアメリカのコミック・ヒーローものを映画化したものが好きである。結婚する前の期間も含めてダンナとの付き合いはかれこれ13年ほどになるが(ひえええええ)、その間にバットマンとかいろいろ付き合わされた。で、スパイダーマンも当然1、2ともに観て、今回は3である。どうしても映画館で観たかったらしく、日曜日に一人で観に行きたいと言い出したのであるが、私は一人でルナを見るのが嫌だったので(笑)、月曜日からルナを義母のところに泊りがけで預けてダンナの仕事が終わってから観に行くことにした。スパイダーマンが特に観たかったわけでもないのだが、このところちょっと動いただけでお腹が張って張って体が思うように動かず、体内のホルモンも増えてるんだか減ってるんだか、まるで生理直前みたいなスッキリしない、イライラした状態が続いていてクサクサしていたので、気分転換になるのなら何でもいいやという気持ちで付き合うことにした。夕飯はまたチャイナタウンの香港小食で。海老の水餃子入りのラーメンにしたが、海老がプリプリで美味しかった。この店はもう何年も行っているが、いつも同じおじさんが働いている。ガッツ石松似のおじさんと、おでこのつるんとしたおじさん。映画は思ったより面白かった。1、2はどちらかというとスパイダーマンと怪物が対決するアクションシーンが多かったが、3はヒーローの内面的葛藤などに重きが置かれていて、私のように特にスパイダーマンそのものに興味がない観客にも面白く出来ていた。しかし、アクション、恋愛、友情がてんこ盛りでちょっと疲れたが。映画の後はFinaleで紅茶とデザートを。中近東系ハンサムの若いウェイターがきびきびとサービスしてくれて気持ちが良かった。体調もよかったので、近くの駅まで歩いた。
2007.06.25
エリザベス女王を演じたヘレン・ミレンも似てると思ったけど、それと同じぐらい感心したのがブレア首相を演じたマイケル・シーン。常々、ブレア首相の笑顔はエッチくさいと思っていたのだが、その笑った感じがそっくり。ひょろりとしたフィリップ殿下は、"L.A.コンフィディンシャル”の「ロロ・トマシ」の人(かなりマニアックなネタ?)が演じていて、これもまた雰囲気が出ている。チャールズ皇太子はイマイチだと思ったけど、確かにあの人に似た人を探すのは難しそうだ。実際の映像とをミックスして上手く仕上げていたけど、あの実像以外は全部フィクションなわけで、これを当人が見たらどう思うだろう。
2007.06.24
ウィル・スミスとその実の息子ジェイダン・スミス出演の映画。ビジネスに行き詰って文無し同然になり、女房にも逃げられてしまった主人公が幼い息子を抱えながらキャリアチェンジをして成功への鍵を手にするまでの奮戦記といったストーリーで、実話を基にしている。この息子がなぜかルナに顔がそっくりなのだ。特に、眉をしかめた時の表情や寝顔がびっくりするほどそっくり。今度、ジェイダン君の妹役ってことでハリウッドデビューできないでしょうか(笑)。この主人公のように困窮しているわけではないけれど、デイケアに子供を預けながら仕事に日々の雑事に奔走する親の姿には大いに共感するところがあり、また、ジェイダン君の幼い仕草や言葉にはルナを彷彿させるものがあった。最後のシーンにはこのストーリーの基となったご本人もちらりと登場。逃げた女房役のサンディー・ニュートン、いつもはもっと上流階級の品のある役なのに、ここでは生活に疲れて心がすさんでしまった妻を演じていて、ほう、こんな役もできるんだと感心。
2007.05.20
図書館でふと目に留まったこの『Les Choristes(コーラス)』というフランス映画。戦後まもないフランスの片田舎にある、問題児ばかりを集めたスパルタ教育の寄宿学校が舞台となっている。赴任して間もない教師が問題児たちに合唱を教えることによって子供たちの心を開いていく・・・という、よくあるストーリーなのだが、こういう『落ちこぼれ生徒を歌や音楽や踊りで救う』という型どおりのストーリーは、ディテールをどう面白くするかが勝負であり、その点でこの映画は成功していると思う。主役級の先生(この人に似た落語家がいたような)や少年たちはもちろんのこと、脇を固める者もそれぞれ個性的で、話のテンポも小気味良く、ところどころほろりとさせられる。オススメ。
2007.05.16
