8


他の思考は途絶えている。
正確な判断ができる状態でないのは明らかだった。
何かに怯えながら周囲を見回す。
そして、安堵した。
手を顔に当て、細くため息をつく。
次の瞬間、彼女は息を飲んだ。
手を見て、顔を強ばらせた。
彼女の目には、血まみれの手に見えたようだった。
ゆっくりと瞳をとじた。
力強く、何かを避けようとするかのように。
恐る恐る瞳をあげた。
そして、また安堵した。
「なんなんだ・・・。」
艶やかな黒い髪は腰まである。
女の子だったら羨むような白い肌。
白を思わせる純白さがある。
そう、白いワンピースがとても似合うだろう。
まぁ。外見が中身を裏切っているのだが。
まさに、男だったら、男の中の男になるだろうと思われる。
「助けてくれよ・・・。もう嫌だ・・・」
小さく彼女はそう呟いた。

なぜだか目が覚めた。
らしくもなく緊張したのか・・・。
というのも、隣で寝ている、橘川充か原因だ。
はじめはペアなど作る気がなかったので、こうなることは夢にもおもっていなかった。
ふいに、笑いたくなった。
こんなにも自分が他人に振り回されるなど。
前代未聞だ。
「・・・」
隣で気持ち良さそうに寝てる男を見下ろすと、息をすった。
そして、勢いよく足で充を蹴ったのだった。
「起きろ!!」
豪快に蹴られた男・充は何が起こったのか理解できず、
受け身をすることすら忘れていたので、顔から床におもいっきりぶつけたのだった。


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