今日もまた長い一日が終わった。オフィスを出ると、銀座の街並みが夕日に染まって、いつもより美しく見えた。でも心の奥底には、なんとなく重いものが沈んでいる。

ふらりと立ち寄ったのは、並木通りの小さな喫茶店「カフェ・ド・ランブル」。昭和の香りが残るこの店で、私はいつものようにアイスコーヒーを注文した。

グラスに注がれた深い琥珀色の液体を見つめながら、今日という日を振り返る。

氷がグラスの中で小さく音を立てる。その音さえも、なぜか今日は寂しく響いた。

仕事の疲れが肩に重くのしかかり、私は深くため息をついた。

その時だった。スマートフォンがLINEの着信音を鳴らす。

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画面には同僚の美香の名前。同い年の彼女とは、入社以来ずっと支え合ってきた仲だった。

「お疲れさま。今、時間ある？」

いつもの軽やかなメッセージとは違う、どこか重い雰囲気を感じ取った私は、すぐに返信した。

「大丈夫よ。どうしたの？」

しばらく既読マークが付いたまま、返事が来なかった。

不安が胸をよぎる。

そして届いたメッセージを読んだ瞬間、私の手からスマートフォンが滑り落ちそうになった。

「会社から通告があったの。AIに置き換えられることになって...来月末で契約終了」

アイスコーヒーの氷が溶けて、グラスの表面に水滴が付いている。それがまるで涙のように見えて、私の目頭も熱くなった。

美香は営業部でいつも笑顔を絶やさず、お客様からの信頼も厚かった。

私たちが新人の頃、「お客様の心に寄り添うのが営業の仕事」と言っていた彼女の言葉を、今でも覚えている。そんな彼女が、機械に取って代わられるなんて。

喫茶店の窓の向こうで、銀座の街を行き交う人々がいる。

みんなそれぞれの人生を背負って歩いている。でも、どれだけの人がこれから同じような運命を迎えるのだろう。

「辛いね...今度、ゆっくり話そう」

そう打って送信ボタンを押したけれど、言葉の無力さを感じずにはいられなかった。

アイスコーヒーはもうすっかり薄くなっていた。

でも飲む気にはなれない。

美香のことを思うと、胸が締め付けられるような痛みを感じる。

技術の進歩は止められない。それは分かっている。

でも、そのしわ寄せがいつも働く人々に向かうのは、あまりにも理不尽じゃないか。
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銀座の夜が静かに更けていく中、私はただ美香のことを想い続けた。

明日からの彼女の日々が、少しでも希望に満ちたものになることを祈りながら。

Good Luck!!

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