逆に、心身ともに疲れている時は観てはいけないのがこのBABEL(笑)。どーんと来ます。「21グラム」に似たほのかな希望と人生のどーんとした重さを感じさせられた映画だと思ったが、案の定、同じ監督の作品だった。日本、モロッコ、メキシコを舞台とした3つの話が交錯するという、最近流行の?ストーリー。日本編では菊池凛子がアカデミー助演女優賞にノミネートされたということで話題になった作品でもある。同じ国の言葉を話しているのに通じ合えないもどかしさ、逆に、相手の国の言葉が分からないのに通じ合える温かさをこれまでの人生で実感している私にはぐっと来るシーンがいくつもあった。ブラピ、なかなかいい味を出してました。アンジェリーナ・ジョリーのヒモみたいなことやってないで(笑)、どんどんイイ映画に出演しなはれ。私が一番感情移入したのは、メキシコ人のベビーシーッターのおばさんだった。確かにアメリカで不法に働いていたのは違法だ。でも、この人、もし私がベビーシッターを雇うことになったら安心して子どもを任せたいと思えるような、心の温かい、懐の深い人なのだ。もちろん、メキシコにいる息子の結婚式に出たいがために、面倒を見ている子供達をメキシコまで連れて行っちゃったのはマズイ。そんなことされたらやっぱり親としては困る(笑)。でも、最後まで子供達を見捨てるようなことはしなかった。「違法だ」から「悪い」とは一概には言えない、国境がなければこんなに大きな問題にならなかったかもしれない。でも、人間が勝手に決めた国境という線のせいで、人が裁かれてしまうその理不尽さ。といったことを、このおばさんのうなだれた姿を見ながらぐぐぐと考えたのでありました。菊池凛子の演技は存在感があって素晴らしかったとは思ったけれど、でも、彼女だけが突出しているわけでもなかったと思う。先のベビーシッターのおばさんも良かったし、モロッコの親子やバスガイドだって素晴らしかった。薄幸顔という点では現在、右に出る者のいないケイト・ブランシェットも、この銃で撃たれちゃう妻の役はハマリ役だった。最初の頃のシーンで、モロッコのテントを張った料理屋で衛生面に異常に気を遣ったり、モロッコまでわざわざ来たのにダイエットコークやヘルシーフードを頼むところ(モロッコまで来てダイエットコーク頼むなよっ 笑)とか、その神経質っぽい西洋人ぶりがすごく似合っていた。このあたり、「クラッシュ」で、裕福で何一つ不自由ない生活をしているのにいつもなぜかイライラしているサンドラ・ブロック扮する主婦に通じるものがあったなあ。アメリカに暮らしていると、こういうタイプのオンナを見かけることが実際にあるだけに現実味があった。日本の描写はなかなか正確だったと思うけれど、メキシコやモロッコはどうだったんだろう。とにかくいろいろ考えさせられるので、心身ともに元気な時に観ましょう(笑)。
2007.03.29
そういえば昔は2本立て映画っていうのをやってて良く観に行ったけど、今でもあるんだろうか。というわけで、我が家で2本立て映画上映。1本目は"Little Miss Sunshine"。どいつもこいつもどっかこっかちょいとネジがゆるんでて、てんでばらばらな家族が末娘を美少女コンテストに出場させるべくおんぼろバスを借りて長距離の旅に出る。その道中に起こるさまざまな出来事を通じて一つにまとまっていくというお話。心温まるコメディ。心身ともに疲れている時、あまり人生について考えたくない時(笑)などに純粋に楽しめるのでオススメ。
2007.03.28
またまたダンス映画である。ダンス映画ってのは、最初は全然踊れない主人公が最後は踊れるようになってコンテストだのに出場し、その成長の過程を描くってのがいつものパターンで、まあ、どれを観ても同じと言ってしまえばそれまでなんだけれど、ダンス好きの私としてはダンス映画がリリースされるたびに欠かさずチェックしてしまう。今はStep Upというのが上映中なので、DVD化を待っているところ。この"Take the Lead"は、アントニオ・バンデラスがニューヨークの学校の落ちこぼれたちに社交ダンスを教えるという設定。最初は全く興味を示さない落ちこぼれ達が次第に社交ダンスの魅力にとりつかれ、最後はコンテストにまで出場しちゃうという、もう展開バレバレのストーリーなんだけど、ディテールがなかなか面白くて楽しく観た。ダンナが寝てる最中に一人で観て、ダンナは最初は「ボクは観ないから返しちゃっていいよ」とか言っていたくせに、今観ている。音楽も良くてサウンドトラックを買おうかなと思っているところ。
2006.09.23
イギリス映画 "On a Clear Day"をDVDで観た。舞台はスコットランドの(恐らく)グラスゴー。長年勤めた会社をクビになってしまった50代の男性が、英仏海峡を泳ぐという目標を通じて、仲間に支えられながら自信を取り戻し、過去の悲しみを乗り越え、ぎくしゃくしていた息子との関係を修復していく話。とても心温まる話。「リトル・ダンサー」「フル・モンティ」と同じ系統。イギリス映画って、庶民(それもどちらかというと貧しい方)の何気ない生活を綴るのが実に上手いなあと思う。これで、言葉の訛り、家の造り、食べているもの、着ているものなど、実際に暮らしたことがあったら、もっと実感をもって観ることができるんだろうなあ。私がアフリカ系アメリカ人が出てくる映画を観ると、日本にいた頃よりは、より実感をもって観られるように。
2006.09.04
さっそく映画『ダ・ヴィンチ・コード』を観て来た。感想は・・・・・めちゃくちゃおもしろかったー!!!・・・と言いたいところなのだが、実際はというと・・・「原作に忠実なあまり、少々退屈になってしまった」というのが正直な感想。しかし、この退屈さというのは、上下巻にわたる長作を2時間半という映画としては長い時間にしろ短縮せざるを得なかったことも関係しているだろうし、私がすでに原作を読んでいて先が分かってしまっているという面も大きかったに違いない。だからといって、原作を読まずに字幕なしでキリスト教の背景も知らずにいきなりこれを観たら、恐らく何が何だか分からなかったと思うが。この前、『コンスタント・ガードナー』という映画をDVDで観た時、ボーナス特典にこの映画の原作を書いた作家と映画化についてのドキュメンタリーがあったのだが、その最後にこの作家が『この映画は原作とはかなり違っているが、この映画ほど原作のエッセンスをうまくとらえたものはない』というようなことを言っていたのがとても印象的だった。それに基づけば、やはり私が『ダ・ヴィンチ・コード』に対して抱いた『原作に非常に忠実であるが、そのために原作のエッセンスがうまく伝わってこない』という感想は外れていないと思う。たとえて言えば、翻訳には直訳と意訳というのがあるが、直訳は正確でも意訳の方がその原文の本意をうまくとらえているもので、この映画は直訳のぎこちなさというかつまらなさが表に出てしまったという感じ。日本で大ヒットとなった『セカチュウ』の映画もドラマも、原作とはかなり異なっていたが、どちらも作品としては面白かったと思う。活字を映像化する際は時間的にも描写の面でも制約があるもので、活字をそのまま映像化するだけではその制約がマイナスに働いてしまい、原作の脚色化というのは制約をプラスに転向させるためのテクニックとして重要なのかもしれないと思った。もう一つ、私がこの映画(もとい原作)にのめり込み切れない理由というのは、私がキリスト教徒でないということも大きいと思う。この話はキリスト教に関する隠された秘密の証拠となる宝を探すものとそれを阻止するものの話で、そのせいで世界各地、特にカトリック色の濃い国で波紋を呼んでいるわけなのだが、その秘密が自分にとって関係なければその秘密が暴かれたところで、感想は「ふーん。それがどうした?」になってしまう。これも自分なりに例を挙げて説明すれば、私は糖尿病になって20年間という長い間、血糖値を上げるのはカロリーだと信じて来た(信じさせられて来た)のが、ある日突然、実は血糖値を上げるのは主に「炭水化物」だと言われて、まるで自分の根底をくつがえされるような大きなショックを受け、この気持ちは糖尿病でカロリー計算を強いられたことのある人なら少なからず分かってもらえると思うのだが、そもそもカロリーも炭水化物も関係なく暮らしているヒトは「ふーん。それで?」で終わってしまうに違いない。それと同じようなことを、この作品に対しては「部外者」の立場で感じてしまうのである。でも、どんな世界にも、あるいはどんな時代にも、真実を暴こうとするものと、それを暴かれると自分の優位性が覆されることで脅威を感じ、それを阻止しようとするものの攻防戦をテーマにした話というのはいくらでもあるわけで、この作品もそのうちの一つという風にとらえればかなり楽しめるのではないかと思う。という風にマイナスの面ばかり強調してしまったが、もちろんプラスの面もあった。原作を読むだけでは想像するしかなかったさまざまなシーンをビジュアル化してくれたのはすごく良かった。特に、キリスト教に関する史実や考察をCGで一瞬に説明してくれたので、まさに「百聞は一見にしかず」で分かりやすかった。また、パリの風景をはじめ、舞台となる各地が大きなスケールで映し出された時は、思わず感嘆の声を上げたほどだ。フランス人だけの会話の時はフランス語に英語の字幕という手法も、おふらんす色が前面に押し出されていて良かった。特に、トム・ハンクスとジャン・レノ(ちなみに彼の英語は上手いと思う)が英語でしゃべっている導入部分から、暗号解読官役のオードレー・タトゥーが出てきてぺらぺらとパリジェンヌのおふらんす語をしゃべり始めたとたん、おふらんすの雰囲気が画面いっぱいに広がり、パリのルーブル美術館という舞台が一気に現実感を増してわくわくした。舞台が外国でもアメリカで制作された映画はずっと英語で話されていることが多く、たとえば日本が舞台で日本人の映画なのに日本人同士が英語をずっとしゃべっていると、何だか違和感を覚えるものなのだ。オードレー・タトゥーは映画『アメリー』の不思議な雰囲気の女の子のイメージが強く、果たしてこの映画のこの役にふさわしいか疑問に思っていたのだが、なかなかどうして、ハマリ役だった。仕立ての良さそうな広い襟のシャツブラウスにカーディガン、細身のスカートにパンプスというごくごくシンプルな出で立ちなのに、かっこよくてうらやましい限り。私もああいう最低限のファッションでもかっこ良く魅せることのできる女性になりたいものだ。DVD化されたらもう一度じっくり観てみたいと思う・・・ってことは、何だかんだ言ってもやっぱり面白かったんじゃん(笑)。
2006.05.20
およそ2週間後に映画が公開される『ダ・ヴィンチ・コード』の本を読んだ。日本語訳の本をこの前両親がボストンに来た時に置いて行ってくれたので。上下巻あって、2日で一気に読んだ(2歳児と仕事を抱える母親が2日間で読んだということは相当な気合と集中力 笑)。面白かった。翻訳者のハシクレとして日本語訳のものを読むと、ところどころで、うーん、この箇所は原語(英語)では何と言っているのだろう、とか、うーん、この表現は上手いなとか考えながら読むクセがある。原作も読んでみようかなーと思い、仕事場の近くの本屋に寄ったら、近日映画公開ってことでダ・ヴィンチ・コーナーが出来ていて、原作のほかに、このテーマに関連した本などが積まれていた。でも多分図書館にあるだろうと思ってその時は買うのを止めた。キリスト教(カトリック)に関しての知識も増えて結構面白い。13日の金曜日の由来だとか、単語の語源だとか。しかし、ダンナが読む気はないと言うので、あらすじを教えてあげたのだが、いやあ、キリスト教関係の英語の語彙が全然ないことが判明。学校の世界史でやったから日本語ではそれなりに馴染みのある言葉なんだけど、いざ英語で言おうと思うと全然出て来ない。何かそれらしきことを言ったらダンナはだいたい分かってくれたけど。フランスが主な舞台になっていて、パリの情景の描写がところどころにあり、またパリを訪れたくなった。最後に訪れたのは仕事で10年ほど前。次はいつのことになるやら・・・。この内容を2時間ほどの映画に収めたとなると、どこを採用してどこを削ったんだろう。映画もぜひ観てみたい。
2006.05.02
皇帝ペンギンの生態を撮ったドキュメンタリー形式の映画を観た。最近、ルナがペンギンさん大好きなので、見せたら楽しいだろうと思って借りたのだが、いやあ、何と厳しい環境で生きているんだろう。よかった、都会に暮らす人間で(笑)。画面が変わるたびに、ペンギンさん、うぉーきん!ペンギンさん、じゃんぴん!と叫ぶルナの相手をしていたので、せっかくのモーガン・フリーマンのナレーションをほとんど聞いていないのだが、画面から理解したところによると、メスは卵を産み落とすとダンナに任せ、2ヶ月間、餌を仕入れに出かけられるというらしい。すごくウラヤマシイ。その間、ダンナたちは卵を足元に抱えて温めながら、ペンギン同士まるでおしくらまんじゅうのようにタックルを組んで寒さをしのぎ、ひたすら奥さん達が帰って来るのを待つのだ。この姿勢は人間の殿方にも切に学んでいただきたい。そして、2か月分の魚をお腹に抱えてデブデブになった奥さん達が帰って来ると、今度はダンナが餌探しに行く。2ヶ月間、ほとんど食べずにヘロヘロになった身体で、さらに60マイルもの距離を移動して餌をとりに行くのだ。はあああ。頭が下がります。それを子どもがしばらく大きくなるまで延々繰り返すらしい。何だか、子どもの面倒を交替で見ながら毎日働くお父さんとお母さんというのに我が身を重ね、ああ、どの世界でもこうやって一生懸命子どもを守りながら生活していくのだなあ、などと思ったら胸がジーンとしてきた。水族館のペンギンたちは一定の環境で守られているから、わあ、かわいい、で済んでしまうけれど、自然の中で生きているペンギンたちは過酷な環境の中で常に死と隣り合わせになりながら生きているのだなあ、と思った。現に卵から孵らずに死んでしまうものもいるし、成長の途中で寒さに負けたり天敵に食べられたりして命を落とすものもいる。あんなところで生きていること自体が不思議だ。先ほどの話に戻るが、人間の殿方は皆この映画を観て、もっと育児に積極的に参加するよう考えを改めてほしい(笑)。
2006.04.21
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